伝統的工芸品産業支援補助金(令和8年度災害復興事業)
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
補助率3/4 ── 自己負担は4分の1だけ
一般的な設備投資の補助金は補助率1/2〜2/3が相場です。本制度は3/4以内と非常に高く、例えば400万円の窯の修理なら自己負担は100万円で済みます。被災直後の厳しい資金繰りの中でも、現実的に活用しやすい水準です。
設備だけでなく、原材料の確保にも使える
壊れた窯や道具の修理・買い替えはもちろん、被災で途絶えた原材料の調達ルート再構築にも使えます。「道具はあるけど材料が手に入らない」という状況にも対応できる、サプライチェーン全体をカバーする設計です。
一人でも、仲間と一緒でも申請できる
個人の製造事業者として単独で申請できるのはもちろん、複数の事業者がグループを組んで共有設備を購入する形でも申請可能。産地全体で連携して復興を目指すケースにも柔軟に対応します。
伝産法に基づく恒久的な制度
単年度の臨時措置ではなく、法律を根拠とした制度です。毎年度の予算措置が行われるため、申請のタイミングを逃しても翌年度以降に再チャレンジできる安心感があります。
ポイント
対象者・申請資格
法人格・事業形態
- 伝産法第4条第1項に定める特定製造協同組合等、またはその構成員
- 伝産法の製造事業者で中小企業基本法の中小企業者に該当する者
- 製造協同組合等、または製造事業者のグループ
- 個人事業主も中小企業者に該当すれば申請可能
業種
- 経済産業大臣から指定を受けた伝統的工芸品(全国241品目)の製造に従事していること
- 輪島塗、九谷焼、加賀友禅、越前漆器、越後三条打刃物などが代表例
地域
- 被災県:石川県、新潟県、富山県、福井県
- 大雨災害の被災地域:七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町
被災要件
- 令和6年能登半島地震または大雨災害により生産設備等に被害を受けたこと
- り災証明書等で被災の事実を証明できること
その他
- 日本に拠点を有すること
- グループの場合、規約が整備され構成員の意思が反映されている組織であること
ポイント
あなたは対象?かんたん診断
11問の質問に答えるだけで、この補助金の対象かどうかを簡易診断できます。
申請ガイド
事前準備(2〜4週間)
GビズIDの取得に2〜3週間かかります。未取得なら最初にこれを進めてください。並行して、り災証明書の取得、被災状況の写真・動画記録の整理、復旧に必要な設備・原材料のリストアップと見積書の取得(原則2社以上)を行います。
書類作成(2〜4週間)
事業計画書が最重要書類です。被災状況・復旧計画・スケジュール・経費内訳を記載します。申請書(所定様式)、経費明細書、見積書、り災証明書、被災写真、伝統的工芸品の指定証明、法人なら登記事項証明書と決算書、グループなら規約・名簿・同意書が必要です。不明点は管轄の経済産業局に事前相談できます。
電子申請
jGrantsシステムにログインし、フォームに入力、添付書類をアップロードして提出。公募期間は限られるため、締切に余裕を持って提出してください。
審査〜採択(1〜2ヶ月)
書類審査が行われ、必要に応じてヒアリングや現地確認があります。採択結果の通知後、交付申請書を提出し、交付決定通知を受領してから正式に事業着手が可能になります。
事業実施〜精算
交付決定後に設備の発注・購入・設置、原材料の調達を行います。全ての支出について契約書・納品書・請求書・領収書を必ず保管してください。事業完了後に実績報告書を提出し、確定検査を経て補助金額が確定・受領となります。
ポイント
審査と成功のコツ
審査で最も重視されること
事業計画書の書き方のコツ
不採択になる典型パターン
窓口への事前相談
ポイント
対象経費
対象となる経費
設備整備費(4件)
- 製造設備の修理費(窯、織機、旋盤、乾燥室等)
- 修理不能な設備の代替購入費
- 工房・作業場の修繕費
- 設備の運搬・据付費
原材料確保費(2件)
- 災害で入手困難になった原材料の代替調達費
- 通常と異なる調達ルートによる追加輸送費
技術・人材育成費(3件)
- 技術継承のための研修費
- 後継者育成プログラム費用
- 外部専門家への指導料
対象外の経費
対象外の経費一覧(6件)
- 土地の取得・賃借料
- 建物の新築費(修繕は対象)
- 汎用備品(PC・事務机等)
- 人件費
- 消費税
- 交付決定前に発生した経費(事前着手届の承認がある場合を除く)
類似する補助金との比較
よくある質問
Q伝統的工芸品の指定を受けていない工芸品でも申請できますか?
申請できません。本補助金は伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)に基づき経済産業大臣から指定を受けた伝統的工芸品の製造事業者が対象です。現在、全国で241品目が指定されています。ご自身の製品が指定品目に該当するかは、伝統的工芸品産業振興協会のウェブサイトまたは各経済産業局にお問い合わせください。
Q被災の証明はどのように行えばよいですか?
一般的には、り災証明書や被災状況の写真記録が必要となります。り災証明書は市区町村の窓口で発行を受けることができます。また、被災した設備や建物の写真、修理見積書なども被災の程度を示す重要な証拠書類となりますので、可能な限り記録を残しておくことをおすすめします。詳細な必要書類は公募要領をご確認ください。
Q補助金の上限額はいくらですか?
公募要領に具体的な上限額が定められています。補助下限額は1,000万円となっており、一定規模以上の設備復旧を想定した制度です。補助率は3/4以内ですので、例えば2,000万円の設備投資の場合、最大1,500万円の補助を受けられる計算になります。具体的な上限額については、最新の公募要領をご確認ください。
Q個人事業主でも申請できますか?
伝産法に定める製造事業者であって、中小企業基本法に定める中小企業者に該当する方であれば、個人事業主でも申請は可能です。ただし、事業の遂行に責任を持ち得る日本に拠点を有する者であることが条件です。また、被災県または被災地域において伝統的工芸品の製造に従事していることが必要です。
Q申請はオンラインで行えますか?
一般的に、経済産業省の補助金はjGrants(電子申請システム)を通じて申請を行います。jGrantsでの申請にはGビズIDの取得が必要です。GビズIDの取得には2〜3週間程度かかる場合がありますので、申請をお考えの方は早めにID取得の手続きを進めてください。詳細な申請方法は公募要領に記載されています。
Q設備を購入する前に申請が必要ですか?
はい、原則として補助金の交付決定前に発注・購入した経費は補助対象外となります。災害復興の緊急性がある場合でも、事前着手届の提出が必要となるケースがありますので、設備の発注前に必ず管轄の経済産業局に相談してください。交付決定前の経費支出は補助金返還の原因となりますのでご注意ください。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
同一の経費に対して国の他の補助金と重複受給はできません。ただし、対象経費を明確に分ければ他制度との併用が可能です。 有効な組み合わせの例:本補助金で設備を復旧し、小規模事業者持続化補助金(災害枠)で販路回復を図る。あるいは、ものづくり補助金で新製品開発や生産プロセス改善を同時に進める。石川県や各市町の独自復興支援制度で上乗せ支援を受けられる場合もあります。補助金でカバーできない自己負担分は、日本政策金融公庫の災害復旧貸付も活用可能です。 併用を検討する場合は、必ず各経済産業局の窓口に事前相談してください。意図せず重複申請となった場合、補助金返還を求められます。
詳細説明
制度の目的と背景
本補助金は、令和6年1月に発生した能登半島地震および同年の大雨災害により甚大な被害を受けた伝統的工芸品産業の復興を支援するために設けられた制度です。石川県を中心とする北陸地方には、輪島塗、九谷焼、加賀友禅、越前漆器、高岡銅器など、日本を代表する伝統的工芸品の産地が集中しています。これらの産地では、地震と大雨により工房や窯、織機などの生産設備が大きな損傷を受け、多くの職人が操業停止を余儀なくされました。
伝統的工芸品の製造には、長年の経験で培われた技術と専門的な設備が不可欠であり、一度途絶えると復旧が極めて困難です。本補助金は、こうした伝統産業の灯を絶やさないために、事業再開に必要な設備整備と原材料確保を強力に支援します。
対象事業の詳細
本補助金の対象となる事業は、主に以下の2つの区分に分類されます。
- 生産設備等の整備事業:被災により損傷・喪失した製造設備の修理、代替設備の購入、工房・作業場の修繕に係る事業
- 原材料確保事業:災害により調達が困難になった原材料の確保に係る取組。代替調達ルートの開拓や原材料の備蓄等を含みます
補助対象者の要件
補助対象者は以下のいずれかに該当する必要があります。
- 特定製造協同組合等(伝産法第4条第1項に定めるもの)およびその構成員
- 製造事業者(中小企業基本法に定める中小企業者に限る)およびそのグループ
- 製造協同組合等(特定製造協同組合等を除く)
いずれの場合も、被災県(石川県、新潟県、富山県、福井県)または被災地域(石川県七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町)において、伝統的工芸品の製造に従事し、災害により生産設備等に被害を受けた者であることが条件です。
補助率・補助下限額
補助率は3/4以内と、非常に高い水準に設定されています。これは災害復興という緊急かつ重要な目的を反映したものです。補助下限額は1,000万円となっており、一定規模以上の設備復旧事業を想定しています。
採択後の義務・報告要件
補助金の交付を受けた事業者には、以下の義務が課されます。
- 実績報告:事業完了後、速やかに実績報告書を提出する必要があります
- 経理の適正管理:補助事業に係る経費について、帳簿や証拠書類を整理・保管する義務があります
- 財産の管理:補助金で取得した設備等は一定期間、適切に管理・使用する義務があります
- 状況報告:事業の進捗や成果について、必要に応じて報告を求められる場合があります