2026年 中小企業向け主要補助金 比較一覧
室谷さん、うちの会社もそろそろ補助金を使いたいんですけど、中小企業向けってどのくらいあるんですか?
ざっくり言うと、国だけで常時30〜40種類、都道府県や市区町村の独自補助を合わせると100種類以上あります。ただ全部に使えるわけじゃなくて、設備投資したいのか、ITを入れたいのか、販路を広げたいのか——目的によって使う補助金が変わってきます。
そんなにあるんですね!じゃあどこから手をつければいいですか?
まず国の主要補助金を5〜6本おさえておけば、ほとんどのケースはカバーできます。2026年(令和8年度)は特に大きな変化があって、IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されたし、ものづくり補助金と新事業進出補助金が統合されて「新事業進出・ものづくり補助金」になる予定です。
そうなんです。2026年は補助金の「大再編」の年とも言えます。旧制度の名前で探すと見つけられないケースが出てくるので注意が必要ですね。今日はそのあたりも含めて整理していきましょう。
| 補助金名 | 補助上限額 | 補助率 | 主な用途 |
|---|
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 最大450万円(通常枠)/ 3,200万円(複数社連携枠) | 1/2〜4/5 | ITツール・AI・業務DX |
| 新事業進出・ものづくり補助金(統合新設) | 最大9,000万円 | 1/2〜2/3 | 設備投資・新事業進出・グローバル展開 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 最大250万円(通常枠) | 2/3〜3/4 | 販路開拓・集客・ECサイト |
| 事業承継・M&A補助金 | 最大1,000万円 | 1/2〜2/3 | M&A・第三者承継・廃業再挑戦 |
| 中小企業成長加速化補助金 | 最大5億円 | 1/2 | 大型設備・海外展開・100億企業創出 |
| 業務改善助成金 | 最大600万円 | 3/4〜4/5 | 賃上げ+設備導入 |
| 中堅・中小企業の大規模成長投資補助金 | 最大50億円 | 1/3 | 工場新設・大規模設備 |
上限50億とか5億とかあるんですね、これ本当に中小企業向けなんですか!?
そうなんです(笑)。成長加速化補助金は「将来の売上高100億円を目指す」企業が対象で、かなり大型の設備投資ができる事業者向けです。多くの中小企業にとっては、ものづくり補助金系かデジタル化補助金が現実的な選択肢になります。
まず最初はデジタル化・AI導入補助金から教えてください。IT導入補助金って言ってたやつですよね?
そうです。2026年度から名称が変わりました。基本的な仕組みはIT導入補助金と同じですが、AIツールや生産性向上ソフトウェアへの対応が強化されています。通常枠なら最大450万円、インボイス枠なら最大350万円が狙えます。
会計ソフト、受発注システム、在庫管理ツール、AIチャットボット、勤怠管理ソフトなど、業務効率化につながるITツールなら多くが対象です。セキュリティ対策も別枠で最大150万円まで補助されます。
はい。インボイス制度対応の会計ソフトや受発注ソフトを入れる場合は、インボイス対応類型という枠で補助率が最大4/5まで上がります。50万円まではほぼほぼ補助してもらえる感じです。あとPCやレジのハードウェアも対象になるのが便利ですね。
- 申請にはIT導入支援事業者(登録ベンダー)経由での申請が必須
- 2022〜2025年にIT導入補助金を受けた事業者は、給与支給総額の成長率要件が追加される
- GビズIDプライムアカウントが事前に必要(取得に2〜4週間かかる場合あり)
- 第4次締切(2026年8月25日)まで公募スケジュールが公開中
次のものづくり補助金と新事業進出補助金が一緒になるって話、もう少し詳しく教えてもらえますか?
これは2026年度から「新事業進出・ものづくり補助金」として統合される予定の補助金です。旧ものづくり補助金は最大1,000万円程度でしたが、統合後は「新事業進出枠」で最大9,000万円まで狙える可能性があります。
そうなんですよ。3つの枠に分かれていて——革新的新製品・サービス枠が最大3,500万円、新事業進出枠と グローバル枠が最大9,000万円です。従業員数によって上限が変わります。賃上げをすると補助率が1/3上乗せされる特例もあるので、給与を上げる予定がある会社は積極的に活用したいですね。
賃上げで補助率が上がるのはいいですね。使いやすそうです。
ただ、事業計画書の質が採択の鍵を握っています。「革新性」があると審査員に認められないと採択されません。単なる設備の更新じゃなくて、生産性向上や新製品開発の文脈で計画書を書く必要があります。認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に相談しながら進めるのがおすすめです。
| 申請枠 | 補助上限額 | 補助率 | 特徴 |
|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 750万〜3,500万円 | 1/2(小規模・再生2/3) | 新商品・サービス開発 |
| 新事業進出枠 | 2,500万〜9,000万円 | 1/2(賃上げ特例2/3) | 異業種参入・事業転換 |
| グローバル枠 | 2,500万〜9,000万円 | 2/3 | 海外展開・輸出強化 |
持続化補助金というのは、名前がよく出てきますけど、どんな会社向けですか?
従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者が対象です。販路開拓や集客強化のために使う補助金で、上限250万円(通常枠)、補助率2/3が基本です。
ホームページのリニューアル、チラシ作成・配布、ECサイト開設、展示会出展、店舗のバリアフリー化、新商品の試作品開発——本当に幅広い経費が対象です。ものづくり補助金みたいな「革新性」の審査がないので、比較的採択されやすいのが特徴ですね。採択率は公募によっては60〜70%に達することもあります。
そうなんですよ。ただ要注意なのは、商工会・商工会議所と一緒に計画書を作ることが前提条件になっている点です。いきなりネットで申請しようとしても申請できないので、まず地域の商工会・商工会議所に相談するのが最初のステップです。
そうです。賃上げをした事業者は補助率が3/4に上がる特例もあるので、パートさんの時給を上げた年なんかはタイミングを合わせると有利ですよ。詳細は
小規模事業者持続化補助金のページで確認できます。
事業承継補助金というのは、後継者がいない会社向けですか?
その通りです。後継者不在で会社を誰かに譲りたい側(売り手)と、M&Aで会社を買収したい側(買い手)、どちらも使えます。M&Aの仲介手数料や専門家費用を補助してもらえるので、実質的に数百万円の費用負担が減ります。
M&Aって費用がかかりますよね。仲介手数料とかで。
そうですね。中小企業のM&Aだと仲介手数料だけで500万〜1,000万円超えることもある。それを補助してもらえるのはかなり助かります。事業承継促進枠では最大1,000万円が出ます。
| 申請枠 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|
| 事業承継促進枠(設備投資等) | 800〜1,000万円 | 1/2(小規模2/3) |
| 専門家活用枠(M&A仲介費等) | 最大800万円 | 1/2〜2/3 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 最大300万円 | 2/3 |
| PMI推進枠(経営統合支援) | 最大150万円 | 1/2 |
そうです。PMIって言うんですが、会社を買収した後の人事制度統合や会計システムの統合にも補助が出ます。M&Aって意外と買った後の作業が大変なので、そこに使える補助金があるのは助かります。詳しくは
事業承継・M&A補助金(事業承継促進枠)をご覧ください。
さっき出てきた成長加速化補助金、最大5億円って相当ですね!どんな会社が使えるんですか?
これは「将来的に売上100億円を目指す」という意欲的な中堅・中小企業向けです。工場の新設・増設や大規模な設備投資が対象で、地域の雇用を支えるインパクトのある投資を支援する趣旨です。
そうです(笑)。ポータルサイトに「100億企業を目指します」と宣言することが申請の前提条件になっています。補助率は1/2なので、10億円の設備投資なら5億円の補助が出るイメージです。ただ採択要件は厳しくて、事業計画の説得力と実現可能性が問われます。第2回公募が令和8年2〜3月に実施済みで、第3回以降は最新情報を確認してください。詳細は
中小企業成長加速化補助金のページで確認できます。
経済産業省の補助金ばかりかと思ったら、厚生労働省の助成金もあるんですね?
そうです!これが結構使いやすいんですよ。業務改善助成金は最低賃金を30円以上引き上げて、生産性向上のための設備投資をした場合に、その設備費用の3/4〜4/5が助成される制度です。
まさにそうです。例えば、パートさんの時給を30円上げて、同時にレジや発注システムを導入したとします。その設備代の約80%が助成されます。上限600万円なので、ざっくり750万円分の設備を実質150万円で入れられる計算になります。
しかも要件が比較的シンプルで、「賃上げ+設備投資」という組み合わせさえ満たせば、ほとんどの業種が対象です。製造業だけじゃなくて、小売業や飲食業、介護事業者なども積極的に使っています。詳しくは
令和7年度 業務改善助成金をご覧ください。
これは経済産業省の「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」です。上限50億円で補助率1/3、つまり150億円規模の投資計画が描ける会社向けです。工場の完全自動化とか、物流センターの新設とか、本当に大規模な投資が対象です。
それはかなりの規模ですね。ほとんどの中小企業には関係ないレベルかな?
大半の中小企業にはハードルが高いですね(笑)。ただ、「中堅企業」として成長したい会社には重要な選択肢です。地域の製造業や物流業で、人手不足対応の大型自動化投資を考えている会社なら検討の余地があります。詳細は
大規模成長投資補助金のページで確認できます。
補助金申請の流れ(中小企業向け)
うちの会社にはどれが向いているかって、どうやって選べばいいですか?
3つの軸で考えると選びやすいです。まず「会社の規模」——従業員20名以下なら持続化補助金が使いやすい。次に「投資の目的」——ITを入れたいならデジタル化補助金、設備投資ならものづくり補助金系。最後に「投資の規模」——数百万円なら持続化補助金、数千万円ならものづくり補助金・成長加速化補助金という流れです。
あと、補助金は複数同時に申請できる場合があります。例えばデジタル化補助金で会計ソフトを入れながら、持続化補助金でホームページをリニューアルする——みたいな組み合わせも可能なんです。ただ同じ経費に対して2つの補助金を使う「二重申請」はNGなので、経費の仕分けに気をつけてください。
もう一つ重要なのが申請タイミングです。ものづくり補助金や成長加速化補助金は年に2〜4回の公募があって、締め切りが過ぎると次の公募まで待たなきゃいけない。「今期中に設備を入れたい」という場合は、逆算して申請時期を決めないといけません。
GビズIDプライムアカウントを最初に取得する(取得に2〜4週間かかる場合あり。申請を思い立ったらすぐ申請開始)
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に相談する(ものづくり補助金・成長加速化補助金は必須。無料相談を活用)
補助金の公募スケジュールを確認し、逆算して準備開始(計画書作成に1〜3ヶ月は見ておく)
事業計画書を作成する(「革新性」「効果測定」「実現可能性」の3点をしっかり書く)
電子申請(jGrants)で申請する(締め切り直前は混雑するので余裕をもって)
採択後に補助事業を実施する(採択前に発注・購入した経費は補助対象外になる!)
実績報告書を提出して補助金を受け取る(後払い方式のため、資金繰りに注意)
これは本当に重要で、補助金は「先に自分で払って、後から戻ってくる」仕組みなんです。例えばものづくり補助金で1,000万円の設備を買う場合、先に1,000万円用意してから実績報告・審査を経て補助金が振り込まれます。その期間が半年〜1年かかることもある。資金繰りが厳しい会社は、この点を必ず確認してください。
補助金はすべて後払い(精算払い)方式です。設備購入や経費支払いを先に自社負担し、実績報告・審査後に補助金が入金されます。入金まで6ヶ月〜1年以上かかることもあるため、リース・割賦払いや銀行融資との組み合わせを事前に検討しておくことを強くおすすめします。
なるほど、ちゃんと資金計画を立てないといけないですね。
そうです。補助金を使うときは金融機関にも相談して、つなぎ融資が使えるかどうか確認しておくといいですよ。あと、採択率を上げるために「加点項目」を活用することも大事です。例えば「賃上げ計画あり」「事業継続力強化計画(BCP)策定済み」「デジタル化を推進している」などの加点要素があると採択されやすくなります。
よくあるのが「採択前に発注してしまう」パターンです。補助金は採択通知が届いてから発注・購入する必要があります。「早く設備が欲しいから」と先に注文してしまうと、その経費は補助対象外になってしまいます。
あと「事業計画書が薄い」ケースも多いです。特にものづくり補助金は、単に「この機械を買いたい」だけじゃなく、「この投資でどんな新製品が作れるのか」「生産性がどれくらい向上するのか」を具体的な数字で書かないと評価されません。
認定支援機関の中小企業診断士や税理士に頼むと、事業計画書のブラッシュアップをしてもらえます。費用はかかりますが、採択率が上がることを考えると費用対効果は十分高いですよ。
- 賃上げ計画(給与支給総額の増加目標)を明記
- 事業継続力強化計画(BCP)策定済み
- デジタル化推進の実績(IT導入補助金の採択歴等)
- 認定経営革新等支援機関との連携
- ものづくり補助金は「革新性」の具体的な説明(競合との差別化、技術的優位性)
やることが多いですね(笑)。まずどこに相談するのがいいでしょう?
地域の商工会・商工会議所か、各都道府県の中小企業支援センターが最初の相談先としておすすめです。無料で補助金の選定から申請のアドバイスをもらえます。ものづくり補助金や事業承継補助金は中小企業庁の公式サイトにも詳しい情報があります。各都道府県の補助金情報は
中小企業向け補助金の都道府県別一覧でも確認できます。
補助金選びは「目的」×「規模」で決まります。IT化・DXならデジタル化・AI導入補助金(最大450万円)、生産性向上・新商品開発なら新事業進出・ものづくり補助金(最大9,000万円)、小規模な販路開拓なら持続化補助金(最大250万円)、M&A・事業承継なら事業承継・M&A補助金(最大1,000万円)、大型成長投資なら成長加速化補助金(最大5億円)という感じです。賃上げと組み合わせると業務改善助成金(最大600万円)も強力な選択肢です。
これだけ種類があるなら、うちにも使えるものがありそうです!
そうです!まず今の会社の課題を明確にして、「何のために補助金を使いたいのか」を決めてから、対応する補助金を探す順序で進めると迷いが少なくなります。あとはGビズIDの取得だけは今すぐやっておいてください。どの補助金でも必要になるので(笑)。