最近よく「SHIFT事業」って聞くんですけど、今回の「DX型CO2削減対策実行支援事業」って、どんな補助金なんですか?
SHIFT事業というのは、環境省が推進している工場・事業場のCO2削減を支援する大型補助金プログラムです。正式名称は「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業」で、今回ご紹介する「DX型CO2削減対策実行支援事業」はその中の1つのメニューです。
DXって言葉がついてますね。何が「DX型」なんですか?
通常の省エネ補助金は工場の設備そのものを入れ替えるイメージですよね。一方でDX型は、IoTセンサーやエネルギーマネジメントシステム(EMS)、クラウドによるCO2可視化ツールなどのデジタル技術を使って、設備の運用方法を改善することに補助が出ます。設備を丸ごと交換するより初期費用が抑えられるので、中小企業でも動きやすい設計です!
そうです。DXシステムで「今どこでどれだけエネルギーを使っているか」をリアルタイムで把握して、無駄な稼働を減らすだけでCO2を削減できますから。あるいは、DXで運転データを集めた上で「どういう設備改修が最も効果的か」を設計する部分への支援も対象です。
なるほど!ちなみに今年度はどういう予算立てになっているんですか?
令和7年度補正予算を財源とした追加枠で、2026年3月19日から公募が始まっています。締切は2026年6月10日12時00分。補正予算事業は通常より公募期間が短いんですが、今回は約3か月ありますので、今から動き始めれば十分に間に合います!
SHIFT事業 2つの補助スキーム比較
DX型CO2削減対策実行支援事業は、補助率3/4(75%)、補助上限200万円です。仮に200万円分の経費がかかる取り組みなら、150万円が補助されて自己負担は50万円で済む計算です!
そうなんですよ。同じSHIFT事業の「省CO2型システムへの改修支援事業」と比較するとわかりやすいです。
| 比較項目 | DX型CO2削減(本事業) | 省CO2型改修支援事業 |
|---|
| 補助率 | 3/4(75%) | 1/3(約33%) |
| 補助上限額 | 200万円 | 1億円または5億円 |
| 事業期間 | 2年以内 | 3年以内 |
| 主な取り組み | DXシステム活用・運用改善 | 設備改修・電化・燃料転換 |
| 向いている事業者 | まず現状把握したい中小企業 | 本格的な設備刷新をしたい企業 |
省CO2型は上限がずっと高いですけど、補助率は低いんですね。
そうです。省CO2型は設備を丸ごと入れ替える大型投資向けだから上限が大きい。DX型はソフトウェアやセンサー導入程度で始められるから補助額は小さいですが、補助率は高い。まずDX型で手を付けて「改修ポイント」を探り、その知見をもとに次は省CO2型に挑戦する、というステップアップ活用が賢いです!
段階的に使えるんですね。では次に誰が申請できるか教えてください。
対象となる法人の種類が多いのも本事業の特徴です。まとめると次の通りです。
| 対象法人の種類 | 注意点 |
|---|
| 中小企業者(法人のみ) | 個人事業主・個人は対象外 |
| 独立行政法人 | 国・地方を問わず |
| 国立大学法人・公立大学法人・学校法人 | 教育機関も対象 |
| 社会福祉法人 | 介護・福祉施設も対象 |
| 医療法人 | 病院・クリニックも対象 |
| 協同組合等 | 農協・生協等も対象 |
| 地方公共団体 | 共同申請者としてのみ参加可 |
そうなんです!病院でも介護施設でも申請できます。福祉・医療分野は電力消費が多い割に脱炭素化が遅れていると言われているので、むしろ狙い目のセクターです。
漁業、建設業、製造業、情報通信業、宿泊業、医療・福祉、教育など、ほぼ全業種が対象です。かなり広いです。ただし、2点だけ要件があります。
1つは「連続2期の債務超過がないこと」です。直近2期の決算書で貸借対照表の純資産がどちらもプラスであれば大丈夫です。もう1つは個人事業主・フリーランスは対象外という点。法人格がある事業体でないと申請できません。
- 個人事業主・フリーランス(法人格が必要)
- 大企業(中小企業基本法の定義を超える規模)
- 直近2期連続で純資産がマイナス(債務超過)の法人
- 風俗営業・性風俗関連特殊営業を営む事業場
原則として可能です。連続2期というのがポイントで、1期だけなら申請要件上はクリアしています。ただし審査の評点には影響するかもしれないので、公募要領でご確認を。
| 経費カテゴリー | 代表的な品目 |
|---|
| DXシステム導入費 | EMS(エネルギーマネジメントシステム)、クラウド型CO2管理ツール、AI最適化システム |
| 設備・機器費 | IoTセンサー・データ収集基盤、計測・モニタリング機器、DX化に必要なハードウェア |
| 工事・改修費 | センサー設置工事、配管工事等の付帯工事、省エネ改修設計に基づく設備改修工事 |
| 専門家委託費 | CO2削減計画策定コンサルタント、DXシステム設計・実装の外部委託、省エネ診断費 |
| 調査・設計費 | CO2排出量調査・計測、省エネ改修設計費、スコープ3算定委託 |
ソフトウェアのサブスクリプション費用も対象ですか?
クラウドサービスの場合は導入時の初期費用が対象となるケースが多いです。毎月のランニングコストについては公募要領を確認するのが確実です。補助対象期間内の費用であることが前提になります。
- 土地・建物の取得費: 補助対象外
- 既存設備の維持管理・修繕費: 新規導入・改修でないものはNG
- CO2削減と無関係な業務効率化のみが目的のIT投資: 純粋な業務DXは対象外
- 消費税: 課税事業者の場合は消費税相当額は補助されない
- 一般管理費・間接経費: 補助事業に直接関係しないもの
そうです。「CO2削減効果が見込めること」が必須条件なので、単に「デジタル化したい」というだけでは通りません。申請前に事務局や専門家に相談して、経費の対象可否を確認しておくのが大事です。
DX型CO2削減対策 申請の流れ
1公式サイトで公募情報と公募要領を確認する(温室効果ガス審査協会SHIFT事業サイト)
2自社のCO2排出量(スコープ1・2)を現状把握し、DXシステム導入後の削減見込みを数値で算出する
3申請書類を準備する(事業計画書、見積書、直近2期分の決算書等)
4公募締切である2026年6月10日12時00分までに指定の方法で申請書類を提出する
5書類審査・ヒアリング対応(追加資料の提出を求められる場合あり)
6採択通知の受領後、交付申請→交付決定→事業開始→実績報告の流れで補助金を受け取る
公募締切が2026年6月10日ですね。今から始めても間に合いますか?
2026年4月27日時点で残り約6週間あります。事業計画書の準備が一番時間がかかりますが、CO2排出量のデータさえ揃えば、2〜3週間で書類を仕上げることは可能です。ただし補正予算事業は公募要領が改訂されることがあるので、直前まで温室効果ガス審査協会の公式サイトをこまめにチェックすることを強くお勧めします!
詳細は公募要領に記載されています。問い合わせフォームを同協会サイトからダウンロードしてメールで送る形式です。電子申請が基本ですが、詳細は最新の公募要領でご確認を。
- CO2削減量を数値で証明する: 「〇〇%削減見込み」「年間〇〇トン削減」という定量的根拠が最重要。省エネ診断士や中小企業診断士への相談がおすすめ
- DXシステムの実効性を示す: IoTセンサー+クラウド分析+AI最適化など、デジタル技術がCO2削減に直結する仕組みを具体的に説明する
- バリューチェーン全体への波及を描く: 自社だけでなくサプライチェーン・取引先への削減波及効果を記載すると評点が上がる
- 財務健全性と実行体制を明記する: 担当者配置・スケジュール・予算管理方法を具体的に記載し「本当に実行できる」ことを示す
バリューチェーンへの波及って、どう書けばいいんですか?
たとえば製造業なら「自社の加工工程でCO2を15%削減することで、製品の製造由来のCO2排出量が下がり、当社製品を使う顧客企業のスコープ3削減にも貢献できる」という形で書けます。SHIFT事業の根本目的が「バリューチェーン全体の脱炭素化」なので、ここが書けると審査員の評価が上がります!
むずかしく考えなくていいです。「自社の改善が他社の排出量削減にもつながる」というストーリーが説得力を持てば十分です。実際の算定値がなくても、論理的な説明があれば評価されます。
- 公募開始前から準備しておく(今回は3月19日スタート済みなので今すぐ行動)
- 公募説明会の資料(2026年3月26日開催分)を公式サイトで入手して審査ポイントを把握する
- 公募要領改訂への即時対応(2026年4月3日・4月24日に改訂済みの実績あり)
同じ経費に2つの補助金を重複して使うことは原則禁止ですが、経費を区分すれば異なる補助金との組み合わせが可能なケースがあります。例えばDXシステム部分を本事業で、別の省エネ設備を経産省系の補助金で、という使い方です。
IT導入補助金(中小企業庁)は業務効率化が主目的のITツール向けです。本事業はCO2削減が主目的なので、目的が異なれば別経費として計上して両方申請できる可能性があります。ただし「同一ツールに2つの補助金」は禁止なので、事前に各事務局への確認が必須です。
カーボンニュートラル投資に係る税制優遇(中小企業投資促進税制等)は補助金との重複制限がない場合が多く、組み合わせて節税効果を高められます。税理士への相談をお勧めします。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 【令和7年度補正予算】DX型CO2削減対策実行支援事業 |
| 制度名(親事業) | 脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業) |
| 実施機関 | 環境省(執行団体: 一般社団法人温室効果ガス審査協会) |
| 補助率 | 4分の3(75%) |
| 補助上限額 | 200万円 |
| 対象事業期間 | 2年以内 |
| 公募期間 | 2026年3月19日〜2026年6月10日12時00分 |
| 申請対象 | 中小企業法人、独立行政法人、社会福祉法人、医療法人等 |
| 対象業種 | 全業種(個人事業主除く) |
| 公式サイト | https://www.gaj.or.jp/eie/shift/ |
| 問い合わせ | shift@gaj.or.jp(温室効果ガス審査協会) |
2030年のCO2削減目標まで4年を切っています。DXシステムによる運用改善はコストが小さく即効性があるので、大企業ではなく中小企業・非営利法人にこそ使ってほしい補助金です。
2026年6月10日締切なので今すぐ公式サイトで公募要領を確認してみてください!
いくつか確認しておきたいんですが、個人でやっている工場はどうなりますか?
残念ながら個人事業主は対象外です。本事業の申請資格は法人格を持つ事業体に限られています。個人経営の場合は法人化のうえで申請することをご検討ください。
うちのような小さい会社でも「中小企業」に当たるんですか?
中小企業基本法の定義で判断します。製造業なら資本金3億円以下または従業員数300人以下、卸売業なら資本金1億円以下または従業員数100人以下、小売業なら資本金5,000万円以下または従業員数50人以下、サービス業なら資本金5,000万円以下または従業員数100人以下が目安です。業種によって異なるので、公募要領の定義を必ずご確認ください!
注意点があります。2026年4月3日の公募要領改訂で「令和6年度補正予算または令和7年度の実行支援事業を実施している同一工場・事業場の同一設備での応募は不可」と明記されました。別の設備での申請や、対象設備が異なる場合は問題ありません。
採択から補助金が入金されるまでどのくらいかかりますか?
一般的には採択通知後に交付申請→交付決定まで数週間〜1か月、その後事業を実施して実績報告→補助金支払いまでさらに数か月かかります。補助金が入るまでの間は自己資金での立替が必要なので、資金繰り計画を事前に立てておくことが大切です。
基本的には可能です。補助金で受け取った金額は一般的に課税所得になりますが、カーボンニュートラル関連の税制優遇(設備取得に係る税額控除等)と組み合わせて実質負担をさらに下げることができます。具体的な組み合わせは税理士にご相談ください。
他にも省エネやCO2削減関係の補助金はありますか?