室谷さん、長崎県で使える補助金や給付金について教えてください。この地域ならではの特徴ってあるんですか?
もちろんです。長崎県は造船、水産、そして離島観光という三つの産業が基盤になっています。補助金の種類や対象要件も、この三つの軸に沿って大きく異なります。自社の業種と立地(本土か離島か)を起点に探すと、最適な補助金が見つかりやすいですね。
なるほど。ではまず、脱炭素関連で目を引く補助金が複数あると聞きました。詳しく教えてください。
はい。環境省のSHIFT事業の一環として、二つの大きな補助金が令和7年度補正予算で公募されています。一つ目は
DX型CO2削減対策実行支援事業 です。脱炭素技術やDXシステムを使ってCO2排出削減を支援するもので、補助上限は200万円、補助率は最大4分の3と手厚いです。中小企業者(法人のみ)、独立行政法人、国立大学法人、社会福祉法人、医療法人、協同組合等が対象です。特に「DXシステムを用いた運用改善」が特徴で、ITと環境対策を組み合わせたい企業にピッタリです。
200万円の補助で、そこにDXが絡むんですね。もう一つは?
二つ目は
省CO2型システムへの改修支援事業 です。こちらは工場・事業場での電化・燃料転換・廃熱回収・熱融通といった大規模な改修を支援します。補助上限はなんと5億円、補助率は事業費の3分の1。対象は民間企業(個人事業主を除く)のほか、独立行政法人・大学法人・社会福祉法人・医療法人などです。製造業、運輸、宿泊飲食、医療福祉など幅広い業種が使えます。
5億円は大きいですね。この二つを比較するとどうなりますか?
規模感が全然違いますね。DX型は中小向けで手軽に始められ、省CO2型は大規模投資向け、と。
そうですね。併用も可能かもしれませんが、それぞれ目的が違いますので、自社の計画に合わせて選ぶとよいでしょう。
はい。2026年度「二国間クレジット制度(JCM)等を活用した低炭素技術普及促進事業/低炭素技術による市場創出促進事業(実証設計)」(
こちら)が公募中です。こちらは委託事業で、補助金ではなくNEDOとの委託契約です。上限額や補助率の記載はなく、実証設計フェーズの実施者を募っています。日本が主導するJCMを活用し、パートナー国で日本の低炭素技術を実証導入するための設計段階を支援します。長崎県の企業が海外展開を考える場合、この事業に応募する価値があるでしょう。
なるほど。では、脱炭素以外に長崎県ならではの給付金や補助金はありますか?
たくさんあります。まず、長崎県の特徴として離島が多いことが挙げられます。有人島71島(全国最多水準)というデータがあります。離島での事業には、対馬市や五島市などで独自の補助金があります。例えば、対馬市結婚新生活支援事業補助金(上限60万円)や結婚移住奨励補助金(対馬市)(上限60万円)は、移住・結婚を支援するものです。また、**長崎市移住支援補助金(移住支援金)**は世帯100万円・単身60万円、子1人あたり100万円加算と手厚いです。
水産関連では、長崎漁港はマグロ・アジ・サバ等の水揚量が全国有数です。水産加工業者向けの補助金として、先ほどの省CO2型システムへの改修支援事業は、冷凍・冷蔵設備の省エネ化に活用できます。また、長崎県産業人材育成奨学金返済アシスト事業(上限120万円)は、県内で働く若者の奨学金返済を支援するもので、人手不足に悩む水産・造船業界でも利用されています。
造船関連の中小サプライヤーには、DX型CO2削減対策実行支援事業が効果的です。生産工程のデジタル化による省エネが期待できます。また、教育訓練給付金(上限56万円)や求職者支援制度(職業訓練受講給付金)(上限10万円)といった人材育成系の給付金も、業界問わず活用できます。
インバウンド向けの設備投資にはどの補助金が使えますか?
インバウンド需要に対応するための設備投資は、省CO2型システムへの改修支援事業で宿泊施設の省エネ改修を行うなど、間接的に活用できます。ただし、直接的な観光振興補助金は今回のリストにはありません。各市区町村の観光協会や商工会議所に問い合わせるのが確実です。
給付金の種類も多いですね。出産育児一時金や子育て世帯特別給付金など、子育て支援も充実している印象です。
そうですね。出産育児一時金は上限50万円、長崎市子育て世帯特別給付金は子ども1人当たり1万円(国の物価高対応子育て応援手当2万円と合わせて3万円)、乳児期家事代行サービスは上限500円など、子育て世帯をしっかりサポートしています。高齢者向けには長崎市長寿祝金(上限5万円)や佐世保市長寿祝金(上限10万円)、諫早市いさはやシニアおでかけ支援事業(上限5,000円)などもあります。
はい。住民税非課税世帯を対象とした給付金(1世帯あたり3万円)や物価高騰対応重点支援給付金(上限10万円)がありましたが、こちらは終了しています。最新の給付金情報は各自治体の窓口でご確認ください。
ありがとうございます。最後に、よくある質問をまとめます。
離島(壱岐・対馬・五島)の事業者が使える特別な補助金はありますか?▼
離島向けの特別な補助金としては、対馬市の結婚新生活支援事業補助金(上限60万円)や結婚移住奨励補助金(上限60万円)があります。また、全国一律の補助金でも離島事業者は対象になりますので、DX型CO2削減対策実行支援事業や省CO2型システムへの改修支援事業も検討対象です。各離島の市町村役場でも独自の制度がある場合があります。
水産加工業者が使える補助金を探すにはどこから始めればよいですか?▼
まず、省CO2型システムへの改修支援事業が冷凍・冷蔵設備の省エネ改修に活用できます。また、DX型CO2削減対策実行支援事業で生産管理システムの導入も可能です。長崎県水産課や長崎県よろず支援拠点に相談すると、業界特有の補助金情報も得られます。
造船関連の中小サプライヤーが使える補助金はありますか?▼
DX型CO2削減対策実行支援事業で設計・製造工程のDX化が支援対象になります。また、教育訓練給付金や求職者支援制度を活用した人材育成も有効です。長崎県産業労働部や長崎商工会議所で個別相談をおすすめします。
インバウンド向けの設備投資に使える補助金はありますか?▼
直接的な観光振興補助金は今回のリストにはありませんが、省CO2型システムへの改修支援事業で宿泊施設の空調や給湯設備の省エネ改修を行うことで、間接的にインバウンド対応を強化できます。また、長崎市移住支援補助金のように、人材確保につながる制度もあります。詳細は各自治体や観光協会にお問い合わせください。
個人事業主でも補助金の対象になりますか?▼
DX型CO2削減対策実行支援事業は中小企業者(法人のみ)が対象ですので、個人事業主は対象外です。省CO2型システムへの改修支援事業も民間企業(個人事業主を除く)が対象です。一方、給付金では個人事業主も対象となるものがあります(例:求職者支援制度)。必ず各制度の公募要領で対象者を確認してください。
補助金の締切はいつですか?▼
DX型CO2削減対策実行支援事業と省CO2型システムへの改修支援事業の締切は2026年6月10日です。二国間クレジット制度(JCM)事業の締切は2026年6月5日です。他の給付金については、各市区町村の公式情報をご確認ください。