育児休業給付金とは? 受給条件・計算方法・申請手続きをわかりやすく解説

目次

育児休業を控えて「結局いくらもらえるの?」「いつ振り込まれるの?」と不安になっていませんか。育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金で、育児休業中の収入を補う重要な制度です。月給30万円の方なら最大約20万円(月)、夫婦で条件を揃えれば最大28日間は手取りとほぼ同額(給付率80%相当)受け取れます。

この記事では、育児休業給付金の仕組みから計算方法、申請タイミング、振込スケジュールまで、育休前に知っておくべきことをまとめました。


あなたの状況に合わせて読み進めてください。

  • これから育休を取る予定の方 → まず「いくらもらえる? 計算方法」セクションへ
  • パパ育休(出生時育休)を検討中の方 → 「出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金」へ
  • 振込が遅いと感じている方 → 「振込日はいつ? 初回が遅い理由」セクションへ
  • 延長を検討している方 → 「育児休業給付金の延長 条件と手続き」セクションへ
  • 育休後に時短勤務を予定している方 → 「育児時短就業給付金」セクションへ

育児休業給付金の基本的な仕組みと対象者

育児休業給付金は、雇用保険に加入している従業員が育児休業を取得したときに、ハローワーク(公共職業安定所)から支給される給付金です。育休中は給与が出ないケースが多いため、その間の生活費を補う目的で設けられています。

受給できる人の条件

以下の条件を全て満たす必要があります。

条件内容
雇用保険の被保険者雇用保険に加入していること(自営業・フリーランスは対象外)
1歳未満の子を養育原則として1歳未満の子どものための育児休業であること
過去2年間の勤務実績育休開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること
就業日数の制限育休中の就業日数が10日以下(10日超の場合は就業時間が80時間以下)であること

パートタイマーや派遣社員でも、雇用保険に加入していて上記条件を満たせば対象になります。有期雇用の場合は「子どもが1歳6か月になるまでに労働契約が満了することが明らかでないこと」も条件に加わります。

「雇用保険に入っているかどうか分からない」という方は、給与明細を確認してください。「雇用保険料」の天引きがあれば加入しています。

補助金・助成金との組み合わせを検討している事業主の方は、キャリアアップ助成金ガイドもあわせてご確認ください。

育児休業給付金はいくらもらえる? 計算方法と上限額

「育休中に受け取れる金額を知りたい」という声が最も多いです。計算は単純ですが、2つのフェーズで給付率が変わることがポイントです。

基本の計算式

育児休業給付金の支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率

  • 給付率は 育休開始から通算180日目まで:67%181日目以降:50%
  • 支給日数は通常30日(育休終了日を含む期間は実日数)
  • 申請は2か月に1回まとめて行うため、実際の振込は2か月分ずつ

休業開始時賃金日額は、育休開始前の直近6か月の賃金合計を180で除した金額です。ボーナスは含みません。

月給別の支給額シミュレーション

月給(ボーナス除く)が一定の場合、賃金日額はおよそ「月給 ÷ 30日」で計算できます(実際はハローワークが正確に算定します)。

月給賃金日額(目安)180日目まで(67%)181日目以降(50%)
20万円6,667円約134,000円/月約100,000円/月
30万円10,000円約201,000円/月約150,000円/月
40万円13,333円約268,000円/月約200,000円/月
50万円以上※上限あり約323,613円/月約241,650円/月

支給額の上限と下限(令和8年7月31日まで)

賃金日額には上限と下限が設定されています。

区分賃金日額月額上限(支給日数30日の場合)
上限16,110円67%:323,613円 / 50%:241,650円
下限2,869円67%:57,666円 / 50%:43,035円

月給が高い方は上限に引っかかり、計算通りの金額より少なくなる場合があります。賃金日額が16,110円を超える場合(月給約48万円超)は、上限額が適用されます。

育休中は非課税・社会保険料も免除

育児休業給付金は 非課税 です。所得税も住民税もかかりません。さらに、育休中は健康保険・厚生年金保険料も申し出により免除されます(雇用保険料も給与が支払われなければかかりません)。

これが「給付率80%で手取り10割相当」と言われる理由です。社会保険料と所得税の負担がなくなるため、税引き前の月給の80%でも、実質的な手取りに近い金額が受け取れます。

計算ツールを使って自分の金額を試算したい方は「育児休業給付金の計算シミュレーション」も参照してください。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)と出生後休業支援給付金

2025年4月から制度が大きく変わりました。特にパパの育休は「受け取れる金額が増えた」制度として注目されています。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)とは

子どもの出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できる育児休業です。通常の育児休業とは別に取得でき、2回に分割することも可能です。

支給額の計算式は通常の育児休業給付金と同様です。

出生時育児休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 休業日数(上限28日)× 67%

上限額(令和8年7月31日まで):16,110円 × 28日 × 67% = 302,223円

出生後休業支援給付金(2025年4月創設)

2025年4月から新設された給付金で、育児休業給付金に 13%が上乗せ されます。

条件: 子の出生後8週間以内(産後休業後8週間以内)に、夫婦それぞれが14日以上の育児休業を取得すること

※ひとり親の場合、配偶者が自営業・フリーランスの場合など、一方が育児休業を取得できない事情がある場合は、配偶者要件が免除されます。

給付金給付率対象日数
育児休業給付金(初回180日)67%
出生後休業支援給付金+13%最大28日
合計80%最大28日

例:月給30万円(賃金日額10,000円)で、夫婦ともに条件を満たした場合の最初の28日間

  • 育児休業給付金:10,000円 × 28日 × 67% = 187,600円
  • 出生後休業支援給付金:10,000円 × 28日 × 13% = 36,400円
  • 合計:224,000円 (給付率80%相当)

これは育休中に社会保険料・税金の負担がないため、月給30万円の手取り(約24万円前後)に近い水準です。

育児休業給付金はいつ振り込まれる? 初回が遅い理由

「申請したのに振り込みが来ない」「初回だけやたら遅い」という声が多いです。仕組みを知っておけば不安になりません。

振込の基本スケジュール

育児休業給付金は 原則2か月に1回 まとめて支給されます。

例えば4月1日から育休を取った場合:

  • 第1回:4月1日〜5月31日分(申請後、ハローワークの支給決定から約1週間で振込)
  • 第2回:6月1日〜7月31日分
  • 以降2か月ごと

初回が遅くなる理由

初回は通常の申請より手続きが多いため、振込まで時間がかかります。

  1. 育休開始後、会社が「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」をハローワークに提出
  2. 会社(または本人)が「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出
  3. ハローワークが受給資格を審査し、支給決定
  4. 支給決定から約1週間以内に振込

受給資格確認が完了するまでに2〜3か月かかるケースもあります。「育休開始から3か月以上経っても来ない」という場合は、勤務先の担当者かハローワークに確認しましょう。

初回振込の確認方法

  • 支給決定通知書 がハローワークから会社経由で届くので確認する
  • ハローワークの専用コールセンター「育児休業等給付コールセンター(0570-200-406)」に問い合わせる(平日8:30〜17:15)

男性(パパ)の場合も同じ仕組みです。「初回が遅すぎる」と検索している方が多いですが、産後パパ育休の場合は申請可能日が「子の出生後8週間経過後」からになるため、休業終了から申請まで一定の期間があります。

パートでも育児休業給付金はもらえる?

パートタイマーや派遣社員でも、雇用保険に加入していれば育児休業給付金を受け取れます。

パートが受給できる条件

  1. 雇用保険の被保険者であること(週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば加入)
  2. 育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あること
  3. 育休期間中の就業日数が10日以下(就業時間80時間以下)であること

有期雇用の場合の追加条件: 子どもが1歳6か月になるまでに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと

「週3日・1日5時間」のようなパートでも、雇用保険に加入していれば対象です。逆に、週20時間未満の場合は雇用保険に加入できず、給付金も受け取れません。

給付額の計算は正社員と同じです。育休前の実際の賃金(パート時給×実労働時間)をもとに計算されます。

育休前の働き方を変えた場合

育休前半年間の賃金が基準になるため、産前に残業が多かった月があれば給付額が増えます。逆に、産前に休んで賃金が少なかった月があると影響します。

育児休業給付金の延長 条件と手続き

育児休業給付金は子どもが1歳になる前日まで受け取れますが、条件を満たせば最長2歳まで延長できます。

詳細な手続きと書類については「育児休業給付金の延長 条件と手続き」で詳しく解説しています。

延長できる条件(概要)

理由延長期間
保育所に入れなかった1歳6か月まで、さらに延長で2歳まで
配偶者の死亡・疾病等2歳まで
婚姻解消で別居2歳まで
別の子の産前産後休業・育児休業2歳まで

2025年4月からの延長手続き変更

保育所に入れなかった場合の延長手続きで、「保育所等の利用申込書の写し」が必要書類に追加されました。

市区町村への保育所申し込み時に必ず申込書の写しを保管しておきましょう。電子申請の場合は申込内容の画面を印刷して保存します。

延長できなかった場合は?

「保育所の空きが出て入所できてしまった」「条件を満たしていなかった」など、延長が認められなかった場合は育休を終了し、職場復帰する流れになります。延長できなかった場合の対応は、会社の人事担当者に早めに相談することをおすすめします。

育児時短就業給付金 職場復帰後の時短勤務でもらえる新制度

2025年4月から創設された新しい給付金です。育休後に時短勤務に移行した際に受け取れます。

育児時短就業給付金とは

育児のために時短勤務をしている雇用保険被保険者に支給される給付金です。

項目内容
対象2歳未満の子を養育しながら時短勤務をしている雇用保険被保険者
給付率時短勤務中の賃金の10%(一定の計算式による)
支給期間子が2歳になる前日まで
申請先会社経由でハローワーク

「時短で給料が減ったが、育休給付金もなくなってしまう」という方に特に注目されています。育児休業給付金とは同時受給できませんが、育休明けの時短勤務期間中に受け取れます。

育児時短就業給付金の計算(概要)

給付率は賃金の10%を上限としています。時短勤務で賃金が下がった分を一部補填する制度です。

詳細な計算式と申請方法は別冊のパンフレット(厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」)で確認できます。

年末調整と確定申告 育児休業給付金は収入に含まれる?

育児休業給付金は非課税

育児休業給付金は 所得税・住民税の課税対象外 です。給付金の金額は年末調整の収入欄に記入する必要はありません。

確定申告が必要かどうかは、育休期間中に給与収入があったかどうかで変わります。育休中も一部給与が支払われている場合(会社が育休中に給与を補填している場合など)は、その給与分が課税対象になります。

育休中の社会保険料

健康保険・厚生年金保険料は、育休期間中の申し出により免除されます(本人分・会社負担分ともに)。ただし、時短勤務に移行して給与が発生している場合は、給与額に応じた社会保険料がかかります。

転職して1年未満でも育児休業給付金はもらえる?

「転職してすぐ妊娠・育休に入る場合はどうなるの?」という質問が多いです。

ポイントは「直近2年間」

育児休業給付金の受給条件は「育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上」です。この2年間は 前の職場での勤務期間も合算できます (雇用保険の加入期間として通算されます)。

例:前職で10か月勤務 → 転職 → 現職で3か月勤務後育休開始

この場合、前職10か月+現職3か月=13か月となり、条件を満たせます(前職での雇用保険加入が適切にあった場合)。

ただし、転職時に雇用保険の被保険者期間が途切れている(基本手当を受給した等)場合は、前職分が合算できないケースがあります。不安な方はハローワークか勤務先の担当者に確認しましょう。

よくある質問

Q. 育児休業給付金の申請は自分でする必要がある?

A. 原則として、勤務先(会社)がハローワークに申請を行います。従業員側は必要書類(母子健康手帳の写し、住民票など)を会社に提出します。2回目以降は賃金台帳・出勤簿の提出のみです。ただし、やむを得ない事情があれば本人申請も可能です。詳しくは「育児休業給付金の申請方法と必要書類」で解説しています。

Q. 産後パパ育休(出生時育休)の給付金と通常の育休給付金は別物?

A. 別物です。出生時育児休業給付金は子の出生後8週間以内に取得する場合に支給されるもので、通常の育児休業給付金とは別に計算されます。ただし、給付率は同じ67%です。

Q. 育休中にアルバイトや副業をしても給付金はもらえる?

A. 一支給単位期間の就業日数が10日以下(または就業時間が80時間以下)であれば支給されます。ただし、就業日数に応じて給付額が減額される場合があります。休業期間中の就業は事前に会社への確認が必要です。

Q. 双子(多胎)の場合、育児休業給付金はどうなる?

A. 双子でも支給額の基本的な計算方法は変わりません。ただし、育休期間の延長判断などで通常と異なる扱いになる場合があります。詳細はハローワークにご確認ください。

Q. 育児休業給付金を受けている間、基本手当(失業給付)はもらえる?

A. 同時には受け取れません。また、育児休業給付金を受給した期間は、雇用保険の基本手当の算定基礎期間から除外されます(将来、失業した場合の給付計算に影響する場合があります)。

Q. ハローワークに直接相談できる?

A. はい。育児休業等給付専用コールセンター(0570-200-406、平日8:30〜17:15)に電話で相談できます。申請先は事業所の所在地を管轄するハローワークです。

Q. 育休給付金の計算に使う「賃金」にボーナスは含まれる?

A. 含まれません。育休開始前6か月の通常の賃金(月給・残業代など)を180で割った額が賃金日額になります。

申請手続きの詳細

育児休業給付金の申請書類の書き方や、ハローワークへの提出手順については「育児休業給付金の申請方法と必要書類」で詳しく解説しています。

計算ツールを使って自分の受給額を試算したい方は「育児休業給付金の計算シミュレーション」をご利用ください。

延長の手続きについては「育児休業給付金の延長 条件と手続き」をご覧ください。

まとめ 育休前にやっておくこと

育児休業給付金は申請を会社任せにしがちですが、自分で仕組みを理解しておくことで、「振込が遅い」「金額が合わない」といった不安を早期に解消できます。

育休前にやっておくべきことをまとめます。

  1. 雇用保険への加入確認 → 給与明細の「雇用保険料」を確認
  2. 支給額の試算 → 休業前6か月の月給をもとに計算(「計算シミュレーション」参照)
  3. 会社への必要書類の提出 → 母子健康手帳の写しなど
  4. 出生後休業支援給付金の条件確認 → 夫婦でそれぞれ14日以上の育休取得が必要
  5. 延長を予定する場合 → 保育所の申込書の写しを必ず保管

まず勤務先の人事担当者に「育休の予定を伝える」ことから始めましょう。会社が申請手続きを行うので、早めに連絡することが給付金をスムーズに受け取る第一歩です。

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