障害のある方が使える主な手当・補助金の全体像
障害を持つご本人やご家族からよく聞くんですが、「どんな支援を受けられるのか、どこに聞けばいいのかよくわからない」という声が多いんですよね。
そうなんです。「障害者向けの支援」って一口に言っても、国の制度・都道府県・市区町村で重層的に組み合わされてるので、全体像がわかりにくいんですよね。でも実はかなりの数の制度がある。
大きく分けると3つです。まず「定期的な手当・給付金」。特別障害者手当や障害児福祉手当のように、障害の程度に応じて毎月または年数回振り込まれるもの。次に「医療費の助成」。窓口負担がほぼゼロになる制度が都道府県単位でほぼ全国にあります。そして「生活・住宅・就労支援」ですね。
そうです。しかもこれ、手帳の等級や年齢によって受けられる制度が違うので、「自分の場合は何が使えるのか」を整理する必要がある。ここからひとつずつ解説しますね。
まず定期的にもらえる手当って、どんなものがあるんですか?
一番押さえておきたいのが特別障害者手当です。20歳以上の在宅の重度障害者が対象で、令和7年4月から月額29,590円になりました。年4回(2月・5月・8月・11月)にまとめて振り込まれます。
月3万円近く!それは大きい(笑)。対象になる人は?
身体障害者手帳1級・2級に該当するか、療育手帳でいう重度知的障害、または精神障害者保健福祉手帳1級の方が目安です。ただし施設に3か月超入所している方や、所得制限を超える方は対象外になりますので注意が必要で。
あります。障害児福祉手当は20歳未満の重度障害のある子どもを在宅で育てているご家庭向けで、月額16,100円です。特別障害者手当と同様の仕組みです。
なるほど。年齢によって手当が切り替わる感じですね。
まさに。20歳になると障害児福祉手当から特別障害者手当に切り替わる、という流れです。この切り替えは自動じゃないので、20歳になる前後に市区町村窓口で確認しておくことが重要ですよ。
障害のある親御さんを支える手当みたいなものはありますか?
はい、特別児童扶養手当ですね。中度・重度の障害がある20歳未満の子どもを家庭で養育している保護者が対象です。1級(重度)で月額56,800円、2級(中度)で月額37,830円です(令和7年4月以降)。これはかなりの金額になりますので、ご存知ない方はすぐ確認を。
月5万円以上ですか!知らなかったという家庭も多そうです。
かなり多いですね。所得制限があるので全員が対象ではないですが、年収目安として扶養親族0人の場合は本人所得4,596,000円未満であれば受給できることが多いです。詳細はお住まいの市区町村窓口で確認してください。
障害者手帳・各種給付金の申請ステップ
次は医療費の話ですね。障害がある方って医療機関に通うことが多いと思うんですが。
そうです。だから医療費の助成制度が充実しているんです。代表的なのが重度障害者医療費助成制度(通称「重度医療」)。都道府県が主体となって実施していて、身体障害者手帳1・2級、療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級などをお持ちの方が対象です。
都道府県によって仕組みが違うんですが、例えば大阪府の場合は1日の自己負担上限が500円、月額上限3,000円に抑えられます。窓口で受給者証を提示するだけで自動的に適用されるので、手続きがすごく楽です。
埼玉県も同様の制度があります。
埼玉県の在宅重度心身障害者手当では月5,000円の手当に加えて医療費助成がセットになっているケースもあります。愛知県だと
愛知県在宅重度障害者手当があります。地域ごとに制度名や内容が微妙に違うので、都道府県ページで確認するのがおすすめですよ。
自立支援医療(更生医療)は、身体障害者手帳をお持ちの18歳以上の方が障害を除去・軽減する手術等を受ける際に、医療費の自己負担が原則1割になる国の制度です。
自立支援医療(更生医療)の詳細で確認できます。
それに心身障害者扶養共済制度というものもあります。
心身障害者扶養共済制度は、障害がある方を扶養しているご家族が毎月掛け金を積み立てることで、保護者が亡くなった後に障害のある方に終身年金が支給される仕組みです。「親なき後」の不安に備える制度ですね。
それは精神的にも大きな安心ですね。
| 制度名
| 給付額
| 対象
| 申請先 ||---|---|---|---|
| 特別障害者手当
| 月額29,590円
| 20歳以上・在宅重度障害者
| 市区町村 |
| 障害児福祉手当
| 月額16,100円
| 20歳未満・在宅重度障害児
| 市区町村 |
| 特別児童扶養手当
| 1級56,800円 / 2級37,830円
| 障害児の養育者
| 市区町村 |
| 重度障害者医療費助成
| 窓口負担軽減
| 重度障害者手帳所持者
| 都道府県 |
| 障害基礎年金
| 等級による
| 年金加入者
| 年金事務所 |
| 特別障害給付金
| 1級相当月額58,650円/2級相当月額46,920円(令和8年度)
| 任意加入対象外だった方
| 年金事務所 |
そうです。
障害基礎年金・障害厚生年金は年金制度ですが、現役世代が障害を負った場合に受け取れる重要な制度です。ただし初診日に年金保険料を納めていること、保険料納付要件を満たすことなど複数の条件があります。
その場合でも対象になりえる制度があります。平成3年3月以前に任意加入対象だったのに加入していなかった学生や、昭和61年3月以前の被用者配偶者の方が対象の特別障害給付金です。既存の障害年金制度では救えなかった方のための福祉的措置として設けられた制度で、令和8年度の支給額は1級相当が月額58,650円、2級相当が月額46,920円です。年金事務所で相談できますよ。
あと見落とされがちなのが経過的福祉手当です。
経過的福祉手当は、旧来の福祉手当から特別障害者手当制度への移行時の経過措置で、現在は新規認定はしていませんが、既に受給している方は継続受給できる制度です。
はい、かなり充実してます。特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、ハローワーク経由で障害者を雇用した企業に対して支給される国の制度です。重度障害者等を雇用した中小企業の場合は最大240万円、重度以外の身体・知的障害者では最大120万円が支給されます。かなり活用されている助成金ですね。
あります。障害者を正社員化したり無期雇用に転換した企業向けのキャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)もあります。さらに東京都独自の制度として
東京都中小企業障害者雇用支援助成金があって、上限198万円が支給される制度があります。
そこまで手厚くサポートしてくれるんですね。障害者雇用って企業にとってもメリットがあるんだなと改めて感じます。
:::pointbox{title="障害者向け支援を探すときのポイント"}- 手帳の等級(1級・2級など)によって対象制度が大きく変わる- 国制度・都道府県制度・市区町村制度が重なっており、複数同時に受給できる場合がある- 申請タイミングが重要(特に20歳前後・施設入所・退所時)- 不明な点は市区町村の「障害福祉担当窓口」に相談するのが最も確実:::
地域によって支援の内容がかなり違うと思うんですが、どのくらい差があるんですか?
大きいですよ。基本は国の制度があって、そこに都道府県・市区町村が上乗せする構造なんですが、例えば愛知県は重度障害者医療費を県と市町村で折半している一方で、名古屋市は独自に
名古屋市重度障害者(児)給付金として年額20,000円を独自支給してたりします。
住む場所によって受けられる支援額が変わるんですね。
そうです。引越しを検討している方は、移住先の障害福祉支援を事前に比較してみることをおすすめします。各都道府県の
障害者向けページで地域別の情報を確認できますよ。
:::warning{title="申請漏れに注意!知らないと損する制度"}- 特別児童扶養手当は保護者の所得が高めでも対象になるケースがある(詳細確認推奨)- 自立支援医療(更生医療・育成医療)は手術前に申請しないと遡及できない- 心身障害者扶養共済制度は65歳未満での加入が条件(早めの加入を検討)- 特別障害者手当は所得状況が変わるたびに再申請が必要な場合がある:::
:::steps1. 主治医に障害の状態を相談し、障害者手帳の申請に必要な診断書を依頼する2. 市区町村の障害福祉担当窓口で手帳の申請手続きを行う(精神障害者保健福祉手帳は都道府県申請)3. 手帳が交付されたら、等級を確認し、対象となる手当・医療費助成を窓口で相談する4. 各制度の申請書類を揃えて申請(戸籍謄本・診断書・手帳・通帳が一般的)5. 認定後、指定口座への振り込み開始(手当によって2〜6か月かかる場合がある):::
一番多いのが「初診日」の管理ですね。障害基礎年金や特定の手当では、初診日(障害の原因となった疾病で初めて医師の診察を受けた日)が重要な要件になります。この証明ができないと申請できないケースがあります。
そうなんです。だから医療機関の受診記録は大切に保管しておくことが重要です。もし分からなくなってしまった場合は、年金事務所や市区町村窓口で「初診日の確認ができるかどうか」を相談してみてください。第三者証明制度を使える場合もあります。
所得制限の計算ミスですね。世帯収入ではなく本人または扶養義務者の所得で計算するケースが多い。「収入が多いから対象外だ」と思って申請しなかったら実は対象だった、というパターンがあります。試しに窓口で相談してみることを強くおすすめしますよ。
今日は本当にいろんな制度があることがわかりました。
あとは制度の組み合わせを上手く使うことです。例えば「特別障害者手当+重度障害者医療費助成+特別児童扶養手当」というように、複数の制度を重ねて受給できるケースも多い。一つの窓口で「自分が使える制度を全部教えてほしい」と聞くのが一番早いです。
改めて確認すると、まず手帳取得が全ての起点になるんですね。
そうです。手帳の等級が確定してはじめて対象制度が絞られる。だから手帳取得前から支援制度を調べておくことも大事ですが、取得後はすぐに市区町村窓口で「今の等級で受けられる支援を全部教えてください」と聞くのが一番効率的です。
事業者の方、特に障害者雇用をこれから考えている経営者さんにも伝えたいことはありますか?
助成金を活用すれば初期のコスト負担は相当軽減できます。特定求職者雇用開発助成金は採用後から使えるので、ハローワークと連携しながら検討してみてください。都道府県独自の助成金も使えば最大数百万円の支援になることがありますよ。