今日取り上げるのは「東京都中小企業障害者雇用支援助成金」なんですが、名前が長くてちょっと難しそうな印象があるんですよね。どんな制度なんですか?
一言で言うと、「国の助成金が終わった後の中小企業を東京都が独自に支援する制度」ですね。障害者を雇って国の特定求職者雇用開発助成金、いわゆる「特開金」を受けていた企業に対して、その支援が終わった後も東京都が引き続き賃金助成をしてくれるんです!
えっ、国の助成金って期間があるんですか?ずっと続くわけじゃないんですね。
そうなんです。特開金には助成対象期間があって、障害の種類によって1年〜3年で終わってしまうんですよ。問題は「助成が終わったとたんに賃金負担が増えて、雇用を続けるのが厳しくなってしまう」ってケースが出てくること。東京都はそこに着目して、国の助成期間が満了してからも最長3年間、都独自の賃金助成を行う制度を設けているんです!
なるほど!国と東京都の助成金をリレーするイメージなんですね。
まさにその通りです。特開金→東京都助成金という形で支援をバトンタッチさせることで、中小企業が長期的に安定して障害者を雇用できる仕組みを作っているんですよ。上限は最大198万円という結構手厚い水準になっています。
助成金額比較図
198万円ってかなりの金額ですよね!どういう計算になるんですか?
月額の定額助成なんですが、障害の種類と働き方によって金額が違うんです。こういう表で見るとわかりやすいですよ!
| 対象者区分 | 月額助成額(令和7年4月以降) | 令和7年3月分までの月額 |
|---|
| 重度身体・重度知的障害者 / 45歳以上の身体・知的障害者 / 精神障害者 | 6万円(定額) | 5万5千円 |
| 上記以外の障害者 / 短時間労働者(週20〜30時間未満) | 3万6千円(定額) | 3万3千円 |
そうです!令和7年3月分までは「重度等5.5万円、その他3.3万円」だったのが、令和7年4月以降は「重度等6万円、その他3.6万円」に引き上げられました。障害者雇用をより支援する方向で制度改善が図られているんですよ。
助成期間は最長3年ってさっき言ってましたけど、支給の仕方はどうなるんですか?
6か月ごとにまとめて支給される形式です。つまり最長3年(36か月)分の助成を、6か月×6回に分けて受け取れます。重度障害者を月6万円で3年間雇用継続できれば、6万円×36か月=216万円…ですが、上限が198万円に設定されているので、実際にはその範囲内での支給になります。
なるほど、上限キャップがあるんですね。申請要件について聞いてもいいですか?
もちろんです!この制度、「特開金を使ったことがある企業専用」というのが最大のポイントです。
- 国の**特定求職者雇用開発助成金(特開金)**の支給を受けていること
- 特開金の対象は「特定就職困難者コース」または「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」のどちらか
- 特開金の助成対象期間が満了していること(または間もなく満了見込み)
- 満了後も引き続き雇用を継続していること
特開金を使ったことがない企業は申請できないんですね!
そうです。まだ特開金を使っていない会社は、まず国の制度から始める必要があります。特開金を申請して、その期間中に本制度への移行も視野に入れておくことが重要ですね。
企業規模の要件はどうなっていますか?大企業はダメなんですか?
はい、これは中小企業専用の制度です。特例子会社も除外されています。「中小企業かどうか」の判定基準は、特開金の支給決定通知書の「企業規模欄」に「中小企業」と記載されているかどうかで確認できます!
自分が中小企業かどうかは特開金の通知書を見れば分かるってことですね。他にも要件はありますか?
いくつかポイントがあります。まず、東京都内の事業所で対象障害者が働いていること。東京都外の事業所はNGです。それから、障害者の雇用管理をより適正にするために、相談員の巡回訪問・相談を受けることも要件になっています。
対象の障害者が就労継続支援A型事業所の利用者でないこと、そして過去5年間に労働関係法令や障害者虐待防止法などの重大な法令違反がないこと、この2つが必要です。A型事業所の利用者は既に別の形で支援を受けているので、対象外となっているんです。
特例子会社(障害者雇用率の特例を受けるために設立された子会社)は本助成金の対象外です。グループ企業で特例子会社に障害者を雇用している場合は、東京都に確認を取ることをおすすめします。
申請フロー図
申請は大きく2段階に分かれます。まず「継続雇用計画書」の提出、次に「支給申請書・実績報告書」の定期提出という流れです。
継続雇用計画書は「満了後4か月以内」ってかなりタイトですね!
そこが最大の落とし穴です!満了日を把握していないと、うっかり4か月を過ぎてしまうことがあります。特開金を受給中から本制度の存在を知っておいて、満了の半年前には準備を始めるのが理想です。第1期の通知書を受け取った段階でもう計画書を出しておける規定もありますから、早め早めに動くことを強くおすすめします!
電子申請も使えるんですね。GビズIDが必要ですか?
はい!Jグランツを使った電子申請にはGビズID(プライムアカウント)が必要です。まだ取得していない方は、申請準備と並行してGビズIDの取得手続きも進めておきましょう。取得には約2週間かかります。
特開金の対象者と連動しているので、「特定就職困難者コース」か「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」の対象者が対象になります。つまり—
| 対象障害 | 具体例 |
|---|
| 身体障害(手帳1〜6級) | 肢体不自由、視覚・聴覚障害など |
| 知的障害 | 療育手帳所持者 |
| 精神障害 | 精神障害者保健福祉手帳所持者 |
| 発達障害 | ASD、ADHD等(特開金発達障害・難治性疾患コース) |
| 難治性疾患 | 厚生労働大臣が定める難病患者 |
結構幅広いんですね!発達障害や難治性疾患も含まれるのは知りませんでした。
そうなんです。IT系の企業さんでは発達障害のある方が非常に活躍されているケースが多くて、そういう企業には特に活用しやすい制度です。
この制度は賃金助成なので、対象となる障害者の賃金の一部に対して定額が支給される仕組みです。備品購入費とか改修工事費といった経費は対象外で、純粋に「その方の賃金コスト」に対する助成です。だからこそ、毎月継続的に支給されるという形になっています。
特開金の助成対象期間中の賃金 / 東京都外の事業所で勤務する障害者の賃金 / 就労継続支援A型事業所利用者の賃金 / 雇用継続が確認できない期間の賃金
申請にあたって、どんな点に気をつければ採択されやすいんですか?
この制度は「審査で落ちる」というより、「要件を満たしていれば必ず支給される」タイプの助成金です。なので「採択率を上げる」というより「書類ミスなく期限内に提出する」ことが最重要です!
ポイント1: 継続雇用計画書の提出期限を死守する
特開金満了後4か月以内。この期限を過ぎると本制度を利用する機会を永久に失います。カレンダーに満了日と4か月後を今すぐ記入しましょう。
ポイント2: 特開金第1期の支給決定通知書を保管しておく
申請書類に添付必須です。原本またはコピーを紛失しないよう大切に保管してください。見当たらない場合はハローワークに早めに相談を。
ポイント3: 支給申請書の提出を毎月忘れない
6か月分をまとめて提出しますが、提出月の15日が締切です。「忘れた」では済まないので、社内でリマインダーを設定しておくことを強くおすすめします。
書類の種類が多そうですが、どんな書類が必要ですか?
| 書類名 | タイミング | 様式 |
|---|
| 継続雇用計画書(様式第1号) | 特開金満了後4か月以内 | 要ダウンロード |
| 特開金第1期支給決定通知書(写し) | 計画書提出時に添付 | 手持ちのものを使用 |
| 誓約書(様式第2号-2) | 初回申請時 | 要ダウンロード |
| 支給申請書(様式第2号) | 6か月毎 | 要ダウンロード(令和7年度用あり) |
| 実績報告書(様式第5号) | 各期終了後 | 要ダウンロード |
| 支払金口座振替依頼書(第1号様式) | 初回のみ | 要ダウンロード |
| 雇用継続の念書 | 必要に応じて | 要ダウンロード |
かなりの量ですね…。でも、TOKYOはたらくネットでダウンロードできるんですね。
そうです。全て東京都のTOKYOはたらくネットのページからダウンロードできます。「申請の手引き(第3版・R70401)」を読んでから書類を揃えると、記入漏れを防げますよ!
改めて、国の特開金とこの東京都の制度の関係を整理してもらえますか?
はい、実はこの2つをうまく組み合わせることで、最大6年間にわたる賃金助成を受けられる可能性があります!
| 助成金 | 実施主体 | 対象期間 | 上限助成額 |
|---|
| 特定求職者雇用開発助成金(特開金)— 重度障害者等 | 国(厚生労働省) | 最長3年 | 240万円(中小企業) |
| 特定求職者雇用開発助成金(特開金)— その他障害者 | 国(厚生労働省) | 最長2年 | 120万円(中小企業) |
| 東京都中小企業障害者雇用支援助成金 | 東京都 | 最長3年 | 198万円 |
重度障害者の場合、国で3年 + 東京都で3年 = 最大6年間も支援が受けられるってことですね!
正確には助成期間が最大6年になる可能性があるということです。重度障害者の場合、特開金は最長3年、東京都の本制度も最長3年なので、合計最長6年間の賃金助成が受けられる可能性があります!中小企業にとってはものすごく大きな支援ですよね。
厚生労働省の「障害者雇用安定助成金」「障害者介助等助成金」は、職場環境の整備や介助者の配置を支援するものなので、本助成金と並行して活用できる可能性があります。また、東京都には
東京都障害者安定雇用奨励金という制度もあります(上限150万円)。対象要件が異なるので、両方の要件を確認してみてください。
Q: 特開金を受けていますが、まだ満了していません。今から申請の準備はできますか?
できます!というより、今すぐ動き始めることを強くおすすめします。特開金の第1期支給決定通知書を受け取った時点で、本制度の「継続雇用計画書」を提出することが可能なんです。満了してから慌てるより、余裕を持って進めましょう。
Q: 短時間パートで雇用している精神障害者も対象になりますか?
週20時間以上30時間未満の短時間労働者は「短時間労働者」扱いになり、月額3万6千円(令和7年4月以降)の助成対象になります。ただし、重度障害者等であっても短時間労働者の場合は月額3万6千円(重度等の6万円にはならない)という点にご注意ください。
Q: 従業員1人が複数の障害者を雇用している場合、何人分でも申請できますか?
各々特開金の受給実績があれば、複数名分について本制度を活用できる可能性があります。ただし、1名ずつ助成対象期間が異なりますので、それぞれ個別に継続雇用計画書の提出が必要です。
Q: 東京都外に本社があるが、東京都内の事業所で障害者を雇用している場合は対象ですか?
本社が東京都外でも、支給対象者が東京都内の事業所で勤務していれば対象になります。勤務場所が要件なので、本社所在地は問いません!
過去5年間に労働関係法令、障害者虐待防止法などの重大な法令違反等があった場合は申請できません。労働局の是正指導を受けていた場合なども対象になり得るので、事前に確認しておくことを推奨します。
東京都産業労働局 雇用就業部 就業推進課 障害者雇用促進担当
電話: 03-5320-4663(平日9時00分〜17時00分、土日祝日・年末年始を除く)
TOKYOはたらくネット(公式)
ありがとうございます!この制度、特開金を受けているすべての東京都内中小企業さんに知ってほしい情報ですね。
まさにそうです。特開金が終わる時期が近づいたら「次の支援が東京都にある!」と思い出してほしいですね。最長6年間の賃金支援は障害者の方の長期的な職場定着に大きく貢献するはずです。東京都内でお困りの事業主さんは、まず電話で問い合わせてみてください!
東京都 障害者雇用支援 制度比較
そういえば、東京都には障害者雇用に関連した他の支援制度もありますよね? 本制度と合わせて使えるものがあれば教えてほしいです!
ありますよ! 東京都は障害者雇用を多層的に支援しているんです。「はじめて雇用するとき」「雇用後の定着を支援するとき」「継続雇用への上乗せ」と、ステージ別に制度が揃っています。代表的なものを整理しますね。
なるほど! 「はじめて雇用する」「雇用後に定着させる」「継続雇用をさらに支援する」という流れで使い分けるイメージですね。
まさにそのとおりです! 流れとしては、まず国の特開金(特定求職者雇用開発助成金)を使いながら雇用をスタートし、その後に本制度(都の中小企業障害者雇用支援助成金)で継続支援を受ける、という二段階が基本です。初めて雇用する場合はスタート支援奨励金で背中を押してもらい、安定雇用を目指すなら安定雇用奨励金も視野に入ります。
職場内サポーター事業というのはちょっと毛色が違いますよね?
ええ、これは「外部に頼らず社内で障害者を支援できる体制をつくる」制度なんです。サポーターになった社員1人あたり月6,000円が最長6名分支給されるので、規模感は最大24万円ですが、職場定着率の向上という点で他の奨励金と相乗効果が出ます。奨励金の金額で選ぶよりも「今、自社に何が足りないか」で制度を組み合わせるのがコツですよ!
制度ごとに「他の助成金との併用可否」が異なりますので、申請前に必ず東京都産業労働局に確認してください。ただ、異なるステージ・目的の制度であれば原則的に併用できるケースが多いです。一度まとめて相談してみるのがおすすめです!