室谷さん、建設業って補助金活用がむずかしいイメージがあるんですけど、実際どうなんですか?
いや、逆ですよ!建設業って実は国の補助金がものすごく充実してる業界なんですよね。脱炭素、DX、人材確保、設備投資……全方面に補助金が出てる。むしろ使わない理由がない。
えっ、そうなんですか。なんか「建設業は補助金取りにくい」って聞いたことがあって。
一昔前はそういう面もありましたけど、今は2024年問題(時間外労働上限規制)とカーボンニュートラルの流れで、政府が建設業に本気でお金を出してます。件数ベースで100件以上の補助金・助成金が常時走ってるんで、知ってるかどうかで大きく差がつく業界ですよ。
そうです(笑。大きく3つのカテゴリに分かれていて、【設備投資・DX】【脱炭素・省エネ】【人材・雇用】が三本柱。どれか1つでも当てはまれば、まず申請を検討する価値があります。
建設業ならではの特徴ってありますか?補助金の使い方で言うと。
大きいのは「後払い」の問題ですね。補助金って採択されてから事業を進めて、終わってから補助金をもらう仕組みなんです。建設業はもともと資金サイクルが長くて、工事費を先に払って後から回収するパターンが多い。なので補助金の後払いと組み合わさると、一時的にキャッシュが相当出ていく。事前に金融機関と相談しておくのが鉄則です。
あとGビズIDの取得が2〜3週間かかるので、申請したいと思った時点で即動かないと公募期間に間に合わないケースが多いです。まだ取ってない方は今すぐ申請してください(笑)。
建設業の補助金・助成金カテゴリ一覧
じゃあカテゴリ別に見ていきましょう。まず設備投資・DX系から教えてください。
これが一番数が多いですね。建設業のDX化って、実は国が一番力を入れてるところで。まず
建築BIM加速化事業があります(
詳細ページ)。BIMってBuilding Information Modelingの略で、3Dデータで建物を設計・施工管理する手法です。
BIMって最近よく聞きますけど、実際みんな使ってるんですか?
まだ大手と中堅の間くらいで、中小はこれからって感じです。だからこそ補助金が出てる。建築BIM加速化事業は、BIM導入費用や、BIMを使ったプロジェクトの設計費用の一部を補助してくれます。国土交通省が音頭を取ってる制度で、業界全体をBIM対応にしたいというすごく強い意志がある。
そうそう、時代的にはもうセットで考えるべきですよ。それから建設業特有のものとして「建設市場整備推進事業費補助金」があります。ICT機器の導入で防災対応力と現場効率を高める事業で、補助上限が約2億5,000万円と高額。ドローンや四足歩行ロボット、ウェアラブルカメラなどが対象機器の例に挙がってます。
ドローンや四足歩行ロボット!すごいですね建設現場(笑)。
もう現場の風景が変わってますよね(笑。電動建設機械の補助金もあって(
建設機械電動化補助金の詳細)、令和6年度版では補助対象経費の2/3、上限約2億円という規模でした。電動ショベルや電動ホイールローダーが対象です。
従来型の1.5〜2倍くらいしますね。だから価格差額分をざっくり補助してくれる。令和7年度補正版(
電動建設機械補助金の詳細)も公募が走ってました。これは環境省主導の事業で、建設現場のCO2削減が目的です。
次は脱炭素・省エネ系ですね。建設業だとどんな補助金が使えるんですか?
これが実は一番種類が多くて、建設会社にとってのメインウェポンと言っても過言じゃない。まず代表格がZEB実証事業です。ZEBはネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で、要するに建物で消費するエネルギーをほぼゼロにする設計の建築物ですね。
そうです。令和7年度版(
ZEB実証事業の詳細)で補助上限1億円、補助率は補助対象経費の2/3以内。これ、新築だけじゃなく既存の建物のZEB改修にも使えるのが重要なポイントで。顧客への提案の幅がすごく広がります。
建設会社が施主と組んで申請するパターンが多いですね。「この補助金使いましょう」って提案できる営業マンは強いですよ(笑)。同じ流れで「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」(
業務用建築物脱炭素改修(二次)の詳細、
業務用建築物脱炭素改修の詳細)もあって、こちらは既存ビルの脱炭素改修に特化してます。補助上限3億円。規模が大きい。
大型案件向けですね。次に「新築建築物・既存建築物のZEB普及促進支援事業」(
ZEB普及促進支援の詳細)。ZEBランクによって補助率が1/4〜2/3まで変わります。ZEB Readyで低め、ZEBで高めという設計です。LCCO2削減型の新築ZEB支援事業(
新築ZEB支援の詳細)では補助上限5億円まで行きます。
ZEB Ready、ZEB Nearly、ZEB、ZEB Orientedって4段階があります。省エネ率がどれだけ高いかで決まって、当然補助も手厚くなる。それと民間建築物の省CO2改修支援事業(
民間建築物省CO2改修の詳細)、テナントビルの省CO2改修支援事業(
テナントビル省CO2改修の詳細)も押さえておきたい制度で、改修工事費の1/3が補助されます。
そうそう。リフォームがメインの会社にも活用できる。それから省CO2型システムへの改修支援事業(
省CO2型システム改修の詳細)で最大5億円、断熱リフォーム関連では環境省の断熱窓への改修促進事業(
断熱窓改修促進事業の詳細)があって、住宅の断熱改修を手厚く支援している事業群です。
人材・雇用系の助成金についても教えてください。建設業って人手不足が深刻ですよね。
2024年問題もあって、本当にどこも人材確保に苦戦してる。でも逆に言うと、人材に関連した助成金がものすごく充実してるんですよ。まず必ず知っておいてほしいのが
ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金です(
ES向上助成金1年目の詳細)。
建設業向けの助成金としては一番わかりやすいスキームのひとつ。若手の離職防止に取り組む会社なら積極的に活用してほしいです。それと厚生労働省の人材確保等支援助成金の「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」。CCUSとも呼ばれてますが、建設技能者の資格や経歴を電子登録して能力評価する仕組みの活用を促進する助成金です。
そうなんです。義務化の前に使ってない場合、後で対応コストがかかる。助成金を活用しながら早めに整備しておく方が絶対お得です。同じく厚労省の「若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)」は建設分野の若者・女性雇用促進に特化した助成金。職場環境整備費用の一部が出ます。
増えてきてますよ。更衣室の整備とか、作業服の女性向けサイズの導入とか、そういう「女性が働きやすい環境づくり」に使える。それから業務改善助成金。これは全業種使えますが、建設業でも活用できて、最低賃金を引き上げた場合に機械設備購入費等が補助されます。
最低賃金を上げたらお金がもらえるんですか?なかなか面白い仕組みですね。
政府の賃上げ政策の一環ですね。「自発的に賃上げしてくれたらこちらも支援するよ」という。建設業はとくに賃金水準の改善が急務なので、これも積極的に使ってほしいです。サイバーセキュリティ対策促進助成金(
サイバーセキュリティ助成金の詳細)も見逃せなくて、最大1,500万円の助成率1/2。建設業もデータ管理が多くなってきてるので、セキュリティ強化のタイミングで使えます。
| 補助金・助成金名 | カテゴリ | 補助上限 | 補助率 | 特徴 |
|---|
| ZEB実証事業(R7) | 脱炭素 | 1億円 | 2/3以内 | 新築・改修両対応 |
| 業務用建築物脱炭素改修 | 脱炭素 | 3億円 | 要領参照 | 大型ビル向け |
| 新築ZEB支援(LCCO2型) | 脱炭素 | 5億円 | 1/3〜3/5 | ZEBランクで変動 |
| 建設機械電動化(R6) | 設備投資 | 約2億円 | 2/3 | 電動建設機械 |
| 省CO2型システム改修 | 省エネ | 5億円 | 1/3 | 既存建物改修 |
| 建設市場整備推進事業 | DX | 約2.5億円 | 1/2 | ICT・防災対応 |
| 建築BIM加速化事業 | DX | 規模次第 | 要領参照 | BIM導入全般 |
| ES向上若手定着助成金 | 人材 | 300万円 | 1/2 | 3年継続可能 |
| 住宅・建築物省エネ投資 | 省エネ | 約55億円(執行) | 10/10 | 執行団体向け大型 |
| テナントビル省CO2改修 | 省エネ | 4,000万円 | 1/3 | 既存テナントビル |
| 民間建築物省CO2改修 | 省エネ | 3,500万円 | 1/3 | 民間建物一般 |
| 非住宅省CO2調査支援 | 省エネ | 100万円 | 1/2 | 調査費用補助 |
| サイバーセキュリティ助成金 | その他 | 1,500万円 | 1/2 | 全建設業者対応 |
| 多摩産材利用推進補助金 | 材料 | 120万円 | 要領参照 | 東京・木材利用 |
建設業の補助金申請の流れ
一番多いのは「知らなかった」で機会を逃すことですね。補助金は公募期間が決まってて、終わったら次の公募まで1年待つこともある。ZEB系の補助金なんて年に1〜2回しか公募が来ないので、見逃すと1年損する。
jGrants(補助金申請システム)のサイトをブックマークしておくか、都道府県の中小企業支援センターのメルマガを登録しておくのがおすすめです。あとGビズIDです。これがないと電子申請できないので、取っておいて損はない。取得に2〜3週間かかることもあるので余裕を持って。
jGrantsで「建設」「脱炭素」「DX」等のキーワードで常に新着チェック
申請したい補助金の公募要領を精読(採択要件・対象外を確認)
自社の経営計画と補助事業の内容をきちんと紐付けた申請書を作成
採択通知後は事業計画に沿って実施、完了後に実績報告
補助金は後払いが基本。事業完了から入金まで数カ月かかることも多く、建設業はもともと資金サイクルが長いため、補助金申請と合わせて金融機関への相談を強くおすすめします。補助金獲得を前提にした過剰な先行投資は危険です。
- 「補助金のためにやる事業」ではなく「自社の経営課題解決のための事業」として申請書を書く
- 脱炭素・DX系は数値目標(CO2削減量、生産性向上率)を具体的に入れると評価される
- 建設業の人手不足・2024年問題と紐付けた文脈で書くと加点されるケースが多い
- 採択事例(jGrantsで公開されている)を参照して、採択された申請書のパターンを把握する
ZEB実証事業は枠が限られてるので競争率が高くて、ざっくり30〜50%くらいのイメージですね。ものづくり補助金系は枠が広めで40〜60%くらい。ES向上若手定着助成金は条件を満たせばほぼ採択される助成金なので、補助金より難易度は低いです。
助成金は条件を満たせば必ず出る(審査なし)、補助金は採択審査あり、というのが基本的な違いです。人材・雇用系は助成金が多いので比較的使いやすい。設備投資・DX・脱炭素系は補助金が多くて採択競争があります。両方うまく組み合わせるのがポイントです。
最後に、まず何から手をつけるべきかアドバイスをお願いします。
今日時点でGビズIDを持ってない方は今すぐ申請してください。次に、自社の課題を「DX・省エネ・人材」のどれが一番急務かを考えて、そのカテゴリの補助金を絞り込む。ZEBや脱炭素系は建設業で一番使いやすくて、顧客への提案ネタにもなる。ES向上助成金は人材定着に悩んでる会社ならすぐ申請できます。むずかしく考えすぎず、まず1件挑戦してみることです!
ありがとうございます。建設業の補助金・助成金、これだけ充実してるとは思いませんでした。
119件以上ありますからね(笑。都道府県別の補助金もあるので、お住まいの地域の補助金も合わせてチェックしてみてください。