創業フェーズ別 主要補助金・助成金ガイド
室谷さん、新しいビジネスを始めたいんですが、補助金ってどこから調べればいいんですかね。なんか種類が多すぎて頭がくらくらするんですよ(笑)。
わかります、ほんとに多いですよね。まず大前提として、創業・新事業向けの補助金は「事業フェーズ」で整理するのが一番スッキリします。創業前〜1年以内、創業後1〜3年、3年以上の成長期——この3段階で使える制度がガラッと変わるんです。
フェーズで変わるんですか! じゃあ創業したての人と、すでに事業を3年やってる人とでは、使える補助金が違うってことですよね。
そうそう。たとえば持続化補助金の「創業型」は創業後1年以内しか申請できない、東京都の創業助成事業は5年未満が条件、みたいな縛りがあります。「補助金があるから後でいいや」って先送りしてると、いちばん有利な枠を逃す、ってことがよく起きるんですよね(笑)。
あと創業・新事業系の補助金は、国の制度(経産省・厚労省管轄)と都道府県・市区町村の制度が両方あって、国の制度だけで常時20〜30件、地方の独自補助を含めると全国で100件以上は常に何かしら動いてます。ざっくりですけどね。
そんなにあるんですか! 国の制度と地方の制度、全部合わせたらどこで調べるのが一番効率的ですか?
創業・新事業カテゴリだけで81件。補助金・助成金を一覧で比較できますよ。目的別・金額順で並べ替えもできるので、自分に合う制度を探しやすいと思います。
| カテゴリ | 代表的な制度 | 上限額の目安 |
|---|
| 創業初期支援 | 持続化補助金<創業型>、東京都創業助成事業 | 200万〜400万円 |
| 新規事業進出 | 新事業進出補助金、ものづくり補助金 | 750万〜9,000万円 |
| スタートアップ大型支援 | 大規模成長投資補助金 | 最大50億円 |
| 雇用・人材育成 | キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金 | 1人あたり数十万〜 |
| 研究開発・イノベーション | フードテック実証事業、AKATSUKIプロジェクト | 1,000万〜3,000万円 |
幅が広いですね。では次に、創業直後の人が使いやすい制度から教えていただけますか?
創業1年以内の人がいちばん使いやすい制度って何ですか?
やっぱり最初に押さえてほしいのは小規模事業者持続化補助金の「創業型」ですね。上限200万円、補助率2/3という内容で、販路開拓・集客・設備投資の費用をしっかりカバーしてくれます。
200万円を2/3補助ってすごいですよね。申請のハードルって高いんですか?
ポイントが2つあって。まず「特定創業支援等事業」を受講して証明書を取る必要があります。これ、市区町村が主催してる起業セミナーとか商工会議所の相談なんですが、思ってるより手軽に受けられます。で、もう一つが「創業後1年以内」という期限。この枠は申告実績ゼロでも申請できるんですよ。
普通の一般型持続化補助金だと直近の確定申告書が必要なんですけど、創業型はそれが不要なんです。だから起業したてこそチャンスなんですよね。採択率はざっくり37〜38%。10人申請して4人通るくらい。
制度の公募ページ(中小企業庁やミラサポplus)で確認できます。公募スケジュールは年に複数回あるのでこまめにチェックしてください。
東京都創業助成事業(都内なら要チェック)
はい、東京都創業助成事業は都内創業者なら絶対に押さえてほしい制度です。上限400万円・助成率2/3以内で、しかも家賃(賃借料)と従業員人件費が対象になるのが他にはない特徴です。
家賃と人件費が補助対象って、かなり実態に近い支援ですよね!
そうなんです。他の補助金って「設備費はOKだけど家賃はダメ」ってケースが多いんですよ。でも東京都のはそこが違う。ただし年2回の公募で採択倍率が2〜3倍、しかも申請期間が10日間しかない回もあるので、準備を前倒しするのが必須です。
申請前にTOKYO創業ステーションや商工会議所の特定創業支援等事業を受講していることが条件なので、その証明書の取得も先にやっておく。詳細は
東京都創業助成事業のページで確認してみてください。
都外の人向けにも似たような地方制度ってあるんですか?
もちろんあります。たとえば北海道なら「北海道中小企業新応援ファンド事業」の
創業促進支援事業が上限100万円・補助率1/2で、創業初期の登記費用や拠点費用まで対象に含まれます。地方ならではの充実した内容ですよ。
創業・新事業 補助金申請の流れ
創業して少し軌道に乗ってきた、1〜3年目の事業者はどんな補助金が使えますか?
このフェーズでいちばん存在感があるのが新事業進出補助金(中小企業新事業進出補助金)です。上限が2,000万〜9,000万円、補助率1/2〜2/3で、既存事業から新市場や高付加価値事業への転換を支援してくれる制度です。
それは大きい。2026年の第4回公募が始まってますよね?
そうです。2026年3月27日に第4回公募要領が公開されて、応募締切が2026年6月19日18時まで。申請には付加価値額の年平均成長率+4.0%以上の事業計画書が必要です。GビズIDプライムも必須なので、持っていない人は今すぐ取り始めてください。
GビズIDプライムって取得まで1〜2週間かかるんですよ。「公募締切の直前に申し込んだら間に合わなかった」って失敗が本当に多い。2026年からマイナンバーカードとスマホのアプリ認証が必要になったので、早めの対応が必須です。
あとこのフェーズではものづくり補助金も選択肢に入ります。設備投資・システム開発・試作品開発が伴うスタートアップには向いてます。上限750万〜1,250万円、補助率1/2〜2/3。採択率は公募回によって30〜50%程度と振れがありますが、事業計画の内容が審査の鍵です。
ものづくり補助金って名前の通り製造業専門じゃないんですか?
これ、よく誤解されるんですけど、製造業に限らずサービス業・IT業も対象です。「革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善」が条件なので、ソフトウェア開発やサービス設計でも申請できます。
雇用拡大フェーズの助成金
厚労省のキャリアアップ助成金は要チェックです。非正規雇用から正社員に転換した場合、1人あたり最大80万円が助成されます。スタートアップが最初のフルタイム採用を正社員化するケースでぴったりはまります。採択審査なし、要件を満たせばほぼ受給できるのが助成金の強みですね。
同じ厚労省の人材開発支援助成金(人への投資促進コース)も使えます。AI研修やDXスキルアップ訓練の経費を中小企業なら75%まで助成。従業員を雇用した段階から使えるので、採用直後から動けます。雇用保険の加入が前提条件ですよ。
雇用保険って採用したらすぐ加入しないといけないんでしたっけ?
週所定労働時間20時間以上・31日以上の雇用見込みなら加入義務があります。ここをきっちりやっておかないと後で助成金が受け取れなくなるので、採用と同時に手続きしてください。
成長フェーズのスタートアップが申請できるような大型の制度もありますか?
国内最大級の補助金として外せないのが大規模成長投資補助金です。正式名称は「中堅・中小・スタートアップの賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」で、補助上限がなんと最大50億円。補助率1/3以下ですが、設備投資・省力化・新規事業展開が対象で、全業種OKです。
スタートアップが活用するケースとしては、製造ラインの自動化や、新市場向け大規模設備投資が典型例です。
大規模成長投資補助金の詳細で第5次公募の内容を確認してみてください。
研究開発系のスタートアップが使えそうな制度って他にありますか?
総務省の「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」がおもしろいです。地方の若手IT・起業家人材を発掘・育成する「AKATSUKIプロジェクト」なんかは
最大3,000万円の補助で、人件費2/3+開発支援費は全額補助という手厚さ。民間企業だけでなく一般社団法人やNPOも申請できます。
フードテック系なら
フードテックビジネス実証事業がぴったりです。農水省所管で上限2,000万円・補助率1/2。代替タンパク質・スマート養殖・AI活用食品開発など、食関連テクノロジーの社会実装を支援します。
フードテックビジネス実証・実装事業の詳細も確認してみてください。
創業期のスタートアップに向けた国際展開支援みたいなのもありますか?
特許の国際出願を支援する「中小企業等海外展開支援事業費補助金」があります。一般社団法人発明推進協会が運営していて、上限150万円・補助率1/2で海外への特許出願費用を補助してくれる。技術系スタートアップで海外展開を考えているなら積極的に使ってほしい制度です。
都道府県の独自補助金っておもしろいものがありますよね。
そうなんですよ。たとえば東京都の
高齢者向け新ビジネス創出支援事業は上限750万円・補助率2/3で、超高齢社会の課題を解決する新製品・サービスを開発する事業者向けです。医療福祉、見守りサービス、シニア向けテックを手がけるスタートアップにはドンピシャです。
詳細はこちら。
社会課題解決型のビジネスに特化した補助金があるんですね!
愛媛の今治市にはスタートアップ創業支援補助金があって、ビジネスプランコンテストで表彰された起業家に最大200万円を支援する制度があります。コンテスト型なので事業計画の質が問われますが、通れば大きな後押しになります。地方移住や地域創業を考えている人には選択肢の一つになりますよ。
出向起業補助金っていう言葉も最近聞きますが、あれは何ですか?
大企業の社員が会社を辞めずに、自分でスタートアップを立ち上げて出向・派遣研修という形で新規事業に取り組む——その仕組みを支援するのが「出向起業補助金」です。
詳細ページがあります。大企業の知財・ノウハウを活用した新事業創出を国が後押しする、かなりユニークな制度ですね。
大企業にいながら起業できるって、すごい時代になりましたよね(笑)。
- 創業からの年数(1年以内・3年以内・5年以内など制度によって異なる)
- 事業所のエリア(東京都・道府県・市区町村限定の制度が多数ある)
- 事業の性質(設備投資型か、販路開拓型か、研究開発型か)
- 補助額のニーズ(小規模200万か、中規模1000万か、大型億単位か)
- 申請準備の余裕(GビズID・認定支援機関・特定創業支援証明書が揃っているか)
全部に申請したいところですが、複数同時に申請してもいいんですか?
基本的に「重複申請禁止」「他の補助金との併用不可」という条件が各制度についているので、要注意です。全部読み込むのは大変ですが、公募要領の「申請要件」と「対象外」の項目は必ずチェックしてください。
「後払い」っていうのも落とし穴になるって聞きましたけど?
補助金は基本的に後払いです。事業が完了して実績報告を提出してから振り込まれる仕組みなので、当面の運転資金は融資などで確保しておく必要があります。補助金が採択されたからといって交付決定前に発注・支払いをすると補助対象外になるリスクがある——これは絶対に覚えておいてください。
- 交付決定前の発注・支払いは補助対象外(採択後でもNG)
- GビズIDプライムの取得は1〜2週間かかる。今すぐ申込む
- 特定創業支援等事業の証明書は市区町村ごとに手続きが違う
- 補助金と融資は別物。つなぎ資金として融資を先に確保しておく
- 申請書類の不備は「審査落ち」の最大原因。認定支援機関に相談を
認定支援機関ってよく聞くけど、どういう機関ですか?
中小企業診断士・税理士・行政書士・商工会議所などが国から認定を受けた支援機関です。補助金によっては「認定支援機関の確認書」が必須の要件になっているものもあります。無料で相談できる窓口(よろず支援拠点など)もあるので、まず相談してみるのがおすすめです。
| 制度名 | 上限額 | 補助率 | 対象タイミング | 審査の有無 |
|---|
| 持続化補助金<創業型> | 200万円 | 2/3 | 創業後1年以内 | あり(採択率37〜38%) |
| 東京都創業助成事業 | 400万円 | 2/3以内 | 創業後5年未満 | あり(倍率2〜3倍) |
| 新事業進出補助金 | 9,000万円 | 1/2〜2/3 | 申告1期以上 | あり |
| ものづくり補助金 | 〜1,250万円 | 1/2〜2/3 | 申告1期以上 | あり(30〜50%) |
| 大規模成長投資補助金 | 50億円 | 1/3以下 | 中堅・中小全般 | あり |
| IT導入補助金2025(通常枠) | 〜450万円 | 1/2(最低賃金近傍は2/3) | 中小企業全般 | あり |
| キャリアアップ助成金 | 80万円/人 | — | 正社員化後 | なし |
| 人材開発支援助成金 | 経費×補助率 | 45〜75% | 雇用保険加入後 | なし |
| 北海道中小企業新応援ファンド事業 | 100万円 | 1/2以内 | 創業促進段階 | あり |
| 東京都 高齢者向け新ビジネス支援 | 750万円 | 2/3以内 | 都内中小企業 | あり |
まとめると、まずGビズIDと特定創業支援証明書を早めに準備して、フェーズに合った補助金を狙う——ってことですよね。
そうです。あとは「複数制度を同時に使いたい」なら要件の重複禁止に注意して、融資との組み合わせを考えておくと資金繰りが安定します。補助金は後払いなので、つなぎ資金として日本政策金融公庫の新規開業支援融資(最大7,200万円)と組み合わせるのが王道ですね。
全国版のまとめページから各都道府県の補助金も調べられるんですよね?
はい。
都道府県別の補助金一覧からお住まいの都道府県を選んで絞り込むと、地元の独自補助金も一覧できます。今は81件のデータが揃ってますが、まだまだ増やしていく予定なので定期的にチェックしてみてください!