室谷さん、「ステーブルコイン社会実装促進事業補助金」って最近よく耳にするんですけど、これって何ですか?ブロックチェーン系の話ですよね?
そうです!ひとことで言うと、東京都が日本円建てステーブルコイン(SC)のユースケースを作る事業者に最大4,000万円を補助してくれる制度です。2026年度から始まった、日本でもかなり先進的な補助金ですよ。
えっ、4,000万円!ステーブルコインって仮想通貨みたいなものですよね?
よく誤解されるんですが、ステーブルコインは通常の暗号資産とは違って価値が安定しているんです。日本円建てSCは1SC=1円で発行されるイメージで、決済や送金に使えるデジタルな「円」ですね。2022年に改正資金決済法が成立して、日本でも法的な枠組みが整いました。東京都はこれを「新しい決済インフラ」として後押ししたいんです!
東京都は「国際金融都市・東京」構想を進めていて、デジタル経済圏の構築を目指しています。日本円建てSCが普及すれば、都民や都内事業者の決済・送金が便利になるだけでなく、日本円のプレゼンス向上にもつながる。そのユースケースを先に作ってしまおう、という狙いです。今回の補助金の総予算は2億円規模(5件程度の採択想定)とされています!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | ステーブルコイン社会実装促進事業補助金 |
| 実施機関 | 東京都 産業労働局 総務部 国際金融都市推進課 |
| 補助率 | 対象経費の2/3 |
| 補助上限 | 4,000万円 |
| 補助下限 | 規定なし(事業規模に応じて) |
| 申請受付 | 令和8年(2026年)4月17日〜6月30日 |
| 実施期間 | 交付決定日〜当該会計年度末 |
| 対象地域 | 東京都内を含む国内 |
| 問い合わせ | 03-5320-6274 |
| 公式ページ | 東京都産業労働局 ステーブルコイン補助金 |
ステーブルコイン補助金 補助対象経費3区分と補助率の図解
実際にどれくらいもらえるんですか?計算方法を教えてください!
シンプルで分かりやすいですよ。補助率は対象経費の2/3、上限4,000万円です。たとえば対象経費が6,000万円なら4,000万円(上限到達)、3,000万円なら2,000万円が補助されます。自己負担は常に1/3以上です!
じゃあ最大6,000万円のプロジェクトに使えるってことですね。でも「対象経費」って何なんですか?
補助対象経費は3つのカテゴリに絞られています。①外部基盤利用経費(SC取扱プラットフォームやウォレット基盤の利用料、ブロックチェーンのノード利用料・トランザクション手数料、KYC/AMLチェックの外部サービス利用料など)、②専門家相談・監査等経費(弁護士による資金決済法対応の相談料、公認会計士・監査法人によるスマートコントラクト監査費用、セキュリティ専門家による脆弱性診断費用など)、③システム開発経費(SC決済機能の組み込み開発費、スマートコントラクトの設計・実装・テスト費用、加盟店向けアプリや管理画面の開発費用、既存決済システムとのAPI連携開発費など)。
| 区分 | 対象 | 主な項目例 |
|---|
| ✅ 対象 | 外部基盤利用経費 | SC基盤利用料、ブロックチェーンノード費、KYC/AML費 |
| ✅ 対象 | 専門家相談・監査等経費 | 弁護士相談料、スマートコントラクト監査、脆弱性診断 |
| ✅ 対象 | システム開発経費 | SC決済機能開発、スマートコントラクト実装、管理画面開発 |
| ❌ 対象外 | 一般管理費 | 家賃、通常人件費、光熱費 |
| ❌ 対象外 | SC発行事業そのもの | 国内SC発行に直接要する経費 |
| ❌ 対象外 | 海外SC関連費用 | 海外発行SCのみを使うユースケース |
| ❌ 対象外 | 都外限定の経費 | 東京都内での実装・検証を含まない取り組み |
| ❌ 対象外 | 遡及経費・消費税 | 交付決定前の経費、消費税・地方消費税 |
「SC発行事業そのものは対象外」って、どういうことですか?
ここが重要なポイントで!この補助金は「SCを発行する側」ではなく、「SCを活用してユースケースを作る側」の事業者が対象なんです。たとえばSC発行会社に発行を委託して、そのSCで決済サービスや地域通貨的な取り組みを作る事業者が主なターゲットです。発行体と組む「利用側」というイメージです!
なるほど、利用する側ですね。それじゃあどんな会社が申請できるんでしょう?
申請要件は主に3つです。まず「実発行されたSCを用いてユースケースを創出する事業者であること」、次に「東京都内に登記簿上の本店または支店があること」、最後に「同一年度内に国や他自治体(東京都の他部署含む)から委託・助成を受けていないこと」です。
はい!都内に登記済みの支店があれば本店が都外でも申請できます。ただし、バーチャルオフィスのみの登記だと実態ある拠点と認められない可能性があるので、注意が必要です。また補助対象事業の実装・検証は東京都内を含む地域で行うことが必須なので、都内の実証パートナーを事前に確保しておくことが重要ですよ!
事業内容によりますね。補助対象事業の遂行に免許・許可・登録等が必要な場合(たとえば資金移動業や前払式支払手段発行業に該当する場合)は、申請時点で関係法令に基づく免許・許可取得または登録完了が必要です。これが取れていない状態で申請しても審査通過は難しいので、法務チェックは早めにやることをおすすめします!
では、具体的に採択されそうなユースケースってどんなものがあるんでしょう?
- SC発行体との連携を事前に文書化: どのSC発行体と組むか、契約書・覚書レベルで合意してから申請する
- 社会課題解決の文脈を強く打ち出す: B2B決済効率化、インバウンド対応、地域通貨など「都政との親和性」が高いほど高評価
- 法令遵守体制を図表で明示: 資金決済法の何に該当し、どう対応するかを先回りで整理する
- 定量KPIで成功基準を宣言: 発行件数、加盟店数、取引件数など数字で「何をもって完了か」を示す
- 都内実証フィールドを応募前に内定: 都内商業施設・商店会・宿泊施設などと連携確認を取っておく
社会課題解決の文脈って、具体的にどんな例がありますか?
たとえばインバウンド観光客向けの多言語対応SC決済サービスを都内観光スポットで実証する取り組み。あるいは都内中小飲食店のB2B仕入れ決済をSC化して資金繰りを改善する取り組み。地域商店街でSC地域通貨を流通させて消費促進を図るのもいいですね。要は「お金の流れを変えることで、誰かの生活や事業がよくなる」という文脈が東京都には刺さります!
FinTech純粋な実験より、社会課題解決の方が評価されるんですね!
まさにそうです。東京都が目指しているのは「日本円を使うデジタル経済圏の構築」ですから、そこに貢献するユースケースであることが大前提。ビジネス収益と公益性の両立を前面に出すことが採択への近道ですよ!
わかりました!ちょっと複雑な制度な気がするので、申請の流れも教えてください。
ステーブルコイン補助金 申請ステップ フロー図
要件チェック・事前確認(申請4〜6週間前)
公募要領と交付要綱を入手し、自社が「SC利用側事業者」として要件を満たすか確認する。都内登記の有無、同一年度内の他補助金・委託の重複がないかをチェック。不明点は早期に問い合わせ先(東京都産業労働局
SC発行体との連携確定(申請3〜4週間前)
どのSC発行体と組むかを決め、契約書・覚書レベルで合意する。SC名・発行主体・発行スキーム・トランザクション手数料の設計まで書面化しておく。
事業計画の具体化(申請2〜3週間前)
対象ユースケースを具体化(どのSCを・誰が・どの場面で・どう使うか)。決済フロー、役割分担、収益モデル、スケジュール、検証KPI(定量指標必須)を整理。社会課題解決との関連性・都政との親和性を明文化。
経費積算と見積取得(申請1〜2週間前)
補助対象3区分(外部基盤利用経費・専門家相談監査経費・システム開発経費)ごとに費用分類し、原則2社以上から見積書を取得。自己資金1/3の確保方法も明示。
申請書類の作成と提出(令和8年4月17日〜6月30日)
事業計画書・経費積算書・会社概要・登記事項証明書・直近3期決算書・納税証明書・許認可証明書を揃えて提出。SC発行体との契約書・覚書のコピー、都内実証パートナーとの協力体制を示す書類も添付すると効果的。予算枠に達し次第締切になる可能性があるため早期提出が有利。
採択後の実施・検証・実績報告
交付決定日から当該会計年度末(令和8年度末
2027年3月31日)までに実装または検証を完了。完了後の実績報告で認められた金額のみが確定・支払対象。KPI達成状況のモニタリング体制を事前構築。
結構ステップが多いですね。特に気をつけるべきポイントはありますか?
一番は「交付決定日前の経費は一切補助されない(遡及不可)」という点ですね!応募前に発注したシステム開発費等は補助対象外になります。あと、予算枠に達した時点で募集終了になる可能性があるので、準備ができたらすぐ出す方がいいです!
- 交付決定前の支出は補助されない(遡及不可)。応募前の発注・支払いは避ける
- 海外発行SC(USDTやUSDCなど)を主体とするユースケースは対象外
- 同一年度内に国・他自治体から委託・助成を受けている場合は対象外になる可能性が高い
- 東京都内での実装・検証が「含まれる」ことが必須(都外限定はNG)
- 消費税・地方消費税は補助対象外
海外のステーブルコインは使えないんですね!USDTとかビットコインベースのSCはダメってことですよね。
そうです!国内で発行された日本円建てSCが対象で、海外発行SCは対象外なんです。これは東京都が「円ベースのデジタル経済圏」の構築を目指しているから当然ですね。今後普及が期待される国内発行会社(資金移動業者や信託会社が発行するもの)のSCを使う取り組みが前提です!
- ユースケースの先進性と実現可能性: 「やったことない取り組み」かつ「本当に実現できる体制があること」の両立。単なるアイデアではなく具体的な連携先・スケジュール・KPIまで落とし込んだ計画が必要
- 法令遵守体制の具体性: 資金決済法・犯罪収益移転防止法・個人情報保護法への対応を図表化し、コンプライアンス体制を先回りで明示する
- 社会課題解決との関連性: 東京都民や都内事業者が抱える課題(外国人対応決済、中小企業資金繰り、高齢者デジタル化など)に直接貢献するユースケースほど評価される
法令遵守の体制って、審査員は結構細かく見るんですか?
めちゃくちゃ重要です!SCは資金決済法をはじめ関連法令が複雑で、必要な免許・登録をどの時点で取得済みなのか、どの部分を発行体に委託するのかを整理した図表を添付するだけで、審査側の懸念を先回りでつぶせます。「法的に大丈夫なのか?」という不安を払拭できるかどうかが採択の分かれ目になることが多いですよ!
他の補助金との違いも気になります。IT導入補助金とか事業再構築補助金と比べてどうですか?
| 比較項目 | SC社会実装促進補助金 | IT導入補助金 | 事業再構築補助金 |
|---|
| 対象 | 日本円建てSCユースケース創出 | IT工具の導入 | 事業再構築・新分野展開 |
| 補助上限 | 4,000万円 | 450万円 | 1億円〜 |
| 補助率 | 2/3 | 1/2〜3/4 | 1/2〜2/3 |
| 対象経費 | 基盤利用・専門家・開発費 | ソフトウェア・導入費 | 設備・建物・外注費等 |
| 公募主体 | 東京都(都内限定) | 中小企業庁(全国) | 中小企業庁(全国) |
| 採択数 | 限定的(5件程度) | 数万件規模 | 数千件規模 |
同一年度に他の補助金と重複はできないんでしたっけ?
「同一事業・同一年度に国や都他部署からの委託・助成を受けていないこと」が要件なので、同一事業に重複して使うのはNGですが、事業スコープと経費対象を完全に切り分けられる「別事業」であれば並行活用できる余地もあります。たとえばSCユースケースはこの補助金、バックオフィスのクラウド化は別の補助金、という形で明確に分離できれば大丈夫な場合も。ただし申請前に必ず東京都の担当窓口に事前相談して、書面で確認するのが絶対条件ですよ!
経費の切り分けが難しそうですね。相談窓口に聞くのが一番ですね。
そうですね。東京都産業労働局 総務部 国際金融都市推進課(電話: 03-5320-6274)に事前相談するのが最も確実です。「この経費はこの補助金、こちらは別事業」と書面ベースで合意しておくことが、後の交付取消や返還命令を防ぐ最も確実な方法です!
わかりました!じゃあ採択後の流れも教えてください。
採択後の流れですが、交付決定日の属する会計年度末(2027年3月31日)までに実装または検証を完了させる必要があります。募集期間が令和8年4月17日から6月30日で、審査・交付決定は申請から1〜2ヶ月後が目安なので、実質的な事業実施期間は2026年7〜8月頃から2027年3月末まで、つまりざっくり7〜8ヶ月程度です。
7〜8ヶ月でシステム開発から実証まで完了しないといけないのは結構タイトですね!
そうなんです!だから応募段階から「この期間で絶対に完了できる」マイルストーン設計が必須です。パートナー事業者とも契約レベルで実施期限を合意しておく。完了後は実績報告を行って、認められた金額のみが確定・支払対象になります。経費の証憑管理(領収書・契約書・検収書)とKPI達成状況のモニタリング体制を事前に構築しておくことが大事ですね!
実績報告でOKをもらって初めてお金がもらえるんですね。前払いじゃないんですね。
そうです。補助金は基本的に「精算払い」なので、先にお金がかかって後から返ってくる仕組みです。キャッシュフロー計画もしっかり立てておく必要がありますよ!
まとめとして、よくある疑問を整理してもらえますか?
「自社でSCを発行する事業は補助対象になりますか?」
なりません!この補助金の対象は「実発行されたSCを活用してユースケースを創出する事業」であり、自社が国内でSCを発行する事業そのものは対象外です。ただし、第三者に国内でのSC発行を委託し、当該SCを自社が活用してユースケースを創出する事業は補助対象に含まれます。発行体と利用側の役割分担を明確にした契約関係を整えることが必要です!
「海外発行のステーブルコイン(USDTやUSDCなど)を活用するユースケースは対象ですか?」
対象外です!本補助金は日本円建てSCの普及を通じた「円ベースのデジタル経済圏」の構築を目的としているため、補助対象となるのは国内で発行された日本円建てSCを活用するユースケースに限られます。
はい、東京都内に登記簿上の支店があれば応募できます!ただし、支店は実態のある拠点である必要があり、バーチャルオフィスのみの登記では要件を満たさない可能性が高いです。また、補助対象事業の実装または検証を実施する地域には都内を含むことが必須です。
令和8年4月17日〜6月30日が募集期間で、交付決定は審査を経て概ね申請から1〜2ヶ月後を想定。実質的な事業実施期間は数ヶ月程度に圧縮されます。交付決定日の属する会計年度末までに実装または検証を完了させ、完了後に実績報告→確定・支払いという流れです!
原則としてNG!同一年度内に国や他自治体(東京都の他部署含む)から委託・助成を受けている場合は対象外になります。ただし完全に別事業として経費を切り分けられれば並行活用の余地もあるので、必ず事前に担当窓口(03-5320-6274)に相談してください!
ありがとうございます!他にも似たような補助金があれば教えてください。