補助金・助成金 比較表
室谷さん、個人事業主って補助金を使えるんですか?なんか「補助金は法人向け」ってイメージがあって、フリーランスの自分には関係ないかなって思ってたんですよね。
いやいや、それ完全に誤解です(笑)。個人事業主でも使える補助金・助成金はたくさんあります。小規模事業者持続化補助金なんかは、まさに個人事業主が主なターゲットですよ。
ほんとですか!じゃあ「個人事業主だから無理」って諦めてた人、すごく損してますね。
かなり損してます。ただ、法人と比べて申請要件とか注意点が違う部分もあるので、そこは押さえておく必要がある。開業届出してるか、確定申告してるかとか。
直接関係するものもあります。補助金の申請書類に「開業届の控え」を求めてくる制度があって、出してないと申請資格がなかったりする。あと確定申告は課税所得の証明に使うケースが多いですね。
なるほど、補助金を使いたいなら先に行政手続きを整えておく必要があるってことですね。
そうです。GビズIDも早めに取っておくと後々楽になります。これはオンラインで補助金申請するときのアカウントで、書類郵送での申請の場合は書類に不備がなければ原則2週間以内に発行されます。補助金の締切ギリギリに「GビズIDがない!」ってなるケースが結構多くて。
じゃあ具体的にどんな補助金が使えるか教えてください。
まず大きく分けると、「補助金」と「助成金」という2種類があります。補助金は主に設備投資・販路開拓などの事業強化が目的で、競争倍率があって落ちることもある。助成金は雇用・労働関連が多くて、要件を満たせば基本的に受け取れる。
事業ステージによりますね。まだ従業員がいない一人型のフリーランスなら補助金メインで狙う。従業員がいるなら助成金も積極的に活用できる。
あとIT系・クリエイター系なら「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」が鉄板です。会計ソフト、POSレジ、ECカート、受発注ツールなどが対象で、補助上限450万円・補助率1/2。かなり大きい。
個人事業主でも450万ですか!それは大きいですね。
個人事業主でも中小企業でも同じ制度です。ただ「IT導入支援事業者」と呼ばれる登録ベンダー経由での申請が必須なので、自分で直接申請ではなくベンダーと一緒に進める形ですね。
| 補助金名 | 補助上限額 | 補助率 | 特徴 |
|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 50万円(最大250万円) | 2/3 | 販路開拓・設備投資全般 |
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 450万円 | 1/2 | ITツール・SaaS導入 |
| ものづくり補助金 | 750万円〜(従業員規模で異なる) | 1/2 | 設備・システム投資 |
| 事業承継・M&A補助金 | 数百万〜数千万円規模 | 2/3 | 承継・引継ぎ後の投資 |
| キャリアアップ助成金(正社員化) | 1人あたり80万円 | 定額 | 従業員の正社員転換 |
| 業務改善助成金 | 最大600万円 | 4/5〜9/10 | 賃金引上げ + 設備投資 |
室谷さん、「小規模事業者持続化補助金」ってよく名前は聞くんですけど、実際どんな人が使えますか?
従業員5人以下の商業・サービス業、20人以下の製造業・宿泊業が対象です。個人事業主はほぼ全員入れるイメージですね。通常枠で補助上限50万円・補助率2/3で、チラシ制作、ウェブサイト構築、展示会出展などが対象経費になります。
なります(笑)。インボイス特例を使うと+50万円で計100万円まで引き上げられる。さらに「創業枠」を使えば補助上限200万円、成長枠だと最大250万円まで広がります。
そうです。開業後5年以内の事業者が創業枠を申請できて、補助率も3/4に上がる。ただ申請前に商工会・商工会議所で「事業支援計画書」を作ってもらう必要があって、これに時間がかかるんです。締切1〜2ヵ月前から準備するのが鉄則です。
会員じゃなくても大丈夫です。非会員でも利用できる。ただ事業所がどの地区にあるかで窓口が変わる。商工会地区は商工会、商工会議所地区は商工会議所、別々の事務局が動いてるんです。
実際けっこういます(笑)。申請先を間違えると書類を作り直しになるので、最初に自分の地区がどちらかを確認するのが大事です。詳しくは
小規模事業者持続化補助金のページから確認できます。
IT系ツールを入れたい場合はどうですか?会計ソフトを本格的なものに切り替えたくて。
それならデジタル化・AI導入補助金2026です。2026年から名前が変わって「旧IT導入補助金」がリニューアルされた制度ですね。補助上限は最大450万円、補助率は1/2です。
なります。freee・マネーフォワード・弥生会計なんかは対象ツールとして登録されてる。あとECサイト構築、受発注システム、勤怠管理ツールも対象です。AIを活用したツールは加点になるので、AI搭載の会計ソフトを選ぶとより有利です。
そうなんです。2026年から「AI活用」が重点テーマになっていて、ChatGPTとの連携機能があるSaaSとか、AIによる自動仕分け機能がある会計ツールは審査上有利に動く傾向があります。
じゃあ同じ機能を比べるなら、AI搭載版を選んだ方がいいですね。
絶対そっちがいいです。あと申請のコツとして、SECURITY ACTIONという自己宣言をしておく必要があって、ゴールド(★★)を宣言しておくと加点につながる。難しいことじゃなくて、サイトで宣言するだけです。
- 補助上限: 最大450万円(通常枠)
- 補助率: 1/2
- 対象: 会計ソフト・ECサイト・受発注システム・AIツールなど
- 申請方法: IT導入支援事業者(登録ベンダー)経由で電子申請
- 加点: AI活用ツール選択・SECURITY ACTIONゴールド宣言
- GビズIDプライム(または法人は管理者)が必要
従業員がいる個人事業主はどんな助成金が使えますか?
雇用系の助成金は手厚いです。まずキャリアアップ助成金の「正社員化コース」。パートやアルバイトなど非正規の従業員を正社員に転換すると、1人あたり最大80万円(有期雇用の重点支援対象者が中小企業で正社員化の場合)が受け取れます。新たに正社員転換制度を社内規定に設けた場合はさらに20万円の加算もあります。
もらえます。申請は後払いで、転換から6ヵ月後に申請する流れです。ポイントは転換前に「就業規則」を整備しておくこと。就業規則に正社員転換制度の条文がないと審査が通らない。
就業規則か、個人事業主だと作ってない人多そうですね。
めちゃくちゃ多いです(笑)。社労士に頼むと数万円でやってもらえるので、採択金額から考えると全然元が取れます。もう1つ押さえておきたいのが業務改善助成金。従業員の賃金を引き上げた上で設備投資すると最大600万円出る制度です。
そうです。事業場内の最低賃金を30円以上引き上げて、生産性向上のための設備を入れると助成される。助成率は9/10か4/5で、かなり手厚い。最低賃金の引上げが毎年続いてるので「どうせ上げなきゃいけない」なら、助成金とセットで使うのが合理的です。
「どうせ上げるなら助成金ももらおう」って発想ですね(笑)。
個人事業主の補助金申請フロー
いくつか使えそうな補助金が見えてきました。実際に申請するまでに何を準備しておけばいいですか?
まず確認してほしいのが3つあります。1つ目が開業届の提出。税務署に出してない人は今すぐ出しておく。2つ目が確定申告。申請書類で「直近の確定申告書」を求めてくることが多いので、きちんと申告していないと書類が揃わない。3つ目がGビズID取得です。
あります。GビズIDには「エントリー」と「プライム」があって、補助金申請に使えるのは「プライム」です。プライムは印鑑証明と法人は登記、個人事業主は確定申告書などを送付して審査を受ける。書類に不備がなければ原則2週間以内に発行されます。
2週間!確かに締切ギリギリに気づいたら詰みますね。
詰みます(笑)。特に持続化補助金は電子申請必須なので、GビズIDがないとそもそも申請画面に入れない。公募締切の1ヵ月前には取得しておくのが最低限です。
GビズIDプライムを取得(書類不備なければ原則2週間以内)
補助金って後払いなんですね。最初にお金が必要なんですか?
そうなんです。これが一番の落とし穴で、補助金は「先に事業をやって、後で補填される」仕組みです。100万円使う事業なら、まず自分で100万円支払って、審査が通れば67万円が戻ってくる感じ。
そこは日本政策金融公庫の創業融資や、信用保証協会の保証付き融資と組み合わせる人が多いです。「補助金で戻ってくる分は融資で前借りして、入金後に返す」という資金計画が現実的です。
- 補助金は事業実施後に実績報告 → 入金のため、先払いが必要
- 入金まで数ヵ月〜1年かかるケースも
- 日本政策金融公庫の融資・創業融資と組み合わせて資金繰りを確保するのが現実的
- 「補助金があるから大丈夫」と過信して資金不足に陥るケースが多い
個人事業主でも「ものづくり補助金」って使えるんですか?なんか製造業のイメージが強くて。
使えます。名前に「ものづくり」とありますが、製造業だけじゃなくてサービス業・飲食業・IT業なども対象です。補助上限は従業員規模によって変わって、1〜5人の事業者なら750万円・補助率1/2が基本です。従業員が多ければ上限額も上がっていきます。
ただ個人事業主の場合、採択が厳しくなってきています。「革新的な製品・サービスの開発」か「生産プロセスの改善」を示す事業計画書が必要で、「設備を買いたい」だけでは通らない。3〜5年後の売上・利益の数値目標も必要です。
そうです。採択される事業者の多くは認定支援機関(商工会・税理士・中小企業診断士など)のサポートを受けています。独力で書くのはかなり厳しいです。
コスト対効果で考えると絶対そうです。支援機関に10〜20万円払っても、採択されれば数百万円戻ってくる。ちなみに事業承継・M&A補助金は個人事業主が廃業・引退するときや、逆に事業を引き継ぐときに使える制度で、
事業承継・M&A補助金の詳細はこちらから確認できます。
都道府県や市区町村の補助金って個人事業主向けにもありますか?
たくさんあります。国の補助金より知名度が低いので競争倍率が低い場合も多くて、実は狙い目なんですよ。
例えばDX推進系だと、群馬県の「ぐんまDX技術革新補助金」は設備導入に特化した手厚い制度があります。東京都の「創業助成事業」は創業期の個人事業主を支援する制度として人気が高い。地域によってキッチンカー導入や販路開拓など業種特化した補助制度が充実しているので、地元の制度を必ずチェックしてほしいです。
地域の制度って探しにくそうですが、どうやって見つけますか?
地元の商工会・商工会議所に聞くのが一番早いです。担当者が県や市の補助金をまとめてくれることが多い。あと都道府県の中小企業支援センターのウェブサイトにも一覧が出ていることがあります。ここのサイト(/subsidy/)でも都道府県ごとに検索できますよ。
- 加点項目を全部使う: 賃金引上げ計画、炭素中立化、デジタル化などの加点要素がある補助金は全項目申請する
- 認定支援機関のお墨付きをもらう: 商工会・税理士・診断士に確認書を作ってもらうと審査上有利
- 競合より独自性を出す: 「なぜこの設備が必要か」を数値で語れる計画書が通る
一番多いのは「対象外経費を計上してしまう」ケースです。たとえば持続化補助金で人件費を入れようとする人が多いんですが、人件費は対象外です。チラシ制作費・広告費・店舗改装費などは対象ですが、人を雇う費用は入れられない。
公募要領の「対象外経費の一覧」を必ず読むことです。あと「採択されたら何でも使えると思っていた」という誤解も多い。採択後に経費変更したい場合は事前承認が必要で、勝手に変えると補助金が取り消されます。
そうなんです。実績報告書の提出期限も守らないとアウトです。あと採択後に代理人(コンサル・業者)に丸投げして事業者本人が何も把握していないケース、最近問題になっていて審査が厳しくなってます。不正受給は返還命令+加算金になるので本当に注意が必要です。
- 採択後に経費を無断変更する(事前承認が必要)
- 業者に丸投げして本人が内容を把握しない(不正リスク)
- 実績報告書の提出期限を守らない(補助金取消の可能性)
- GビズIDを他人のアカウントで代用する(規約違反)
人材育成系の助成金はどうですか?スタッフに勉強してもらいたくて。
人材開発支援助成金の「人材育成支援コース」が使えます。OJT(職場内訓練)や外部研修の費用と、研修中の賃金の一部が助成される制度です。個人事業主でも従業員がいれば対象になります。
研修に通わせるだけじゃなくて、その間の賃金も助成されるんですか?
そうです。これが結構大きくて、研修費用の補助だけでなく「研修時間中の賃金助成」もある。中小・個人事業主向けに賃金助成が出ますので、詳細額は
人材開発支援助成金の公式ページで確認してみてください。
フルタイム研修があると結構な金額になりそうですね。
計算するとびっくりしますよ(笑)。あとトライアル雇用助成金も、求職者を1〜3ヵ月のトライアル期間で雇ってみて、そのまま正規雇用につなげると月額の助成が出ます。個人事業主が初めてスタッフを雇うときに使いやすい制度です。
最初のスタッフを雇うのって勇気がいりますもんね。試験的に雇えるのはありがたい。
そのためにある制度なので、ぜひ活用してほしい。ハローワーク経由での採用が条件になるので、求人をハローワークにも出しておくことが大事です。
今日は本当にいろんな補助金を教えていただきました。全部知らなかったものばかりで(笑)。
まとめると、個人事業主が最初に動くべきアクションは3つです。まずGビズIDプライムを今すぐ取得する。次に開業届と確定申告を整える。そして狙う補助金の公募スケジュールを確認して、商工会か専門家に相談を入れておく。この3つだけで申請の準備が70%できた状態になります。
補助金って複雑そうに見えて、準備の順番さえ間違えなければ個人事業主でも十分使えます。一番もったいないのは「自分には関係ない」と思って調べもしないことですね。
今日の話を聞いて、早速GビズIDを取りに行こうと思いました!ありがとうございました。