室谷さん、長野県茅野市に「IT関連企業誘致奨励金」という制度があるって聞いたんですが、どんな内容なんですか?
これ、シンプルでいい制度ですよ!長野県外に本社を置くIT関連の法人が、茅野市内に新しく事業所を開設して操業を開始した場合に、一律50万円の奨励金が支給されるという制度です。
そうなんです。補助率とか複雑な計算なしに、要件を満たせば50万円が交付される。申請書類もそこまで多くないし、大型補助金のような詳細な事業計画書の作り込みも不要なので、中小のIT企業でも使いやすい設計になっています。
茅野市ってどこにある市ですか?あまり馴染みがないんですが…。
長野県の中部、八ヶ岳の山麓に広がる人口約5.5万人の都市です。蓼科高原や白樺湖、車山高原などのリゾートエリアが近くにあって、自然環境が豊か。そしてJR中央本線の特急あずさを使えば新宿から約2時間でアクセスできるんです。
そうなんです。リモートワークやハイブリッドワークが当たり前になった今、都心から適度な距離にある自然豊かな場所で拠点を構えたい、というIT企業のニーズにぴったり合っているんですよ。コロナ以降、この手のサテライトオフィス開設支援が増えていますが、茅野市のこの制度は令和3年(2021年)4月から施行されている比較的早い時期からある制度です。
茅野市IT企業誘致奨励金 申請要件チェックリスト
どんな企業が対象になるんですか?具体的に教えてもらえますか?
まず「IT関連の法人」であることが大前提です。個人事業主やフリーランスは対象外です。IT関連の定義は日本標準産業分類に基づいていて、ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業、デジタルコンテンツ業の4業種が対象になっています。
受託開発、パッケージソフト、ゲームソフト、情報処理サービス、情報提供サービス、ポータルサイト運営、アプリ・コンテンツプロバイダー、アニメーション制作、映像・テレビ番組制作などが含まれます。かなり広いですね。
そうです。これが重要で、長野県内の他市町村に本社があってもダメなんです。あくまで「県外から茅野市へ来てくれた企業」を支援する制度なので。東京・大阪・名古屋など都市部からの進出を想定しています。
それから「民間の空き事務所を利用すること」という条件もありますよね?コワーキングスペースはダメなんですか?
そうなんです。交付要綱では「空き事務所、空き店舗、空き工場、空き倉庫及び空き家」と定義されているんですが、要するに民間の空いている物件を賃借して自社専用の事業所として使う必要があります。コワーキングスペースやシェアオフィスは共有スペースなので対象外です。地域の遊休不動産の活用というねらいもあるんです。
なるほど!地域活性化とセットになっているわけですね。他に要件はありますか?
あと3つあって、事業所開設から6ヶ月以上経過していること、3年以上の継続計画を持っていること、そして常時従業員を配置することです。週に数日だけ来る無人拠点では要件を満たせないので注意してください。
- 要件1: 長野県外に本社を置くIT関連法人であること(個人事業主は対象外)
- 要件2: 茅野市内の民間空き事務所を賃借して事業所を開設すること
- 要件3: 事業所開設から6ヶ月以上経過していること(事後申請型)
- 要件4: 3年以上の継続的な事業計画を有すること
- 要件5: 事業所に常時従業員を配置していること
- 要件6: 過去にこの奨励金を受給したことがない(1事業者1回限り)
- 個人事業主・フリーランスは対象外(法人格が必要)
- 長野県内の他市町村に本社があれば対象外(県外本社のみ)
- コワーキングスペース・シェアオフィスは対象外(民間空き事務所を専用利用)
- 予算枠に達した時点で受付終了(先着順の要素あり)
- 茅野市中小企業振興条例の適用を受ける者は対象外(他制度との調整あり)
50万円というのは一律なんですか?会社の規模によって変わったりしませんか?
交付要綱第4条に「1交付対象者につき50万円」とはっきり書いてあります。規模や雇用数に関わらず一律50万円です。シンプルですよね。社員1人でも100人でも同額です。
公式サイトには「IT関連事業所を開設する経費相当分(賃貸借料及び通信費等)を奨励金として支給」と書いてあります。使途制限という意味では厳密な報告義務はないように見えますが、事業所開設のための費用に充当するイメージです。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 奨励金額 | 一律50万円(1事業者1回限り) |
| 補助率 | 定額交付(補助率設定なし) |
| 対象経費イメージ | 賃貸借料、通信回線開設費、設備導入費など |
| 支給回数 | 1事業者につき1回のみ |
| 予算枠 | 年度予算の範囲内(先着順) |
もちろん全額をカバーするわけじゃないんですが、初期費用の軽減には十分意味があります。茅野市内の事務所賃料は都心に比べてかなり安いので、家賃の差額メリットと合わせると実質的なコスト削減効果はかなり大きいんですよ。東京でワンフロア借りるより断然安くなります。
茅野市IT企業誘致奨励金 申請フロー図
実際に申請するにはどうすれば良いんですか?手続きを教えてください。
この制度は事後申請型というのが重要なポイントで、まず茅野市内に事業所を開設して6ヶ月間操業した後に申請します。事前に補助が決まるわけじゃないんです。
1茅野市商工課に事前相談する 進出を決める前に、茅野市商工課(工業・産業振興係)に相談してください。利用可能な空き事務所の情報提供を受けられる場合があります。予算枠の残り状況も確認できます。電話番号は0266-72-2101(内線432・433)です。
2物件を確保して事業所を開設する 民間の空き事務所(事務所・店舗・工場・倉庫・空き家)を賃借して事業所を開設します。自社専用スペースとして、IT関連機器を設置し従業員が常時勤務できる環境を整えます。
36ヶ月以上操業する 事業所開設から6ヶ月以上、継続して操業します。この間、常時従業員が配置されていることが確認条件になります。事業所の写真や賃貸借契約書を手元に保管しておきましょう。
4申請書類を準備する 開設から1年以内に申請します。必要書類は以下の8点です。交付申請書兼請求書(様式第1号)、法人登記簿謄本または代表者の住民票、直近1年の財務諸表(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書)の写し、事業所の位置図及び建物平面図、事業所現況写真、事業所の賃貸借契約書または売買契約書の写し、事業計画書(3年以上の操業を証するもの)、その他市長が必要と認める書類。
5茅野市商工課に申請書類を提出する 準備した書類を商工課に持参または郵送で提出します。予算枠があるため早めの申請を推奨します。
6審査・交付決定を受ける 茅野市による内容審査の後、交付決定通知書が送付されます。交付決定後に奨励金50万円が支給されます。不交付になった場合は不交付決定通知書が届きます。
申請期限は事業所開設から1年以内なんですね。忘れないようにしないと!
そうです!開設日から1年以内に申請しないといけないんです。ただし、予算枠に達した時点で受付が終了するので、6ヶ月経過した段階で速やかに手続きを進めることを強くお勧めします。
審査ってどんな点が見られるんですか?採択されるコツはありますか?
市の担当者目線でいうと、まず事業の実態があるかどうかが最重要です。形だけ事務所を借りて実際には誰も来ていないという状況は絶対ダメで、常時従業員が配置されていることが確認ポイントになります。
- 早期の事前相談が最重要: 茅野市商工課は企業誘致を歓迎しているので、進出前に相談することで担当者との関係が築ける。空き事務所の紹介も受けられる可能性がある。
- 3年以上の具体的な事業計画を作る: 「とりあえず3年続けます」という薄い計画書ではなく、茅野市の事業所で具体的にどんな業務を行うか、地域にどう貢献するかを明記する。地元人材の採用計画があると評価が高まる。
- 常時従業員配置の体制を整える: 週数日だけでは要件を満たさない。ローテーション勤務でも常時誰かが在籍する体制を作る。
- 他の支援制度との組み合わせを検討する: 茅野市の他の補助金(後述)と組み合わせることで進出コストをさらに下げられる。
地方自治体の企業誘致の目的は、地域に雇用を生み出すことなんです。東京からIT企業が来てくれるのは嬉しいけれど、地元の人が全然雇われないと地域経済への貢献が薄い。茅野市での採用計画や、地元の学生インターンの受け入れなど、地域との関係性を意識した計画書を書くと担当者への印象も良くなります。
交付要綱第9条に「茅野市中小企業振興条例の適用を受けることができる者は、奨励金を受けることはできない」とあります。茅野市の中小企業振興条例を使って工場等を建設するケースでは、別の支援制度が適用されるので、IT誘致奨励金とは二重適用できないんです。事前相談で確認してください。
茅野市には他にも補助金があるんですか?組み合わせられますか?
茅野市は中小企業向けに複数の補助金を持っています。まずIT誘致奨励金と関連しそうなものをまとめると…。
新技術・新製品研究開発事業補助金と組み合わせるとかできますか?
事業所を開設してIT誘致奨励金を受け取った後、市内で新技術開発に取り組めば別途補助を受けられる可能性はあります。ただし、IT誘致奨励金は「開設時の一時金」なので、事業所が軌道に乗ったら次のステップとして研究開発補助を活用するというシナリオは十分考えられます。
いくつか考えられます。まず
東京圏からの移住を伴う場合は移住支援金の対象になる可能性があります。また
サテライトオフィス勤務導入奨励金は東京都の制度ですが、東京の会社が茅野に拠点を設ける際に本社側で活用できる可能性もあります。国の制度については最新情報を各窓口で確認してください。
- 茅野市中小企業振興条例の適用を受ける者は不可(交付要綱第9条)
- 同一事業所・同一経費への重複申請は不可(各制度の要件を確認)
- 各制度の公募時期が異なる(茅野市商工課で一括確認を推奨)
そもそもなぜ茅野市がIT企業に向いているんですか?
いくつか理由があって、まずアクセスの良さですね。JR中央本線で東京から特急2時間ということは、週1回東京でミーティングがあっても十分通えるんです。名古屋からも東海道新幹線と中央線を使えばアクセス可能です。
特急あずさが新宿〜茅野間を走っていて、所要時間2時間前後です。もちろん交通費は東京のオフィス賃料に比べれば微々たるものですしね。次にオフィス賃料の安さ。都心の1/5〜1/10のコストで広いスペースを確保できます。
光回線は整備されています。市内の多くのエリアでギガビット対応の光インターネットが使えます。田舎だから通信が遅いというイメージは過去のもので、クラウドベースで仕事するIT企業なら実用上の支障はほとんどないです。
人材採用はどうなんですか?田舎だと人がいないイメージが…。
これは正直に言うと、地元採用だけで大人数を賄うのは難しい面もあります。ただ、「自然の中で働きたい」「移住したい」というITエンジニアが増えているのは事実で、茅野市への移住を条件に優秀な人材が集まる事例も出ています。東京の採用競争と違うアプローチで優秀なエンジニアを確保できる可能性があります。
| 茅野市の特徴 | 詳細 |
|---|
| 東京からのアクセス | JR特急で約2時間(新宿〜茅野) |
| 標高 | 約800〜1,200m(冷涼な高原気候) |
| 近隣リゾート | 蓼科高原、白樺湖、車山高原 |
| 人口規模 | 約5.5万人 |
| 通信環境 | 光回線整備済み |
| オフィス賃料 | 都心比50〜80%安 |
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 茅野市IT関連企業誘致奨励金 |
| 実施機関 | 茅野市(産業経済部 商工課 工業・産業振興係) |
| 奨励金額 | 一律50万円 |
| 公募期間 | 通年受付(予算枠に達した場合は終了) |
| 申請期限 | 事業所開設から1年以内 |
| 対象地域 | 長野県茅野市内に事業所を開設 |
| 対象者 | 長野県外に本社を置くIT関連法人 |
| 問い合わせ先 | 茅野市商工課 0266-72-2101(内線432・433) |
| 公式ページ | 茅野市HP 商工課 |
| jGrants番号 | a0WJ200000CDY1QMAX |
茅野市の公式サイトから3点ダウンロードできます。補助金交付要綱(PDF)、交付申請書兼請求書・様式第1号(Word)、補助金パンフレット(PDF)の3点が
公式ページからダウンロードできます。申請前にまずパンフレットで全体像を確認することをお勧めします。
どんな会社が一番この制度を使いやすいんでしょうか?
東京のIT企業がサテライトオフィスを作るケースが一番フィットすると思います。開発チームの一部を茅野市に移して、月1〜2回東京に戻るというハイブリッド体制です。家賃コストを大幅に下げながら、エンジニアの生活満足度を上げられるので離職率対策にもなります!
あとは名古屋や大阪のIT企業が中央アルプス側へ進出するケースも増えています。茅野市は名古屋からも比較的アクセスしやすい位置にあります。そしてゲーム開発やアニメーション制作、動画コンテンツ制作の会社も対象になるのは見落とされがちなポイントです。デジタルコンテンツ業が明示的に対象業種に含まれています!
日本標準産業分類の「映像情報制作業」に含まれるアニメーション制作業(4113)が対象業種の一つとして明記されているので、アニメスタジオや動画制作会社も対象になり得ます。もちろん事前に茅野市商工課に確認してみてください。
最後に、申請しようと思ったらまず何をすれば良いですか?
とにかく茅野市商工課に電話してください!予算枠の残り状況、利用可能な物件情報、手続きの流れ、全部教えてもらえます。自治体は企業誘致を歓迎しているので、丁寧にサポートしてもらえるはずです。電話番号は0266-72-2101(内線432・433)、メールはshoko[アット]city.chino.lg.jpです。
- STEP1: 茅野市商工課(0266-72-2101 内線432・433)に電話して予算枠の残りと空き物件情報を確認
- STEP2: 事前相談で事業計画の方向性についてフィードバックをもらう
- STEP3: 物件を確認して事業所開設のスケジュールを立てる
ソフトウェア開発(受託・組込・パッケージ・ゲーム)、情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業(ポータルサイト・アプリ・コンテンツプロバイダー)、そしてデジタルコンテンツ業(映像・アニメーション・テレビ番組制作)の4カテゴリです。日本標準産業分類に基づいて厳密に定義されていますので、迷ったら商工課に事前確認してください。
交付要綱で「法人格を有し、代表者及び常時雇用される正社員がいるもの」と定義されているので、個人事業主・フリーランスは対象外です。もし個人として移住を考えているなら、茅野市の移住支援窓口に別途相談してみてください。
対象外です。要綱では民間所有の「空き事務所、空き店舗、空き工場、空き倉庫及び空き家」を利用することが条件です。自社専用の独立したスペースを確保する必要があります。
正当な理由なく撤退した場合、奨励金の返還を求められる可能性があります。交付要綱第7条・第8条に取消・返還規定があります。やむを得ない事情がある場合は早めに商工課に相談してください。
予算枠の規模や採択状況は公表されていないため、確認が必要です。予算枠があることから先着順の側面があるので、要件を満たしたら速やかに申請することが大切です。
そうです。「長野県外に本社を置く」が要件なので、長野市・松本市・諏訪市など県内他市に本社があれば対象外です。
対象外です。交付要綱の附則に「令和3年4月1日以後に開設する企業から適用する」と明記されています。2021年4月以降の開設が対象です。