室谷さん、最近うちのクライアントからよく「DXやりたいんだけどお金が…」って相談来るんですけど、2026年度って補助金どんな感じなんですか?
めちゃくちゃ充実してますよ!実はDXって、補助金との相性がすごくいいんです。設備投資もソフトウェア導入も、基本的に補助対象になるケースが多くて。
えっ、ホントですか。補助金って事業再構築とかものづくり補助金しか思いつかないんですけど…
いやいや、IT系に特化したものから人材育成系まで、実は十数種類ありますよ。まず全体像を整理してみましょうか。DX推進に使える補助金は大きく3つのカテゴリに分けられます。ソフト・ツール導入系、設備投資系、人材育成系です。
なるほど、分けて考えるんですね!それぞれどんなものがあるんですか?
ソフト・ツール導入の代表格はデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)。設備投資系は省力化投資補助金やものづくり補助金。人材育成系は業務改善助成金やDXリスキリング助成金が使えます。あとはDX×CO2削減を同時に狙える環境省のDX型CO2削減対策実行支援事業なんかもあって、意外と知られてないんですよね。
なんか多いな(笑)。全部合わせると結構な金額になりそう?
そうなんです。組み合わせ次第で数百万〜数千万円の支援を受けられますよ。ひとつずつ見ていきましょう。
DX推進に使える補助金・助成金 比較表
デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)
まず一番メジャーな「デジタル化・AI導入補助金」から教えてください!
これは2026年度からIT導入補助金が名称変更されたもので、最大450万円・補助率最大3/4という破格の内容です。クラウドSaaS、会計ソフト、受発注システム、POSレジ、タブレット端末まで対象です。
3/4ってすごいですよね。100万円使ったら75万円もらえるってこと?
そういうことです。特にインボイス枠のインボイス対応類型では補助率が最大3/4まで上がります。通常枠は1/2〜2/3ですが、それでも十分です。ただし2026年度から「2回目以降の申請者は3年間の事業計画策定と効果報告が必須」という新要件が加わったのは要注意ですね。
えっ、それって前に使ったことある会社は追加の縛りがあるってこと?
そうです。IT導入補助金2022〜2025で交付を受けた事業者が対象。「要件未達」「効果報告未提出」は補助金返還になるので、使い捨て感覚で使ってた会社は気をつけないといけません。申請前にGビズIDプライムアカウントを取得しておくことと、SECURITY ACTION宣言も必須です。
IT導入補助金2023の詳細ページも参考に。
新事業進出・ものづくり補助金(2026年度統合版)
2026年度から「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合されて、新事業進出・ものづくり補助金になりました。内容がかなり変わってますよ。統合後の申請枠は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つです。
革新的新製品・サービス枠は従業員数に応じて750万〜2,500万円(大幅賃上げ特例で最大3,500万円)、新事業進出枠は2,500万〜7,000万円です。補助率は原則1/2、小規模事業者は2/3。DXへの設備投資が対象なので、製造業やサービス業の方には特に使いやすい制度ですね。
賃上げ要件は必須ではないですが、賃上げすると上限額がぐっと上がります。どうせDX投資するなら賃上げもセットで考えると、補助額を最大化できますよ。
中小企業省力化投資補助金
省力化投資補助金って最近よく聞きますね。DXとどう関係あるんですか?
これがDXの文脈でめちゃくちゃ使えるんです。上限最大1億円・補助率1/2(小規模は2/3)という規模感で、IoT機器やロボット、AI活用システムの導入が対象です。「カタログ注文型」と「一般型」があって、カタログ型はあらかじめ認定された清掃ロボットや自動搬送車などを選んで申請するだけ。審査が通りやすいですよ。
えっ、カタログから選ぶだけでいいの?それは楽ですね(笑)
そうなんです。一般型はカタログ外の自社特有のシステム構築も対象になりますが、審査書類が手厚くなります。従業員数で上限が変わっていて、101人以上なら最大1億円ですが、5人以下の小規模事業者でも500万〜750万円受けられます。人手不足で困ってる会社にとってはかなり救済的な補助金です。
業務改善助成金(厚生労働省)
業務改善助成金って賃上げの話じゃなかったでしたっけ?
そうです。でも「賃上げ+生産性向上のための設備投資」がセットになってるんです。事業場内最低賃金を50円・70円・90円引き上げることを条件に、最大600万円・補助率3/4〜9/10でPOS、ICT機器、AIツール等の設備投資を補助します。
そうなんです。引上げ額が大きいほど補助率が上がります。令和8年度(2026年度)から3コース制(50円・70円・90円コース)に再編されて、受付開始は2026年9月1日からの予定です。
業務改善助成金の詳細はこちらからどうぞ。
賃上げもできてDXも進められるって、一石二鳥ですね。
まさに。採択率も比較的高いですし、ものづくり補助金に比べると書類が少なくて済むのもポイントです。
DXリスキリング助成金(東京都)
DX人材を社内で育てたいっていう会社はどうしたらいいですか?
東京都の
DXリスキリング助成金が最適ですよ。令和8年度版は助成対象経費の4分の3が出て、1人1研修あたり上限7万5,000円。会社全体で年間100万円まで受けられます。IT、AI、データ分析などDX関連の研修費用が対象です。
東京都スキルアップ支援事業はこちら。
東京都内で事業を営む中小企業が対象ですね。全国で使えるのは厚生労働省のキャリアアップ助成金です。非正規のIT担当者を正社員化すると1人あたり最大80万円の助成が受けられます。DX人材を内製化したい会社にはかなり有効な手段です。
DX型CO2削減対策実行支援事業(環境省)
環境省の補助金でDXが使えるって、どういう仕組みなんですか?
環境省のSHIFT事業の一環で、「DXシステムを活用してCO2排出を削減する」という取り組みに補助が出るんです。補助上限200万円・補助率4分の3で、DXシステムを使った省エネ化設計やデータ活用による運用改善が対象です。
ほんとに?200万円で補助率3/4ってかなりいいじゃないですか。
建築BIM加速化事業(国土交通省)
建設業界なら建築BIM加速化事業がありますよ。BIMというのはBuilding Information Modelingの略で、3Dデジタルモデルを使った建築設計・施工の管理技術です。設計者・施工者・設備事業者が連携してBIMデータを作る場合に、設計費と建設工事費の一部を国が補助します。
建設業のDXってBIMが中心になってくるんですね。
そうです。大手ゼネコンはすでに標準化していますが、中小の建設会社やサブコンには追い風になる制度です。
建築BIM加速化事業の詳細も見てみてください。
東京都 5Gによる製造工場のDX・GX推進事業
東京の製造業に特化したすごい補助金があるって聞いたんですが?
あります!東京都の5Gによる製造工場のDX・GX推進事業は、最大2億円・補助率4/5以内というとんでもない条件です。ローカル5G(工場内専用の5G通信インフラ)の導入を起点にした製造現場のDX化が対象で、都内のものづくり中小企業が対象です。
2億で4/5というのは…1億6,000万円もらえるってこと!?
単純計算そうなります(笑)ただ当然それだけ大規模な計画書が必要で、5Gネットワーク構築から製造ラインのIoT化まで一体的に取り組む必要があります。設備投資の規模が大きい製造業には、ぜひ狙ってほしい制度ですね。
詳細はこちら。
東京都 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都中小企業振興公社)も使えます。最大1億円・助成率1/2〜3/4で、「DX推進区分」という枠があります。競争力強化・ゼロエミッション・DX推進・イノベーション・後継者チャレンジと5区分あって、DX区分は令和4年度から予算が大幅増額されています。
第6回はこちら、
第5回はこちら。
そうなんです。石川県も面白くて、「自社変革モデル創出支援事業」が最大3,000万円・補助率2/3で、DX×GXを両立する取り組みを支援しています。
石川県の自社変革支援はこちら。
モビリティDX・無人自動運転開発実証支援補助金(経済産業省)
ドライバー不足の解決策としてのDXって、補助金あるんですか?
あります!モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援補助金は、自動運転技術の開発・実証実験を対象にした補助金です。ドライバー不足による輸送力低下という社会課題に対応するもので、規模が違って最大約23億円という大型支援が受けられます。
23億!?それは一般の中小企業向けではないですよね(笑)
ですね(笑)これは自動運転技術の研究開発・商用化を目指す企業や研究機関向けです。でも運送会社やモビリティスタートアップが技術開発側とパートナーを組んで申請するケースもあります。
詳細はこちら。
DX補助金 申請の流れ
実際に申請する時って、どこから手をつければいいんですか?
まずGビズIDプライムを取得することです。多くの補助金でオンライン申請に必要で、取得まで1〜2週間かかるので、申請を考え始めたら即座に動くべきですね。
書面申請と電子申請があって、電子申請(Jグランツ)ならGビズIDが必要です。次に事業計画書の作成ですが、ここが審査の分かれ目になります。「なぜDX化が必要か」「どの課題を解決するか」「投資後どう変わるか」を数値で示すことが大事です。
GビズIDプライムを取得する(申請前に2週間以上の余裕を持って)
自社の経営課題とDXニーズを整理する(どの業務をデジタル化するか)
補助金の公募スケジュールを確認(各制度で締切日が異なる)
事業計画書・申請書類を作成する(商工会議所や中小企業診断士に相談推奨)
交付決定を待ってから発注・着工(決定前の着手は補助対象外)
実績報告と補助金受取(後払いなので資金繰りに注意)
「交付決定前に着工したら対象外」って、うっかりやりそうで怖いですね。
これが一番多い失敗パターンです。「採択されそうだから先に動こう」ってやっちゃうと、全額自腹になります。絶対に交付決定通知を受け取ってから発注してください。
- 交付決定前の着工・発注は補助対象外になります。採択通知ではなく「交付決定通知」を待つこと
- 補助金は後払いが原則。一旦自己資金で立て替える必要あり。融資の手配も計画に入れること
- 成果報告書の提出義務があります。KPIを設定して数値管理を始めましょう
- デジタル化・AI導入補助金2026では、過去に受給した事業者は追加の報告義務あり
後払いって結構キツいですよね。一時的に数百万円立て替えるって…
そうなんですよ。特にものづくり補助金や省力化投資補助金のような大型補助金は、自己資金だけだと賄いきれないケースも多いです。日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金や商工中金の融資と組み合わせて資金調達するのが定石ですね。
たくさんあって混乱してきました。結局どれを使えばいいんですか?
| やりたいこと | おすすめ補助金 | 目安金額 |
|---|
| ITツール・クラウド導入 | デジタル化・AI導入補助金2026 | 最大450万円 |
| 製造ライン自動化・ロボット | 省力化投資補助金(一般型) | 最大1億円 |
| 新事業×DX投資 | 新事業進出・ものづくり補助金 | 最大9,000万円 |
| 賃上げ+設備投資 | 業務改善助成金 | 最大600万円 |
| DX人材育成(東京都) | DXリスキリング助成金 | 年間最大100万円 |
| 環境省×DX(CO2削減) | DX型CO2削減対策実行支援事業 | 最大200万円 |
| 建設業のBIM化 | 建築BIM加速化事業 | 要問合せ |
| 5G×製造工場(東京) | 5Gによる製造工場DX・GX推進事業 | 最大2億円 |
| 研究開発×DX(石川県) | 自社変革モデル創出支援事業 | 最大3,000万円 |
これは分かりやすい!まず「自分がどれをやりたいか」で絞るんですね。
そうです。さらに「今期採択されたい」なら公募スケジュールも見ないといけない。デジタル化・AI導入補助金は通年に近い形で複数回公募しているので比較的申請しやすいですが、省力化投資補助金やものづくり補助金は年に数回だけ公募します。逃したら半年待つことになりますよ。
あと複数の補助金の重複申請は基本NGですが、異なる補助金を別の事業・年度で組み合わせることは可能です。例えば「今年度はIT導入補助金でシステム入れて、来年度はリスキリング助成金で社員を育てる」という2段階作戦はアリです。
- 数値目標を必ず入れる。「業務時間を30%削減」「売上を年間〇〇円増加」など、定量的な成果指標を明示する
- 課題→解決策→期待効果の流れを明確にする。「なぜDX化するか」の必然性を審査員に伝える
- 専門家チェックを受ける。商工会議所、中小企業診断士、DX補助金に強い認定支援機関に相談するだけで採択率が大幅に上がる
中小企業庁の公式サイトで「認定経営革新等支援機関」を検索すると都道府県別に一覧があります。銀行や税理士事務所も認定を受けているケースが多いので、まず顧問の税理士か取引銀行に聞いてみるのが早いですよ。都道府県別の制度を探したい場合は
東京都のDX補助金一覧や
大阪府のDX補助金一覧のような都道府県別ページも確認してみてください。