山形県でDXを進めたい事業者——どの補助金を使えばいい?


佐藤
編集長
うちの取引先、山形で食品加工やってる中小企業なんですけど、「DXしたいけどどの補助金使えばいいか全然わからない」って相談されて。正直、どこから手をつければいいんでしょう?
室谷: あーそれ、毎週のように来る相談ですよ(笑)。山形って農業・食品加工・精密機械が集積してるエリアで、業種によってDXの切り口がまるで違うんです。まず「何をデジタル化したいか」を整理する前に補助金を探すと、全部中途半端になりやすい。
佐藤: え、補助金から逆算して何を導入するか決めるって普通じゃないですか?
室谷: それが典型的な失敗パターンなんですよ。補助金ありきで決めると、現場の実態と合わないシステムを入れることになる。まず「勤怠管理をペーパーレスにしたい」「生産管理をデジタル化したい」という目的を先に固めて、そこから補助金を当てはめる順番が大事です。
佐藤: なるほど!山形でDX補助金って大まかに何種類くらいあるんですか?
室谷: 大きく分けると4層あります。国の制度が5〜6本、山形県の独自制度が複数枠、山形市の独自制度、そして全国共通の助成金系。補助率が一番高いのはDX型CO2削減対策実行支援事業で4分の3ですが、脱炭素との組み合わせ条件があります。投資規模と目的で使い分けるのがコツです。
佐藤: 4層!それは多いですね。まず全体を整理してもらえますか?
| 種類 | 代表的な制度 | 補助率 | 対象規模 |
|---|---|---|---|
| 国の制度(DX専用) | DX型CO2削減対策実行支援事業 | 3/4 | 中小企業 |
| 国の制度(DX活用可) | IT導入補助金、ものづくり補助金 | 1/2〜2/3 | 中小〜中堅 |
| 国の大型投資制度 | 大規模省力化投資補助金 | 1/3以下 | 中堅以上 |
| 山形県独自 | まるっとサポート補助金DX枠 | 1/2〜2/3 | 小〜中規模 |
| 山形市独自 | 山形市企業DX推進事業費補助金 | 2/3 | 小規模 |
| 労働関係助成金 | 働き方改革推進支援助成金 | 3/4 | 中小企業 |

室谷
代表取締役
こんな感じで整理できます。それぞれ対象経費や条件が違うので、投資内容によって使える制度が変わってきます。
国の主要DX補助金——山形から申請できる制度を全部整理

佐藤
編集長
まず国の制度から教えてください。何から始めればいいですか?
室谷: 中小企業が最初に検討すべきはIT導入補助金です。SaaS・クラウドサービス・業務ソフトの導入費が対象で、補助率2/3。山形の食品加工会社なら生産管理システムや在庫管理ソフトがこれで賄えます。注意点は「登録IT導入支援事業者経由の申請が必須」という点で、ベンダー選定が採否に直結します。
佐藤: 登録ベンダー経由じゃないと申請できないんですね。
室谷: そうなんです。だから補助金と同時にベンダー選定を進める必要がある。次がものづくり補助金で、こちらは補助上限1,000万円で設備投資とシステムを一体で申請できるのが強み。さくらんぼ選果機のIoT化みたいにハードとソフト両方が必要なケースはこっちが向いてます。ただ採択まで4〜6ヶ月かかるので、スケジュール管理が命です。
佐藤: 1,000万円は大きいですね!採択率はどのくらいですか?
室谷: ものづくり補助金は直近だとざっくり40〜50%くらいで推移してます。事業計画書の審査があるので難易度は高いですが、認定支援機関(地域の中小企業診断士や税理士など)と連携して書類を作ると採択率が上がります。
佐藤: 3つ目はどんな制度ですか?
室谷: DX型CO2削減対策実行支援事業です。補助率4分の3、上限200万円で、エネルギー管理のデジタル化を考えている製造業に刺さる制度。脱炭素経営とDXを同時進行したい会社にはうってつけです。山形の精密機械メーカーや食品加工工場で活用事例が増えてますね。
佐藤: 脱炭素とDXを同時に? なかなかニッチですね(笑)
室谷: でも実は需要が高いんですよ。電気代が上がってる中で、エネルギー管理システムを入れてCO2も削減したいという会社が山形にも多くて。DX型CO2削減の補正予算版(令和7年度補正予算版)もあって、こちらも補助率4分の3・上限200万円です。4つ目が大規模省力化投資補助金で、上限50億円という規模の補助金。補助率1/3以下ですが、中堅クラスに成長している製造業なら検討の余地があります。
佐藤: 50億円は桁が違いますね(笑)。中小企業には現実的じゃないかもしれないですが。
室谷: そうですね。5つ目が地域社会DX推進パッケージ事業で、補助率1/2。地域全体でデジタル基盤を構築する場合の制度なので、商工会議所や自治体が活用するケースが多いです。山形県全体のデジタルインフラ整備に絡んでくる制度ですね。
佐藤: じゃあ山形の食品加工の中小企業が最初に検討すべきはやっぱりIT導入補助金ですか?
室谷: 投資規模で分けると、「まず試したい・小さく始める」ならIT導入補助金、「ハードとソフトをセットで大きく投資する」ならものづくり補助金、「脱炭素も一緒にやりたい製造業」ならDX型CO2削減対策、ですね。次は山形県独自の手厚い制度も見ていきましょう。
山形県独自のDX補助金——まるっとサポートの実力


佐藤
編集長
山形県独自の補助金って、どういうものがあるんですか?
室谷: 山形県が力を入れているのが「中小企業まるっとサポート補助金」です。複数の枠があって、DXに使えるのが主に「DX推進枠」と「通常枠」の2つ。特にDX推進枠は山形県内の中小事業者専用で補助率1/2、上限100万円と手軽に使えます。
佐藤: 条件は何ですか?
室谷: 2つあります。1つ目が「パートナーシップ構築宣言」のポータルサイトへの公表——取引先への価格転嫁方針を宣言するものです。まだやっていない事業者は早めに登録しておくと、まるっとサポート以外の補助金でも加点につながるケースがあります。2つ目が山形県DXコミュニケート展開支援事業でのDXコミュニケータ診断の受診です。
佐藤: DXコミュニケータ診断って何ですか?
室谷: 山形県が実施している無料診断サービスで、自社のDX成熟度を客観的に確認できるやつです。診断を受けることでDX推進枠の申請資格が得られる仕組み。これを先に受けておくと、自社の課題整理にもなって一石二鳥なんですよ(笑)。
佐藤: 無料なら話が早い!通常枠との違いは?
室谷: 通常枠は補助率1/2、上限300万円。経営革新計画等の計画認定が条件で、規模がより大きい。小規模事業者向けには補助率2/3、上限50万円という小規模事業者枠もあります。申請先はやまがた産業支援機構(RITE)の中に事務局があって、霞城セントラル13階が相談・申請の窓口です。
山形県まるっとサポート補助金 DX関連枠まとめ
- DX推進枠: 補助率1/2、上限100万円、DXコミュニケータ診断の受診が条件
- 通常枠: 補助率1/2(賃上げ加算で2/3)、上限300万円、経営革新計画等の認定が条件
- 小規模事業者枠: 補助率2/3(賃上げ加算で3/4)、上限50万円
- 共通条件: パートナーシップ構築宣言の公表
- 窓口: やまがた産業支援機構(RITE)霞城セントラル13階

佐藤
編集長
山形市内の事業者はさらに市の制度も使えるんですよね?
室谷: 使えます。令和7年度山形市企業DX推進事業費補助金というのがあって、補助率2/3、必須事業と任意事業それぞれ上限10万円。金額は小さいですが、勤怠管理ソフト・グループウェア・AI OCRなどの初歩的なデジタルツール導入費をカバーできます。
佐藤: 令和6年度に使った事業者は次に何ができますか?
室谷: ステップ2として「WEBサイト制作」「SNS制作」「ビジネスチャット」「WEB会議ツール」などの任意事業も申請できます。段階的にデジタル化を進める設計になっていて、山形市内の従業員50人以下の中小企業と個人事業主が対象です。山形市産業政策課に相談してみてください。
DXと労働環境改善を同時に——働き方改革助成金の活用

佐藤
編集長
テレワーク導入とかもDX補助金で賄えるんですか?
室谷: そこは働き方改革推進支援助成金がカバーしてくれます。補助率3/4、上限1,270万円という高補助率の助成金で、テレワーク系のデジタルツールや勤怠管理システムが対象になることがあります。
佐藤: 3/4の補助率は高いですね!
室谷: DXと労働環境改善を同時に進める会社にはかなり使いやすい制度ですよ。たとえば「勤怠管理をデジタル化して残業を減らしたい」というケースなら、DX補助金と働き方改革助成金を使い分けられる場合があります。同一事業への二重申請はNGですが、「勤怠管理は働き方改革助成金で、生産管理はIT導入補助金で」という使い分けは可能なケースが多い。
佐藤: なるほど、組み合わせが重要なんですね。次は補助金選びの具体的な比較を見せてもらえますか?
山形県DX補助金 全制度横断比較——どれを選べばいい?

室谷
代表取締役
じゃあここで全制度を一覧で比較しましょう。どれが自分に合うか一目でわかります。
佐藤: ありがたい!全部の制度を並べて見せてもらえますか?
室谷: はい、整理します。
| 補助金名 | 補助率 | 上限額 | 主な対象 | 申請難度 |
|---|---|---|---|---|
| IT導入補助金 | 2/3 | 最大450万円 | SaaS・業務ソフト | ★★☆ |
| ものづくり補助金 | 1/2 | 1,000万円 | 設備+システム一体 | ★★★ |
| DX型CO2削減対策 | 3/4 | 200万円 | 脱炭素×DX | ★★☆ |
| 大規模省力化投資補助金 | 1/3以下 | 50億円 | 大型投資 | ★★★ |
| 地域社会DX推進パッケージ | 1/2 | — | デジタル基盤 | ★★★ |
| まるっとサポートDX枠 | 1/2 | 100万円 | DX・省力化 | ★★☆ |
| まるっとサポート通常枠 | 1/2 | 300万円 | 設備投資全般 | ★★☆ |
| まるっとサポート小規模枠 | 2/3 | 50万円 | 小規模DX | ★☆☆ |
| 山形市DX推進補助金 | 2/3 | 10万円×2 | デジタルツール | ★☆☆ |
| 働き方改革推進支援助成金 | 3/4 | 1,270万円 | テレワーク・勤怠 | ★★☆ |
| 地域DX支援活動型 | 10/10 | 3,000万円 | 支援機関向け | ★★★ |

佐藤
編集長
申請難度の違いは書類の量ですか?
室谷: 主に事業計画書の有無と、審査の厳しさです。まるっとサポートの小規模枠はDXコミュニケータ診断さえ受ければ比較的スムーズ。ものづくり補助金は採択率40〜50%と競争が激しく、事業計画書の質が直接採択に影響します。山形市DX補助金は金額は小さいですが、書類作成の負担が一番軽いので「まず1件補助金採択を経験したい」という事業者の入口としてちょうどいい。
佐藤: 農業法人はどうですか?山形ってさくらんぼとかラ・フランスの産地だから、農業法人がDX補助金を使えるかも気になります。
室谷: 農業法人が「農業DX=農水省系の補助金しか使えない」と思い込んでいるケースが多いんですよ。農業管理クラウド・在庫出荷管理システム・ECサイト構築ならIT導入補助金の対象になります。「農業法人はDX補助金を使えない」は誤解で、法人格の種類を伝えた上でRITEや商工会議所に相談するのが確実です。
山形県のDX補助金で採択率を上げる申請のコツ

佐藤
編集長
採択率を上げるためのコツを教えてもらえますか?
室谷: 3つ大事なポイントがあります。まず「GビズIDの事前取得」が最重要です。ほぼすべての国の補助金申請でGビズIDが必要で、取得まで2〜4週間かかります。公募が始まってから取りに行くと間に合わない可能性がある。
佐藤: それは盲点!今すぐ取れるものじゃないんですね。
室谷: 2つ目は「認定経営革新等支援機関と早めに組む」こと。ものづくり補助金は認定支援機関が確認した事業計画が加点評価につながります。山形商工会議所や地域の税理士・中小企業診断士が認定されているので、公募開始前から相談を始めておきたい。3つ目が「加点要件の把握」で、賃上げ表明や経営革新計画認定で加点が取れます。補助率や上限額の違いだけでなく、加点設計まで考えて申請するかどうかで採択率が大きく変わります。
佐藤: まるっとサポートのDX推進枠はDXコミュニケータ診断を受ける必要がありましたけど、それも加点になるんですか?
室谷: 診断結果が申請資格の条件になっているので、「受けることで申請できる」という意味では必須要件ですね。診断自体は無料で、自社の課題整理にもなるので一石二鳥です。「補助金のために診断を受ける」から「診断を受けながら補助金も取りに行く」というマインドで使ってほしいですね。
佐藤: 申請前に相談すべき窓口はどこですか?
室谷: 主な窓口は4つです。「やまがた産業支援機構(RITE)」は課題整理から補助金の組み合わせ提案まで総合対応、まるっとサポートの窓口でもあります。「山形商工会議所・各地商工会」は特に小規模事業者の書類作成サポートが手厚い。「東北経済産業局」はものづくり補助金・国の補助金の公募情報確認に。「山形市産業政策課」は市独自DX補助金の相談です。
山形県DX補助金 主な相談窓口
- やまがた産業支援機構(RITE): 課題整理・補助金組み合わせ提案 / 霞城セントラル13階
- 山形商工会議所・各地商工会: 書類作成サポート(特に小規模事業者向け)
- 東北経済産業局: ものづくり補助金・国の補助金の公募情報確認
- 山形市産業政策課: 山形市独自DX補助金の相談
採択前発注は絶対NG!全補助金共通の鉄則
どの補助金でも「交付決定前の発注・契約・支払い」は補助対象外になります。「補助金申請中だから先に機器を注文しておこう」は最悪の判断で、全額自己負担になります。必ず採択・交付決定の通知を受けてから発注してください。
山形県DXをスムーズに進める——申請ステップ完全解説

佐藤
編集長
実際に山形でDX補助金を申請するとき、どういう順番で動けばいいですか?
室谷: 7ステップで整理しましょう。一番大事なのはステップ1のGビズID取得を「今すぐ」やっておくこと。補助金の公募が始まってから慌てて取りに行くと絶対に間に合いません。
1GビズIDを今すぐ取得(2〜4週間かかる。補助金の公募前に必ず)
2何をデジタル化するか目的を業務単位で整理(「勤怠管理」「生産管理」「受発注」など)
3投資内容を「ハードウェア」「ソフトウェア・システム」に分類する
4RITEまたは商工会議所で無料相談(補助金の組み合わせ確認)
5認定経営革新等支援機関と連携して申請書類を作成
6採択・交付決定の通知を受けるまで発注・契約しない(最重要)
7事業完了後に実績報告を提出して補助金を受け取る

佐藤
編集長
DXコミュニケータ診断はどのタイミングで受けるんですか?
室谷: まるっとサポートDX推進枠を狙うなら、ステップ3〜4の間に受けておくのがベストです。診断自体は無料で、自社の課題整理と申請資格の取得を同時に進められます。山形県DXコミュニケート展開支援事業のサイトから申し込めます。
佐藤: 最後に、山形でDXを進めたい事業者へのアドバイスを一言お願いします。
室谷: 「目的先行、補助金後付け」ですね。何をデジタル化するかが決まれば、IT導入補助金かものづくり補助金かまるっとサポートかは自然と絞られます。山形は県独自のまるっとサポート補助金が手厚いので、国の制度と重ねることで補助金の充填率を最大化できます。まずRITEか商工会議所に相談して、自社に合った組み合わせを見つけてください!
佐藤: ありがとうございました。山形県内の補助金・助成金をもっと探したい方は、山形県の補助金・助成金一覧もチェックしてみてください。また、DX推進に関連する全国の補助金はDX推進タグの全国一覧でも確認できます。