室谷さん、山形県で外国人旅行者の受け入れを強化したいんですけど、補助金って使えるんですか?
ありますよ(笑)。しかも山形県は2026年度に県独自の補助金を新しく動かしてるんで、タイミング的にはかなりいいと思います。
大きく分けると2種類あって、国が出している全国共通の制度と、山形県が独自にやってる制度があります。今日はその両方を整理してお伝えしますね。
全国共通と山形県独自、両方あるんですね。どちらから使えばいいとかありますか?
基本的には併用できる場合が多いので、どちらか一方じゃなくて、両方活用するのが賢い使い方です。ただ同じ内容で二重取りはできないので、そこは注意が必要ですね。
山形県インバウンド対応補助金の全体像 - 国の制度と県独自制度の比較インフォグラフィック
増えてますよ。蔵王温泉スキー場や山寺(立石寺)、銀山温泉あたりは欧米やアジアからの旅行者に人気で、特に雪文化を体験したいヨーロッパ勢が増えています。
銀山温泉、インスタで見たことあります! あそこ本当に素敵ですよね!
そうそう、あそこは外国人に大人気です。ただ、受け入れ環境の整備が追いついてない宿泊施設や飲食店もまだ多くてですね、多言語対応とかキャッシュレス対応がまだ弱いところも正直あります。
そういうことです。山形県と国が「ちゃんと整備してくれる事業者を支援します」というスタンスで補助金を出しています。
補助金の種類と特徴
| 制度の区分 | 対象者 | 補助率 | 上限額 |
|---|
| 山形県インバウンド受入環境整備支援事業費補助金 | 県内観光事業者 | 1/2 | 100万円 |
| 山形県アクセシブルツーリズム推進支援事業費補助金 | 県内観光事業者 | 1/2 | 50万円 |
| 訪日外国人受入環境整備緊急対策事業費補助金(バリアフリー分野) | 全国宿泊施設 | 1/2 | 500万円 |
| 訪日外国人受入環境整備緊急対策事業費補助金(ストレスフリー分野) | 全国宿泊施設 | 1/3 | 150万円 |
| 観光需要分散コンテンツ化促進事業(新創出型) | 全国事業者等 | 定額+1/2 | 事業費2,100万円 |
| 酒類業振興支援事業費補助金(海外展開支援枠) | 酒類事業者 | 1/2 | 1,500万円 |
| 国立公園多言語解説等整備事業 | 自治体・DMO等 | 2/3 | 大規模事業向け |
もちろん、全部が全員に使えるわけじゃないですが、宿泊事業者さんとか観光施設さんであれば複数の制度を組み合わせることは十分できます。
これが令和8年度に動いている県の目玉制度ですね。正式名称は「山形県インバウンド受入環境整備支援事業費補助金」で、2026年4月17日から6月30日まで申請を受け付けています。
そうです。申請を急いだ方がいいですよ。予算に上限があって、達したら終了なので。上限に達した場合は6月30日前でも受付を終了します。
山形県内の観光事業者等で、具体的には宿泊事業者、飲食事業者、観光立寄施設(市町村管理を除く)、観光協会やDMO・DMCが対象です。
「観光立寄施設」って具体的にはどういう施設ですか?
たとえば土産物屋さんとか、体験施設とか、観光客が立ち寄るような施設ですね。道の駅みたいなところも入ってくる場合があります。ただ市町村が管理する施設は対象外になってます。
多言語化が一番使われていますね。案内表示や自社ウェブサイトの多言語化、自動翻訳機の導入、それからキャッシュレス決済の対応費用も対象です。あとはワーケーション対応の環境整備とか、外国人材を受け入れるための宿舎整備なども入ります。
補助率1/2で上限100万円ということは、200万円の整備をしたら100万円もらえるって感じですか?
その通りです。自己負担は半分で済みます。申請窓口はⒶとⒷで別々で、インバウンド受入環境整備の方は運営事務局が山形市城南町1-1-1 霞城セントラル1階の山形県観光物産協会内にあって、電話番号は023-647-2333です。
山形県インバウンド受入環境整備支援事業費補助金 申請ポイント
- 対象: 県内宿泊・飲食・観光施設・DMO等
- 補助率: 対象経費の1/2以内
- 上限: 1事業者あたり100万円
- 申請期間: 2026年4月17日から6月30日まで(予算上限達成次第終了)
- 窓口: 山形県観光物産協会内 運営事務局(TEL: 023-647-2333)
さっきの表にアクセシブルツーリズムっていうのもありましたけど、これは何ですか?
高齢者とか障がいのある方、車椅子の方なども含めて、誰でも旅行を楽しめるようにしようという取り組みのことです。ユニバーサルツーリズムとも言いますね。
大ありです。海外では障がいを持つ旅行者の比率が高かったり、高齢者の旅行者も多いですよね。バリアフリー対応は外国人旅行者の満足度に直結します。
2026年度の制度では、貸出用車椅子とか折り畳み式スロープ、電動ベッド、浴槽用手すり、おむつ交換台などの備品購入が対象です。上限は1事業者あたり50万円、補助率は1/2です。
2026年度から施設改修は対象外になったって書いてましたよね?
そうなんです。令和7年度まで対象だった「施設改修」での申請が今年度から不可になっています。施設改修をやりたい場合は、観光庁の別の補助事業を使ってください、という案内になっています。
こちらはⒷですが、申請窓口が違って山形県観光文化スポーツ部の国際観光・高付加価値創出課観光振興係に直接送付します。電話は023-630-2372です。
申請フロー図 - インバウンド対応補助金を活用するステップ
国の制度の方も教えてください。特に宿泊施設が使えそうなやつを。
宿泊施設向けだと、観光庁の「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金」というのが2つあります。バリアフリー分野とストレスフリー分野に分かれてるんですね。
ストレスフリー分野の
詳細はこちらで確認できます。外国人旅行者がストレスなく過ごせるための環境整備を支援していて、多言語対応の翻訳タブレット・多言語表示、Wi-Fi環境整備、キャッシュレス決済導入などが対象です。補助率は1/3で上限が150万円と、バリアフリー分野より小ぶりな印象ですが、取り組みやすい内容です。
内容が別々であれば両方申請できますよ。宿泊施設なら、バリアフリー改修でまとまった額を取りつつ、キャッシュレス導入でストレスフリー分野も取る、という使い方が効率的です。
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金は「交付決定前に発注・設置したものは対象外」です。必ず交付決定後に発注してください。先走って工事や機器購入をした後で申請しても補助が受けられません。
山形県って日本酒が有名ですよね。酒蔵ツーリズムみたいなことで使える補助金はありますか?
ありますよ! これが山形ならではの活用法だと思いますが、国税庁の「酒類業振興支援事業費補助金」が使えます。山形は東北の中でも酒蔵が多いので、この制度との相性はいいですね。
海外展開支援枠の中に「インバウンドによる海外需要の開拓」という目的が明示されているんです。酒蔵の観光化、外国人向けの試飲ツアー造成、訪日外国人に向けた情報発信なんかが対象になります。
海外展開支援枠は補助率1/2で上限1,000万円(複数の酒蔵が6者以上でグループ申請すれば最大1,500万円)。令和8年度の1期は2026年2月で締め切りになっていて、
詳細ページから最新の公募情報を確認できます。2期、3期も毎年あるので継続的にチェックしてください。
そうなんです。山形の酒蔵って横のつながりが強いので、「山形の酒蔵連合でインバウンドツアー」みたいなかたちで申請すると、より大きな補助が取れます(笑)。
観光庁の「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」というのがあります。
詳細はこちらで確認できますが、新創出型・品質向上型・ガストロノミー型の3つの枠があって、山形の食文化や自然資源を活かしたインバウンド向け体験コンテンツを造りたい事業者にぴったりです。
ガストロノミーって食の観光ですよね。芋煮とかいも煮ツアーとかにも使えそう(笑)。
そういうことです(笑)。山形の食文化を体感できる観光コンテンツの造成が、ガストロノミー型の補助金に当てはまります。品質向上型は上限が400万円を超えた部分への補助率1/2で事業費4,200万円まで対象になるので、本格的なコンテンツ開発にも使えます。
磐梯朝日国立公園が一部かかっています。環境省の「国立公園等資源整備事業費補助金」という制度で、多言語の案内板整備や、ビジターセンターの展示の多言語化を支援しています。
2/3以内なので、
かなり手厚いです。案内板やデジタルサイネージ、ビジターセンターの展示を外国人目線でわかりやすく整備する費用が対象で、大規模な整備にも対応できます。
詳細はこちらから確認できます。
スポーツエンターテインメントやスポーツコンテンツの海外展開を支援する経産省の補助金があります。
スポーツコンテンツ海外展開支援事業ですね。山形にはサッカーのモンテディオ山形があるので、海外ファン獲得やインバウンド観戦客の誘致という文脈で使える可能性があります。
コンソーシアム形式での申請もできるので、スタジアムや観光地と連携した取り組みで申請するのもありかと思います。
結局どの補助金をどのタイミングで使えばいいか、整理してもらえますか?
規模感で考えるといいと思います。まず自分の投資予算がどのくらいかを確認してください。
「同じ内容で二つの補助金をもらう」のはNGです。たとえば翻訳タブレット購入の費用を山形県の補助金と国の補助金の両方に申請するのは不可。ただし用途が違えば両方使えます。翻訳タブレットを山形県で申請しつつ、Wi-Fi整備は国の制度で申請、みたいなかたちですね。
そうです。ここを混同する事業者さんが多いので要注意です。
補助金横断比較
| 補助金名 | 補助率 | 上限額 | 申請の難易度 | 山形適合度 |
|---|
| 山形県インバウンド受入環境整備 | 1/2 | 100万円 | 低 | ★★★ |
| 山形県アクセシブルツーリズム | 1/2 | 50万円 | 低 | ★★★ |
| 訪日受入バリアフリー分野(観光庁) | 1/2 | 500万円 | 中 | ★★ |
| 訪日受入ストレスフリー分野(観光庁) | 1/3 | 150万円 | 低〜中 | ★★ |
| 酒類業振興(海外展開枠) | 1/2 | 1,500万円 | 高 | ★★★ |
| 観光コンテンツ造成(観光庁) | 定額+1/2 | 〜2,100万円 | 高 | ★★ |
| 国立公園多言語整備(環境省) | 2/3 | 大規模対応 | 高 | ★ |
| スポーツコンテンツ海外展開 | 定額 | 1.7億円 | 高 | ★ |
一番多い失敗パターンは「交付決定前に発注した」ですね。補助金ってほとんどの制度で、採択・交付決定の後に発注しないといけないんですよ。先に工事を始めたり機器を買ったりすると、たとえ採択されても補助の対象外になります。
そうです。「補助金をもらってから設備を入れる」のが正しい順番です。「設備を入れて後から申請する」はNGです。
国の補助金の場合、jGrantsというシステムを使うものがあって、その場合はGビズIDが必要です。GビズIDの取得には1〜2週間かかることがあるので、申請を考えている場合は先に取得しておいてください。山形県独自の補助金は別途申請書類を提出する形なので、GビズIDが不要な場合もありますが、確認してから動くのが安全です。
県独自の補助金は、予算総枠があって先着式に近い形なので早めに出した方がいいです。国の制度は審査型が多く、観光コンテンツ造成事業の新創出型は350〜400件採択を想定していますが、応募が集中する時期は競争になります。
県の補助金は比較的シンプルです。国の大型補助金になると、事業計画書をしっかり書く必要があって、そこが正直大変です。採択されるためには「なぜインバウンド対応が必要か」「どういう効果が見込めるか」を説得力を持って書くことが求められます。書き方が弱いと落ちます。
大型案件は絶対にその方がいいですよ。山形県商工会議所とか県内の認定支援機関、中小企業診断士などに相談すると、計画書の精度が上がります。報酬はかかりますが、採択確率を上げるための先行投資だと思ってください。
- 交付決定前の発注・購入は対象外
- 同じ事業内容を複数の補助金に重複申請はNG
- 申請書類に不備があると受理されない場合がある
- 予算上限達成で締め切り前でも終了するケースあり(山形県独自補助金)
今日のお話をまとめると、山形県のインバウンド対応補助金はどこから手をつければいいですか?
まず山形県独自の「インバウンド受入環境整備支援事業費補助金」ですね。申請が2026年6月30日まで動いていて、手続きも比較的シンプルです。県内の宿泊・飲食・観光施設であれば、多言語化やキャッシュレス対応の費用に使えます。
そうです。県の補助金を使いつつ、バリアフリー改修や大型設備投資には観光庁の制度を組み合わせる。酒蔵であれば酒類補助金も。山形の観光コンテンツを国際的にPRしたいなら観光需要分散の補助金も選択肢に入ります。
インバウンド対応は「コスト」じゃなくて「投資」として考えた方がいいですね。
まさにそうです。訪日外国人旅行者の平均消費額は国内旅行者より高いケースが多いので、整備した分は確実に回収できます。ただし整備しないと土俵にも立てないので、補助金を活用して一歩踏み出してほしいですね。
山形県内の関連補助金の一覧は
山形県の補助金ページでも確認できますので、あわせてチェックしてみてください。