NPO・団体向け補助金の2つのルート
NPO法人でも補助金って使えるんですか?「企業向けでしょ」みたいなイメージがあって。
使えますよ!ただ、NPOや非営利団体の補助金への関わり方って、企業と少し違うんですよね。大きく2つのルートがあって、まず「受給者として直接もらう」パターン。これが一般的なイメージの補助金ですよね。
「執行機関として補助事業を運営する」ルートです。農林水産省や環境省、経済産業省の大型補助金では、業界団体や一般社団法人が事業全体を取りまとめる「執行団体」として公募に参加するケースが多いんです。これが意外と知られていない。
たとえば農林水産省の食品輸出促進補助金では、認定品目団体が幹事として複数企業をまとめて申請する形になります。補助金の「受け手」じゃなくて「配り手・管理者」みたいな役割ですね。金額が数十億円規模になることもある。
それはすごい規模ですね(笑)。でも事務も大変そう…。
そうなんですよ。精算報告・会計管理・構成員への再分配と、事務量が半端ない。だから採択される前から事務局体制の設計が必須です。「採択されてから考えよう」だと、採択後に慌てることになる。
まず、NPO法人が直接もらえる補助金から教えてください。
受給者ルートで代表的なのが、各省庁が実施する活動支援型の補助金ですね。たとえば総務省の「AKATSUKIプロジェクト」は上限3,000万円で、NPO法人も応募可能なんですよ。
正式名称は「地方の若手人材発掘育成支援事業費補助金」です。地域でIT・起業家人材を育成するプログラムを立ち上げる事業者を支援するもので、人件費・委託費に2/3、開発支援費には10/10の補助率。NPO法人や一般社団法人も対象です。
詳しくはこちらで確認できます。
3,000万円の補助で人材育成プログラムが組めるわけですか。それは大きい!
地域の若手育成に取り組むNPOには向いてますね。あとは環境系だと「地域における地球温暖化防止活動促進事業」。温対法に基づいて指定された推進センターが実施する脱炭素推進事業に対して補助率5/10で支援されます。
詳細はこちら。
でも、これって「推進センターに指定された団体」が対象ですよね?
そうなんです。都道府県知事や市町村長から「地域地球温暖化防止活動推進センター」として指定されている必要がある。環境活動系NPOは自治体との関係を深めておくと、こういった制度につながりやすい。
本当にそう。NPO補助金の多くは、行政との協働実績や推薦状が加点要素になりますから。
- NPO法人・一般社団法人・公益財団法人・業界団体では応募できる補助金の範囲が異なる
- 公募要領の「対象者」欄で自団体の法人格が明示的に含まれているか必ず確認
- 活動実績(年数・収支)の要件があるものが多い
- 自治体との事前協議が必要なケースも(地球温暖化防止関連等)
もう一方の執行機関ルートはどんな補助金があるんですか?
これが規模感がまったく違って。たとえば農林水産省の「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業」は、事業全体で最大約55億4千万円規模です。認定品目団体が幹事として補助事業者に応募する形ですね。
55億って!ふつうのNPO法人では関係ない規模では(笑)
まあ食品輸出業界の団体向けですからね(笑)。ただ、規模は小さくても同じ「執行団体公募」の構造をとる補助金は他にもたくさんある。スマート保安の実証支援補助金(上限1億円)もそうで、採択された執行団体を通じて個別の技術実証プロジェクトが支援される仕組みです。
詳細はこちら。
1億円を受け取って、さらに他の企業に配るということ?
そうです。だから会計管理の負担が重い。領収書管理・精算書類・構成員への再分配と、採択後の事務コストを計算した上で応募を判断する必要があります。資金規模は大きくても、管理コストを引いたらどうか、という視点が大事。
そうなんですよ(笑)。ただ、業界団体や一般社団法人にとっては収益事業の機会でもある。フュージョンエネルギー補助金みたいに3年間・総額600億円プロジェクトの執行を担える団体なら、組織の規模拡大にも使えますよ。
詳細はこちら。
知的財産の外国出願支援補助金がそうですね。発明推進協会が実施する「中小企業等海外展開支援事業費補助金」は、NPO法人を含む中小企業・大学・公的研究機関が対象で、外国特許庁への出願費用の1/2(上限150万円)を補助します。
福祉・医療・環境系NPOで独自技術を開発しているケースはありますよ。障害者向けの補助具とかリハビリ器具とか。そういった技術の海外展開を検討している団体には使える制度です。
詳細はこちら。
大学も対象に含まれているのが特徴で、大学等は1法人あたりの上限額制限がないんですよ。産学連携でNPOが関わるプロジェクトでも応用できる。
- 日本国特許庁への出願済みであることが前提
- 医療法人は対象外
- 申請はjGrantsまたは郵送(制度によって異なる)
- 都道府県の産業支援財団が窓口になるケースが多い
環境省系は充実してますね。資源循環高度化設備導入補助事業の「バリューチェーン型」は、プラスチックリサイクル・太陽光パネルリサイクル・リチウム電池リサイクルなど複数の枠があって、それぞれ最大17億円という規模です。
そうです。環境系団体が幹事として企業をまとめてコンソーシアム申請する形が主流ですね。省CO2型プラスチック高度リサイクル設備の導入(
詳細)、太陽光パネルリサイクル設備(
詳細)、リチウム蓄電池リサイクル設備(
詳細)と枠が分かれています。
難しいというか、準備期間が長い。構成員の選定と費用按分の取り決めを事前に固めておかないと、申請段階で調整コストが爆発します。「一緒にやりましょう」で声がけしてから本申請まで半年以上かかることも普通にある。
そうです。公募発表を見てから動くんじゃなくて、コンソーシアムのパートナーを日頃から見つけておく。農林水産省の食品産業プラスチック資源循環対策事業も、補助総額4,000万円で調査・実証を行う事業者を公募していますよ。
詳細はこちら。
鉄道事業者向けに省CO2化設備整備補助金もあります。環境省が一般社団法人を通じて実施するもので、鉄軌道の車両省エネ化や回生電力活用設備に補助が出る。NPOじゃなくて鉄道事業者向けですが、脱炭素テーマで自治体や鉄道会社と連携するNPOが採択プロセスに関わるケースはありますよ。
詳細はこちら。
| 補助金名 | 主な対象 | 補助上限 | 補助率 | ルート |
|---|
| AKATSUKIプロジェクト | NPO・一般社団法人等 | 3,000万円 | 人件費2/3、開発支援10/10 | 受給者 |
| 地球温暖化防止活動促進事業 | 指定推進センター | 非公開 | 5/10 | 受給者 |
| 食品輸出促進緊急対策事業 | 認定品目団体 | 約55億円 | 公募要領参照 | 執行機関 |
| フュージョンエネルギー補助金 | 一般社団法人等 | 約600億円 | 10/10 | 執行機関 |
| スマート保安実証補助金 | 団体等 | 1億円 | 10/10 | 執行機関 |
| 外国出願支援補助金 | NPO・中小企業等 | 150万円/案件 | 1/2 | 受給者 |
| 資源循環高度化補助(各枠) | 業界団体等 | 17億円 | 中小1/2・大企業1/3 | 執行機関 |
| 食品プラスチック循環対策事業 | 業界団体等 | 4,000万円 | 定額(10/10) | 執行機関 |
NPO・団体の補助金申請ステップ
一番大事なのは「役割を先に決める」ことです。受給者として申請するのか、執行機関として応募するのか。この判断が間違うと、申請書を半分書いたところで「うちは対象外だった」となる(笑)
公募要領の「補助事業者の要件」欄を真っ先に確認する。「執行団体公募」「間接補助」「事業管理法人」などの文言があったら、執行機関ルートです。こちらは精算・報告義務がかなり重い。
最低でも、専任の経理担当と公募事務担当を分けておきたい。大型補助金だと、領収書の保管方法・外部委託の管理・補助対象外経費の区分けを間違えると返還命令が出ますから。
ほんとに。採択後に「これは補助対象外経費だった」となって、数百万単位で返還要求が来るケースがある。だから申請前の段階で、補助対象経費の定義を公募要領でしっかり確認する。あと「後払い」なんですよ、多くの補助金は。先に立て替えて、後から精算してもらう仕組みなので、資金繰りが苦しいNPOは要注意。
後払いですか!NPOって資金が少ない団体も多いのに。
そうなんです。概算払いが認められているケースもありますが、原則は後払い。立て替え分の資金調達方法も事前に考えておく必要があります。銀行の短期融資や社会福祉協議会の貸付なども選択肢です。
1自団体の法人格と活動分野を整理する(NPO法人・一般社団法人・公益財団法人で対象が異なる)
2「受給者」か「執行機関」か、関わり方を先に決める
3jGrantsに団体登録しておく(GビズIDも事前取得推奨)
4公募要領の「補助対象者」「補助対象経費」を熟読する
5事務局体制(経理・事務担当)を採択前から設計する
7申請書の提出先(jGrants・省庁HP・郵送)を確認して期限に余裕を持って提出
そうなんですよ。受給者ルートと執行機関ルートを間違えないこと、これが第一歩。あとは法人格と活動分野で絞り込めば、自団体に合った補助金が見えてくる。
執行機関ルートはそもそも公募件数が少ないので、競合も限られる。受給者ルートは活動実績と計画の具体性が審査される。「どんな社会課題を解決するか」「費用対効果はどうか」をロジカルに書けるNPOが強い。
運営費の確保も大変なNPOにとって、補助金は貴重な財源ですよね。
そうです。ただ補助金は単年度・競争型が多いので、複数年の財源計画の中で位置づけることが大事ですね。補助金が終わった後、事業を継続できるかという観点も含めて申請書に書くと評価されます。
持続可能な運営につなげる視点が大事なんですね。今日はありがとうございました!
ありがとうございました。都道府県ごとに独自の助成金もあるので、
都道府県別の補助金一覧も合わせて確認してみてください。NPO向けの地域密着型支援が見つかることもありますよ。