室谷さん、よくトンネルに入ると携帯が圏外になるじゃないですか。あれって、安全面でも問題だと思うんですが、国として対策してるんですか?
佐藤さん、まさにその通りです。実は総務省が「電波遮へい対策事業(トンネル)」という補助金を出していて、トンネル内に通信設備を整備する費用の一部を国が負担してくれるんですよ。
えっ、そんな補助金があるんですか!知らなかった。でも、トンネルって道路管理者や鉄道会社がやることじゃないんですか?
そうなんですけど、民間単独だと費用が莫大で回収が難しいんです。そこで国が補助率1/2、1/3、5/12の3段階で費用を負担する仕組み。特に非常時の通信手段確保という公共安全目的が重視されてます。
なるほど!災害時にトンネル内で携帯が繋がらないと本当に怖いですからね。具体的にどんな事業者が対象になるんですか?
申請できるのは「一般社団法人等」に限られます。携帯電話事業者、鉄道事業者、道路管理者が連携して設立した一般社団法人や、既存の電気通信事業者団体などですね。個人や普通の株式会社が単独で申請するのは難しいんです。
えーっ、じゃあ我々個人事業主は関係ないってことですか?それは残念!
いえいえ、佐藤さん。正確に言うと、情報通信業が対象業種なんです。ただ、実際に申請するのはトンネルを管理する事業者や通信事業者が主体になります。対象トンネルは、鉄道トンネルまたは道路トンネルで、電波が遮へいされて無線通信が困難な状態にあると客観的に証明できるものだけです。
なるほど、電波測定調査が必要ってことですね。うちの近所のトンネル、いつも圏外なんですけど、申請できるんですかね?
まずは総務省総合通信基盤局に事前相談が必要です。そこで電波遮へい状況を確認してもらい、制度適用の可否を判断してもらいます。手間はかかりますが、その分しっかりした制度ですよ。
気になるのはお金の話です!補助率が3種類もあるんですか?どうやって決まるんですか?
そうなんです。1/2、1/3、5/12の3段階。整備するトンネルの種別(道路か鉄道か)や、単独で整備するか複数事業者で共同整備するかなどによって変わります。
5/12って中途半端な数字ですね(笑)。1/2と1/3の真ん中って感じですか?
そのイメージで合ってます。複数の費用区分が混在する整備に適用されるケースがあります。例えば、道路トンネルだと補助率1/2、鉄道トンネルだと1/3が基本ですが、共同整備だとまた変わる可能性があるんです。
ということは、一概に「このトンネルはこの補助率」とは言えないんですね。自分のケースではどうなるか、事前に確認が必要ってことか。
その通りです。必ず総務省総合通信基盤局に問い合わせてください。申請前に適用補助率を確認してもらうのが鉄則です。問い合わせ先は03-5253-5894(総務省総合通信基盤局電波部移動通信課 第一業務係)。
上限額はどれくらいなんですか?総事業費が億単位になりそうですけど。
jGrantsの情報では補助上限は**「-」**と記載されており、明確な上限額は公表されていません。ただし、総事業費に対して補助率を掛けた金額が補助額になります。道路トンネルなら総事業費の半分、鉄道トンネルなら3分の1というイメージですね。
上限がないって、逆にすごくないですか?予算が続く限り申請できるってことですかね。
いや、もちろん予算には限りがありますから、採択されるかどうかは別問題です。ただし、この制度は2020年3月31日から2027年3月31日まで募集していますから、長期的な事業計画を立てやすいですね。
制度の3大ポイント補助率は最大1/2
道路トンネルで1/2、鉄道トンネルで1/3。状況に応じて5/12も適用。
申請主体は一般社団法人
通信事業者・鉄道事業者・道路管理者の連携体が対象。単独申請は不可。
全国どこでも対象
対象地域は全国。ただし電波遮へい状況の客観的証明が必要。
対象者は「一般社団法人等」って言ってましたけど、具体的にどんな法人が該当するんですか?普通の株式会社ではダメなの?
まず結論から言うと、株式会社や合同会社などの営利法人が単独で申請することはできません。通信事業者が申請したい場合は、コンソーシアムを組んで一般社団法人を新たに設立するか、既存の業界団体を通じて申請する形が一般的です。
えっ!じゃあドコモとかauが直接申請できないってこと?それは驚き。
そうなんです。具体的には、携帯電話事業者・鉄道事業者・道路管理者などが連携して設立した一般社団法人、または既存の電気通信事業者団体等が対象です。例えば「移動通信基盤整備協会」のような団体が実際に申請しています。
なるほど。鉄道会社と通信会社が一緒に法人を作って申請するイメージですね。でも、それって結構ハードル高くないですか?
そうですね。法人格の整備には時間とコストがかかります。ですから、申請を考えている事業者は早めに準備を始めることが重要です。事前相談から採択まで数ヶ月かかることも珍しくありません。
確かに、急に「来月から申請しよう」とはいきませんね。計画的に動く必要があると。
ありがたいことに、従業員数の制約はありません。中小企業でも大企業でも、同じ条件で申請できます。ただし、実際に整備できる規模の事業体であることが求められます。
人数の縛りがないのは助かりますね。でも、実際に申請するとなると、専門知識を持った人材が必要そうです。
そうです。電波測定調査や事業計画書の作成など、専門的な知識が必要です。通信事業者やコンサルタントと連携するのが一般的ですね。
対象者の条件まとめ- 一般社団法人等
- 携帯電話事業者・鉄道事業者・道路管理者の連携体
- 既存の電気通信事業者団体
- 情報通信業に該当する事業体
- 個人事業主
- 株式会社・合同会社(単独)
- 情報通信業以外の業種
- 従業員数に関係なく対象外となる場合あり
気を付けておかないといけないのは、補助金って「対象になる経費」と「ならない経費」があることですよね。具体的に教えてください。
もちろんです。まず大きなカテゴリーとしては、無線通信用施設・設備設置費、工事費、設計・調査費、機器購入費、試験・検査費に分かれます。
具体的に言うと、漏洩同軸ケーブル(LCX)費、中継局・小型基地局装置費、アンテナ設備費、光ファイバー等代替伝送路設備費。それにトンネル内配線工事費、電気工事費、設備設置に直接関連する土木工事費。あとは電波伝搬調査・電波測定費、施工設計費、技術検討・調査費なども対象です。
結構幅広いんですね。機器だけじゃなくて、工事費や調査費まで対象になるのは嬉しいです。
ただし、対象外になる経費もあるので注意が必要です。例えば、補助対象施設・設備と無関係な一般的な事務所運営費・管理費、既存設備の通常維持管理費・修繕費(補助事業完了後の運用コスト)、補助対象施設・設備の撤去・移転に係る費用、土地取得費・建物取得費(トンネル本体の建設・改修費)は対象外です。
なるほど。あくまで「新しく設備を整備する費用」に限られるんですね。維持管理費は別途考える必要があると。
その通り。消費税も対象外です(課税仕入れに係り仕入税額控除が可能なもの)。また、補助事業と直接関係のない広報費やPR費用も含まれません。
対象経費 vs 対象外経費- 漏洩同軸ケーブル(LCX)費
- 中継局・小型基地局装置費
- アンテナ設備費
- 光ファイバー等代替伝送路設備費
- トンネル内配線工事費
- 電波伝搬調査・電波測定費
- 電源設備・バックアップ電源費
×デメリット
- 一般的な事務所運営費・管理費
- 既存設備の通常維持管理費・修繕費
- 補助対象施設・設備の撤去・移転費
- 土地取得費・建物取得費
- 消費税(仕入税額控除可能分)
- 補助事業と関係ない広報費・PR費用
申請の流れを具体的に教えてください。何から始めればいいですか?
まず最初は、総務省総合通信基盤局への事前相談です。ここで電波遮へい状況の確認と制度適用の可否を判断してもらいます。「このトンネルは対象になるのか?」という問い合わせを先にしないと、後の作業が無駄になります。
なるほど。でも、事前相談って電話一本で済むんですか?
いいえ、ある程度の準備が必要です。対象トンネルの特定、電波遮へい状況の簡単な説明、事業計画の概要などをまとめて持ち込むのが望ましいです。その後、本格的な電波測定調査を実施し、客観的なデータを取得します。
そうです。電波伝搬調査・電波測定費は補助対象経費に含まれていますから、調査会社に依頼するのが一般的です。このデータが後の申請で非常に重要になります。
主なものとしては、交付申請書、事業計画書、収支予算書、見積書、測定データ、登記事項証明書、関係機関との協定書などです。特に協定書は、鉄道事業者や道路管理者、自治体との連携体制を示す重要な書類です。
書類が多いですね!でも、しっかり準備すれば採択の可能性が上がるってことですね。
書類を提出したら、総務省で審査が行われます。審査を通過すると採択通知が届き、その後交付決定となります。交付決定後、いよいよ事業実施(設備設計・施工)に入ります。
その通り。事業完了後、実績報告書を提出し、補助金の精算が行われます。通信品質確認試験費や電波測定(完了検査)費も対象経費ですから、忘れずに計上しましょう。
補助金申請の流れ- 1
①事前相談
総務省総合通信基盤局に連絡。電波遮へい状況と制度適用可否を確認。
- 2
②電波測定調査
専門業者に依頼し、客観的な遮へいデータを取得。
- 3
③事業計画書作成
測定データ・収支予算・協定書など必要書類を準備。
- 4
④申請書提出
公募期間中にjGrantsから電子申請。書類一式を提出。
- 5
- 6
- 7
⑦実績報告・精算
完了後、実績報告書を提出。補助金が交付される。
せっかく申請するなら、採択率を上げたいですよね。ポイントを教えてください。
採択のコツは5つあります。一つ目は、電波遮へい状況の客観的データを充実させること。測定結果はもちろん、どの程度の不便が生じているかも具体的に示すと良いです。
二つ目は、利用者数・非常時リスク等の公共必要性を定量的に示すこと。一日あたりの通行量や、災害時の代替ルートとしての重要性などを数字で裏付けます。
確かに、利用者が少ないトンネルより、多くの人が使うトンネルの方が優先されそうです。
三つ目は、整備後の通信品質達成見込みを技術的根拠で説明すること。単に「繋がるようにします」ではなく、具体的な技術仕様や設計根拠を示す必要があります。
その通り。四つ目は、関係機関(鉄道事業者・道路管理者・自治体)との連携体制を書面で示すこと。協定書は必須です。五つ目は、補助事業完了後の維持管理・運営継続計画を具体的に記載すること。整備して終わりではなく、その後も維持していく計画が必要です。
特に「非常時通信手段確保」の観点を前面に出した計画書は評価が高くなる傾向があります。防災・減災の観点は、この補助金の根幹ですからね。
ここまで聞いて、まだいくつか疑問が残ってます。例えば、複数の補助金を併用できるのか?
いい質問です。複数申請は可能です。ただし、同一経費への国庫補助の重複受給は原則禁止なので、補助対象経費の区分を明確にした上で各窓口に事前確認することが必要です。
例えば、総務省の「携帯電話等エリア整備事業」(過疎地域等向け)や、国土交通省のトンネル整備関連補助金(道路管理者向け)、地方自治体の情報通信基盤整備補助などとの組み合わせが考えられます。ただし、必ず各窓口に事前確認してください。
自治体の補助金と組み合わせられるケースもあるんですね。
この事業、いつまで申請できるんですか?後継制度はあるんですか?
jGrantsの基本情報では、募集期間は2020年3月31日から2027年3月31日までとなっています。現行制度はかなり長期にわたって継続しているので、安心して計画を立てられます。ただし、予算が尽き次第終了する可能性もありますので、早めの相談をおすすめします。
2027年まであと数年ありますね。でも、予算が有限なら、早い者勝ちの要素もあるってことか。
最後に、この制度の基本情報を一覧で教えてください。
よくわかりました!これで申請のイメージがつかめました。
ぜひ、お近くのトンネルで電波遮へいにお困りの方がいれば、この制度を思い出してくださいね。事前相談は無料ですから、気軽に総務省に問い合わせてみるのが一番です。
読者の方が疑問に思う点をまとめてQ&Aにしておきましょう。
そうですね。実際によく聞かれる質問をいくつかご紹介します。
まず、一番多い質問は「自分は申請できるのか」という点だと思います。
はい。申請主体は「一般社団法人等」に限定されています。携帯電話事業者・鉄道事業者・道路管理者等が連携して設立した一般社団法人や、既存の電気通信事業者団体等が対象です。個人・株式会社・合同会社等の営利法人が単独で申請することはできません。
補助率の区分は、整備するトンネルの種別や整備形態、実施主体の構成によって異なります。一般的には、道路トンネルと鉄道トンネルで区分が設けられており、単独整備か共同整備かでも変わります。5/12という補助率は1/2と1/3の中間に位置し、複数の費用区分が混在する整備に適用されるケースがあります。
どんなトンネルでも対象になるわけではないんですよね?
その通りです。対象となるのは、電波遮へいにより携帯電話等の無線通信が困難な状態にある鉄道トンネルまたは道路トンネルであり、電波測定調査によって遮へい状況を客観的に示す必要があります。整備後に一定の通信品質を達成できる見込みであることも要件となります。
複数申請は可能です。ただし、同一経費への国庫補助の重複受給は原則禁止です。各トンネルごとに事業計画を立て、補助対象経費の区分を明確にする必要があります。また、地方自治体の補助制度との組み合わせは認められるケースがあります。
公募期間は2020年3月31日から2027年3月31日までです。ただし、予算がなくなり次第終了します。また、事前相談から採択まで数ヶ月を要するため、工事時期を逆算した早めの着手が必要です。まずは総務省総合通信基盤局に問い合わせてみることをおすすめします。
最後に、これだけは気をつけてほしいというポイントはありますか?
はい。補助事業完了後の維持管理・運営継続計画を必ず作成してください。整備して終わりではなく、その後も継続的に運用していく計画が必要です。この点が不十分だと、採択されにくくなります。