室谷さん、今回の補助金、ちょっと衝撃受けてるんですけど…何しろ上限が15億円って!
そうなんですよ(笑)。僕も最初見たとき「桁間違いじゃない?」って思いました。でも本当に15億円(正確には150,000万円)です。しかも後年度分含めた総額で、1事業者あたりですからね。
ちょっと待ってください。普通の補助金っていうと数百万から多くても数千万円のイメージなんですけど、なんでこんなにデカいんですか?
それは対象がバリューチェーン全体のScope3、つまりサプライチェーン全体のCO2削減だから。大企業が取引先と連携して設備投資するわけで、規模が大きくなりがちなんです。だから予算もでかい。
なるほど!でも「Scope3」って言葉、聞いたことはあるけど正直よく分かってない部分もあって…。
じゃあそこから整理しましょう。Scope3ってのは、自社の直接排出(Scope1)や電気の使用(Scope2)以外の、調達・物流・製品使用などバリューチェーン全体の排出量を指します。今回の補助金、まさにそのScope3削減を企業間連携で後押しするんです。
つまり「うちだけ頑張ってもダメ、取引先も一緒にやろう」ってことですね。
その通り。しかもこの事業、環境省が本気で予算つけてます。予算額は令和8年度単年度で15億円、3年間で総額50億円の国庫債務負担を組んでるんですよ。
まず対象者、めちゃめちゃ幅広いですよね。個人事業主もいけますか?
はい、個人事業主も含めて民間企業なら基本的にOKです。ほかにも独立行政法人や大学法人、医療法人、社会福祉法人、協同組合、一般財団法人まで本当にいろんな法人が申請できます。
地方公共団体は、民間企業などとの共同申請で、かつ建物を共同所有する場合に限られます。メインはあくまで民間企業ですね。
ありません!「従業員数の制約なし」と明記されてます。大企業でも中小企業でもOK。むしろこの補助金の肝は「企業間連携」で、代表企業がバリューチェーンを構成する連携企業と組むことです。大企業が代表になり、中小の取引先を巻き込む形が典型的です。
じゃあ「うちは小さいから無理」ってことはないんですね。でも連携企業って具体的に何人必要なんですか?
ここ大事です。代表企業が大企業の場合は連携企業が2者以上、中堅・中小企業の場合は1者以上と合意が必要です。しかも代表企業は「GX率先実行宣言」を行っていることが要件になってます。環境省のPDFにそう書いてありました。
へえー、GX宣言しないとダメなんですね。でもそれは企業として脱炭素に本気だという意思表示ってところか。
そう。そしてもう一つ、代表企業のScope3削減目標を踏まえて、連携企業のCO2排出量削減について両者で合意しておく必要があります。単なるお願いベースじゃなく、ちゃんと数値目標を決めるんです。
いよいよお金の話。上限15億円はデカいですが、補助率はどうなってますか?
公募要領を参照と書いてありますが、環境省の資料から具体的な数字が出ています。中小企業の場合は補助率2分の1(1/2)。大企業は原則3分の1(1/3)ですが、「GX率先実行宣言」をしていて、かつ年間3,000トン以上のCO2削減を見込む場合は2分の1に引き上がります。
大企業でも2分の1になる条件があるんだ。それは頑張ったらもっと支援が厚くなるってことですね。
そうです。ただし補助対象は設備導入費全体じゃなくて、現在の設備に対して30%以上の省CO2効果が見込める設備に限られます。さらに、大企業は30%以上、中堅企業は20%以上、中小企業は10%以上の効果が必要です。事業全体で30%という基準はあるものの、企業規模に応じてハードルが違うんです。
いいえ、事業期間は原則3年以内。単年度事業もありますが、複数年度に分けて執行可能です。ただし公募で採択されたら原則として令和8年度中に交付申請して交付決定を受ける必要があります。
つまり令和8年度(2026年度)中にまず申請を通して、その後最長で令和10年度(2028年度)1月31日まで事業できるってことですね。
その読みで合ってます。複数年度にわたる大型設備投資にぴったりです。
大きく4つのカテゴリーがあります。1つ目は「省CO2設備費」で、高効率生産設備や省エネ型空調・照明、再生可能エネルギー設備とかが該当します。
そうです。2つ目は「設備工事費」で、設置工事や配管・配線、既存設備の撤去費。3つ目は「計測・管理システム費」で、CO2排出量計測システムやエネルギーマネジメントシステムなど。4つ目は「調査・計画費」で、省CO2効果の検証調査や導入可能性調査、CO2排出量算定費用などです。
対象経費と対象外経費- 高効率生産設備・省エネ空調・再エネ設備
- 設備工事費(設置・配管・撤去)
- CO2計測システム・エネマネシステム
- 調査・計画費(効果検証・可能性調査)
×デメリット
- 省CO2効果が30%未満の設備
- 土地・建物の取得費用
- 日常的な維持管理費
- 常勤職員の人件費
- 補助事業に直接関係ない一般管理費
- 他の補助金で賄われる経費
- 事業期間外の経費
- 消費税(仕入税額控除対象分)
まず省CO2効果が30%未満の設備はアウト。土地や建物の取得費、日常メンテナンス費、人件費(常勤職員の給与)も対象外です。ほかにも他の補助金と重複する経費や消費税(仕入税額控除対象分)もダメ。あくまで設備投資に特化した補助金ですね。
同一設備に対する他の国庫補助金との重複は不可。でも異なる設備や事業フェーズなら、経産省の省エネ補助金などと組み合わせられる可能性はあります。ただし公募要領で要確認です。
注意点として、採択されたら事業概要や排出量・削減量が環境省から公表されるって書いてありましたよね。
そうです。情報公開は前提として受け入れる必要があります。「うちのデータは絶対出したくない」という企業には向かないですね。
では申請手順を教えてください。何から始めればいいですか?
まず最初に、代表企業が「GビズID」アカウントを取得すること。Jグランツ(デジタル庁の電子申請システム)を使うので、アカウント取得に2週間程度かかることを見越して早めに動きましょう。
次に公募要領をしっかり読むこと。地域循環共生社会連携協会のHPで最新版を確認してください。令和8年度の募集期間は2026年7月28日から2026年11月13日までです。
結構短いですね。約3ヶ月半。準備期間を考えるとかなりタイトかも。
そうなんです。だから今から体制作りを始めるのが吉。代表企業と連携企業の間でScope3削減目標を設定し、設備投資計画を具体化します。このとき、30%以上の省CO2効果を技術的に裏付ける資料が必須。
応募申請書・実施計画書・補助対象経費計算書(Excel様式)などがあります。連携体制やCO2削減見込みを詳細に記載して、Jグランツから提出。やむを得ずメール提出も可能ですが、基本はJグランツ推奨です。
申請後は審査があって採択、その後交付申請ですよね。
はい。採択後に交付申請書やCO2算定方法資料なども提出します。全体の流れを図にまとめました。
採択されるコツってありますか?15億円もらえるとなると倍率も気になりますが。
採択率は公表されていませんが、審査のポイントはいくつかあります。まずScope3削減の定量的効果を明確に示すこと。30%以上という基準を技術的にどうクリアするか、数値で裏付けましょう。
次に代表企業と連携企業の協力体制の具体性。例えば「どの取引先とどういう役割分担で、いつまでに何をするのか」を明確に書く。中小企業への波及効果や事業の持続可能性も評価されます。
あとGX市場創造への貢献もアピールポイントと聞きました。
そうです。環境省はこの補助金を通じて得た情報をCO2削減対策の把握や普及広報に使うと明言しています。単なる設備投資ではなく、業界全体の脱炭素を牽引するストーリーが求められているわけです。
全体のスケジュールを教えてください。令和8年度の公募期間は2026年7月28日~11月13日。事業完了はいつまで?
事業完了期限は2028年1月31日です。複数年度事業の場合、最終年度の1月31日まで。交付決定は令和8年度中に行う必要があります。
じゃあざっくり、2026年夏に応募→秋までに審査・採択→2026年度中に交付決定→その後最長2028年1月まで事業実施、という流れですね。
その通り。ただし予算がなくなり次第受付終了なので、早めの行動が大事。公募開始と同時に動けるよう、事前に連携企業との調整を済ませておくのが理想です。
協会のHPでよくある質問(PDF)が公開されています。例えばScope3の定義や補助上限額、対象設備の具体例などが載っています。まずはそちらを確認するのが早いです。
令和8年度 公募スケジュール2026年7月28日
公募開始
公募要領公開、申請受付開始
2026年11月13日
応募締切
17時必着(Jグランツ)
2026年度中
審査・採択・交付決定
採択後、交付申請へ
2028年1月31日
事業完了期限
単年度・複数年度共通の最終期限
この補助金、小規模事業者持続化補助金と似てる部分もあるんですか?
全然違います(笑)。持続化補助金は上限200万円で、対象は小規模事業者の販路開拓など。一方、Scope3補助金は上限15億円で対象はバリューチェーン全体の大型設備投資。規模も目的も桁違いです。
持続化補助金も連携が評価されますが、あくまで単独事業者の取り組みが中心。こちらは「企業間連携が前提」で、代表企業と取引先が一体となってScope3を削減することが制度の根幹です。補助率や対象経費も全く別物ですね。
Scope3補助金と小規模事業者持続化補助金の比較| 比較項目 | Scope3補助金 | 小規模事業者持続化補助金 |
|---|
| 補助上限 | 15億円 | 200万円 |
| 補助率 | 1/2または1/3 | 2/3(上限あり) |
| 対象経費 | 省CO2設備・工事費など | 広告費・設備費など |
| 連携要件 | 必須(2者以上) | 任意 |
| 目的 | Scope3削減 | 販路開拓・事業承継等 |
やっぱり規模が全く違いますね。でも「持続化補助金も併用できるんですか?」って質問が出そう。
同一設備でなければ可能かもしれませんが、条件は必ず確認してください。ただし本補助金だけで事業が成立する規模感なので、あえて併用しなくてもいいかも。
最後によくある質問をいくつか聞いていきますね。まずScope3って何?ってところ。
企業のサプライチェーン全体のCO2排出量のうち、自社の直接排出(Scope1)とエネルギー使用の間接排出(Scope2)以外のすべて。原材料調達から製品輸送、従業員通勤、製品使用・廃棄まで含みます。取引先を含むバリューチェーン全体の排出が対象です。
補助上限額は何度聞いても15億円。これは固定ですか?
はい、設備導入をする1事業者あたり後年度分含めた総額で15億円。変動しません。
対象設備はどんなもの?省CO2効果30%以上とありますが、基準の具体的な考え方は?
現在の設備と比較して30%以上の省CO2効果が求められます。大企業は30%以上、中堅企業20%以上、中小企業10%以上。事業全体で30%以上満たす必要があります。具体的な設備例は公募要領で確認を。
代表企業がバリューチェーンを構成する複数の連携企業と組むこと。例えば大手メーカーが部品サプライヤー2社と連携して、工場の省エネ設備を導入する。連携企業の設備更新が代表企業のScope3削減に寄与する必要があります。
事業期間は最長3年。でも年度をまたぐ場合って注意点あります?
複数年度事業は交付決定日から最終年度の1月31日まで。単年度事業は交付決定日から令和9年1月31日まで。必ず公募要領で確認してください。
事業概要や排出量・削減量は環境省が原則公表します。その点を了解した上で応募しましょう。
室谷さん、今日は本当に盛りだくさんでした。最後にこの補助金のポイントをまとめてもらえますか?
かいつまんで言うと、この補助金は「バリューチェーン全体でCO2を削りたい企業のための大型投資支援」です。上限15億円、補助率1/2または1/3、対象は30%以上の省CO2効果がある設備。連携企業と組むことが必須で、GX率先実行宣言も必要。公募期間は2026年7月28日~11月13日と限られているので、今から準備を始めましょう。
まさに「大物補助金」ですね。しかも対象業種が全業種に近いのもすごい。
農業から金融、医療、教育まで本当に幅広い。自社のScope3削減に本気で取り組む経営者にとって、これ以上ないチャンスです。ただし情報公開があるので、戦略的に活用したい企業向けです。
ありがとうございました!これから申請を検討される方は、ぜひ協会のHPで公募要領をチェックしてくださいね。
疑問があれば早めに問い合わせを。それではまた次回!