届出

労災保険加入

労働者を1人でも雇用すれば加入必須。建設業は元請が現場単位で加入。建築事業の保険料率は9.5/1,000(令和8年度)。

手数料

保険料 = 請負金額 × 労務費率 × 保険料率

処理期間

届出後、即日〜数日

有効期間

年度更新(毎年7月10日まで)

管轄

労働基準監督署

労災保険加入とは

労働者を1人でも雇用する事業主は加入義務がある。建設業では元請が現場ごとに加入する「有期事業」の仕組みがあり、請負金額×労務費率×保険料率で保険料を算出する。建築事業の保険料率は9.5/1,000、労務費率は23%。

こんな事業者が取得する必要があります

労働者を雇用する全事業主(建設業は元請が現場単位で加入)

以下に当てはまる場合、この届出が必要です

労働者を1人でも雇用している

パート・アルバイトを含め、1人でも労働者を雇用していれば労災保険の加入義務があります。建設業では元請が現場単位で加入します。

一人親方として建設現場で働いている

一人親方(労働者を雇わない個人事業主)は法律上は任意ですが、現場入場のために特別加入が実質必須です。

元請として工事を受注している

元請企業は下請を含む現場全体の労災保険に加入し、保険料を負担する義務があります。工事着工前に手続きが必要です。

ゼネコン・大手の現場に入場する必要がある

大手元請企業は社会保険未加入の作業員の現場入場を認めない方針を徹底しています。労災保険加入は現場入場の前提条件です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録する

CCUS登録時に社会保険加入状況が確認されます。労災保険未加入は登録の支障になります。

高所作業・重機操作など危険を伴う作業がある

建設業は労災発生率が高い業種です。墜落・転落・重機事故等のリスクがある場合、労災保険なしでは高額な治療費・休業損害を自己負担することになります。

申請の流れ

労災保険加入の申請から取得までの流れです。標準処理期間は届出後、即日〜数日です。

1

保険関係成立届の提出

工事開始日から10日以内に、工事現場を管轄する労働基準監督署に提出

2

概算保険料の申告・納付

工事開始日から50日以内に、概算保険料申告書を提出し保険料を納付。都道府県労働局または金融機関で納付

3

加入証明書の受領

労災保険加入証明書を受領。元請として現場掲示や下請への提示に使用

4

工事終了後の確定精算

工事終了から50日以内に確定保険料申告書を提出し、過不足を精算

公式サイトで詳細を確認する

必要書類

申請時に提出が必要な書類の一覧です。事前に揃えておくとスムーズに進みます。

  • 保険関係成立届

    工事開始日から10日以内に労働基準監督署へ提出

  • 概算保険料申告書

    工事開始日から50日以内に提出・納付

  • 労働保険番号通知書

    受領後保管。現場入場時に必要

費用・手数料

申請手数料(公式)

保険料 = 請負金額 × 労務費率 × 保険料率

建築事業: 労務費率23%・保険料率9.5/1,000。舗装工事: 労務費率17%・保険料率9/1,000。道路新設: 労務費率19%・保険料率11/1,000。令和8年度も令和7年度と同率

自分で申請 vs 行政書士に依頼

自分で申請行政書士に依頼
費用保険料のみ(例: 請負金額1,000万円の建築工事なら約21,850円)。届出自体に手数料はかからない社会保険労務士に依頼する場合、年間顧問料3万〜10万円程度。スポット依頼なら1件2万〜5万円
期間届出は工事開始から10日以内、概算保険料納付は50日以内即日〜数日で届出完了

行政書士に依頼するメリット

有期事業・一括有期事業の判断を正確に行える、年度更新の手続きを代行、特別加入(一人親方等)の手続きもカバー

おすすめ

工事件数が少ない場合は自分で対応可能。年間の工事件数が多い場合や一括有期事業の管理が複雑な場合は社労士に依頼するのが効率的

よくある失敗と対策

申請時によくあるミスと、その防ぎ方をまとめました。

1

一人親方なのに労災保険に未加入のまま現場に入ろうとする

結果: 元請企業から現場入場を拒否される。仕事を受けられず収入が途絶える。万が一事故が起きた場合、治療費・休業損害を全額自己負担。

対策: 建設業で独立したら、まず特別加入団体を探して労災保険に加入する。年間数万円の保険料は必要経費と考える。

2

給付基礎日額を最低額(3,500円)に設定して保険料を節約する

結果: 事故で休業した場合の補償が日額2,800円(月額約8.4万円)しかなく、生活が成り立たない。後遺障害が残った場合の年金額も極めて低くなる。

対策: 実際の日収に近い給付基礎日額を選ぶ。最低でも日額7,000〜10,000円を推奨。保険料の差額は月数千円程度。

3

元請なのに労災保険の成立届を出さずに工事を開始する

結果: 事故発生時に「労災かくし」として刑事罰の対象に。100万円以下の罰金(労働安全衛生法第120条)。行政から追徴金(保険料の最大40%)も徴収される。

対策: 工事着工の10日以内に所轄の労働基準監督署に保険関係成立届を提出する。一括有期事業の場合は年度ごとの申告を忘れない。

4

下請の労災事故を元請の労災保険で処理すべきところを、被災者の健康保険で処理してしまう

結果: 「労災かくし」に該当し、労働安全衛生法違反で送検される事例が毎年発生。企業の信用も大きく毀損する。

対策: 建設現場の事故は原則として元請の労災保険で処理する。事故発生時は速やかに労働基準監督署に届出を行う。

無許可営業の罰則

届出を怠った期間中に労災事故が発生した場合、保険給付額の100%(故意)または40%(重過失)が事業主から費用徴収される。届出義務違反は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。保険料を滞納した場合は追徴金(保険料の10%)が課される。

罰則を受けると、今後の許認可取得にも影響が出る場合があります。必ず事前に申請を行いましょう。

よくある質問

Q一人親方は労災保険に加入する義務がありますか?
A

法律上は任意加入です。一人親方は「労働者」ではないため、労災保険の強制適用対象外です。しかし、特別加入制度を利用して任意で加入できます。実務上は、元請企業が現場入場の条件として労災保険加入を求めるため、加入していないと仕事を受けられないのが現実です。

Q労災保険の特別加入はどこで手続きできますか?
A

都道府県の建設業組合・労働組合・一人親方団体などの特別加入団体を通じて申請します。団体への加入費(入会金1,000〜5,000円程度、組合費月額300〜500円程度)と、国に納める労災保険料(年額)が必要です。最短で翌日から加入可能な団体もあります。

Q労災保険料はいくらですか?
A

一人親方の特別加入の場合、給付基礎日額(3,500円〜25,000円の16段階)を自分で選び、日額×365日×保険料率17/1000で計算します。日額10,000円の場合は年額62,050円、日額7,000円なら年額43,435円です。組合費(年間3,600〜6,000円程度)が別途かかります。

Q元請の労災保険料はどう計算しますか?
A

建設業の元請が負担する労災保険料は「請負金額(税抜)×労務費率×保険料率」で算出します。例えば建築事業で請負金額5,000万円の場合、5,000万円×23%×9.5/1000=109,250円です。労務費率・保険料率は事業の種類により異なります。

Q労災保険と民間の傷害保険は何が違いますか?
A

労災保険は国の制度で、治療費は全額補償(自己負担ゼロ)、休業補償は給付基礎日額の80%(特別支給金含む)が支給されます。補償期間に上限がなく、後遺障害にも対応します。民間保険は保険金額に上限があり、保険料も一般的に高くなります。労災保険を基本とし、不足分を民間保険で補うのが合理的です。

Q給付基礎日額はいくらに設定すべきですか?
A

休業補償や障害補償の算定基準になるため、実際の日収に近い額を選ぶのが基本です。日額10,000円なら休業補償は日額8,000円(80%)、月額約24万円です。高く設定すれば補償は手厚くなりますが保険料も高くなります。一般的に日額7,000〜12,000円を選ぶ一人親方が多いです。

Q元請の労災保険で下請の労働者もカバーされますか?
A

はい。建設業の労災保険は「現場単位」で適用されるため、元請が加入する労災保険で、その現場で働く下請・孫請のすべての労働者がカバーされます。ただし、一人親方は労働者ではないため、元請の労災保険ではカバーされません。一人親方自身は特別加入が必要です。

基本情報

根拠法労働者災害補償保険法
対象労働者を雇用する全事業主(建設業は元請が現場単位で加入)
更新
有効期間: 年度更新(毎年7月10日まで)

更新手数料: 確定保険料と翌年度概算保険料を申告・納付

公式サイトを見る

関連法令

労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)が根拠法。労働保険の保険料の徴収等に関する法律で届出義務・保険料納付を規定。建設業は同法第8条の有期事業の特例が適用され、元請が一括して保険関係を成立させる。費用徴収制度は同法第31条に規定。

最終更新: 2026年3月12日

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