令和8年度「スマート保安実証支援事業費補助金(技術実証支援)」(執行団体公募)
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
補助率10/10・上限1億円の全額補助
本補助金は定額補助(補助率10/10)であり、採択されれば実証に係る経費の全額が補助されます。上限額も1億円と大規模で、高額な実証設備の導入やシステム開発を伴うスマート保安技術の実証に十分な予算規模です。自己負担なく本格的な技術実証に取り組める点は、他の補助金にはない大きな魅力といえます。
産業インフラの安全性・効率性向上が政策目的
経済産業省は保安分野における人手不足・高齢化への対応として、IoT・AI・ドローン等を活用したスマート保安の普及を重点政策に位置づけています。本補助金はその中核施策であり、国の産業保安政策に直結するプロジェクトとして高い社会的意義を持ちます。採択実績は企業ブランディングや今後の事業展開にも大きなプラスとなります。
執行団体公募という特殊なスキーム
本公募は個別企業への直接補助ではなく、事業全体を管理・運営する「執行団体」を選定するものです。執行団体は補助金の交付事務、個別実証テーマの公募・採択、進捗管理等を担います。一般社団法人やコンソーシアムなど、事業管理能力を持つ組織が対象となる点に注意が必要です。
対象技術領域が幅広い
遠隔監視・制御、AI画像解析による設備点検、ドローンによる巡回点検、センサーデータの異常検知、デジタルツインによるシミュレーション等、スマート保安に資する幅広い技術が実証対象となります。電力・ガス・石油化学・鉱業など複数の産業分野にまたがるため、技術シーズを持つ企業にとって参入機会が豊富です。
ポイント
対象者・申請資格
組織形態
- 法人格を有する団体(一般社団法人、一般財団法人、公益法人等)
- 産業保安分野における事業管理・運営の実績を有すること
- コンソーシアム形式での応募も想定される
事業管理能力
- 補助金の交付事務(公募・採択・検査・支払等)を適切に実施できる体制
- 個別実証テーマの技術評価・選定ができる専門性
- 複数の実証プロジェクトの進捗管理・成果取りまとめの能力
対象分野の知見
- 電力、ガス、コンビナート等の産業インフラに関する知識
- スマート保安技術(IoT、AI、ロボティクス等)への理解
- 産業保安法令(高圧ガス保安法、電気事業法等)に関する知見
財務基盤
- 補助金の立替払いに対応できる財務基盤
- 適切な経理処理体制(公的資金の管理経験が望ましい)
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:公募要領の精読と要件確認
公募要領・交付規程等の関連資料を入手し、執行団体に求められる要件、事業内容、スケジュールを正確に把握します。特に執行団体としての役割範囲(個別テーマの二次公募の実施方法等)を明確に理解することが重要です。
ステップ2:実施体制の構築
事業管理チーム、技術評価委員会、経理担当等の体制を設計します。必要に応じて外部有識者やパートナー機関との連携体制を整え、事業計画に反映させます。
ステップ3:事業計画書の作成
執行団体としての事業実施計画を策定します。個別実証テーマの公募・選定方針、進捗管理手法、成果の普及計画、予算配分計画等を具体的に記載します。過去の類似事業での実績があれば積極的にアピールしましょう。
ステップ4:申請書類の提出
所定の様式に従い申請書類一式を作成・提出します。申請期間は2026年3月9日〜4月1日と短期間のため、早期に準備を開始し、余裕を持って提出することが重要です。
ステップ5:審査・採択後の対応
書面審査およびヒアリング審査を経て採択が決定されます。採択後は速やかに交付申請を行い、個別実証テーマの二次公募に向けた準備を進めます。
ポイント
審査と成功のコツ
事業管理実績の明確な提示
技術評価体制の充実
産業界との幅広いネットワーク
成果の社会実装への道筋
リスク管理と柔軟な事業運営
ポイント
対象経費
対象となる経費
事業管理費(4件)
- 事業管理に係る人件費
- 事務局運営費
- 会議費・委員会運営費
- 通信・郵送費
技術評価・選定費(3件)
- 技術評価委員会の外部委員謝金
- 技術評価に係る調査費
- 審査関連事務費
実証事業費(個別テーマへの再補助)(4件)
- 実証設備・機器の購入・リース費
- システム開発費
- センサー・IoT機器導入費
- AI開発・学習データ整備費
外注費(3件)
- 専門機関への調査委託費
- システム構築の外部委託費
- 安全性評価の第三者検証費
旅費・交通費(2件)
- 実証現場への出張旅費
- 関係機関との打合せに係る交通費
成果普及費(3件)
- 報告書作成・印刷費
- シンポジウム・セミナー開催費
- 成果発信に係る広報費
対象外の経費
対象外の経費一覧(7件)
- 土地の取得費および賃借料
- 建物の建設・大規模改修費(実証に直接関係しないもの)
- 汎用性の高い備品(パソコン、プリンター等の一般事務機器)
- 間接経費として認められない一般管理費
- 飲食・接待に係る経費
- 他の補助金等で既に補助を受けている経費
- 事業期間外に発生した経費
よくある質問
Qこの補助金は企業が直接応募できますか?
本公募は「執行団体公募」であり、個別の企業が技術実証を行うために直接応募するものではありません。採択された執行団体が改めて個別の技術実証テーマを二次公募する形となります。技術実証を行いたい企業は、執行団体が決定した後の二次公募に応募する流れとなります。ただし、事業管理能力を持つ企業や団体が執行団体として応募することは可能です。
Q補助率10/10とは具体的にどういう意味ですか?
補助率10/10(定額補助)とは、補助対象経費の全額を国が負担するという意味です。通常の補助金では自己負担(1/3や1/2)が発生しますが、本補助金では採択された経費の100%が補助されます。これは産業インフラの保安という公共性の高い分野であること、実証段階では収益が見込めないことを考慮した制度設計です。ただし、補助対象として認められない経費は自己負担となるため、事前に経費区分を明確にしておく必要があります。
Q過去の採択実績や類似事業の情報はどこで確認できますか?
経済産業省の産業保安グループのウェブサイトや、過去年度のスマート保安に関する報告書等で、これまでの実証事業の内容や成果を確認できます。また、スマート保安官民協議会の資料にも、技術実証の方向性や優先テーマに関する情報が掲載されています。過去の執行団体がどのような二次公募を行ったかを調査することで、事業計画の策定に役立てることができます。
Q申請期間が短いですが、どのように準備を進めればよいですか?
申請期間は約3週間と短いため、公募要領の公開前から準備を進めることをお勧めします。具体的には、(1)過去年度の公募要領を参考に事業計画の骨格を作成、(2)技術評価委員会の候補メンバーへの事前打診、(3)連携機関との協力体制の確認、(4)組織の実績・能力を整理した資料の準備を先行して進めてください。公募要領の公開後は、新年度の変更点に対応する形で仕上げに集中できます。
Qコンソーシアム形式での応募は可能ですか?
一般的に、複数の団体がコンソーシアムを組んで応募することは可能と考えられます。例えば、業界団体が事業管理を担い、研究機関が技術評価を担当するといった役割分担が想定されます。ただし、責任の所在を明確にし、代表団体を定めた上で応募する必要があります。コンソーシアム形式のメリットは、単独では不足する専門性や実績を補完できる点にあります。詳細な要件は公募要領をご確認ください。
Qどのような産業分野の技術実証が対象になりますか?
対象となる産業分野は、電力(発電所・送配電設備)、都市ガス・LPガス(製造所・供給設備)、石油化学コンビナート(高圧ガス設備・化学プラント)、鉱業(鉱山保安設備)等の産業インフラです。これらの分野において、設備の安全性確保・効率的な保安業務の実現に資するデジタル技術の実証が支援対象となります。情報通信業は技術提供者としての参画が想定されています。
Q実証終了後の成果の取扱いはどうなりますか?
実証で得られた成果(データ、知見、技術的知見等)は、原則として広く産業界に共有・普及されることが期待されます。執行団体には報告書の作成・公開、成果報告会の開催等を通じた情報発信が求められます。一方、個別の実証事業者が持つ知的財産権については、一定の保護が図られるのが通例です。成果の帰属や公開範囲については、執行団体と実証事業者の間で事前に取り決めを行うことになります。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本補助金は国庫補助金であるため、同一の経費に対して他の国庫補助金との重複受給は認められません。ただし、補助対象経費が明確に区分できる場合は、異なる経費項目について他の補助金を活用することは可能です。例えば、本補助金で実証設備の導入・運用を行い、別途「ものづくり補助金」で実証成果を活用した製品開発を行うといった、事業フェーズや経費区分を分けた併用は検討の余地があります。また、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発事業との関係では、基礎研究段階はNEDO事業、社会実装に向けた実証段階は本補助金という棲み分けが想定されます。地方自治体独自のスマート保安関連補助金がある場合も、国費と地方費の区分を明確にすれば併用可能なケースがあります。いずれの場合も、事前に経済産業省の担当部署に確認し、経費の重複がないことを明確に整理しておくことが重要です。
詳細説明
スマート保安実証支援事業の背景と意義
日本の産業インフラ(電力、ガス、石油化学プラント等)は高度経済成長期に建設されたものが多く、設備の老朽化が進行しています。一方で、保安業務を担う熟練技術者の高齢化・退職が加速し、技術継承が大きな課題となっています。こうした状況下、IoT・AI・ロボティクス等のデジタル技術を活用した「スマート保安」は、安全性を維持・向上させつつ業務効率化を実現する切り札として期待されています。
補助金の制度設計
本補助金は、スマート保安技術の社会実装を加速するため、実フィールドでの技術実証を支援するものです。特筆すべきは補助率が定額(10/10)であり、上限額が1億円という手厚い支援内容です。産業インフラにおける実証は、安全確保のためのコストが高く民間企業単独では取り組みにくい領域であることから、国が全額を負担する制度設計となっています。
執行団体公募の仕組み
本公募は「執行団体公募」であり、最終的に技術実証を行う企業・研究機関を直接採択するものではありません。採択された執行団体が、以下の役割を担います。
- 二次公募の実施:個別の技術実証テーマを公募・選定
- 交付事務:採択された実証事業者への補助金交付・管理
- 進捗管理:各実証プロジェクトの技術的・事務的な管理
- 成果取りまとめ:実証結果の評価・報告書作成・普及活動
対象となる技術領域
スマート保安技術として想定される主な領域は以下の通りです。
- 遠隔監視・制御技術:IoTセンサーネットワークによるプラントの常時監視、異常の早期検知と遠隔対応
- AI画像解析:カメラ映像やドローン撮影画像をAIで解析し、設備の劣化・損傷を自動検出
- ロボット・ドローン活用:人が立ち入りにくい高所・狭所・危険箇所の点検自動化
- デジタルツイン:設備の3Dモデルとリアルタイムデータを連携させたシミュレーション・予知保全
- データ分析・予知保全:運転データの蓄積・分析による設備故障の予兆検知
申請スケジュールと注意点
申請期間は2026年3月9日から4月1日までの約3週間です。執行団体としての事業計画策定には相応の時間を要するため、公募開始と同時に準備に着手することが不可欠です。審査は書面審査に加えてヒアリング審査が実施される見込みで、プレゼンテーション準備も必要です。
期待される成果と今後の展望
本事業を通じて実証されたスマート保安技術は、将来的に産業保安規制の見直し(パフォーマンスベース規制への移行等)にも活用されることが期待されています。実証成果が規制改革につながれば、スマート保安技術を提供する企業にとって大きな市場機会が生まれます。産業インフラの安全性向上と保安コスト最適化の両立という社会的課題の解決に貢献できる、意義ある事業です。