「令和8年度 地域における地球温暖化防止活動促進事業」っていうタイトル、かなり長いですよね。正直、どんな補助金なのかぱっとわかりにくくて。
ですよね(笑)。一言で言うと、「デコ活ローカル」という指定を受けた団体だけが使える、国庫補助金です。「デコ活」というのは環境省が2022年から推進している「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」で、その地域版の活動をしている団体を応援するお金、という感じですね。
「デコ活ローカル」って初めて聞きました。どんな団体のことを指すんですか?
地球温暖化対策の推進に関する法律——温対法って呼ばれてる法律の第38条に基づいて、都道府県知事か市区町村長から指定を受けた法人のことです。正式名称は「地域地球温暖化防止活動推進センター」。全国に複数あって、都道府県単位だったり市区町村単位だったりします。
じゃあ、普通の中小企業や一般のNPO法人は応募できないということ?
そうなんです。一般の中小企業・個人事業主・任意団体は対象外です。指定を受けた法人のみが応募できる、かなり限定的な補助金です。だから記事を見ている方は、まず「自分の団体がデコ活ローカルに指定されているかどうか」を確認するところからスタートする必要があります。
所管の都道府県の環境政策課か、市区町村の地球温暖化対策担当部署に直接問い合わせるのが一番確実です。指定を受けていない団体が指定取得から目指す場合は、それ自体がかなりの時間がかかるので、次年度以降を見据えて動く必要があります。
- 温対法第38条に基づく「地域地球温暖化防止活動推進センター(デコ活ローカル)」の指定を受けている
- 市民・消費者の行動変容(省エネ行動、食生活、移動手段等)を促す事業を計画中
- 指定自治体(都道府県または市区町村)と協力関係があり、事前協議ができる
- 補助対象経費(人件費・業務費)の枠内で実施できるソフト事業を想定している
申請フロー図
補助率が「5/10」ってあるんですが、これって何割補助ということですか?
補助対象経費の2分の1(50%)が国から補助される、ということです。残り50%は自己負担です。補助上限額については公募要領に明示されておらず、「事業規模と計画の妥当性」によって決まります。
えっ、上限が明示されていないんですか!それは申請しにくいですね。
そうですね。ただ、補助対象経費が人件費と業務費に限定されているので、実質的には事業規模が上限になります。ハード整備(設備購入・工事費)は一切対象外。啓発キャンペーン、ワークショップ、リーフレット作成、外部専門家への謝金——こういったソフト事業のランニングコストだけが対象です。
| 費目 | 補助対象 | 主な内容 |
|---|
| 人件費 | ✅ 対象 | 事業専従職員の給与・諸手当 |
| 賃金 | ✅ 対象 | イベントスタッフ・アルバイト等 |
| 諸謝金 | ✅ 対象 | 外部専門家・有識者への謝礼 |
| 旅費 | ✅ 対象 | 職員・講師の交通費・宿泊費 |
| 印刷製本費 | ✅ 対象 | パンフレット・報告書の印刷 |
| 通信運搬費 | ✅ 対象 | 郵便・宅配便等 |
| 手数料 | ✅ 対象 | 銀行振込手数料等 |
| 雑役務費 | ✅ 対象 | 外部委託・派遣職員への対価 |
| 使用料・賃借料 | ✅ 対象 | 会場使用料・測定機器レンタル |
| 消耗品費 | ✅ 対象 | 事務用品・配布資料原材料 |
| 設備購入費 | ❌ 対象外 | 機器・備品購入は不可 |
| 工事費・改修費 | ❌ 対象外 | 施設整備は不可 |
設備が買えないんですか!それはちょっと制約が大きいですね。
大きいですね。本補助金は完全にソフト事業特化の設計です。ただ、測定機器のレンタル料は「使用料及び賃借料」として計上できるので、機器を「買う」のではなく「借りる」という選択肢はあります。CO2削減量の測定や診断ツールの活用なら、購入ではなくレンタルで対応できます。
補助対象経費と対象外経費の比較
補助金を使って具体的にどんな事業ができるんでしょうか?
大前提として、「デコ活」の普及・推進に寄与する内容であることが必須です。デコ活は7つのテーマで構成されていて、この中から事業に合ったテーマを選ぶことになっています。
| テーマ番号 | テーマ | 具体例 |
|---|
| ① 住(外) | 住宅の省エネ・再エネ導入 | 断熱化・太陽光発電の普及啓発 |
| ② 住(内) | エコグッズの選択 | LED・省エネ家電・節水の普及 |
| ③ 衣 | サステナブルファッション | クールビズ・古着リユース |
| ④ 買・食 | 食べきり・地産地消 | 食品ロス削減・フードマイレージ削減 |
| ⑤ 職 | テレワーク | リモートワーク推進 |
| ⑥ 移 | 環境負荷の少ない移動 | 電動車・公共交通の利用促進 |
| ⑦ 基盤 | 情報・教育・ナッジ | 環境教育・行動変容プログラム |
| ⑧ 事業者 | 事業者脱炭素化支援 | 中小企業向け省エネ診断 |
複数テーマの横断も可能です。むしろ1テーマより複数テーマを串刺しにした事業の方が、審査で評価されやすい傾向があります。たとえば「住まい×食×移動」を組み合わせたライフスタイル変革プログラムとか、地域の商業施設と連携した「買い物×食べきり」のポイントラリーとか。
審査は80点満点の採点表があって、審査基準がすごく明確なんですよ。
| 審査項目 | 配点 | 要点 |
|---|
| ①くらしの10年ロードマップと自治体施策を踏まえた行動変容促進内容 | 20点 | 単なる普及啓発を超えているか |
| ②ターゲット設定・ボトルネック解消の仕掛けが具体的に記載 | 20点 | 記述なし・不十分は即不採択 |
| ③行動変容人数の算出 | 10点 | 根拠ある数値で |
| ④エネルギー起源CO2排出削減量の算出根拠 | 10点 | 計算式・係数を明示 |
| ⑤CO2削減の費用対効果の十分性 | 10点 | 円/t-CO2で算出 |
| ⑥補助対象経費の内訳・積算妥当性 | 10点 | 根拠書類とセットで |
| 合計 | 80点 | — |
| 前年度採択実績(自治体評価) | 最大20点 | 前年採択なしは平均点 |
②の「記述なし・不十分は即不採択」ってすごいですね!
そうなんです。ターゲットとボトルネックの記述は形式要件みたいな位置づけなので、ここが薄いと点数以前に落とされます。「誰のどんな課題を解決するのか」を具体的なデータと共に書くことが最低ライン、ということですね。
- 「普及啓発」だけで終わっており、行動変容の仕掛けが書かれていない
- CO2削減量が「〜を目指す」「〜と思われる」など根拠のない記述
- ターゲット・ボトルネック分析が抽象的すぎる(記述不十分と判断される)
- 経費積算に見積書・計算根拠が添付されていない
申請ステップを教えてもらえますか?どこから始めればいいのか。
実は申請前に必ず「指定自治体との事前協議」をしなければならないんです。これが最初のステップでもあり、採択の鍵でもある。
審査の配点に「指定自治体のコミットメント」が含まれていて、自治体がどれだけ本気で関与するかが評価されます。後援をもらうだけじゃなく、自治体職員が実際に事業運営に参画する、公式チャネルで告知してもらう、地域のデータを提供してもらう——そういった踏み込んだ連携を合意できると採点が大きく上振れします。
「応募情報の確認」書類って、全国ネットのサイトからダウンロードできるんですか?
そうです。一般社団法人地球温暖化防止全国ネット(
全国ネット公式サイト)から様式をダウンロードできます。応募申請書(様式第1)、実施計画書(様式第2)、経費内訳(様式第3)、応募情報の確認(Word形式)——全部揃っています。
GビズIDが必要なんですね。まだ取得していない団体は早めに動かないといけないですね。
そうですね。GビズIDの取得には数週間かかることがあります。jGrantsを使う予定なら今すぐ取得手続きを始めてください。ただし、メール提出でもOKなので、GビズIDなしでも申請自体は可能です。
- 様式第1(応募申請書)
- 様式第2(実施計画書)— CO2削減量算出根拠・行動変容人数・費用対効果を含む
- 様式第3(経費内訳)— 各費目の積算根拠・見積書添付
- 応募情報の確認(指定自治体記入・署名済みのもの)
- 推進センター指定通知(行政機関発行)
- 組織概要、定款、直近2決算期の貸借対照表・損益計算書
- 令和7年度採択実績がある場合 — 指定自治体による事業評価書類
CO2削減量の算出って、どうやって計算するんですか?難しそうで。
基本的な算式は「行動変容人数 × 1人あたり年間削減効果 × 実施期間」です。1人あたりの削減効果は環境省が出している参考資料を使って根拠を示します。
環境省の「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年後」関連資料(
CO2削減効果の根拠資料)に、行動変容ごとの標準的な削減効果の原単位が整理されています。たとえばテレワークで1日1回の通勤を削減すると年間○kgのCO2削減、LED照明に切り替えると1世帯あたり年間○kgの削減、といったデータです。
なるほど!公式の数値を使えば審査で「根拠がある」と認めてもらえるんですね。
そうです。感覚的な数値より、環境省資料から引いた係数で計算した方が採点が確実に上振れします。さらに費用対効果(円/t-CO2削減)も算出して、「この事業は1トンのCO2削減にいくらかかるか」を示してください。類似事業と比べて費用対効果が合理的であることを示すと審査委員の評価が上がります。
たとえば市内5,000人の市民が参加したワークショップで、LED照明への切り替えを促す事業の場合——参加者の20%がLED照明に切り替えると仮定すれば、1,000世帯×1世帯あたり年間約30kgのCO2削減效果で、ざっくり30t-CO2の削減になります。事業費が500万円なら費用対効果は約16.7万円/t-CO2。この計算式と係数を実施計画書に明記することが採点の最低ラインです。
前年度(令和7年度)に採択されていた団体は、何か有利になるんですか?
大幅に有利です。令和7年度に本補助事業の交付を受けた団体については、指定自治体による事業評価(100点満点を20点満点に換算)が今年度の審査点に加算されます。
審査の満点が80点ですから、加点があると実質100点満点の勝負になります。前年度未採択の団体には加点の「平均点」が与えられるので完全不利というわけではないですが、それでも前年度実績のある団体には相当有利です。
令和7年度事業の完了実績報告書を高い質で作成する。定性・定量の成果を整理して、指定自治体との振り返りミーティングで丁寧にフォローアップし、自治体から良い評価を得ることが令和8年度の採点に直結する。
同一経費に対して国からの他の補助金を重複受給するのは禁止です。環境省・経産省・農水省・国交省など他省庁の国庫補助を同じ経費に充てることはできません。
地方自治体からの独自補助金や民間財団の助成金については、経費区分が重複しない範囲での併用は可能です。ただし、総事業費から補助金・寄付金等の収入を控除して補助金所要額を算出するため、実質的に補助金額が圧縮されます。他の収入が増えると、この補助金の交付額が減るという仕組みです。
同一県内に複数のデコ活ローカルがいる場合はどうなりますか?
事業実施地域が重複しないよう、センター間で調整する必要があります。応募前にセンター間での調整を済ませておかないと、審査で問題になる可能性があります。
採択通知が来ても、交付申請書の提出→交付決定通知が来るまでは発注・契約・支払いを一切してはいけません。採択から交付決定まで2〜4週間かかります。「採択されたから大丈夫」と思って先行発注すると、その経費は全額補助対象外になります。
採択されてから、どのくらいの期間で事業を終わらせないといけないんですか?
補助事業の実施期間は交付決定日から令和9年2月末日までです。採択・交付決定が6〜7月頃になるので、実質的な事業期間は7〜8か月程度です。
相当タイトです。委託先を競争原理で選定する必要もあります(相見積もり等)。それに、11月頃に全国ネットによる中間検査がある。この時点で帳簿・証拠書類の整備状況も確認されます。
事業完了後30日以内または令和9年3月10日のいずれか早い日までに完了実績報告書を全国ネットに提出します。書類審査と現地調査を経て交付額が確定し、精算払請求書の提出後に補助金が支払われます。
見積書・発注書・契約書・請求書・領収書・出勤簿・業務時間管理簿など、すべての証拠書類は事業完了年度の終了後5年間保存が義務です。経理処理は常に根拠書類とセットで。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | 令和8年度 地域における地球温暖化防止活動促進事業 |
| 制度名 | 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 |
| 補助率 | 5/10(対象経費の2分の1) |
| 補助上限額 | 事業計画に応じて査定(上限額の明示なし) |
| 対象者 | デコ活ローカル(地域地球温暖化防止活動推進センター)指定団体のみ |
| 対象経費 | 人件費・業務費(設備費・工事費は対象外) |
| 公募期間 | 令和8年4月16日〜5月8日(金)17時必着 |
| 事業期間 | 交付決定日〜令和9年2月28日 |
| 提出方法 | jGrants(GビズID必要)またはメール(shien@jccca.org) |
| 主管 | 一般社団法人地球温暖化防止全国ネット(環境省委託) |
| 問い合わせ先 | shien@jccca.org / TEL 03-6273-7616 |
| 公式サイト | 全国ネット補助事業ページ |
| jGrantsページ | jGrants補助金詳細 |
デコ活ローカルの指定を受けていない団体が、脱炭素・環境系の補助金を探すとしたら、どんな選択肢がありますか?
なるほど、本補助金が対象外でも、目的に合った別の補助金を探す余地があるんですね。
そうです。脱炭素・環境系の補助金は環境省だけでなく経産省・国交省・農水省からも多数出ています。目的と対象者に合ったものを選ぶのが大事ですね。
「一般社団法人ですが応募できますか?」という質問が多そう。
法人形態が一般社団法人であっても、温対法第38条の指定を受けていなければ応募不可です。指定の有無は、所管の都道府県環境政策課か市区町村の担当部署に直接問い合わせる必要があります。
「採択されたらすぐ事業を始めて大丈夫?」という質問も多そう。
これが一番危険な誤解で。採択通知が来ても、交付申請書を出して、全国ネットからの交付決定通知が来るまでは絶対に動いてはいけません。採択から交付決定まで2〜4週間かかるので、採択を確認してから本格的な段取りを始める、というのが正しい順序です。
「設備を購入したいのですが対象になりますか?」という質問は?
設備購入費・機器購入費・工事費はすべて対象外です。ただし、機器をレンタルする場合は「使用料及び賃借料」として計上可能です。「買う」のではなく「借りる」という形に変えると対象になります。
1つめ。指定自治体との協議に十分な時間をかけ、自治体職員の実質的な参画(告知協力・データ提供等)を事前に合意する
2つめ。CO2削減量の算出は環境省資料の公式係数を使い、行動変容人数×原単位×期間の計算式と費用対効果(円/t-CO2)を実施計画書に明記する
3つめ。前年度採択実績がある団体は、令和7年度の完了実績報告書を丁寧に作成し、指定自治体から高評価を得ることが最大20点の加点につながる