室谷さん、会社でトラックや営業車を買い替えようと思ってるんですけど、補助金って使えるんですかね?
あー、これ多い質問なんですよね。結論から言うと「何の車を何の目的で買うか」で全然変わってきます。まず車種と用途を整理するのが先ですね。
そうなんですか。漠然と「補助金があれば」って感じで調べてたんですけど。
普通のガソリン車の営業車を買い替えるだけだと、正直むずかしいんですよ(笑)。でも電動化絡みだったり、運輸事業者だったりすると一気に選択肢が広がります。DBで見ると車両購入関連だけで国の補助金が40件超あるので。
競合の記事とか見ると3件くらいしか紹介してないところが多いんですけど、それはEV関連しか見てないからで。トラック省エネ、安全装備、フォークリフト、農業機械まで含めると相当な数になります。
じゃあ業種や車種ごとに全然違う補助金があるってことですね。
そうそう。まずどのカテゴリに自分が入るかを把握するのが大事で。大きく分けると「電動車への転換」「商用車の省エネ化」「安全装備の導入」「産業車両の脱炭素」って4つの軸があります。
車両購入・導入 補助金カテゴリ別ガイド
| カテゴリ | 主な対象 | 代表的な補助金 | 補助の規模感 |
|---|
| 電動車への転換 | 全事業者(EV/FCV/PHV購入) | CEV補助金・商用車電動化 | 数十万〜数億円 |
| 商用トラック省エネ | 運送・物流業者 | 低炭素ディーゼルトラック・高輸送効率車両 | 1台75万円〜 |
| 産業車両脱炭素 | 空港・港湾・倉庫・農業 | フォークリフトFC化・農業機械電動化 | 差額の1/2〜2/3 |
| 安全装備・運行管理 | 自動車運送事業者 | 国交省ASV・デジタコ補助 | 1社最大120万円 |
| 特殊車両・バス | バス事業者・公共交通 | 燃料電池バス・連節バス補助 | 1台最大5,000万円 |
幅広いですね!自分に近いカテゴリを先に見ればいい感じですね。
そうです。じゃあ一番ボリュームが多い電動化系から順番に見ていきましょうか。
運送業者が電気トラック入れる時に使える補助金って、具体的にどんなものがあるんですか?
これが一番手厚いんですよ。環境省の「商用車等の電動化促進事業」がメインで、EV・PHV・FCVのトラックに対して車両費と充電設備費をセットで補助してくれます。
令和6年度の補正予算分で総額約295億円ですね。1台あたりの補助額は車種や重量によって変わるんですけど、大型EVトラックだと数百万単位になることも普通にある。詳細は
商用車等の電動化促進事業のページで確認できます。
ちゃんとあります(笑)。建設機械版は差額の2/3と本体価格の1/2のいずれか低い方という補助率で、GX建設機械認定を受けた電動建機が対象。
商用車等の電動化促進事業(建設機械)ですね。
電動ショベルや電動ホイールローダーが最近出てきていて、確かに高いんですけど補助で実質コストを下げられる。GX建設機械の認定リストに載ってる機種じゃないと対象外なので、まず機種確認が必要です。
-
- 電動車両(EV/PHV/FCV)を選定 → 補助対象車種リスト確認が必須
-
- 充電・充填インフラも含めて申請 → 車両費と設備費を一括計上できる
-
- 非化石エネルギー転換目標の設定が申請条件 → 書面1枚で対応できる
-
- 先着順審査 → 予算残額が2割で全件審査に切り替わるため早期申請推奨
実際にはそんなに大変じゃなくて、「令和○年度までにEV比率を○%にする」みたいな目標を1枚の書面に書くだけです。コンサルを使わなくても書けるくらいのもの。
EVじゃなくてもいい補助金ってありますか?まだEV対応インフラが整ってないとこも多いじゃないですか。
ありますよ!「低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業」は中小トラック事業者が最新規制適合のディーゼルトラックを買うと1台最大75万円もらえます。
令和7年度は4月1日から令和8年1月30日の間に新車登録した車両が対象で、1事業者最大4台まで。資本金3億円以下か従業員300人以下の中小貨物事業者限定です。詳しくは
低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業を。
4台で最大300万円か。複数台持ちの事業者には大きいですね。
あと省エネの観点だと、ダブル連結トラックや高輸送効率な車両への補助もあります。1台あたり上限1,000万円、最大10台まで申請できる
高輸送効率車両導入補助は、荷主と連携して輸送効率を改善するのが条件になってる。
そう、「2024年問題」絡みで物流業界全体の省エネを促進しようって趣旨なので、荷主企業との連名申請みたいな形が求められます。トラック事業者単独では申請できない点は注意が必要ですね。
同じシリーズで配車計画システムや車両動態管理システムの導入補助もあって、こっちは車両購入より導入コストが低い分、中小事業者でも取り組みやすいです。
倉庫とか工場で使うフォークリフトって補助金出るんですか?
出ます!「フォークリフトの燃料電池化促進事業」は、エンジン式フォークリフトと燃料電池フォークリフトの差額の1/2が補助されて、1台上限550万円です。
燃料電池フォークリフトって本体で1,000万円以上することも普通にあるので、その差額の半分ってなるとかなり効いてくる。
フォークリフトの燃料電池化促進事業は民間企業もリース事業者も対象で、倉庫・物流・工場どの業態でも使えます。
過去に環境省の補助を使ったことがある場合は補助率が下がるって聞いたんですが。
よく知ってますね(笑)。2回目以降は1/3になります。ただ初回でしっかり活用しておけば十分な効果が出ます。水素社会の流れで毎年度公募が続いてる制度なので、来年度を見据えた計画も立てやすい。
空港は3段構えになってます。EV・FCV型車両の新規導入が差額の2/3補助、車両の改造が経費の2/3補助、それと空港内の電力供給設備(GPU)の導入が1/2補助。
空港における脱炭素化事業は民間企業も対象なので、グランドハンドリング業者さんには特に注目してほしいですね。
港湾は荷役機械(EV型クレーン等)の導入が差額の2/3、改造が2/3、陸上電力供給が1/3と少し低め。
港湾における脱炭素化事業です。カーボンニュートラルポート(CNP)の形成という国策に乗っていて、採択されやすい印象があります。
ここまで電動化・脱炭素系の話が多かったんですが、安全装備への補助もあるんでしたっけ?
あります、これは国土交通省ですね。「被害者保護増進等事業費補助金」という大きな枠組みで、デジタコ、ドラレコ、先進安全自動車、健康管理検査までカバーしてます。
運送事業者の事故防止に国が本気で取り組んでる証拠ですよ。デジタコ・ドラレコの導入だと機器費の1/3(小規模貨物の初回は1/2)、1事業者最大80万円。通信機能付き一体型なら120万円まで使えます。
基本的に総車両台数10両未満の中小が対象です。
運行管理の高度化支援はデジタコの更新タイミングに合わせて申請する事業者が多い。先着順なので公募開始直後に動くのが鉄則です。
睡眠時無呼吸症候群や脳血管疾患の健康診断費が1/2補助で上限50万円。健康起因の事故が増えてるので国も力を入れています。バス・タクシー・トラック全部対象で、
健康起因事故防止の取り組み支援という名前で公募されてます。
運送事業者が使えそうなものをまとめると、相当な数になるんですよね。電動化で大きく取るか、設備更新で積み上げるか、組み合わせ方が重要です。
あと連節バスはハイブリッド化したものを導入するとき、経費の1/2まで補助が出ます。
ハイブリッド連節バス導入支援は大量輸送できる連節バスで公共交通の脱炭素化を進める制度です。
これは盲点ですよね(笑)。農業用トラクターや田植機の電動化に、電動農機と従来農機の差額の2/3が補助されます。上限7,200万円とかなり大きい。
農業機械の電動化促進事業は農業法人・農業者団体・農業者個人まで対象で、販売店経由での代行申請もできます。
農業者個人も対象です。ただ申請のボリュームがあるので、JAや農業法人が代表申請者になるケースが多いですね。
都道府県や市区町村レベルで次世代自動車向けの補助ってどんなのがありますか?
代表的なところだと福井県が個人事業者・法人向けに次世代自動車補助をやってます。EVとPHVで10万円、FCVで50万円の定額補助です。
使えます。
福井県の次世代自動車補及促進補助金は国補助への上乗せとして設計されていて、国と県を合わせると相当な金額になる。ただ予算上限に達したら終わりなので、年度早めに動くのが正解です。
V2HやV2L、車載コンセント等の外部給電機能が対象車両の必須要件になっています。これは「万が一の災害時に電力供給源としても活用できる車両を増やしたい」という県の方針からきてます。
自治体ごとに条件が違うんですね。ほかにも面白い事例はありますか?
愛知県の知立市が事業者向けに「カーボンニュートラル推進事業者支援補助金」をやってます。FCVが1台20万円、EVやPHVが5万円の定額補助で、
知立市の次世代自動車購入補助は中小企業向けです。外部給電機能の条件は福井県と同様ですね。
キッチンカー向けの補助金もDB上にありましたけど?
久留米市がキッチンカー導入に補助金を出してますよ。移動販売事業を始める場合、車両購入費・改造費合わせて1/2補助で上限30万円。「創業支援」の枠で車両費を計上できる珍しいケースです。一般的な車両購入に補助金は使いにくいんですが、創業絡みだとこういう例外があります。
これだけあると、どれを選べばいいか迷いそうですね。
判断軸は3つです。「どんな車種か」「どんな事業者か」「どんな目的か」。これを組み合わせると絞れてきます。
| 自分の状況 | おすすめ補助金カテゴリ |
|---|
| 運送・物流業者でトラックを電動化したい | 商用車等の電動化促進事業(EV・PHV・FCV) |
| 中小運送業でディーゼルを更新したい | 低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業(最大75万/台) |
| 倉庫・工場でフォークリフトを燃料電池化したい | フォークリフト燃料電池化促進事業(差額1/2、上限550万) |
| バス事業者でEV・FCバスを導入したい | 燃料電池バス導入促進事業 or 商用車電動化(タクシー・バス) |
| 農業機械を電動化したい | 農業機械の電動化促進事業(差額2/3、上限7,200万) |
| 安全装備(デジタコ・ドラレコ)を導入したい | 国土交通省 運行管理高度化支援(1/3〜1/2、最大120万) |
| 普通の営業車(ガソリン車)を買い替えたい | 創業時の持続化補助金・自治体創業補助が現実的 |
最後の行、普通のガソリン車は難しいってことですか?
正直そうなんですよね。汎用性が高すぎる車両は「国の政策課題解決」に直結しないので補助対象になりにくい。例外は創業時の経費として計上するケースか、特定用途(移動販売等)のキッチンカーベース車両くらいです。
そうです。「この車がなければ事業が成立しない」という論理を事業計画書に落とし込めれば通る可能性があります。ただ公募回ごとに解釈が変わることもあるので、募集要領を必ず精読してほしい。
- 補助金は「後払い」が原則。先に車を購入してから補助金をもらう流れ
- 交付決定前に発注・契約すると対象外になるケースが多い
- 申請期間が短期間(2〜4週間)のものも多い → 情報入手のルーティン化が重要
- 電動化補助は「補助対象車種リスト」への掲載が申請条件 → 車種選定前にリスト確認
- 省エネ・脱炭素系は年度ごとに予算が変わる → 複数年の計画で取り組む
めちゃくちゃ大事です。「補助金をもらえると思って車を買ったら採択されなかった」ってケースが実際にあって。必ず交付決定を受けてから発注・購入という順番を守ってください。
車両購入補助金の申請フロー
法人・個人事業主向けの電子申請用のアカウントです。マイナンバーカードがあれば比較的スムーズに取れますが、郵便で確認書類が届くのに時間がかかることがあって。補助金の申請直前に慌てて取ろうとする人が多いんですが、申請できないってケースが出てきます。
そうです。年度初めに「今年こそ補助金使う」と決めたら、まずGビズIDを申請するのが最初のステップです。
- 同じ車両・設備に対して複数の補助金を同時に申請することは原則禁止
- ただし「国補助 + 都道府県補助」の上乗せ活用は制度設計上可能なケースがある
- 各補助金の公募要領に「他の補助金との重複」に関する記載を必ず確認
- 例:CEV補助金(国)+ 都道府県の次世代車補助 → 多くの場合で重複OK
主要な補助金を並べて比べてみたいんですけど、できますか?
| 補助金名 | 対象事業者 | 主な対象車種 | 補助率/補助額 | 申請難易度 |
|---|
| 商用車等の電動化促進事業 | 全事業者 | EVトラック・バス・FCVなど | 車種・台数による | 中 |
| 低炭素ディーゼルトラック普及 | 中小貨物事業者 | 新型ディーゼルトラック | 最大75万円/台 | 低 |
| フォークリフトFC化 | 全事業者 | 燃料電池フォークリフト | 差額の1/2(上限550万) | 中 |
| ハイブリッドトラック・バス導入 | 運送・バス事業者 | HV・天然ガス車 | 差額の1/2(上限1,155万) | 中 |
| 農業機械電動化促進 | 農業者・農業法人 | 電動農業機械 | 差額の2/3(上限7,200万) | 中 |
| 燃料電池バス導入(東京都) | 都内旅客事業者 | FCバス | 最大5,000万円/台 | 高 |
| デジタコ・ドラレコ補助(国交省) | 中小運送事業者 | 運行管理機器 | 費用の1/3〜1/2(最大120万) | 低 |
| 健康管理検査補助(国交省) | 運送事業者 | - | 費用の1/2(最大50万) | 低 |
申請難易度「低」のところからスタートするのが現実的ですね。
「最初の1回」のハードルをとにかく下げるのが大事です。デジタコ補助とか安全装備系は事業計画書も不要で、機器の見積書と申請書だけで済むことが多いので。
そこで申請経験を積んで、次のステップに行くって感じですね。
まさにそれです。補助金って1回経験すると全体像がつかめてきて、次に大きい補助金に挑戦するときに焦らなくなります。
3点ですね。まず「電動化か否か」で別世界になること。電動化すると補助の規模が一気に大きくなる。二つ目は「業種を絞る」。トラック事業者向け、バス向け、農業向けでそれぞれ特化した制度があって、汎用でぼんやり探すより業種特化で探した方が見つかりやすい。
「都道府県補助との組み合わせ」です。国の補助に上乗せできる自治体独自の補助が各都道府県に存在してる可能性が高い。まず国の制度を確認してから、自分の事業所がある都道府県の補助も調べる、という順番で動くと漏れが減ります。
そうそう。各都道府県のページに地域の補助金が集まってるので、まず国の制度を押さえてから都道府県ページで追加の制度を確認するのがおすすめです。頑張ってください!