室谷さん、「事業再構築補助金の共同申請者」って、通常の事業再構築補助金とどう違うんですか?なんか「共同」ってつくだけで別物になるのかなって。
ええ、そこ大事なポイントですね!事業再構築補助金って、基本的には1社1社が単独で申請するものなんですが、複数の中小企業がサプライチェーンとか連携関係でがっつり結びついてる場合に、一緒に申請できる仕組みが「共同申請」なんです。
えっ、複数社で一緒に!それって何がメリットなんですか?
一番大きいのは「単独ではできないスケールの事業再構築が実現できる」ことですね。たとえば、EV部品製造への転換を考えてる愛知県の自動車部品メーカー3社が、それぞれ単独で申請すると、それぞれの投資規模でしか動けない。でも3社共同で申請すれば、A社がモーター部品加工、B社がバッテリーケース成形、C社が組立・検査、という一貫生産体制を一気に構築できるんです!
なるほど!役割分担して大きな絵を描けるってことか。
そう!しかも補助上限も1社ずつ別々にカウントされますから、例えば3社で申請すれば理論上3社分の上限額まで狙えます。第六回以降で見ると、グリーン成長枠なら1社最大1億5,000万円ですから、3社だと最大4億5,000万円規模の共同プロジェクトも射程に入るんですよ。
マジですか!それはすごいですね。第六回以降って書いてあるのは、制度が変わったってことですか?
はい、第6回(2022年9月)公募からはかなり大幅に制度が拡充されたんです。特に大きかったのは「グリーン成長枠の新設」ですね。EV化やGX関連の事業再構築には、売上高減少要件なしで最大1.5億円という、従来より格段に手厚い支援が使えるようになりました。
事業再構築補助金 申請枠別補助上限・補助率比較
枠がいくつかあるって聞いたんですが、共同申請者の場合、どの枠を使うことが多いんですか?
枠の選び方は事業内容次第なんですが、主な枠をまず整理しましょう。共同申請でも同じ枠が使えます。
| 申請枠 | 補助上限(中小企業) | 補助率 | 売上高減少要件 |
|---|
| 成長枠(旧通常枠) | 最大8,000万円 | 1/2〜2/3 | あり(緩和済) |
| グリーン成長枠 | 最大1.5億円 | 1/2〜2/3 | なし |
| 物価高騰対策・回復再生応援枠 | 最大3,000万円 | 2/3〜3/4 | あり |
| 最低賃金枠 | 最大1,500万円 | 3/4 | あり |
| サプライチェーン強靱化枠 | 最大5億円 | 1/2 | なし |
| 卒業促進上乗せ措置 | 最大2,000万円追加 | 成長枠等と同率 | 成長枠等に準ずる |
サプライチェーン強靱化枠って5億円!すごいですね。
ただ、5億円枠はかなり特殊でね、「特定の重要物資を製造するサプライチェーンの強靭化が目的」という国策的な要件があります。共同申請の数も限られてますし、一般的な中小企業の事業再構築とは少し毛色が違う。大半の事業者さんは成長枠かグリーン成長枠のどちらかを軸に考えると良いですよ。
なるほど。補助率って1/2〜2/3って書いてあるけど、どっちになるんですか?
それは企業規模によって変わります。中小企業は2/3、中堅企業(資本金10億円未満)は1/2が原則です。つまり中小企業のほうが補助率が高いんです。成長枠で8,000万円の補助を受けようとすると、事業費は最低1,200万円以上自己負担する計算になります。
そもそも共同申請者として参加できる企業って、どういう条件があるんですか?
基本的には「代表申請者の事業再構築計画において不可欠な役割を担う中小企業等」であることが求められます。ここが大事なポイントで、形式的な参加はNGです!
たとえば「友達の会社を数合わせで入れておく」みたいなケースです。審査員はそういうのを見抜きますから。各社が計画において具体的にどんな役割を担い、なぜ自社単独では不可能なのかを、論理的に説明できることが必須です。
なるほど、実質的な連携があることが前提なんですね。他にどんな要件がありますか?
- 企業規模: 中小企業基本法上の中小企業者、または中堅企業(資本金10億円未満)
- 役割の明確性: 代表申請者の計画に不可欠な役割を担うこと
- 個別要件の充足: 申請枠によっては共同申請者も売上高等減少要件を満たす必要あり(グリーン成長枠は除外)
- GビズIDプライム: 各社取得済みであること
- 認定支援機関: 代表申請者が取得する確認書で共同申請者も含まれる
- 契約書・覚書: 参加各社間で締結済みであること
- 重複受給制限: 過去の採択状況・他補助金との重複に注意
GビズIDって必要なんですね。取得に時間かかりますよね?
そう、GビズIDプライムは取得に約2〜3週間かかります。「申請したいけどIDがない!」ってなるのが一番もったいないパターンです。今すぐ計画を立てる気がある会社は、GビズID取得を最初に動かしてほしいですね。
はい。第6回以降で緩和されました。以前は「コロナ前の任意の3ヶ月と直近3ヶ月を比較して売上が10%以上減少」という厳しい要件があったんですが、緩和によって証明が少し楽になった類型もあります。ただしグリーン成長枠は売上高減少要件そのものが撤廃されてますから、EV・GX方向の事業再構築を考えてる会社にはグリーン成長枠が一番使いやすいですよ。
補助金って何に使えるかが大事じゃないですか。どんな経費が対象になるんですか?
| 経費区分 | 具体例 |
|---|
| 建物費 | 新事業用の建物新築・改修・撤去費、賃貸物件の原状回復費 |
| 機械装置・システム構築費 | 製造設備の購入費、ITシステムの構築費、専用ソフトウェア |
| 技術導入費 | 知的財産権の導入費用、技術ライセンス料 |
| 外注費 | 製品開発の外注費、試作品の製造委託費 |
| 広告宣伝・販売促進費 | 新製品のマーケティング費用、展示会出展費、Web制作費 |
| 研修費 | 新事業に必要な従業員教育費、技術研修の受講料 |
- 補助事業に関係ない汎用的な経費(パソコン・一般事務用品)
- 車両の購入費(特殊車両は除く)
- 土地の取得費・造成費
- 不動産の購入費
- 人件費・旅費(原則対象外)
- 消費税および地方消費税
- フランチャイズ加盟料
そうなんです。「採用費も補助してもらえると思ってた!」ってパターンが多くて。事業再構築補助金はあくまで設備投資・システム構築・開発費が中心です。人を採用するコストには使えません。
なるほど、申請前に経費計画をしっかり立てないとダメですね。今の話で対象経費がわかりました。次は実際の申請の流れを教えてもらえますか?
事業再構築補助金 共同申請フロー
実際に申請するとなると、何からやればいいんですか?
共同申請の場合、通常の単独申請より準備が多いんですが、ステップを順番に見ていきましょう。
そうなんです。これ、みなさん見落としがちなんですが、補助金は後払いなんです。設備投資を先に自社負担で進めて、実績報告後に補助金が振り込まれる流れです。だから、自己資金かつなぎ融資でまず動ける体制が必要です。日本政策金融公庫や各都道府県の制度融資との組み合わせを検討しておきましょう。
中小企業庁の公式サイトに検索ツールがあります。商工会議所・商工会・地域の金融機関(銀行・信用金庫)・中小企業診断士・税理士・行政書士など、幅広い機関が認定を受けています。近くの商工会議所に相談するのが一番手軽ですよ。
採択率ってどのくらいなんですか?低いと申請の意味がなくなりますよね。
第6回(2022年9月発表)は全体の採択率が約50%でした。ただ、第11回(2024年2月発表)では全体で約26.4%と大幅に低下しています。年々競争が激化している状況です。
だから「書けば通る」時代は終わってます。採択されるための事業計画書の質がすごく重要になっていて、特に審査員が一番見るポイントが2つあります。
1. なぜ既存事業を続けられないのか
市場の縮小・競合環境の変化を客観的なデータで示す。「なんとなく厳しい」ではNG。業界統計・市場調査レポートを引用して、5年後・10年後の市場規模縮小を定量的に示すこと。
2. なぜ新事業が成功するのか
再構築後の市場の成長性、自社の強みが新事業でどう活きるか、5年間の収支シミュレーション。特に共同申請では「この組み合わせでなければ不可能な理由」を論理的に説明できることが必須。
共同申請の場合は特に何か気をつけることはありますか?
共同申請ならではの採択ポイントがあります。まず「1社でも要件不備があると全体が不採択」になるリスクです。代表申請者がしっかりしていても、共同申請者の1社が売上高減少要件を満たしていなかったり、GビズIDが未取得だったりすると、全体が通らなくなります。
もう一つ、グリーン成長枠を使う場合はCO2削減効果の定量化が求められます。「EV部品に転換したら年間何トンのCO2が削減できるか」という試算を用意しておく必要があります。この数字が甘いと、グリーン成長枠の審査では評価が下がります。
申請って難しいですね。やっぱり専門家に頼んだほうがいいですか?
計画書の完成度が低い段階で認定支援機関に相談すると、大幅な修正を求められて時間をロスします。まず自社で計画の骨格をしっかり固めてから、専門家に磨いてもらうのがベストです。補助コンサルタントに丸投げすると費用対効果が悪くなるケースもあります。
事業再構築補助金って、他の補助金と一緒に使えるんですか?
これ、かなり注意が必要です。同一事業に対する他の国庫補助金との重複受給は原則できません。事業再構築補助金と、例えばものづくり補助金やIT導入補助金を同じ事業・同じ経費に使うことは禁止されています。
はい、まったく別の事業であれば、事業再構築補助金でA事業の設備投資を行いながら、IT導入補助金でB事業のシステム導入を行う、というのは問題ありません。あと地方自治体の補助金との併用は認められるケースが多いので、所在地の自治体にも確認してみてください。
| 組み合わせパターン | 可否 | 補足 |
|---|
| 同一事業×国庫補助金の重複 | NG | 事業再構築+ものづくり補助金を同じ経費に適用はNG |
| 別事業×国庫補助金 | OK | 異なる事業・経費なら問題なし |
| 地方自治体の補助金 | OK(要確認) | 多くの場合は併用可。自治体窓口に確認を |
| 日本政策金融公庫の融資 | OK | つなぎ融資として活用を推奨 |
| 各都道府県の制度融資 | OK | 補助金受給までのつなぎに活用 |
融資と組み合わせるのは問題ないんですね。それなら後払いのリスクも対処できる!
そうです!補助金と融資は別物ですから、補助金受給まで運転資金を確保するために融資を活用するのはむしろ推奨です。日本政策金融公庫の新事業活動促進資金なんかは事業再構築との相性が良いですよ。
関連して、今後の公募スケジュールについても教えてもらえますか?
今から申請を考えるとしたら、いつ頃の公募に間に合う感じですか?
このページでご紹介している第六回以降の共同申請者向けサイトでは、申請期間が2026年10月12日まで設定されています。最新の公募情報は必ず
公式サイトで確認してください。
まず3つを今すぐやるべきです。①GビズIDプライムの取得申請、②認定支援機関へのコンタクト、③共同申請予定の企業との基本合意(覚書のドラフト作成)、この3つです。計画書の作成はその後でいいですが、GビズIDだけは時間がかかるので最初に動いておかないとタイムアウトになります。
実際に採択された事業ってどんなものが多いんですか?
業種別に見ると、製造業と飲食業・食品加工業の組み合わせが多いですね。共同申請の典型的な成功パターンをご紹介しましょう。
パターン1: 製造業×製造業(EV転換型)
愛知県の自動車部品メーカー3社がグリーン成長枠で申請。A社がモーター部品加工、B社がバッテリーケース成形、C社が組立・検査の一貫生産体制を構築。補助額合計は3億円超。
パターン2: 飲食業×食品加工業(EC進出型)
東京の飲食チェーン(代表)と食品加工メーカー(共同)が冷凍食品EC事業へ転換。店舗売上の落ち込みをEC販売で補う事業モデルを共同で構築。
パターン3: 金属加工×IT開発(新分野進出型)
大阪の金属加工業と制御システム開発会社が産業用ロボット部品製造に共同参入。それぞれの技術を組み合わせることで「単独では不可能な理由」を明確に示した計画が高評価。
やっぱり「なぜ2社以上でやるのか」が大事なんですね。
そこが審査の核心なんですよ。共同申請は単独申請より審査ハードルが上がる面もありますが、採択された場合の事業インパクトが大きいから評価もされやすい。しっかり準備して臨んでほしいです。
事業再構築補助金の体系は複数あって、少し整理が必要です。同じ「事業再構築補助金」でも、回次や対象者によってjGrants上では別の申請先として管理されています。
同じ「事業再構築補助金」でもこんなにあるんですね。
回数を重ねるごとに制度が変わってきてますから。申請を検討している方は、必ず最新回の公募要領をチェックしてください。第六回以降の共同申請者向けサイト(このページが対象)と、通常の交付申請は別々の申請先になっていますので、正しい申請先を選ぶことが大事です。
わかりました!最後に、申請を考えている方へのアドバイスをお願いします。
3点です。まず共同申請は「数合わせ」にしないこと。本当に相互に不可欠な役割を担える企業同士で取り組んでください。次に後払い前提での資金計画を最初から立てること。そしてGビズIDを今すぐ取得すること。この3つを抑えれば、準備の失敗は防げます!
ありがとうございました!かなり詳しく理解できました。これ、経営者の方には本当に重要な情報ですね。
共同申請者と代表申請者の違いが改めてよくわからないんですが?
代表申請者は事業再構築計画の中心となり、jGrantsでの申請手続きを取りまとめる会社です。共同申請者は代表申請者の計画に不可欠な役割を担うパートナーとして参加します。補助金は各社の担当経費に応じて個別に交付されますが、事業計画は一体として審査されます。
明確な上限は設けられていませんが、参加企業が増えるほど計画の複雑性が増し、全社の要件充足が求められます。実務的には2〜5社程度が一般的です。
グリーン成長枠以外の枠でも共同申請者は売上高減少要件が必要ですか?
申請する類型によって異なります。成長枠等では共同申請者にも個別に売上高等減少要件が適用されます。グリーン成長枠は撤廃されているため、共同申請者も要件不要です。詳細は最新の公募要領で確認してください。
共同の事業計画全体に対して認定支援機関の確認書が必要ですが、代表申請者が認定支援機関と連携し、共同申請者を含む計画全体の確認を取得します。補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関の確認書も必要です。
過去に採択された企業が再申請することはできますか?
同一事業者による複数回の採択には制限があります。過去の採択企業が再申請する場合は、公募要領の最新規定を必ず確認してください。一方、過去に不採択になった場合は再申請可能です。
公募要領・採択状況・申請フォームは予告なく変更されることがあります。最新情報は必ず公式サイトで確認してください。