室谷さん、事業再構築補助金って聞いたことあるんですけど、これって要するにどんな補助金なんですか?
一言で言うと、「思い切って事業を変えよう」という中小企業を国が最大5億円で後押しする補助金です! コロナ禍で打撃を受けた事業者が、既存事業の延長でなく、まったく新しい方向に舵を切る費用を国が補助するんですよ。
5億円ってすごいですね! でも「事業再構築」って、どの程度の変化が必要なんですか?
例えば居酒屋がセントラルキッチン型の冷凍食品EC事業を立ち上げるとか、町工場が医療機器部品の製造に参入するとか、既存事業のノウハウは活かしつつも、まったく新しい市場・業態に踏み込むことが求められます。単に店舗数を増やすとか、既存商品のラインナップを増やすだけでは対象外になります。
なるほど! ちなみに「第十回」とついてますけど、何回も公募がある補助金なんですか?
そうなんです。事業再構築補助金は2021年から始まって、今回(第十回)は2023年の公募です。第十回の採択者向けの交付申請専用サイトとして運営されていて、採択済みの方がこれから補助金を実際に受け取るための手続き専用のページになっています。まだ公募に応募したい方は最新回の公募ページをご確認ください。
あ、なるほど! 第十回で採択された方が「これから交付申請する」ためのページなんですね。じゃあ今の段階で補助金を申請しようと思っている方が見るページとは違うんですか?
正確にはそうです。第十回公募は2023年6月30日に応募締切でした。この交付申請ページは、採択候補者として通知を受けた方が、実際に補助金を受け取るための「交付申請」という次のステップを案内するものです。ただ、制度の全体像を理解するためにはとても参考になりますよ!
第十回で採択されていない企業でも、この制度の仕組みを知っておく価値はありますよね?
大いにあります! 第十回で採択された方はこのページで交付申請の流れを確認できますし、これから申請を検討している方は制度設計・事業類型・対象経費の全体像を把握する参考になります。事業再構築補助金は日本最大級の中小企業向け補助金なので、事業転換を考えている事業者なら必ず押さえておくべき制度です!
事業再構築補助金 8事業類型の補助上限額比較
8つの事業類型があるって聞いたんですけど、どう違うんですか? ちょっと多すぎて混乱しちゃって(笑)
わかります(笑)。実はグループ分けするとシンプルです! 大きく「成長・転換を目指す枠」と「弱者救済的な枠」に分けられます。
| 事業類型 | 補助上限額 | 補助率(中小企業) | 主な対象 |
|---|
| 成長枠 | 最大7,000万円 | 1/2 | 成長市場への新分野展開 |
| グリーン成長枠(エントリー) | 最大4,000万円 | 1/2 | 脱炭素14分野(研究開発・商品化) |
| グリーン成長枠(スタンダード) | 最大1億円(製造1.5億円) | 1/2 | 脱炭素14分野(より高度な取組) |
| 産業構造転換枠 | 最大7,000万円 | 2/3 | 市場縮小業種からの転換 |
| 物価高騰対策・回復再生応援枠 | 最大3,000万円 | 2/3(または3/4) | コロナ・物価高の影響を受けた事業者 |
| 最低賃金枠 | 最大1,500万円 | 3/4 | 最低賃金引上げで影響を受けた事業者 |
| 卒業促進枠(上乗せ) | 成長・グリーンに上乗せ | 成長枠等に合算 | 中堅企業への成長を目指す事業者 |
| 大規模賃金引上促進枠(上乗せ) | 成長・グリーンに上乗せ | 成長枠等に合算 | 大幅賃上げを行う事業者 |
| サプライチェーン強靱化枠(SC枠) | 最大5億円 | 1/2 | 国内サプライチェーン強靱化 |
サプライチェーン強靱化枠、最大5億円ってとんでもないですね! これは誰でも申請できるんですか?
製造業が中心です! 海外で製造していた部品等を国内回帰させる事業者向けで、工場設備等の大型投資が必要な案件に対応しています。補助事業完了期限はSC枠だけ2026年2月3日まで新規申請が受け付けられます。他の枠に比べて特別に期限が長いんですよ。
補助率が枠によって違うんですね。2/3と1/2って、体感的にかなり大きな差ですよね?
そうなんです! 例えば1,000万円の投資をする場合、補助率2/3なら自己負担333万円、補助率1/2なら自己負担500万円と大きく変わります。最低賃金枠の3/4というのは補助制度としてはかなり手厚い水準で、事業者負担が4分の1で済むということです。
過去データを見ると、成長枠(旧・通常枠)が最も申請件数が多く、回復・再生応援枠系も件数が多いです。採択率でいうと最低賃金枠が約70%と高く、競争倍率が低い穴枠とも言えます。もっとも、補助上限額が1,500万円と低めなので、大型投資が必要な場合は成長枠やSC枠を選ぶことになります。
どんな会社が申請できるんですか? 「うちは対象になるかな」って思っている読者が多いと思うんですが。
基本的には中小企業等が対象です! 中小企業者(製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下等)、中堅企業、個人事業主、企業組合等が対象になります。業種は全業種が対象で、製造業・飲食業・小売業・IT・建設業・サービス業など幅広い業種が採択実績ありです。
基本はそうですが、例外もあります。卒業促進枠と大規模賃金引上促進枠は中小企業が中堅企業等に成長することを後押しする枠なので、やや規模の大きい事業者も対象になります。また、認定農業者や社会福祉法人も一部対象になる場合があります。
売上が増えている会社でも申請できるんですか? コロナで売上が落ちた会社だけ?
これが第十回から大きく変わったポイントなんです! 成長枠・グリーン成長枠・産業構造転換枠・SC枠では売上高等減少要件が撤廃されました。つまり、業績が良い会社でも「新しい事業に挑戦したい」という意欲と計画があれば申請できます。物価高騰対策・回復再生応援枠と最低賃金枠は依然として売上減少等の要件がありますが、成長性重視の枠では業績問わず申請可能になったんです。
- 中小企業等であること(業種・規模要件を確認)
- 事業再構築に該当すること(新分野展開・業態転換・業種転換・事業再編・国内回帰のいずれか)
- 認定経営革新等支援機関と共同で事業計画を策定していること
- 補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年率平均3〜5%以上増加する計画であること
- GビズIDプライムアカウントを持っていること(電子申請に必須)
「認定経営革新等支援機関」というのが申請に必須なんですね。これはどこに相談すればいいんですか?
金融機関(銀行・信用金庫)、税理士、公認会計士、中小企業診断士等が認定を受けています。採択実績が豊富な支援機関を選ぶことが採択への近道です。中小企業診断士や事業再構築補助金の支援経験が豊富なコンサルタントに相談するのが最も確実ですよ。
補助金でどんな費用を賄えるんですか? 設備投資だけですか?
かなり幅広いですよ! 建物費から広告費まで7つのカテゴリーで対象経費が認められています。
| 経費区分 | 対象となるもの |
|---|
| 建物費 | 建設費、改修費、撤去費、原状回復費 |
| 機械装置・システム構築費 | 設備機器、システム開発費、ソフトウェア導入費 |
| 技術導入費 | 知的財産権の導入費、技術ライセンス費 |
| 専門家経費 | コンサルティング費、専門家謝金 |
| クラウドサービス利用費 | SaaS利用料、クラウドインフラ費 |
| 外注費 | 加工費、設計費、製造委託費 |
| 広告宣伝・販売促進費 | 広告掲載費、展示会出展費、PR活動費 |
以下は一切補助対象になりません。見落とすと計画が崩れるので要注意!
- 土地の取得費(どの枠でも対象外)
- 消費税(補助対象外経費)
- 自動車・汎用機器の購入費(専用機器は別途判断)
- 人件費(役員・従業員の給与は対象外)
- 旅費(交通費・出張費)
- フランチャイズ加盟料
- 既存事業の経費(新事業分のみが補助対象)
広告費も使えるんですね! 新事業のPRにも充てられるんですか?
使えます! ただし注意点があって、補助対象経費は原則として「補助事業期間内」に発注・支払いが完了したものに限られます。採択通知前に発注したものは原則として補助対象外になるので、交付決定の前に勝手に発注しないよう気をつけてください。
それは重要な情報ですね! うっかり先に発注してしまいそうです。
実際によくある不備のひとつです。交付申請完了後に交付決定通知が届いてから、はじめて発注・着工できます。「採択されたから大丈夫だろう」と思って先に動いてしまうと、補助金が受けられなくなるので要注意ですよ!
事業再構築補助金 交付申請から補助金受領までのフロー
第十回で採択されたとして、実際これからどういう手順を踏めばいいんですか?
採択から補助金受領まで大きく8つのステップがあります!
事業化状況報告が5年間も続くんですね。採択後も対応が大変だ!
そうなんです。補助金を受け取って終わりじゃなくて、補助事業完了後5年間は毎年付加価値額の増加状況を報告する義務があります。報告を怠ると補助金の返還を求められる場合もあるので、採択後の管理体制もしっかり構築しておく必要があります。
交付申請の締切はいつまでなんですか? 第十回採択者は急がないといけないんですか?
枠によって異なります。成長枠・産業構造転換枠・最低賃金枠・物価高騰対策・回復再生応援枠は2024年10月6日(またはそれ以前の補助事業完了期限日)が受付終了です。グリーン成長枠は2024年12月6日。卒業促進枠・大規模賃金引上促進枠は成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了の6か月前。SC枠だけ2026年2月3日が受付終了です。
じゃあ成長枠系はもう受付終了しているんですね。今この記事を見てSC枠の採択者ならまだ間に合うということですね!
そういうことです。ただし採択辞退や精算払請求等、特定の手続きについては補助金確定済みの場合は新規申請が引き続き可能な場合もあります。詳細は
事業再構築補助金公式サイトをご確認ください。
審査で何が重視されるんですか? 事業計画書を書くコツってあるんですか?
審査で見られる最重要ポイントは「なぜこの事業者がこの新分野で成功できるのか」というストーリーです! 審査員は「革新性」と「実現可能性」の両方を評価します。夢物語ではなく、市場データに基づいた現実的な革新プランが評価されます。
- 強みの源泉を明示する: 既存事業で培ったノウハウ・技術・顧客基盤が新事業にどう活きるかを論理的に書く
- 市場データで裏付ける: 新分野の市場規模・成長率・競合分析を数字で示す
- 付加価値額計画を具体化する: 売上・利益・付加価値額の根拠ある数値計画を3〜5年分作成する
- 差別化要因を明確化する: 新分野での競合との差別化ポイントを具体的に記述する
- 認定支援機関を慎重に選ぶ: 事業再構築補助金の採択実績が豊富な支援機関に依頼する
過去の実績では、第1回から第8回の累計で採択率は約44〜51%前後で推移しています。第8回では全体採択率51.3%でした。ただし枠によって差があって、最低賃金枠は採択率が70%超と高めですが、グリーン成長枠は40%程度です。競争率の低い枠を狙う戦略も一考の余地があります。
40〜50%ということは、2件に1件は落ちるということですよね。それを踏まえると、計画書の質がいかに重要かがわかります。
まさにそこが肝心です! 事業計画書の質が採択の9割を決めると言っても過言ではありません。認定支援機関選びは慎重に。中小企業診断士や補助金申請の採択実績が豊富なコンサルタントに依頼することで、計画の質が大幅に向上します。
ものづくり補助金とかIT導入補助金とか、他の補助金と何が違うんですか? どう使い分ければいいんですか?
大きく違うのは「規模感」と「対象とする変革のレベル」です。
同一経費に対して複数の補助金を使うことは原則禁止ですが、対象経費を明確に切り分ければ複数の補助金を使い分けることは可能です。例えば、事業再構築補助金で新工場の建設費・設備費をカバーし、IT導入補助金で業務管理システムの導入費をカバーする、という使い方ができます。
非常に有効です! 補助金でカバーされない自己負担分については、中小企業経営強化税制(即時償却または10%税額控除)や設備投資減税との組み合わせにより、実質的な手出しをさらに圧縮できます。金融機関の低利融資との組み合わせも一般的です。採択後は認定支援機関と相談しながら最適な資金調達プランを組み立てましょう。
わからないことがあったら、どこに問い合わせればいいんですか?
事業再構築補助金事務局コールセンターに電話するのが一番確実です!
jGrantsへのアクセスって、ブラウザの制限とかあるんですか?
あります! Windowsの場合はChrome・Firefox・Edge(IEモード除く)が対象で、macOSはChrome・Firefox・Safari、AndroidはChromeが対応しています。InternetExplorerや非対応ブラウザでは申請上のエラーが発生するので注意してください。また、文字入力時にダブルクォーテーション("や"や")やカンマ(,)、タブ文字が含まれるとシステムエラーになる場合があります。
あと、不正受給についても聞いておいたほうがいいですよね。
重要なポイントです。虚偽申請による不正受給が発覚した場合、交付決定取消のうえ加算金付きで補助金の返還を求められます。さらに不正内容が公表され、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第29条に基づき、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方に処される可能性があります。補助金の申請・利用は必ず適正に行ってください。
実は採択されたものの、何から手をつけていいかわからないという方も多いと聞きます。採択後のアクションをまとめてもらえますか?
採択後すぐにやることは大きく3つです! まず「GビズIDプライムアカウント」の確認。暫定アカウントは2023年3月31日で利用終了しているので、2023年4月14日以降に新たにプライムアカウントを作成している必要があります。次に「事業類型に対応したJグランツのログイン先」を確認。成長枠等・グリーン成長枠・促進枠・SC枠でサイトが分かれています。3つ目は「補助事業の手引きと交付規程のダウンロード」です。最新版(2026年3月30日更新)が公式サイトにあります。
- GビズIDプライムアカウントの有効性確認(暫定アカウントは使用不可)
- 自分の事業類型に対応したJグランツのログイン先サイトを確認
- 補助事業の手引き最新版(2026年3月30日更新)をダウンロード
- 交付申請の締切日を事業類型ごとに確認(SC枠は2026年2月3日)
- 認定支援機関と交付申請書類の準備を開始
これから事業再構築補助金に初めて挑戦したい方向けに、何か今から準備できることはありますか?
最新回の公募に備えて、今からできる準備がいくつかあります! GビズIDプライムアカウントの取得は印鑑証明書が必要で2〜3週間かかるので、今すぐ準備しておくのがおすすめ。認定支援機関(特に採択実績のある中小企業診断士やコンサルタント)への相談も早めに動き出すことが重要です。また、日本政策金融公庫や商工会議所等でも無料相談窓口が設けられているので活用しましょう。
最後に、事業再構築補助金の全体像をざっくりまとめると?
中小企業が思い切った事業転換・新分野展開に挑む際の、日本最大級の補助金です。最大5億円、補助率最大3/4という破格の支援ですが、「思い切った事業再構築」であることの証明と、付加価値額の継続的な向上が求められる、採択後も長期的なコミットメントが必要な制度です。補助金ありきで動くのではなく、本当にやりたい事業を実現するための「後押し」として活用するのが正解です!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | [第十回]事業再構築補助金(交付申請等) |
| 実施機関 | 中小企業庁(事務局:株式会社パソナ) |
| 対象地域 | 全国 |
| 補助上限額 | 最大5億円(SC枠)/ 枠により異なる |
| 補助率 | 1/2〜3/4(枠・企業規模により異なる) |
| 対象業種 | 全業種(製造業・飲食・小売・IT・建設・サービス等) |
| 申請方式 | 電子申請(Jグランツ) |
| 問い合わせ電話 | 0570-012-088(平日9時00分〜18時00分) |
| 公式サイト | jigyou-saikouchiku.go.jp |
| 交付申請受付(SC枠) | 〜2026年2月3日 |