燃料対策補助金の種類と補助率一覧
室谷さん、最近ガソリンや軽油の価格がじわじわ上がっていて、経営に響いてる事業者さんが増えてますよね。補助金って何か使えるものありますか?
ありますよ!実は「燃料対策」に関わる補助金は国だけで100件以上あって、金額もでかいやつが多いんです。ただ種類が多すぎて、どれが自分に使えるかわかりづらいっていう声は多いですね。
100件以上!それは確かに迷いそう(笑)。どうやって整理すればいいですか?
大きく4つのカテゴリに分けると整理しやすいです。「燃料備蓄設備の導入」「天然ガス・コージェネ設備の導入」「工場・事業場の脱炭素・燃料転換」「次世代燃料の開発・製造」ですね。
なるほど!「燃料費を削減したい」のか「脱炭素に取り組みたい」のか、目的によっても変わってくるんですね。
そうそう、そこが大事なポイントです。たとえば災害時の備えとして重油タンクを設置したい事業者と、工場のボイラーを天然ガスに切り替えたい製造業と、次世代燃料の研究開発をしたい大企業では、申請すべき補助金がまるで違う。
「燃料対策」って一言で言っても、実はかなり幅広いんですね。
そうです。ちなみに補助率も全然違くて、災害備蓄系は10/10(全額補助)なんてものもあります。一方、脱炭素系は1/3〜1/2が多い。補助率が高いやつから優先して見ていくのも手です(笑)。
| カテゴリ | 代表的な制度 | 補助率 | 対象 |
|---|
| 燃料備蓄設備の導入 | 自衛的燃料備蓄推進事業 | 10/10(全額) | 避難所・社会的インフラ |
| 天然ガス利用設備 | 天然ガス利用設備導入支援 | 1/2〜1/3 | 防災拠点・民間施設 |
| 脱炭素・燃料転換 | SHIFT事業 | 1/3 | 工場・事業場 |
| 次世代燃料開発 | 資源国脱炭素化支援 | 2/3〜1/2 | 民間企業・コンソーシアム |
この一覧、わかりやすい!じゃあ補助額のレンジも教えてもらえますか?
ざっくり言うと、規模感がすごくバラバラです。中小企業向けの設備補助が数百万〜数千万円、大型の次世代燃料開発系になると最大30億〜48億円なんて補助金もある。自分の会社規模と事業目的に合ったやつを選ぶのが鉄則ですね。
さっき「全額補助」って聞いて驚いたんですけど、どんな事業者が使えるんですか?
「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」ですね。避難所、病院、社会福祉施設、通信・金融インフラ施設などが対象です。これが補助率10/10、上限約21億円という破格の制度。
石油製品タンクや石油ガス災害バルクの設置費用を全額補助してくれます。大規模災害時にも燃料が途絶えないようにしようという政策意図が強いので、補助率がここまで高い。詳細は
自衛的燃料備蓄推進事業の補助金ページで確認できます。
避難所を運営している自治体や、病院・施設が使えるやつですね。民間の通常の会社は難しそうですか?
社会的重要インフラとして認定されている施設であれば民間でも使えます。通信会社のデータセンターとか、地域の燃料供給を担うガソリンスタンドとか。
ガソリンスタンド(SS)といえば、地方では閉店が相次いでいますよね。そこに向けた支援もあるんですか?
あります!「石油製品販売業構造改善対策事業費補助金(SS承継等に向けた取組支援事業)」という制度で、SS過疎地域で燃料供給体制を維持するための費用を10/10で最大約2.24億円まで補助します。自治体が主体になって申請するタイプですが、地元のSSを守りたい経営者さんが行政に働きかけるきっかけになります。
過疎地のガソリンスタンド問題、深刻ですよね。そういう地域インフラ支援にも手厚い補助が出るんですね。
- 自衛的燃料備蓄推進事業: 補助率10/10、上限約21億円
- 石油製品販売業構造改善(SS承継支援): 補助率10/10、上限約2.24億円
- 石油製品販売業構造改善(地域燃料供給体制強化): 補助率10/10、上限約3.86億円
- 申請窓口はいずれも経済産業省(資源エネルギー庁)または委託事業者
次のカテゴリ「天然ガス利用設備」について教えてください。これも災害対策系ですか?
「災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」ですね。コージェネレーションシステム(CGS)やガスエンジンヒートポンプを導入する費用の1/2または1/3を補助してくれます。上限3.6億円です。
コージェネって、電気と熱を同時に使えるやつですよね。病院や工場で使うやつ。
そうです!停電になってもガスが来ていれば発電できるので、防災拠点としてもすごく有効。令和5年度から令和6年度にかけて複数回の公募がありました。
天然ガス利用設備導入支援(五次公募)の詳細もチェックしてみてください。
補助率1/2と1/3って、どっちが適用されるか決まってるんですか?
施設の種類や設備の規模によって変わります。避難所や防災拠点として指定されている施設のほうが補助率が高い傾向がありますね。公募要領の交付規程を細かく読むのが大事です。
令和6年度版の「災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」も同様の仕組みで継続しています。詳細は
令和6年度版の補助金ページを。こういう防災系の補助金は年度をまたいで継続して公募されることが多いので、今年度の公募状況を確認するのが重要ですね。
なるほど。今年度版があるかどうか、こまめに確認する必要があるわけですね。
そうです。あと天然ガス関連では「地域共生型廃棄物発電等導入促進事業」というのもあって、廃棄物から作る燃料でエネルギーを創出する設備への補助もあります。補助上限1.5億円、補助率1/3で、廃棄物処理業者向けです。
廃棄物発電等導入促進事業の詳細も面白いですよ。
製造業の方から「工場の燃料コストを下げたい」ってよく聞きます。こういう方向けの補助金も豊富なんですか?
ありますよ!環境省の「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」がまさにそれです。工場や事業場でCO2排出削減につながる設備更新に対して、最大5億円、補助率1/3の支援があります。
5億円!でも1/3だから自己負担も結構かかりますね。
そうですね。ただ
SHIFT事業のポイントは「省CO2型の設備更新全般」に使えることで、燃料転換(重油ボイラーをガスや電気に切り替える)だけじゃなく、高効率設備への入れ替えも対象になる。詳細は
SHIFT事業の補助金ページで確認できます。
重油からLNG(液化天然ガス)に切り替えるとかも対象になるんですね。
なります。燃料転換は脱炭素の文脈でも重視されていて、「電化・燃料転換事業(B類型)」として申請できます。ただ採択のためには「CO2削減計画」の策定が求められるので、そこが最初のハードルですね。支援機関に相談しながら計画を作る事業者さんが多いですよ。
CO2削減計画って、自分たちで作れないこともないですか?
不可能じゃないですけど、専門的な数値計算が必要なので、中小企業診断士や省エネの専門コンサルを活用する事業者さんが多いです。省エネ診断を無料で受けられる支援策もあるので、そこから始めるのが賢いですね。
- CO2削減計画の策定が申請要件(数値目標の設定が必須)
- 交付決定前に着工してしまうと補助対象外になる(事前着手届出制度を活用する場合を除く)
- 補助は後払い方式のため、立替資金の用意が必要
- 計画策定段階から中小企業診断士や省エネ専門家に相談することを推奨
後払いって、結構きついですよね。いつ振り込まれるか読みづらいですし。
そこが補助金の難しいところで、事業完了後に報告書を提出して承認されて初めて入金になる。タイミングは早くて数ヶ月後、長い場合は1年近くかかることもある。手元資金か融資と組み合わせて資金繰りを組む必要がありますね。
燃料対策補助金の申請フロー
トラック会社やバス会社など、燃料費が事業の命取りになりやすい運輸業の方向けには、何か特別な補助金はありますか?
運輸業で使えるやつだと、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金が大きいですね。電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の導入費用を補助してくれます。令和6年度補正では総額1,100億円という超大型予算が組まれています。
充電インフラも合わせて整備したいっていう場合はどうですか?
それ用の補助金もあります。「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」で、充電スタンドや水素ステーション等の整備費用を補助。令和6年度補正で総額360億円の予算です。詳しくは
充電・充てんインフラ導入促進補助金のページで。
車を電動化して、充電インフラも整備して、というのをセットで考えられるわけですね。
そうです。両方の補助金をうまく組み合わせるのが理想的。あとトラックやバス向けには「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業費補助金(商用電動車等の普及加速に向けた実証事業)」というのもあって、商用車の電動化実証に向けた補助も受けられます。補助率は2/3以内、上限3.5億円です。
船舶の燃料対策はどうでしょう?漁業者や運送会社が使える補助金ってありますか?
「ゼロエミッション船等の建造促進事業」という環境省の補助金があって、CO2排出ゼロを目指す船の建造費を補助してくれます。令和7年度版は上限300億円というかなり大型の制度で、大企業1/3以内・中小企業1/2以内の補助率です。
ゼロエミッション船等の建造促進事業の詳細はこちらで確認できます。
「次世代燃料」って最近よく聞きますけど、具体的には何を指してるんですか?
水素、アンモニア、SAF(持続可能な航空燃料)、合成燃料あたりが代表的です。従来の化石燃料に代わるもので、製造や使用時のCO2排出が少ない。この分野に国が相当大きなお金を入れていますね。
大企業向けって感じがしますが、中小企業でも関係してくる話ですか?
直接の開発はやっぱり大企業やコンソーシアム主体になるんですが、次世代燃料のサプライチェーンに入り込むことで中小企業も関係してくるんです。部品製造や設備メンテナンスなど。
なるほど!上流の補助金を活用した企業の下請けとして入るイメージですね。
その通りです。たとえば「GXサプライチェーン構築支援事業」(最大25億円)は、脱炭素化に向けたサプライチェーン全体の構築を支援するものです。
GXサプライチェーン構築支援事業の詳細を見てみてください。
SAF(バイオジェット燃料)関連の補助金はどうですか?航空業界が注目してるやつですよね。
「プラスチック等資源循環システム構築実証事業(代替ジェット燃料事業)」があります。廃プラスチックや廃油を原料とするSAFの製造・供給体制の構築を支援する環境省の事業で、最大約14.7億円、補助率1/2以内または1/3以内です。
代替ジェット燃料事業の詳細も参照できます。
エネルギー安全保障の観点から、産油国への技術支援もありましたよね。
「産油国石油精製技術等対策事業費補助金(産油・産ガス国産業協力等事業)」ですね。最大32億円で、補助率は定額・2/3・1/2です。産油国の脱炭素化や石油精製技術の高度化を支援するもので、海外展開を目指す日本の石油・エネルギー企業が活用できます。
産油国補助金の詳細をご覧ください。
ここまで色んな補助金を聞いてきましたが、一覧で比べてみたいですね。
まとめると、補助率・上限・主な対象者はこんな感じになります。
| 補助金名 | 上限額(概算) | 補助率 | 主な対象 |
|---|
| 自衛的燃料備蓄推進事業 | 約21億円 | 10/10 | 避難所・重要インフラ |
| クリーンエネルギー自動車導入 | 1,100億円(総額) | 車種により異なる | 事業者全般 |
| 充電・充てんインフラ導入 | 360億円(総額) | 車種により異なる | 事業者全般 |
| 天然ガス利用設備導入支援 | 約3.6億円 | 1/2〜1/3 | 防災拠点・民間施設 |
| SHIFT事業(燃料転換) | 約5億円 | 1/3 | 工場・事業場 |
| ゼロエミッション船建造促進 | 300億円 | 大企業1/3・中小1/2 | 船舶事業者 |
| GXサプライチェーン構築 | 約25億円 | 定額 | 製造業等 |
| 代替ジェット燃料(SAF)事業 | 約14.7億円 | 1/2〜1/3 | エネルギー・化学系 |
| 産油国産業協力等事業 | 約32億円 | 定額・2/3・1/2 | 海外展開企業 |
| 石油次世代燃料安定供給 | 約48億円 | 要領参照 | 石油・エネルギー業 |
この比較表すごい助かります。補助率が高い順に見ると、申請のコスパが良いやつが絞り込めますね。
実務的にはその通りで、補助率10/10は「全額出る」分、対象が限定的。補助率1/2〜1/3のほうが汎用性が高いけど自己負担もある。自社の資金力と照らし合わせて選ぶのがベストです。
事業目的の整理
「燃料費削減」「脱炭素化」「災害対策」のどれが優先かを明確にする
GビズIDの事前取得
Jグランツ申請に必須。取得に2〜3週間かかるので早めに
公募スケジュールの確認
年度内に複数回公募が行われる制度も多い。逃さないようにアラート設定を
法人・個人事業主が国の電子申請サービスを使うためのIDです。Jグランツ(国の補助金ポータル)での申請に必須なんですが、取得に時間がかかるのがネックで。「申請しようと思ったらGビズIDがない」ってのは典型的な失敗パターンです(笑)。
申請を考えてない時期でも持っていて損はないです。あとJグランツのアカウント登録もセットでやっておくといい。申請直前に「GビズIDがない!」ってパニックになる事業者さんを何人も見てますから(笑)。
採択率って気になりますが、燃料対策系の補助金はどんな感じですか?
制度によってかなりバラつきがあります。大型の次世代燃料開発系は競争率が激しくて採択率が低め。一方、災害備蓄系は申請件数がそれほど多くないし、政策的に通しやすい傾向がありますね。申請の実績がある事業者が有利なので、まずは申請してみることが大事です。
- 交付決定前の工事・設備発注は補助対象外(事前着手届出を除く)
- 補助金は後払い。事業完了後の報告書審査後に入金
- 複数の補助金の「重複申請」は一部制限あり。事前確認が必要
- 事業完了後も一定期間の実績報告義務がある制度が多い
今日は燃料対策補助金についてたっぷり教えていただきましたが、改めてどんな事業者さんに特に声を届けたいですか?
まず、避難所や病院・社会福祉施設の管理者さんは絶対に見てほしい。補助率10/10の制度があって、災害時の燃料備蓄設備を実質無料で設置できるチャンスがある。もったいなくて仕方ない。
それから運輸業の事業者さん。EV化の補助金は総額1,100億円という規模感で、今がまさに転換の好機。燃料費という最大のコスト要因を下げるチャンスです。それと工場を持っている製造業も、SHIFT事業を活用して燃料転換を進めることで、燃料コスト削減とCO2削減の一石二鳥が狙えます。
やっぱり「使えそう」と思ったらまず問い合わせてみる、ってことが大事ですね。
公募期間中に問い合わせしても全然OK。むしろ積極的に質問した事業者のほうが、書類の不備が少ない採択実績がある印象です。遠慮なく確認しましょうって感じです(笑)。
都道府県ごとの燃料対策補助金も気になった方は、各都道府県のページも見てみてください。地域ごとに独自の燃料対策支援が出ていることもありますよ。