室谷さん、最近ガソリン代とか電気代とかほんとに上がってるじゃないですか。福岡で事業やってる人たちって、燃料費の補助金って意外と知らなかったりしますよね?
そうなんですよ。「燃料費の補助金」って調べると、いきなり石油産業向けの億単位の制度が出てきたりして、「うちには関係ない」と思って閉じちゃう人が多いんですよね(笑)。でも実際は運送業・農業・漁業・製造業まで使えるルートが複数あって、ちゃんと整理すれば自分の業種に合った補助金が見つかります。
なるほど。「燃料費補助金」って一言で言っても、業種によって全然違う制度があるってことですよね?
そうです。大きく分けると「EV・FCV・ZEV系の車両導入」「設備の省エネ化」「石油・ガス関連業者向け構造改善」「災害備蓄」の4ルートがあります。福岡県は物流ハブで、製造業・農業・漁業・運送業が集積してる県なので、この4ルートのどれかに当てはまる事業者さんはけっこう多いです。
ありますよ!(笑)福岡市は令和8年1月から3月分の燃料費・光熱費高騰に対して、影響額の2分の1(上限60万円)を市内中小企業者に直接支給する制度を令和8年3月から受付してます。ガソリン・軽油・重油・灯油は1リットルあたり18円、LPガスは1立方メートルあたり77円の上昇単価が設定されてる。かなり具体的な制度です。
えっ、それって使用量を申告するだけで計算してもらえるんですか?
基本はそうです。専用ホームページでオンライン申請できて、令和8年6月30日まで受付中です。居酒屋で2店舗経営してたら約3万1千円、宿泊業だと約22万円というモデルケースも公式サイトに出てますよ。
福岡市 燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援(令和8年)
- 対象: 福岡市内の中小企業者等(個人事業主含む)
- 支援内容: 令和7年7月〜9月、令和8年1月〜3月の燃料費・光熱費価格高騰分の2分の1
- 上限: 60万円
- 受付期間: 令和8年3月23日〜令和8年6月30日
- 申請: オンライン・郵送
- 問い合わせ: 092-715-0401
福岡県の燃料費補助金ルート比較図
全体像をざっくり分類すると、どんなルートがありますか?
| カテゴリ | 主な対象者 | 代表的な補助金 | 補助規模 |
|---|
| EV・FCV車両導入 | 運送業・一般企業 | クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 | 1台数十万〜数百万円 |
| 省エネ設備 | 工場・施設 | 福岡県中小企業脱炭素化緊急支援事業補助金 | 最大500万円 |
| 石油ガス事業者 | ガソリンスタンド等 | 石油製品販売業環境保全対策事業費補助金 | 数千万〜数十億円 |
| 災害用燃料備蓄 | 病院・学校・避難所 | 自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金 | 全額補助(10/10) |
| 脱炭素型燃料 | 製造業・重工業 | GXサプライチェーン構築支援事業 | 最大25億円 |
| 船舶・海運 | 漁業・内航海運 | ゼロエミッション船等の建造促進事業 | 数百億円規模 |
規模がバラバラすぎて(笑)。「うちはどこを見ればいいんだろう」って迷いますね。
そうですよね。なので業種ごとに一番効率がいいルートから当てていく方法を次のセクションで解説しますね。
運送・物流業界の人たちって燃料費が一番の経営課題ですよね?どこから手をつければいいですか?
トラックや営業車をEV・FCVに切り替えるタイミングで補助金を組み合わせるのが王道です。一番大きいのがクリーンエネルギー自動車導入促進補助金で、令和6年度補正予算だと総額1,100億円の大型事業です。EV・FCV・PHEVを対象に、1台あたり数十万〜数百万円の補助が出ます。
1,100億円!それは個人の企業でも申請できるんですか?
大型の商用電動車については、環境省の「環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業」が専用に用意されています。令和8年度版は現在公募中で、ハイブリッドや天然ガストラック・バスも対象です。福岡って九州の玄関口で運送会社が多いから、これは特に使いやすいですよ。
充電設備やステーションの整備費用はどうなりますか?
別途「充電・充てんインフラ等導入促進補助金」があります。令和6年度補正で総額3,600億円規模です。充電器・水素充てん設備どちらも対象で、事業所内に設置する場合も申請できます。EVを導入するなら充電設備とセットで申請するのが定石ですね。詳しくは
充電・充てんインフラ等導入促進補助金のページをご覧ください。
対象車両・設備の型式・スペックを公募要領で事前確認
発注・購入前に交付申請を完了させる(これが最重要ルール!)
農業も燃料費って大変ですよね。ハウス栽培の暖房代とか。
ハウス農家さんにとって冬の暖房燃料費はほんとに頭痛の種ですよね(笑)。農業向けで使えるのは主に省エネ設備への更新系の補助金です。農林水産省系の農業用ハウスの省エネ設備導入、環境省系の工場・事業場の先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)が候補になります。
使えます。SHIFT事業は「省CO2型設備への更新事業」で、工場・事業場でのCO2削減設備更新に最大5億円(補助率1/3)という内容です。農業の大規模ハウスや施設園芸も対象に入れてもらえる場合があります。詳細は
SHIFT事業ページでチェックしてみてください。
あります!「福岡県中小企業脱炭素化緊急支援事業補助金」が令和7年度補正予算で実施中で、省エネルギー設備(高効率空調・高効率給湯機器・コージェネレーション等)の導入費用の3分の1を補助します。最大500万円で、太陽光発電(10〜50kW未満、5万円/kW・上限250万円)と同時申請も可能ですよ。
県内の中小企業者・個人事業者(青色申告)が対象なので、農業法人・農業の個人事業者も対象に入ります。ただし「脱炭素経営はじめの一歩。応援プログラム」での削減目標設定が条件の一つなので、先に県の窓口に確認してから申請を進めてください。
- 補助対象設備の型式・スペックが要件を満たさないと不採択
- 交付決定前に設備を発注・購入すると補助対象外
- 国補助金と県補助金の重複受給は基本的にNG(導入設備ごとに確認必須)
ゼロエミッション船補助金フロー図
福岡って玄界灘の漁業も盛んだし、博多港からの海運もありますよね。船舶向けの補助金って何がありますか?
国土交通省と環境省がそれぞれ大型の補助金を出してます。一番注目したいのがゼロエミッション船等の建造促進事業です。令和7年度版だと事業規模300億円で、水素・アンモニア・LNG・メタノール・バッテリー推進の船舶の建造費を補助率1/3〜1/2で支援します。
えっ、1隻の船に300億円規模の補助金ってすごくないですか?
複数の船舶・事業者でシェアされる総額が300億円ですね(笑)。ただ中小の漁船・内航船主でも申請できる可能性はあります。船齢更新のタイミングで「次の船はLNG燃料や電動化を検討」というフェーズから国土交通省の担当部署に相談するのが正解です。詳しくは
ゼロエミッション船等の建造促進事業ページで確認を。
離島航路が多いというのが福岡・九州の特徴ですよね。離島へのLPガス・石油製品の安定供給を支援する「離島への石油製品の安定・効率的な供給体制の構築支援事業」もあります。令和7年度版で申請できます。詳しくは
離島石油製品供給支援事業ページで確認してください。
福岡でガソリンスタンドを経営してる方向けの補助金はどうでしょう?
これは専用の補助金があります。経済産業省(資源エネルギー庁)の「石油製品販売業環境保全対策事業費補助金」「石油製品販売業構造改善対策事業費補助金」シリーズです。過疎地のガソリンスタンド廃止・維持・設備更新から、地下タンク撤去・漏えい防止工事まで多岐にカバーします。
あります。「石油ガス流通合理化対策事業費補助金」シリーズで、LPガス販売事業者の構造改善(
令和7年度版)、LPガス地域防災訓練支援(
令和7年度版)などが使えます。福岡市内はLPガス供給エリアが広いので、地元のLPガス事業者さんにはぜひ確認してほしい制度です。
個人事業主や中小企業ではなく、病院とか学校みたいな施設はどうですか?
社会的重要インフラ施設向けに
「自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」があります。令和7年度版で総額189.8億円、補助率は10/10(全額補助)です!対象は避難所、病院、社会福祉施設、学校、水道施設など。石油タンクや石油ガス災害バルクの設置費が全額出ます。詳しくは
令和7年度版ページで。
全額補助はすごいですね!なんでそんなに手厚いんですか?
能登半島地震のような大規模災害で燃料が切れると、避難所の暖房も病院の自家発電も止まるじゃないですか。あの経験から国が「社会インフラに燃料備蓄を義務的に支援しよう」という方向になったんです。だから補助率が非常に手厚い。
福岡の避難所や病院には特に重要ですね。南海トラフも心配ですし。
そうなんです。南海トラフ対策という文脈でも、今が設置タイミングとして最も補助が取りやすい時期です。逆に「後でいいか」と先送りすると、次の公募で要件が厳しくなる可能性もある。市区町村の危機管理担当とも連携して動くのが理想ですね。
経済産業省の「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」が使えます。鉄鋼・化学・紙パルプ・セメントなどCO2削減が特に難しい重工業を対象に、燃料転換・製造プロセス転換への大規模設備投資を定額補助(最大25億円)します。詳しくは
排出削減困難産業支援ページで。
そうなんです。北九州の鉄鋼・化学系企業には特に関係の深い補助金です。GXリーグ参加企業や排出量取引を見据えて燃料転換を検討しているところは、「GXサプライチェーン構築支援事業」(最大25億円、詳細は
こちら)も組み合わせて活用できます。
補助金の規模が大きいですね。申請のハードルも高そうですが?
確かに大規模な補助金は事業計画書の作り込みが必要で、公募説明会への参加も推奨されています。ただ、これだけの規模になると「補助金専門家(行政書士・中小企業診断士)」に相談しながら進めるのが現実的です。費用対効果を考えると、補助金額に対して専門家費用は1〜3%程度で済むことが多いですよ。
| 補助金名 | 対象者 | 補助率 | 上限額 | 担当省庁 |
|---|
| クリーンEV車両導入促進補助金 | 全事業者・個人 | 定額 | 車種による | 経産省 |
| ゼロエミッション船建造促進事業 | 船主・造船業 | 1/3〜1/2 | 300億円規模 | 国土交通省 |
| 自衛的燃料備蓄推進事業費補助金 | 社会インフラ施設 | 10/10 | 施設規模による | 経産省 |
| SHIFT事業(省CO2設備更新) | 工場・事業場 | 1/3 | 最大5億円 | 環境省 |
| 福岡県脱炭素化緊急支援補助金 | 県内中小企業 | 1/3 | 最大500万円 | 福岡県 |
| 福岡市燃料費高騰支援事業者支援 | 市内中小企業 | 価格高騰分1/2 | 60万円 | 福岡市 |
| SS環境保全対策事業費補助金 | 石油販売業者 | 定額(10/10) | 施設規模による | 経産省 |
| 天然ガス設備導入支援補助金 | 事業者全般 | 1/2〜1/3 | 3.6億円 | 経産省 |
この表を見てほしいのは「補助率10/10(全額補助)」の制度がしっかりあるということです。全額補助は通常の補助金ではほぼ見ません。社会的重要性が高い領域に限って出てくる特例的な水準です。
病院・避難所・過疎地のガソリンスタンドって、民間の論理だけで動かすのが難しい社会インフラですよね。だから政策的に手厚くなってる。逆に言えば、そういう事業者さんがこの制度を使わないのはもったいない!
燃料対策補助金に限らず共通のポイントが3つあります。一番重要なのは「交付決定前に発注・購入しない」こと。補助金はほぼ例外なく「交付決定後に発注・契約を開始する」が条件です。「見積が取れたから先に発注した」というケースで補助対象外になった事例を何件も見てきました。
見積・仮見積はOKです。ただ「注文書に印鑑を押す」「契約書に署名する」「頭金を支払う」はアウト。見積書の日付と交付決定通知書の日付を必ず見比べてください。
あとは年度ごとに要件が変わるって言ってましたよね?
これも重要で、補助金の名称が同じでも年度ごとに対象設備・補助率・上限額が変わります。前年の採択事例や他社の申請書をそのまま流用すると落ちます。必ず最新の公募要領を読む。読むのが辛ければ、担当省庁の補助金説明会に出てください。大抵は無料で、担当官に直接質問できます。
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最後に、福岡の事業者さんへのアドバイスをまとめてください。
業種ごとに一言ずつ言うと、「運送・物流」はまずEV補助金(CEV)とGビズIDの確認から。「農業・施設園芸」は福岡県の脱炭素化補助金の窓口に相談。「漁業・海運」は船齢更新のタイミングでゼロエミッション船事業を調べる。「ガソリンスタンド・LPガス販売」はエネ庁の構造改善・環境保全補助金を毎年チェック。「病院・避難所」は今すぐ燃料備蓄補助金(全額補助)の申請を検討。という感じですね。
それぞれのページはこのサイトにも詳しく載ってますよね?
わかりました!燃料費対策は今すぐ動き始めることが大事ってことですね。
そうですね。補助金は「申請すれば必ずもらえる」ではなく、「申請しなければゼロ」です。今の燃料費高騰は続くと見るのが現実的なので、早めに動くほど恩恵を長く受けられます(笑)。