室谷さん、うちの事務所のパソコン、Windows 10からの乗り換えで買い替えを検討してるんですけど、補助金って使えますか?
使えますよ!ただ条件があって、「パソコンを買うこと」そのものを目的にした補助金はほぼないんです。何かしらの業務改善やデジタル化が目的じゃないと対象にならないことが多い。
ないですね(笑)。でも、デジタル化推進やテレワーク整備、賃上げのための設備投資としてパソコンを買う、という形ならいくつかの補助金で対象になります。実際に7件のデータベース収録制度を含め、国・地方あわせて10件以上の選択肢があります。
そんなにあるんですね!どれから見ていけばいいですか?
まず大枠でいうと、事業者向けの補助金と、個人でも使えるものに分かれます。どちらをお探しですか?
うちは小さい会社なので、法人でも個人事業主でも使えるなら全部知りたいです(笑)
補助金の種類と対象者の比較図
| 補助金・助成金名 | 種別 | 補助額(上限) | 対象 |
|---|
| デジタル化・AI導入補助金(インボイス枠) | 補助金 | PC: 10万円 | 中小企業・小規模事業者 |
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | 補助金 | 450万円(ソフト含む) | 中小企業・小規模事業者 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 補助金 | 50万円〜250万円 | 小規模事業者 |
| 業務改善助成金 | 助成金 | 最大600万円 | 従業員を雇用する事業者 |
| テレワーク促進助成金(東京都) | 助成金 | 250万円 | 都内中小企業 |
| テレワーク定着促進フォローアップ助成金(東京都) | 助成金 | 100万円 | 都内中小企業 |
| テレワーク導入ハンズオン支援助成金(東京都) | 助成金 | 250万円 | 都内中小企業 |
| 久留米市小規模事業者デジタル化支援補助金 | 補助金 | 20万円 | 久留米市内小規模事業者 |
| 東京都臨床調査個人票電子化等推進事業補助金 | 補助金 | 5万円 | 都内医療機関 |
まだあります(笑)。国の制度だけじゃなくて、都道府県や市区町村独自のものを含めるとかなりの数になる。Windows 10サポートが2025年10月に終了したので、今は買い替え需要に合わせた支援制度が増えているんですよ。
そうなんです。これが落とし穴で、知らずに見逃す人が多い。でも公式の補助金データベースや商工会議所で相談すれば出てきます。ぜひ後で触れますね。
申請フロー図
一番有名なやつですよね。IT導入補助金って今は名前が変わったんですか?
そうなんですよ。令和8年度(2026年度)から正式名称が「デジタル化・AI導入補助金」に変わりました。中身も拡充されて、AIツールも補助対象に加わっています。
主に2つあります。一つは「インボイス枠(インボイス対応類型)」で、インボイス制度に対応した会計ソフト・受発注・決済ソフトとセットでPC・タブレットを買う場合に使えます。PC・タブレットへの補助率は1/2以内で、上限10万円です。
10万円ね。ソフトと一緒じゃないとダメなんですか?
そうです。PC単体じゃ申請できない。でも「ソフト部分」には別途補助が出る。中小企業なら補助率3/4以内、小規模事業者だと4/5以内で最大350万円まで出ます。PCの10万円はその「おまけ」みたいな位置づけですね。
なります!もう一つは「通常枠」で、こちらはパソコンそのものは対象外なんですが、ソフトウェアとセットで業務効率化する場合に最大450万円まで出ます。パソコンも業務改善の中で必要なら経費に含められることがある。
できます!個人事業主も対象に含まれています。ただしGビズIDプライムのアカウント取得が必須なので、申請を検討しているなら発行手続きを先に始めてください。発行まで2〜3週間かかります。
知る人ぞ知る制度なんですよ。厚生労働省の助成金で、「設備投資をして従業員の最低賃金を引き上げる」という条件を満たすと、その設備投資にかかった費用を助成してくれる。
含まれます。POSレジ、コンピュータ、スマートフォン、タブレット端末……パソコンも対象なんです。最大600万円まで助成されます。
ただ条件があって、従業員がいないと使えません。個人事業主1人だと対象外です。あと、必ず「交付決定後」に設備を購入する必要があるので、先に買ってしまうと補助対象外になる。
そうなんです。賃金引上げ額と従業員数によってコースが変わりますが、30円コース(最低賃金を30円以上引き上げ)でも条件次第で600万円以上の助成が出ます。令和8年度のコールセンターが2026年4月22日に開設されたので、詳細は厚生労働省に直接問い合わせるのがおすすめです。
- 従業員の最低賃金を一定額引き上げ+設備投資が条件
- PC・タブレット・スマートフォンも対象設備
- 助成率: 75%〜90%(条件による)
- 最大助成額: 600万円以上
- 申請先: 都道府県労働局・労働基準監督署
販路開拓や業務効率化のための設備投資に使える補助金です。パソコンも「業務効率化に必要な機器」として対象になることがあります。ただ「PC購入が目的」というより「この経営計画を実現するためにPCが必要」という書き方をしないといけない。
はい。商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画書を作ります。令和8年度第19回は令和8年4月30日が申請締切なので、今月中の動きが必要です。
えっ、令和8年4月30日って今月末じゃないですか!
そうなんですよ。第20回があれば次の機会もありますが、地元の商工会議所にすぐ相談することをすすめます。補助上限は通常50万円ですが、インボイス特例で50万円上乗せ、赤字事業者は補助率が3/4に上がります。最大で250万円まで出る。
事業計画の「経営改善効果」をしっかり書けるかどうかで大きく変わります。ここが審査のポイントです。
そうなんです。東京都はテレワーク関連の助成金が充実してて、DBにも3件入ってます。
「テレワーク促進助成金」「テレワーク定着促進フォローアップ助成金」「テレワーク導入ハンズオン支援助成金」の3つです。ただ、現在のステータスを確認するとclosedになっているものがほとんどで、令和8年度版の公募が始まるかは東京しごと財団のサイトで確認が必要です。
そうです。小さい会社の方が有利な設計になってます(笑)
自治体独自の制度って、どうやって探せばいいんですか?
3つのルートがあります。一つ目は地元の商工会・商工会議所、二つ目はjGrants(補助金ポータル)で地域を絞り込んで検索、三つ目は自治体の産業振興課に直接問い合わせです。
でも逆に、コンサルで「こういうデジタル化が効果的」という提案を受けた上でPCを買えるから、「なんとなくPC買った」より業務改善効果が出やすいんですよね。補助金申請の質も上がる。
自治体独自の制度は公募期間が短いことも多い。地元の商工会議所や自治体の産業振興課に問い合わせるか、jGrants(補助金ポータル)で都道府県・市区町村を絞り込んで検索するのが一番手っ取り早いですよ。
結局どれを選べばいいかって話ですよね。まとめてもらえますか?
状況で選ぶのが正解です。目的別に見ると、こんな感じです。
| 状況 | おすすめの補助金 |
|---|
| インボイス対応の会計ソフトも同時に導入 | デジタル化・AI導入補助金(インボイス枠) |
| 従業員がいて、賃上げを検討中 | 業務改善助成金 |
| 小規模事業者で販路拡大・業務効率化を計画中 | 小規模事業者持続化補助金 |
| 東京都内でテレワーク整備中 | 東京都テレワーク助成金 |
| 久留米市内でデジタル化 | 久留米市DX支援補助金 |
原則として同一の経費に重複して補助金を受けることはできません。でも「Aの補助金でソフト代」「Bの補助金でPC本体」というように対象経費を分ければ、複数受けられることがあります。これを「併用」といいます。
「買ってから申請しちゃった」は全部ダメなんですか?
基本的にそうです。ほぼ全ての補助金・助成金で「交付決定後に購入」が原則です。「もうPC買っちゃったんだけど補助金使えますか?」という相談、めちゃくちゃ多いんですが、答えは「ほぼ使えない」です。
でも中には「遡及」を認めている制度もゼロじゃない。ただそれは例外中の例外なので、期待しないでください。
1補助金の公募要領を確認(対象経費・補助率・申請期間)
多くの補助金で中古・リース・レンタルは対象外です。新品の購入が基本です。あと領収書や見積書は必ず保管してください。数年後に「効果報告」を求められることがある。
IT導入補助金は最大5年間、効果報告の義務があります。これをサボると補助金を返還しないといけない場合も(笑)
補助金を使う前提でPC選びをするとき、気をつけることってありますか?
大事なのはスペックだけじゃなくて、「この補助金の要件を満たすか」という視点です。例えばデジタル化・AI導入補助金で会計ソフトを入れる場合、PCが古すぎてソフトが動かないと本末転倒なんですよ。
そうなんです。あと、中古は対象外が多いって話をしましたが、リース・レンタルも同様です。「月払いで安く済むから」とリースにすると補助対象外になることが多い。なかなか罠なんです。
基本はそうです。あとよくある失敗が「見積書の宛先問題」で、法人申請なのに見積書が個人名義になっていると審査で落ちることがある。細かいですが、書類を揃えるときは宛先・品名・日付を必ずチェックしてください。
もう一つ、採択率の話をすると、IT導入補助金(インボイス枠)の採択率は比較的高めで7〜8割ある。業務改善助成金は要件さえ満たせばほぼ全件通る助成金型なので、「審査に落ちるかも」というプレッシャーも少ない。初めての補助金申請なら、この2つがとっつきやすいです。
逆に小規模事業者持続化補助金は審査型なので倍率があります。令和8年度第19回は競争率もありますし、しっかり計画書を作ることが大切です。
ありますよ!まず「SECURITY ACTION」の自己宣言。デジタル化・AI導入補助金の申請には必須なんですが、存在を知らずに直前になって慌てる人が多い。IPAのサイトで無料でできる宣言手続きですが、これを済ませてないと申請に進めません。
次に「事前購入」の罠。公募要領をよく読まないと、「申請受付期間」と「交付決定日」の違いに気づかない。申請が受け付けられても、交付決定通知が来るまでは絶対に購入しちゃダメです。
申請期間に申し込んだから始められる、じゃないんですね。
そうなんです。交付決定まで数週間〜数ヶ月かかるのが普通なので、購入タイミングを焦ると全額自己負担になります。それと、実は「IT導入支援事業者」として登録された業者からしか購入できないのもポイントです。
デジタル化・AI導入補助金の場合はそうなんです。補助対象のITツールを販売している「IT導入支援事業者」を通じて申請する形になっているので、補助金を使うならまずその事業者を探す必要があります。
業務改善助成金と小規模事業者持続化補助金は購入先の縛りがないので、そちらは比較的自由です。家電量販店や直接メーカーから買ってもOKです。
- SECURITY ACTION宣言(デジタル化・AI導入補助金に必須。無料・即日可能)
- 交付決定通知が来るまではPC購入禁止
- デジタル化・AI導入補助金はIT導入支援事業者経由が必須
パソコン購入に使える補助金は「PC購入そのものが目的」ではなく、「デジタル化・業務改善・テレワーク整備・販路拡大などの目的ありき」で選ぶのが基本です。国の制度だけでも3〜4種類、自治体独自を含めると10件以上の選択肢があります。
一番のアドバイスは「まず商工会・商工会議所に相談する」ことです。無料で制度を教えてくれるし、申請書類の作成も支援してくれる。Windows 10の乗り換えで買い替えを検討しているなら、今がちょうどいいタイミングです。
そうです。一旦全額を自己負担して、事業完了後に報告書を出してから補助金が振り込まれる。資金繰りは自分で用意しておく必要がある。これは覚えておいてください!
Windows 11への移行、あんまり先延ばしにすると結局高くつくので、ぜひ早めに動いてみてください(笑)