「ウクライナ農業回復緊急支援事業」という補助金があるって聞いたんですが、農林水産省が出してるんですか?
そうです、農林水産省が令和7年度補正予算で2億円を確保して実施する国の補助事業です。名称は「令和7年度補正ウクライナ農業回復緊急支援事業」で、日本の農林水産・食品関連企業がウクライナの農業復興に参画するための活動を全額(10/10)補助してくれるという非常に手厚い制度です。
ウクライナはロシアの侵略によって農業インフラが深刻なダメージを受けています。農地や電力インフラの破壊、農業労働力の不足、農産物サプライチェーンの混乱が重なって、世界有数だった食料生産力が大きく落ちてしまっているんです。その回復を日本企業の技術や知見で支援しながら、同時に日本企業のウクライナ事業展開の足がかりにしてもらうのがこの事業の狙いです。
なるほど!企業の海外展開支援と国際貢献が一体になってる事業なんですね。
まさにそうです。農業機械メーカー、食品加工企業、農業コンサルティング会社、物流企業など様々な事業者が対象で、複数の支援メニューを組み合わせて申請できるのも特徴です。次のセクションで4つの支援メニューを詳しく見ていきましょう。
4つの支援メニュー
4つのメニューがあると聞きましたが、具体的にどんな取り組みが対象なんですか?
公募要領に4つの取組が明記されていますよ。まず「①実現可能性調査(FS)」は、ウクライナでの事業展開に向けた市場調査、ニーズ調査、現地パートナー候補の探索などですね。まだウクライナ市場に踏み出したことがない企業でも応募できます。
大丈夫です(笑)。次の「②ウクライナ政府等関係者の招へい」は、ウクライナの農業関係者や政府関係者を日本に招いて技術研修や意見交換を実施するものです。1回あたりの招へい期間は原則として概ね1週間程度とされています。
向こうの人を日本に呼ぶ形ですね。「③技術者等の現地派遣」は逆パターン?
そうです!日本の技術者をウクライナまたはその周辺国に派遣して、現地で農業技術の指導や現地関係者への研修を行うメニューです。1回あたりの派遣期間も原則として概ね1週間程度です。そして「④サプライチェーンの強化」は、ウクライナ産農林水産物やバイオマス等の新たな調達・販売先調査、試験輸送、品質確認・分析などです。
4つが全部バラバラに見えますけど、全部同時に申請もできるんですか?
できます!複数の取組を組み合わせて申請してOKです。例えば「まずFS調査をしながら、並行して技術者も派遣する」みたいな計画を1件の申請でまとめられます。ただし注意点として、他の公的資金(補助金・助成金・委託費など)で既に実施中または実施予定・実施済の取組は対象外になりますので、既に別の補助金を使っている取組と重複しないよう整理が必要です。
- ①実現可能性調査: 市場調査・ニーズ調査・現地適合性検証・パートナー探索
- ②関係者の招へい: ウクライナ政府等関係者・有識者を日本/第三国に招へい(1回1週間程度)
- ③技術者の現地派遣: 技術者をウクライナ/周辺国に派遣・研修(1回1週間程度)
- ④サプライチェーン強化: 農産物の新調達先調査・試験輸送・品質分析・商談
1件でこんなに幅広い活動をカバーできるんですね。次は補助額の話を教えてください!
補助額が4,000万円で、しかも全額補助ってことですが、どういう仕組みなんですか?
補助率は「定額(10/10)」、つまり対象経費の10分の10、実質100%が補助されます。上限は1件あたり4,000万円です。ただし「定額」というのは「4,000万円が必ず出る」という意味ではなくて、申請した必要経費の実額(上限4,000万円)が補助されるという意味です。
自己負担ゼロで最大4,000万円の事業が展開できるってことですよね。ほんとに?
そうです(笑)。ただし重要な注意点が2つあります。1つ目は、審査の結果、申請額よりも低い金額になる可能性があるという点。事業実施計画等の精査に基づいて交付額が決定されるので、「申請した経費が全部認められる」とは限りません。2つ目は、事業の実施により収益が発生した場合には収益納付が適用される場合があるという点です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助率 | 定額(10/10) |
| 補助上限額 | 4,000万円/1件 |
| 補助対象 | 法人・団体等 |
| 事業期間 | 交付決定日〜2027年2月26日(金) |
| 予算総額 | 令和7年度補正予算額 2億円 |
例えばFS調査の結果を活用してウクライナとの取引で直接的な収益を得た場合などに、その収益の一部を国に返納する仕組みです。「補助金を使って儲けた分は返しなさい」というルールですね。FS調査や技術派遣だけなら収益が直接発生しにくいですが、サプライチェーン強化でウクライナ産品の調達に繋がった場合は気をつけておく必要があります。詳細は公募要領か事務局に確認してください。
なるほど、理解しました。では次に対象者の要件を教えてください。
どんな企業が申請できるんですか?農業関係者じゃないとダメですか?
意外と広いんですよ!対象は「法人または団体等」なので、まず個人事業主は対象外です。株式会社、合同会社、一般社団法人、農業協同組合などが申請可能です。
対象業種は建設業・製造業・農業林業・卸売業小売業・学術研究専門技術サービス業など多くの業種が認められています。農業インフラを整備する建設業者、農業機械を作る製造業者、農産物を流通させる卸売業者、農業コンサルを行う専門サービス業者、どの業種も参加できます。
- 必須①: 法人格または団体格を有する(個人事業主は対象外)
- 必須②: 農林水産・食品分野に関連する事業を営んでいる、または支援できる
- 必須③: ウクライナ農業復興に貢献できる具体的な計画がある
- 必須④: 事業期間(交付決定日〜2027年2月26日)内に完了できる
- 推奨: ウクライナへの渡航時の安全管理体制を整備できる
- 推奨: 現地パートナーまたは協力機関の候補がある
いいですよ!まさに「実現可能性調査(FS)」のメニューはウクライナ市場への参入を初めて検討する段階の企業を想定して設計されています。ただし、農林水産・食品分野での知見や技術があることと、ウクライナの農業復興に具体的に貢献できる計画があることは求められます。
申請資格についてはわかりました。では申請方法の話に移りましょう!
申請の流れ
申請はどこからするんですか?Jグランツで申請できますか?
えっ、Jグランツじゃないんですね!それは知らなかった…
意外と見落とす方が多いので注意が必要です(笑)。申請手順もやや特殊で、まず事務局のメールアドレスに「申請用URL発行依頼」のメールを送るところから始まります。
公式募集ページ(https
//yusyutu-ukraine2.jp/)で公募要領・実施規程を確認する
公募説明会のアーカイブ動画(同ページに掲載)を視聴し、審査のポイントを把握する
実施する取組(①〜④)を選択し、事業計画と経費内訳を策定する
申請様式(様式1-1〜1-5)をダウンロードし、書類を作成する(WordまたはExcel形式)
事務局メールアドレスに件名「【申請用URL発行依頼】令和7年度ウクライナ農業回復緊急支援事業補助金」でメールを送信し、アップロードURLを取得する
締め切り前に取得したURLへ申請書類をアップロードする(2026年5月7日10時00分必着)
マジですか、メールを送ってURLをもらうっていう方式なんですね!
そうなんです。事務局はTOPPAN株式会社内に設置されています。URLを取得してから書類をアップロードするまでに時間が必要なので、締め切り日よりも余裕を持ってメールを送ることが強く推奨されています。5月7日ギリギリにメールを送ってURLを待つのは危険です。
申請受付締め切りは2026年5月7日(木)10時00分必着。これは申請書類のアップロードの完了時刻です。URL発行依頼のメール送信は締め切り前に余裕を持って行ってください。なお交付決定前に発生した経費は補助対象外となります。
わかりました!次に補助対象経費について教えてもらいたいです。
どんな経費が補助対象になるんですか?かなり幅広そうですが。
公募要領の別表に詳細が載っていますが、大きく分けると人件費・旅費・謝金・賃金・需用費・機材費・賃借料・委託費・招へい費・その他諸経費の10区分です。
| 経費区分 | 内容(例) |
|---|
| 人件費 | 正職員・出向者・嘱託職員の直接作業時間に対する給料 |
| 旅費 | ウクライナ等への渡航費・国内出張費・招へい者渡航費 |
| 謝金 | 外部専門家・通訳・翻訳者への謝礼 |
| 賃金 | 臨時雇用者への実働対価(日給・時間給) |
| 需用費 | 消耗品・試験分析費・通訳翻訳費・会議費 |
| 機材費 | 実証に必要な機材・システムの購入・試作 |
| 賃借料 | 資機材・圃場等のリース・レンタル費 |
| 委託費 | 外部専門事業者への業務委託費 |
| 招へい費 | 被招へい者の渡航費・海外旅行保険・滞在費 |
| その他諸経費 | 海外送金手数料・安全管理対策費など |
旅費も含まれるんですね!ウクライナまでの航空券代も出るってことですか?
出ます!現地調査や委員会・研修等の実施・参加のための国内・海外出張に係る経費(交通費・日当・宿泊費等)が対象です。ウクライナへの渡航費はもちろん、危険地域への渡航に必要な安全管理対策費も「その他諸経費」として認められています。
対象外経費もしっかり把握しておく必要があります。以下が主な対象外です。
- 建物等の建設・不動産取得に関する経費(倉庫や事務所の建設費など)
- 業務に関わらず備えるべき備品の購入・リース費用(パソコン・デジタルカメラ・机等)
- 試作品や成果物の有償配布を目的とした経費
- 臨時雇用者への月極給与・退職金・ボーナス等(実働対価の賃金は対象)
- 交付決定前に発生した経費(決定前に動き始めると全額対象外になる危険!)
- 事業実施期間内に支払が完了しない経費
「交付決定前に発生した経費は対象外」というのは本当に注意が必要ですね。
これが一番よくある失敗パターンです!採択が見込めそうだからといって先走って現地調査に行ってしまうと、全部対象外になります。必ず交付決定後に事業を開始してください。
わかりました。次に審査の攻略法を聞かせてください!
この補助金の審査でどんなことが評価されるんでしょうか?
公募要領と説明会資料を見ると、審査のポイントは大きく3つに絞られます。まず「ウクライナ農業の具体的な課題への貢献」、次に「実現可能性の担保」、そして「日本企業の強みの活用」です。
- ①課題への具体的貢献: 農業インフラ損壊・労働力不足・サプライチェーン混乱のどれにアプローチし、どんな成果を目指すかを数字と具体策で書く
- ②実現可能性の担保: 現地パートナーの確保状況・安全管理体制・リスク対応策を具体的に提示する
- ③日本企業の強みの活用: 農業技術・品質管理・食品加工など自社が持つ強みをウクライナでどう活かすかを明記する
「具体性」が一番大事ってことですね。「ウクライナの農業に貢献したい」だけじゃダメで。
まさに(笑)。「貢献したい気持ち」だけでは通りません。例えば農業機械メーカーなら「戦前ウクライナで使われていた日本製トラクターの機種名、被害を受けた台数の推定値、修理・再導入のための調達ルート構築計画」まで書けると強くなります。現地の課題を既に把握していることが伝わる申請書が評価されます。
なるほど。公募説明会のアーカイブが見られると聞きましたが、これは活用すべきですよね?
絶対に見てください!2026年3月27日に開催された「ウクライナ食料・農業復興支援セミナー兼公募説明会」のアーカイブ動画が公式サイトに掲載されています。説明会では審査のポイントや期待される取組の方向性について詳しい情報が提供されています。事務局のTOPPAN株式会社が審査に関与しているので、説明会の内容はかなり参考になります。
無料で見られるアーカイブがあるのに使わないのはもったいないですね!基本情報をまとめてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 令和7年度ウクライナ農業回復緊急支援事業 |
| 実施機関 | 農林水産省 |
| 事務局 | TOPPAN株式会社(ウクライナ農業回復緊急支援事業運営事務局) |
| 補助率 | 定額(10/10) |
| 補助上限額 | 4,000万円/1件 |
| 対象者 | 法人・団体等(個人事業主は対象外) |
| 公募期間 | 2026年3月26日(木)〜2026年5月7日(木)10時00分必着 |
| 事業期間 | 交付決定日〜2027年2月26日(金) |
| 予算規模 | 令和7年度補正予算額 2億円 |
| 申請方法 | 専用サイト(Jグランツ非対応)からメールでURL取得後アップロード |
| 公式サイト | yusyutu-ukraine2.jp |
締め切りが2026年5月7日なので、もうあまり時間がないですね。
そうなんです。一次公募の締め切りは2026年5月7日10時ですが、申請書類を作るのに最低でも2〜3週間はかかります。事業計画書、経費内訳書、団体概要書などの様式を全部揃える必要があるので、今からでもまず事務局にメールして申請URLを確保することをおすすめします。
現時点では「一次公募」と表記されているため、二次公募の可能性もゼロではありません。ただし予算は2億円で、1件最大4,000万円ですから最大でも5件程度しか採択されない計算になります。非常に競争率が高いと予想されるので、今回の一次公募を逃さないことが重要です。
農林水産省って他にも補助金を出してるんですよね?同じ省庁の補助金との違いを教えてください。
他にもJETROとかJICAとの組み合わせはどうですか?
JETRO(日本貿易振興機構)の海外展開支援サービスは、ウクライナ市場の基礎情報収集や現地パートナー探索に活用できます。本事業の申請前の情報収集段階でJETROのサービスを使い、本申請ではより具体的な計画を盛り込むというアプローチが有効です。JICA(国際協力機構)の民間連携事業との段階的な組み合わせも視野に入ります。本事業でFS調査を行い、その成果を踏まえてJICAの事業に応募するという戦略です。ただし同一経費への重複申請は認められないので注意してください。
段階的な戦略が大事なんですね。最後によくある質問をまとめてください!
申請を検討している企業からよくある質問はどんなものですか?
「個人事業主でも申請できますか?」も多いです。残念ながら対象は法人・団体等に限定されており、個人事業主は対象外です。
「4つの取組を全部やらなければいけませんか?」という質問もありそうです。
まさに!全部やる必要はなく、1つ以上の取組を選択して申請できます。複数の組み合わせも可能です。
治安の問題はどうですか?ウクライナに行くのは安全ですか?
公募要領にも「ウクライナへの渡航に際しては、外務省の海外安全ホームページの最新情報を確認し、必要かつ十分な安全対策を準備した上で手続きを行うこと」と明記されています。緊急事態への対処として、補助事業者に帰責性のない事由に基づき生じたキャンセル料等は経費として計上できる場合がありますので、治安悪化で渡航中止になった場合は事務局に相談してください。
農林水産・食品関連企業にとって貴重な全額補助の国際支援事業ですね。
そうです。1件最大4,000万円で自己負担ゼロ、農業技術・農産物流通・食品加工など幅広い分野が対象というのは本当に稀有な機会です。ウクライナとのビジネス可能性を探りたい企業は、まず公式サイトで公募要領を確認し、説明会のアーカイブを視聴することから始めてみてください。締め切りは2026年5月7日10時ですので、今すぐ動き始めることが大切です。
農業・食品関連の補助金をもっと調べたい場合はどこを見ればいいですか?