室谷さん、うちの会社の工場の照明がだいぶ古くなってきて。LED化したいんですけど、費用がけっこうかかりますよね。補助金で使えるものってどんなのがあるんですか?
実はLED照明の入れ替えは、複数の補助金が使えるケースが多いんです。大きく分けると「LED専用の助成金」と「省エネ設備全般を対象にした補助金のなかにLEDが含まれるもの」の2パターンがあります。
そうなんです。たとえば東京都中小企業振興公社の「LED照明等節電促進助成金」は名前のとおりLEDに特化した制度で、助成率1/2・上限1,500万円というかなり手厚い内容です。工場の製造ラインの蛍光灯をぜんぶLEDに換えるとなると数百万かかりますよね。それが半額になるのはでかい。
500万かかる工事が250万になるってことか。それは大きいですね!
ただし、この助成金は対象が「製造業」に限られていて、かつ関東8都県(東京・神奈川・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬・山梨)に事業所がある企業が対象です。事前に節電診断を受けることも必須で、ちょっとハードルはあるんですけどね。
そこで出てくるのが経済産業省・SIIが運営する省エネ補助金です。「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」という制度で、LED照明は「従来枠」の対象設備に含まれています。業種に関わらず使えるのが特徴で、製造業じゃなくてもOKですよ。
| 補助金名 | 対象者 | 助成率 | 上限額 |
|---|
| LED照明等節電促進助成金(東京都) | 関東8都県の製造業 | 1/2以内 | 1,500万円 |
| 省エネ・非化石転換補助金 設備単位型 従来枠 | 全業種(全国) | 1/3 | 上限あり |
| 省エネ・非化石転換補助金 設備単位型 トップ性能枠 | 全業種(全国) | 1/3〜1/2 | 上限あり |
| ZEB普及促進支援事業(環境省) | 業務用建築物 | 1/6〜2/3 | 3億円(条件により5億円) |
| 民間建築物等省CO2改修支援事業(環境省) | 全業種の民間建築物 | 1/3 | 3,500万円 |
| テナントビル省CO2改修支援事業(環境省) | テナントビルオーナー | 1/3 | 4,000万円 |
| 脱炭素先行地域補助金(各自治体) | エリア内の事業者 | 補助率は自治体次第 | 自治体次第 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者 | 詳細は商工会議所窓口で確認 | 詳細は商工会議所窓口で確認 |
LED補助金の申請タイプ比較図
ここからそれぞれの制度を詳しく見ていきましょうか。読者の業種や規模によって使える制度が変わってきますから、自分に合ったものを選ぶのが大事です。
省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)— SII
一番使いやすいのはやっぱりSIIの省エネ補助金ですね。正式名称は「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」で、経済産業省が予算を出してSII(環境共創イニシアチブ)が執行しています。
そうです、指定設備の一つに「制御機能付きLED照明器具」が入っています。単純なLEDへの切り替えではなく、調光制御や人感センサー付きのLEDが対象で、それが「トップ性能枠」や「従来枠」の指定設備リストに掲載されています。設備がリストに載っていれば省エネ量の計算が簡単になるのがポイントです。
省エネ性能の違いです。特に優れた省エネ性能の設備(上位クラスのLED)が「トップ性能枠(Ⅲ型)」で補助率が少し高め。普通のLEDへの切り替えが「従来枠(Ⅲ型)」で補助率は1/3程度です。とにかく性能が高いLEDを選ぶほど補助が手厚くなる設計ですね。
1次公募が2026年3月30日に開始していました。次の公募時期は省エネ補助金ポータル(syouenehojyokin.sii.or.jp)で随時確認してください。交付決定は申請回ごとにスケジュールが組まれています。
アカウント作成から登録に約1日かかるので、実質の作業は書類準備だけでも1〜2週間見ておきたいです。SIIのポータルで作成するんですが、省エネ量の計算書類が一番手間がかかります。設備メーカーに計算を手伝ってもらうのが現実的ですね。詳しい申請情報や最新の公募状況は
省エネ補助金ポータル(SII公式)で確認してください。
- 指定設備(制御機能付きLED照明器具)ならSIIの省エネ計算プログラムを使って計算が簡単になる
- GビズIDプライムのアカウントが必要(取得に1〜2週間かかるので今すぐ申請を)
- 設備メーカー・販売店に「SIIの指定設備ですか?」と確認してから発注することが重要
LED照明等節電促進助成金(東京都中小企業振興公社)
はい、これは関東圏の製造業に特化した内容ですが、助成率1/2で上限1,500万円とかなり破格の内容です。工場の蛍光灯を全部LEDにするような大規模工事でも半額以上補えます。令和7年度分は第2回・第3回の公募がありましたが、いずれも令和7年度の公募は終了済みです。令和8年度の公募開始時期は東京都中小企業振興公社の公式サイト(tokyo-kosha.or.jp)で確認してください。
そうなんです。「公社等による節電診断または省エネルギー診断を受けていること」が申請要件になっています。この診断自体は無料で受けられることが多いですが、診断から申請まで数ヶ月かかることもあります。「LED換えよう」と思ったらまず診断の予約から入るのがコツです。
補助金・助成金は原則「交付決定通知が届いてから」工事の契約・発注をしないと対象外になります。急いで工事したい気持ちはわかりますが、必ず順番を守ってください。
ZEB・脱炭素改修系の補助金
ZEBとかZEB改修とか聞きますが、LEDとも関係あるんですか?
大ありです!ZEB(ゼロエネルギービル)化を目指した改修を支援する制度が複数あって、LED照明はそのなかでも核となる設備です。なので必ずといっていいほど対象に入っています。
ZEBって具体的に何ですか?(笑)よく聞くけど難しそうで...
ざっくり言うと「使うエネルギーより作るエネルギーの方が多い建物」のことです。太陽光発電で電気を作りながら、LED照明・高効率空調・断熱改修でエネルギーをとことん削減する。その組み合わせで正味のエネルギー消費量をゼロ以下にします。
ZEB系の補助金はLED単体よりも「改修全体のパッケージ」で申請するケースが多いです。空調もまとめて換える、断熱もやる、その中の一部としてLEDも対象になる、という感じです。環境省の
ZEB普及促進支援事業は、新築・既存どちらの業務用建築物も対象で、補助率1/6〜2/3・上限3億円(条件により5億円)という大型の制度です。
ビルや工場のエネルギー使用量をリアルタイムで監視・制御するシステムです。LEDの調光制御と組み合わせると、照明のエネルギー消費を自動で最適化できます。BEMSがあると補助金の採点でも加点されやすい。一緒に入れると有利ですね。
オフィスや自社ビルの改修でも使える制度はありますか?
節電診断・省エネ診断を受ける(SII、東京都中小企業振興公社等が無料実施)
自社の設備の現状把握(現在の照明の種類・電力消費量を整理)
LED設備のメーカーに「補助金指定設備ですか?」と確認して見積もり取得
GビズIDプライムのアカウントを取得(1〜2週間必要)
LED補助金申請フローチャート
むしろ地方の補助金の方が採択率が高いことも多いんです。各都道府県・市区町村が「脱炭素」「省エネ」の文脈でLED補助金を設けているケースが増えていて、国の補助金と組み合わせて使える場合もあります。市区町村のLED補助金は小規模なものが多く、上限が100万円前後のケースが目立ちます。
100万円か。工場全体のLED化となるともっと大きくなりそうですね。
そうなんですよね。市区町村の補助金は上限が小さいことが多いですが、国の補助金と市の補助金を組み合わせて使える場合もある。「SIIで半分カバー + 市の補助でもう少し」という積み上げ作戦ができるかどうかは、制度ごとに確認が必要です。
2030年カーボンニュートラル目標に向けて、ここ数年で急増しています。環境省が「脱炭素先行地域」として各地の自治体を指定していて、選定された自治体では国から特別な予算をもらえるので、地域独自の手厚い補助が出やすくなります。自分の自治体のウェブサイトで「LED 補助金」や「省エネ補助」と検索してみるのが手早いですよ。
自治体の補助金って、商工会に聞けば教えてもらえますか?
そうです!商工会議所・商工会は地域の補助金情報を把握していることが多いので、「LED照明を換えたいんだけど使える補助金はありますか?」と聞くのが一番手軽です。
- 市区町村の公式サイトで「LED 補助金」「省エネ補助金」で検索
- 商工会議所・商工会に問い合わせると地域の制度を教えてもらえることが多い
- 国の補助金と自治体補助金の「併用可否」は必ず確認(多くは可能だが上限がある)
個人事業主の小さい店舗でもLED補助金って使えますか?
使えますよ。「小規模事業者持続化補助金」は設備投資に使える補助金で、LEDへの照明切り替えも対象経費に含まれることがあります。ただし、販路開拓を目的とした設備投資であることが条件で、省エネ目的だけでは対象にならないケースもあります。最新の補助率・上限額・公募状況は商工会議所または商工会の窓口にお問い合わせいただくか、中小機構の公式サイトで確認してください。
えっ、そうなんですか。省エネ目的じゃダメなんですね。
小規模持続化補助金は「販路開拓」がテーマなんです。「お客さんが店内を明るく感じてもらえるよう照明を改善する」という経営計画を書くと通りやすい。一方でSIIの省エネ補助金は省エネ実績の提出が必要なので、小規模な個人店舗だと計算が複雑になります。自分の規模感と目的に合った制度を選ぶのが大事ですね。
規模によりますね。製造業で工場照明を大規模に換えるなら東京都のLED助成金が最強です。一方で、オフィスビルや店舗の照明をまとめて換えるなら、SIIの設備単位型が使いやすい。ZEB化を本格的にやるなら環境省の補助金が採択率高め。自分の業種・規模・目的で最適解が変わるので、一つに絞らずまずは複数当たってみることをおすすめします。
大きく3つあります。まず「工事を先にしてしまう」こと。これが一番多い失敗です。補助金は原則として「交付決定を受けてから」発注・着工しないと対象外です。
次が「GビズIDを用意していない」こと。SIIの補助金はGビズIDプライムが必須なんですが、マイナンバーカードを使った登録に1〜2週間かかります。公募期間が短い補助金だと間に合わないことがあるので、GビズIDは常に用意しておくのが鉄則です。
「指定設備かどうか確認せずに設備を決めてしまう」こと。SIIの省エネ補助金では、LEDでも指定設備リストに載っていないと省エネ量の計算が複雑になります。設備メーカーに「SII指定設備ですか?型番登録されていますか?」と確認してから選定するのが大事です。
- 交付決定前の発注・工事は補助金対象外になる(先に申請、後に工事)
- GビズIDプライムを事前に取得しておく(登録に最大2週間)
- 設備がSII指定設備リストに掲載されているか確認(sii.or.jp/setsubi07r/search/)
では主要な制度を一覧にしてみましょう。自分の業種・エリアと照らし合わせて選んでみてください。
| 補助金名 | 主な対象 | 補助率 | 上限額 | 管轄 |
|---|
| 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型 従来枠) | 全業種・全国 | 1/3程度 | 設備規模による | 経産省・SII |
| 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型 トップ性能枠) | 全業種・全国 | 1/3〜1/2 | 設備規模による | 経産省・SII |
| LED照明等節電促進助成金(東京都中小企業振興公社) | 関東8都県の製造業 | 1/2以内 | 1,500万円 | 東京都中小企業振興公社 |
| ZEB普及促進支援事業 | 業務用建築物・全国 | 1/6〜2/3 | 3億円(条件により5億円) | 環境省 |
| 民間建築物等省CO2改修支援事業 | 全業種の民間建築物 | 1/3 | 3,500万円 | 環境省 |
| テナントビル省CO2改修支援事業 | テナントビルオーナー | 1/3 | 4,000万円 | 環境省 |
| 脱炭素先行地域補助金 | 指定エリア内の事業者 | 自治体次第 | 自治体次第 | 各自治体 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者・全国 | 詳細は商工会議所窓口で確認 | 詳細は商工会議所窓口で確認 | 中小機構 |
なるほど!業種と地域で選ぶべき制度が変わってくるんですね。補助金の選び方がよくわかりました。ありがとうございます!
LED化は電気代削減の効果が大きい投資なので、補助金を活用すれば数年で元が取れます。まずは節電診断かSIIのサイトへのアクセスから始めてみてください。都道府県ごとの補助金を絞り込みたい方は、
東京都のLED補助金一覧や各都道府県のページも参考にしてみてください。