今日は「省CO2型システムへの改修支援事業」について聞いていきたいんですけど、正直SHIFTって略称だけ聞いてもピンとこなくて(笑)。どんな補助金なんですか?
正式名称は「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)」です!環境省が推進している、工場や事業場の脱炭素化を後押しする補助金で、令和7年度補正予算として2026年3月19日から公募が始まったばかりの新しい枠なんですよ。
ほんとに!だから「令和7年度補正予算」ってついてるんですね。ざっくり何をしてくれる補助金なんですか?
一言でいえば「工場・事業場の省CO2設備への改修費用を国が補助する」制度です。補助上限が最大5億円、補助率が事業費の3分の1という規模感なので、大規模な設備改修にも対応できます。電化・燃料転換・熱回収といった脱炭素技術を導入する費用を国が肩代わりしてくれるイメージですね。
5億円!それはデカいですね。で、そのSHIFT事業、実は2つのメニューがあるって聞いたんですが?
そうなんです、ここ大事なところで。今回の令和7年度補正予算では主に「①省CO2型システムへの改修支援事業」と「②DX型CO2削減対策実行支援事業」の2本立てになっています。補助率も上限額も全然違うので、しっかり区別して理解することが大切です!
SHIFT事業 2つの補助メニュー比較
| 比較項目 | ①省CO2型システムへの改修支援 | ②DX型CO2削減対策実行支援 |
|---|
| 補助率 | 1/3 | 3/4 |
| 補助上限 | 1億円または5億円 | 200万円 |
| 事業期間 | 3カ年以内 | 2カ年以内 |
| 主な対象 | 電化・燃料転換・熱回収等の設備改修 | DXシステムを使った運用改善・改修設計 |
なるほど!規模感が全然違う。大型設備投資するなら①、まずDXで運用改善するなら②ってイメージですね。この記事では主に①の方を掘り下げていくんですよね?
そうです!この記事では主に①の省CO2型システムへの改修支援事業をメインに解説しますね。では補助額の細かい仕組みから話しましょう。
「1億円または5億円」って書いてあったんですけど、どっちになるかって何で決まるんですか?
これがCO2削減量によって補助上限が変わる仕組みになっているんですよ。具体的には、工場・事業場全体のCO2排出量を「15%以上」削減できる計画なら補助上限が高くなる、大規模電化などで特定のシステム系統で「30%以上」削減できるならさらに有利な枠に入る、といった形です。
つまり「どれだけCO2を減らせるか」で補助額の天井が変わるんですね!えっ、だと「多く削減する計画を立てれば立てるほど、もらえる補助金も増える」ってこと?
その通りです!だからこそ申請書の中でCO2削減量を「根拠のある数字」で示すことがめちゃくちゃ重要で。「ざっくり20%削減できそう」じゃなくて、エネルギー診断の実測データとか設備メーカーの技術仕様に基づいた数値を使って説得力を持たせることが採択への近道になります。
| 補助上限 | 条件(概要) |
|---|
| 5億円 | CO2排出量の大幅削減(大規模電化・燃料転換等)が見込まれる事業 |
| 1億円 | 工場・事業場単位で15%以上または主要システム系統で30%以上の削減 |
200万円からスタートする補助金と比べたら次元が違いますね(笑)。補助率1/3って、たとえば1,500万円の工事なら500万円もらえる計算ですよね?
正確にはそうです。補助対象と認定された経費に対して1/3が補助されます。たとえば補助対象経費が1億5,000万円の場合は5,000万円、補助対象経費が15億円なら補助上限の5億円が支給されます。ただし交付決定前に発注・着工した経費は対象外なので、その点は絶対に注意が必要です!
見積もりを取ること自体はOKですが、正式な発注・契約・工事着手は必ず交付決定通知を受け取ってから行ってください。早まって動いてしまうと、せっかくの補助金が全額対象外になるリスクがあります。交付決定前の経費が含まれていると採択取り消しになる場合もあります。
工場を持ってれば何でもOKなの?それとも規模制限ありますか?
従業員数の上限制約がないのがこの補助金の特徴なんです!大企業でも中小企業でも申請可能。そして法人形態の幅もかなり広くて、民間企業だけじゃなくて、独立行政法人・大学法人・社会福祉法人・医療法人なども対象に含まれています。
病院とか福祉施設も!意外ですね。業種はどんな業種でも大丈夫なんですか?
ほぼ全業種OKです。漁業・建設・製造・電気ガス・情報通信・運輸・卸売小売・金融・不動産・学術研究・宿泊飲食・生活関連サービス・教育・医療福祉……工場や事業場を持っていて、省CO2型システムへの改修計画があれば、業種は問いません。
- 民間企業(法人): 製造業・サービス業・医療・福祉・教育など全業種の株式会社・有限会社・合同会社等
- 独立行政法人: 通則法に基づく独立行政法人全般
- 大学法人: 国立大学法人・公立大学法人・学校法人・高等専門学校
- 社会福祉法人: 特養・デイサービス・障害福祉施設の運営法人
- 医療法人: 病院・クリニック・介護老人保健施設の運営法人
- 一般社団法人・財団法人: 公益社団・公益財団を含む
- その他: 環境大臣の承認を得た協同組合等
申請不可: 個人事業主・直近2期連続債務超過の法人・国/地方公共団体(共同申請の特例あり)
個人事業主はダメなんですね。あと「直近2期連続債務超過」っていうのが気になります。どうやって確認するんですか?
貸借対照表の「純資産の部」を見ます。純資産合計がマイナスになっている状態が「債務超過」で、それが2期連続していると申請要件を満たしません。1期だけ債務超過だったとか、直近期で黒字転換したなら申請できる可能性があります。判断に迷ったら公募要領の問い合わせ窓口に確認するのが確実ですね。
わかりました。財務要件クリアしてる会社は、次に補助対象になる設備とか経費の話を聞きたいです!
電化・燃料転換・熱回収って言ってましたが、具体的にどんな設備が補助対象になるんですか?
補助対象経費は大きく5カテゴリーに分かれます。一番メインは「機械装置・システム構築費」で、ヒートポンプ・燃料転換対応ボイラー・廃熱回収システム・熱融通設備・省CO2型空調換気設備などが含まれます。それに加えて設備設置に伴う工事費、設計費・エンジニアリング費、エネルギー管理システムなどの計測監視設備費、そして諸経費(コンサルタント費など上限あり)も対象です。
| 経費カテゴリー | 主な内容 |
|---|
| 機械装置・システム構築費 | ヒートポンプ、燃料転換ボイラー、廃熱回収システム、熱融通設備、省CO2型空調 |
| 工事費 | 電気工事、配管・ダクト工事、基礎・架台工事、既存設備の撤去・処分費(附帯分) |
| 設計費・エンジニアリング費 | 省CO2システム設計費、エネルギー診断・シミュレーション費、施工管理費 |
| 計測・監視設備費 | EMS(エネルギー管理システム)、CO2排出量モニタリング装置、計測機器・センサー |
| 諸経費 | コンサルタント費用(上限あり)、補助事業実施に直接必要な旅費・交通費 |
かなり幅広いですね!逆に「これはダメ」ってのはどんなものですか?
対象外で多いのは「交付決定前に発注した経費」「補助対象設備と直接関係ない建物・土地の取得費」「汎用パソコンや事務用品」「消耗品・維持管理費」あたりです。それと蒸気システム・空調システム・給湯システム・工業炉・コジェネ(CGS)に関する単純な高効率化改修は補助対象外という点は要注意!省エネ改修じゃなくて「省CO2型への改修」であることが求められます。
「単純な高効率化改修はダメ」って、どんな感じで線引きされるんですか?
たとえば既存の重油ボイラーをガスボイラーに換えるのは「燃料転換」として対象になりますが、ガスボイラーをより効率の良いガスボイラーに換えるだけだと「単純高効率化」と判断されるリスクがあります。電化や大幅な燃料転換・熱回収など、CO2排出自体を根本的に削減する技術が対象です。判断に迷う場合は事務局に事前確認するのがベストですね。
消費税(課税事業者は原則対象外)、国・地方公共団体からの他の補助金と重複する同一経費、個人事業主による申請分、交付決定前に発注・着工した設備費・工事費は補助対象外です。申請前に必ず確認を。
実際に申請するとなると、どんな手順を踏めばいいんですか?
大まかには6ステップですね。順番を間違えると致命的になるステップもあるので、丁寧に説明しますね。
省CO2型システム改修支援 申請の流れ
一次公募締切が2026年5月13日(水)12時まで!今日が2026年4月27日だから、まだ2週間ちょっとあるんですね。ギリギリかな?
申請書の作成に慣れていない事業者だと正直キツいスケジュールです。でも一次公募で不採択になっても、応募内容に変更がない場合は自動的に二次公募(2026年6月10日(水)12時締切)で審査してもらえます。なので「一次でダメでも諦めなくていい」という安心感はありますよ。
- 公募開始: 2026年3月19日(木)
- 一次公募締切: 2026年5月13日(水)12時まで
- 二次公募締切: 2026年6月10日(水)12時まで
- 申請方法: Jグランツ(電子申請システム)から提出
- 問い合わせ先: 一般社団法人温室効果ガス審査協会(shift@gaj.or.jp)
採択されるためには何を意識して申請書を書けばいいんですか?ポイントを教えてください!
審査で最も重視されるのは「CO2削減量・削減率をどれだけ定量的・具体的に示せるか」です。「だいたい15%くらい削減できそう」ではなく、計測データや省エネ診断結果を根拠にした数値で説得力を出すことが採択への最短ルートです。
劇的に変わります。それと、もう一つ絶対に押さえておきたいのが「バリューチェーン全体への波及効果」を訴求することです。自社工場内の削減(スコープ1・2)だけじゃなく、取引先・サプライヤー・グループ会社への技術普及・波及効果(スコープ3)も評価対象になります。
へー!自分の会社だけじゃなくてサプライチェーン全体への貢献をアピールするんですね。確かに環境省の視点で見たら、一社が省CO2化するよりも業界全体に広がった方が嬉しいですよね。
まさにそういう考え方です。だから申請書には「当社が改修することで、取引先のXX社やYY社にも同様の技術が普及する見込み」という視点を盛り込むと効果的です。他にも技術の実現可能性(どのメーカーのどの設備を導入するか具体的に)、財務健全性(自己負担分の資金手当て)、過去のSHIFT事業採択事例との整合性、これらを押さえることで採択率が上がります。
- CO2削減量を数値で証明する: 実測データ・エネルギー診断・設備仕様に基づいた根拠ある計算。「概算15%削減」は弱い、「省エネ診断結果に基づき工場全体で18.3%削減」が強い
- バリューチェーン波及効果を訴求: 自社のスコープ1・2削減に加えてスコープ3(サプライヤー・取引先)への普及効果を明示
- 技術の実現可能性を具体的に説明: どのメーカーのどの設備を使うか、技術的裏付けのある仕様書・カタログを添付
- 財務健全性を示す: 自己負担分(補助対象経費の2/3)の資金調達計画を金融機関との融資相談も含めて明記
- 過去の採択事例を研究: GAJサイトに公開されている採択事例と同業種・同規模のものを参考に記述レベルを合わせる
逆に「こういう申請書は審査通りにくい」ってパターンありますか?
多いのは「削減効果の根拠が薄い」と「交付決定前に動いてしまっている」ですね。後者は申請前から動き始めていたことがバレると採択取り消しになるので本当に注意が必要です。
省エネ系の補助金って他にもありますよね。このSHIFT事業と組み合わせることってできるんですか?
原則は「同一経費への重複補助禁止」です。でも異なる経費項目に充当するなら複数の補助金を組み合わせることは可能です。よくあるパターンは、省CO2設備本体をSHIFT事業で、関連するITシステム・デジタル化投資をIT導入補助金(経済産業省)で、という経費の棲み分けです。
棲み分けがポイントなんですね。具体的にどんな補助金が組み合わせの候補になりますか?
経済産業省・NEDOが運営する「省エネルギー投資促進・需要最適化支援事業費補助金」も省エネ・脱炭素関連の代表的な補助金です。同一経費への重複申請はNGですが、経費を棲み分ければ両方活用できる余地があります。また設備投資に係る税制措置、例えばカーボンニュートラル投資促進税制や中小企業経営強化税制などは補助金と原則併用可能です。
地方自治体の補助金とも組み合わせが検討できるんですね!これはどうやって調べればいいですか?
都道府県・市区町村によってルールが異なるので、まず各自治体の担当窓口(産業振興課・環境政策課など)に直接確認するのが一番です。複数の補助金を並行して管理することになるので、申請スケジュールや報告義務の管理体制もあらかじめ整備しておくことをおすすめします。
補助金って「もらって終わり」じゃないですよね?採択後に何か義務が生じるんですか?
あります!採択事業者は事業完了後も一定期間、CO2削減効果の実績値を環境省または委託機関に報告する義務があります。設備稼働後のエネルギー使用量・CO2排出量を定期的に測定・記録して報告書として提出する形です。
具体的なモニタリング期間・頻度は公募要領で定められます。だからこそ事業計画の段階から「計測体制」を組み込んでおくことが重要で、EMS(エネルギー管理システム)や計測機器の設置も申請時の計画に含めておくとスムーズです。計測機器費用は補助対象経費に含められますしね。
なるほど、モニタリングを見据えた設計が必要なんですね。あと、GビズIDって必要ですか?Jグランツで申請するなら必要そうですが。
必須です!Jグランツによる電子申請にはGビズIDの取得が前提になっています。GビズIDの取得には書類郵送・審査などで数週間かかる場合があるので、申請を考えている事業者は今すぐ取得手続きを始めることをおすすめします。GビズIDの取得自体は無料です。
- GビズIDを取得する: Jグランツ申請に必須。デジタル庁のサイトから申請。数週間かかるので早めに
- エネルギー診断を受ける: CO2削減計画の根拠数値を揃えるため。支援機関リストはGAJサイトから確認
- 過去の採択事例を研究: GAJウェブサイト(https://www.gaj.or.jp/eie/shift/)に採択事例リストあり
- 設備メーカーへのヒアリング: 導入設備の仕様書・技術的裏付けを揃える
- 財務状況の確認: 直近2期の貸借対照表で債務超過でないことを確認
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業) |
| 補助種別 | 省CO2型システムへの改修支援事業(令和7年度補正予算) |
| 実施機関 | 環境省(執行団体 一般社団法人温室効果ガス審査協会) |
| 補助上限額 | 最大5億円(CO2削減量に応じて1億円または5億円) |
| 補助率 | 補助対象経費の1/3 |
| 公募開始 | 2026年3月19日(木) |
| 一次公募締切 | 2026年5月13日(水)12時まで |
| 二次公募締切 | 2026年6月10日(水)12時まで |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)GビズID必須 |
| 対象業種 | ほぼ全業種(個人事業主は対象外) |
| 問い合わせ先 | 一般社団法人温室効果ガス審査協会 shift@gaj.or.jp |
| 公式サイト | GAJ SHIFT事業 |
| Jグランツ | 補助金詳細 |
最後にFAQをまとめて聞きたいんですが、「個人事業主でも申請できますか?」って実際よく聞かれますよね?
申請できません。本事業は法人格を持つ事業者専用で、個人事業主は明示的に対象外です。法人化を検討している場合は、先に法人設立を完了させてから申請することをご検討ください。
「補助率3分の1」って、何の3分の1なんですか?事業費全体?それとも…?
補助対象と認定された経費の合計額に対して1/3が補助されます。例えば補助対象経費が1,500万円なら補助金は500万円、9,000万円なら3,000万円ですね。ただし補助対象外の経費(交付決定前の発注分・消費税など)は分母に含まれません。
直近2期分の決算書(貸借対照表)の純資産の部を確認してください。純資産合計がマイナスの状態が2期連続しているかどうかが判断基準です。1期のみ債務超過だったり直近期が黒字転換していれば要件を満たす可能性があります。判断に迷う場合は問い合わせ窓口(
shift@gaj.or.jp)で確認を。
同一経費への重複補助は原則禁止です。ただし異なる経費項目に充当する場合は複数の補助金と組み合わせることが可能です。例えば省CO2設備本体をSHIFT事業で、関連するIT・デジタル設備を別の補助金で、という経費の棲み分けが一般的なアプローチです。
申請できます!漁業・建設業・製造業・電気ガス・情報通信・運輸・卸売小売・金融・不動産・学術研究・宿泊飲食・生活関連サービス・教育・医療福祉など、ほぼ全業種が対象です。工場や事業場で省CO2型システムへの改修を実施する計画があれば、業種を問わず申請を検討できます。
バリューチェーン全体のCO2削減ってどういう意味ですか?
自社工場内の排出削減(スコープ1・スコープ2)にとどまらず、取引先・調達先・物流事業者等のサプライチェーン全体(スコープ3)への削減効果も含めた概念です。本事業では自社の直接的なCO2削減効果に加え、取引先への技術普及・波及効果も評価対象になります。脱炭素経営の視点で事業計画を記載することが採択率の向上につながります。
採択事業者は事業完了後も一定期間、CO2削減効果の実績値を環境省または執行団体(GAJ)に報告する義務があります。設備稼働後のエネルギー使用量・CO2排出量を定期的に測定・記録し、報告書として提出する形です。モニタリング期間・頻度は公募要領で定められますので、事業計画の段階から測定体制(計測機器の設置等)を組み込んでおくことが重要です。