宿泊業・飲食業向け補助金金額比較【2026年版】
室谷さん、最近ホテルや旅館の経営者から「補助金って本当に使えるの?」って相談が増えてるみたいで。宿泊業や飲食業って、補助金の対象になるんですか?
全然なりますよ!むしろ宿泊業・飲食サービス業は、国が「人手不足対策」「インバウンド対応」「DX推進」の重点ターゲットにしているので、業種特化の補助金も複数あります。全国共通の制度だけで10種類以上は即答できますね。
10種類以上!それは知らなかったです。コロナの後から制度が増えたんでしょうか?
そうですね。コロナで宿泊業・飲食業が壊滅的な打撃を受けたことで、政府も相当力を入れて制度を拡充しました。今は「人手不足」「省人化・自動化」「インバウンド対応」の3軸で支援策が出ていて、特に2026年度は使いやすい制度が揃ってるんです。
大きく分けると、どんな種類の補助金があるんですか?
ざっくり3つに分けると、①設備投資・業務効率化系、②販路開拓・事業発展系、③雇用・人材系ですね。業種に関係なく使えるものと、観光・宿泊業向けに特化したものを合わせて紹介していきます。
| 種類 | 代表的な制度 | 補助上限の目安 |
|---|
| 設備投資・省人化 | 観光省力化投資補助事業、業務改善助成金 | 100万〜1,000万円 |
| DX・デジタル化 | デジタル化・AI導入補助金2026 | 50万〜350万円 |
| 事業転換・新規事業 | 中小企業新事業進出促進補助金、事業再構築補助金 | 500万〜数億円 |
| 販路開拓 | 小規模事業者持続化補助金 | 50万〜250万円 |
| インバウンド対応 | インバウンド対応支援事業 | 150万〜500万円 |
| 観光振興・特定地域 | サステナブルトラベラー観光促進補助金 | 最大11億円 |
最大11億円って…それはすごいですね(笑)。どんな施設が対象になるんですか?
それは東京都の島しょ地域(伊豆諸島・小笠原)向けの特別制度で、20室以上の新設宿泊施設を整備する民間事業者が対象です。一般的な宿泊業者には縁遠い制度ですけど、規模感をわかってもらいたくて(笑)。
なるほど(笑)。現実的に手が届きそうな補助金から教えてもらえますか?
ダントツで「観光地・観光産業における省力化投資補助事業」ですね。観光庁が主導している制度で、2026年度から補助上限額が500万円から1施設最大1,000万円に引き上げられました。補助率は1/2です。
1,000万円!それは相当大きいですね。何に使えるんですか?
自動チェックイン機、スマートロック、清掃ロボット、配膳ロボット、PMS(ホテル管理システム)、サイトコントローラー、キャッシュレス決済端末…要は人手不足を解消するための設備やシステム全般ですね。1事業者が3施設まで申請できるので、複数店舗を持つグループには特に魅力的です。
1つポイントがあって、「DMOや地方公共団体などと連携して、地域一体での人手不足解消に取り組むこと」という要件があります。過去3年以内の実績が原則必要ですが、実績がなくても取組予定でOKに緩和されました。旅館業法の許可を受けた宿泊事業者なら基本的に対象です。
この制度は旅館業法ベースなので宿泊施設が対象ですね。飲食業単体では別の制度を使うことになります。
- 補助率: 1/2
- 補助上限: 1施設あたり1,000万円(1事業者3施設まで)
- 対象: 旅館業法に基づく許可を受けた宿泊事業者
- 対象経費: 自動チェックイン機、清掃ロボット、PMS等の購入・設置費
- 所管: 観光庁(公式サイト)
飲食業にも使えて、かつ申請しやすい制度ってどんなものがありますか?
「業務改善助成金」は絶対に外せないですね。厚生労働省の制度で、宿泊・飲食業問わず全業種の中小企業が対象です。補助上限が最大600万円で、補助率は3/4〜4/5と業界最高水準です。
珍しいですね。要件があって、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げることが条件なんです。でも飲食業は元々賃金が高くないことが多いので、最低賃金引上げと設備投資をセットでやるなら、めちゃくちゃコスパが良い制度です。POSレジ導入、食洗機、厨房機器の更新…なんでも使えます。
あと「中小企業省力化投資補助金」も使い勝手が良いです。こちらはカタログ型と一般型があって、カタログ型は事前に登録された省力化製品から選ぶだけなので申請が簡単。券売機、セルフレジ、配膳ロボットなどが対象で、中小企業なら補助率1/2、小規模事業者は2/3です。
カタログ型は従業員数に応じて変わりますが、5人以下で200万円、6〜20人で500万円、21人以上で1,000万円です。一般型はさらに大きくて、最大1億円まであります。
業務改善助成金 概要([詳細は/subsidy/154](/subsidy/154))
- 補助率: 3/4〜4/5(業界最高水準)
- 助成上限: 最大600万円
- 対象: 全業種の中小企業・小規模事業者
- 要件: 事業場内最低賃金を30円以上引き上げること
- 対象経費: 設備投資・IT導入など幅広い経費
配膳ロボットって、最近飲食店でよく見ますけど、補助金使ってる人多いんですかね?
めちゃ多いですよ!省力化投資補助金のカタログ製品に配膳ロボットも入ってるので、1,000円台のランチを提供してる中華料理屋さんとかが使ってたりします。導入費用が200〜300万円かかるんですけど、補助金で半額になるなら採算が合うっていう判断ですね。
DX系の補助金も最近増えてますよね。旅館がPMSを入れたいとか、飲食店がタブレットオーダーを導入したいとか、そういうのに使える制度はありますか?
「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」がピッタリです。旅館・ホテルのPMS、POSレジ、予約システム、顧客管理(CRM)、受発注システムなどが全部対象になります。
ソフトウェア1機能以上で補助率3/4(小規模事業者は4/5)、上限50万円。2機能以上になると補助率2/3で上限350万円に上がります。宿泊業の場合、資本金5千万円以下または従業員200人以下の法人が中小企業として対象ですね。
必要です。これが意外と盲点で、GビズIDプライムの取得に2〜4週間かかるんですよ。申請を検討し始めたら、まずGビズIDを取得するところから始めないと、〆切に間に合わなくなります。あとSECURITY ACTIONの一つ星宣言も必要です。
事前準備が大事なんですね。2026年の公募スケジュールって今どうなってますか?
2次締切が2026年6月15日予定です。今からならまだ間に合います。複数者連携枠(複数の事業者が連携してデジタル化する枠)は別で6月15日締切があります。
デジタル化・AI導入補助金2026 申請前チェック
個人経営の小さな飲食店って、補助金申請のハードルが高いイメージがあるんですけど、使いやすい制度ってありますか?
「小規模事業者持続化補助金」が一番のおすすめです。飲食店の場合、従業員5人以下の事業者が対象で、商工会・商工会議所の支援を受けながら申請するので、初めての方でも比較的取り組みやすい制度です。
店舗改装、広告宣伝、SNS広告、ウェブサイト制作、展示会出展、新商品開発…かなり幅広いです。開業した飲食店がホームページを作りたいとか、テイクアウトメニューを充実させるためのパッケージを揃えたいとか、そういう経費が対象になります。
上限は50万円って聞いてましたが、特例があるんですよね?
そうです。通常枠は上限50万円・補助率2/3ですが、賃金引上げ特例で150万円上乗せ、インボイス特例で50万円上乗せがあって、両方適用すれば最大250万円まで補助が出ます。飲食業は賃金が課題の業種なので、賃上げと組み合わせると効果的です。
商工会・商工会議所に相談すれば申請のサポートをしてもらえるんですか?
はい、これが大きいんです。無料で経営計画書の作成を手伝ってくれます。特に個人事業主で初めて補助金に挑戦する方は、まず地元の商工会・商工会議所に行ってみてください。「小規模事業者持続化補助金を使いたい」と言えばわかってもらえます。
コロナ禍で一度閉店して、新しい業態で再オープンした飲食店もありますよね。そういうケースにも補助金って使えるんですか?
「中小企業新事業進出促進補助金」がまさにそのケースです。事業再構築補助金の後継制度で、2025年に新設されました。既存事業とは異なる新市場・新製品への挑戦が対象です。
従業員数によって変わるんですが、20人以下なら750万〜2,500万円(大幅賃上げ特例で最大3,000万円)。補助率は1/2です。飲食業が異業種に参入するとか、逆に他業種が飲食業に新規参入するケースで使えます。
結構大きな制度ですね。採択されるにはどんなポイントがありますか?
既存事業の強みを活かした「シナジーのある新規事業」であることが重要です。まったく関係ない業種への参入より、飲食店が食品製造や食品通販に進出するとか、旅館がアウトドア体験事業を始めるとか、関連性のある事業が採択されやすい傾向があります。
第4回公募は6月19日締切って書いてありましたね。
そうです。結構タイトですけど、事業計画書の質が勝負なので、早めに動き始めることをおすすめします。金融機関の確認書(融資や支援の意向を示す書類)も必要なので、メインバンクへの相談も忘れずに。
それは盲点ですね(笑)銀行も巻き込む必要があるんですね。
そうなんです。「うちの事業計画を銀行が支持してくれてる」という証明なので、事業計画の信頼性を高める役割があります。むしろ事前に銀行に相談することで、融資の相談にもなるのでメリットは大きいですよ。
事業再構築補助金 第12回([詳細は/subsidy/155](/subsidy/155))
- 補助上限: 最大5億円
- 補助率: 1/2(中小企業)
- 対象: 新市場進出・業種転換・事業再編等に取り組む中小企業
- 第12回は現在交付申請・精算払請求の段階
2025年から訪日外国人旅行者がかなり増えてるじゃないですか。インバウンド対応を強化したい宿泊施設向けの制度ってありますか?
ありますよ。観光庁の「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金」として2種類出ています。ひとつがバリアフリー分野で上限500万円(補助率1/2)、もうひとつがストレスフリー分野で上限150万円(補助率1/3)です。
バリアフリー分野は、車椅子対応の客室整備、段差解消、手すり設置、多機能トイレの設置など。ストレスフリー分野は、多言語対応タブレット、Wi-Fi環境整備、キャッシュレス決済導入、多言語サイン設置といった外国人旅行者が使いやすい環境づくりです。
最近はインバウンドで黒字転換した旅館も多いですよね。バリアフリー対応は高齢者や障害者にも喜ばれるし、一石二鳥ですよね。
まさにそうですね。バリアフリーって「外国人のため」だけじゃなくて、国内の高齢者、障害者、ベビーカーを使うファミリーにも使いやすくなる。顧客層が広がるし、口コミ評価も上がりやすい。設備投資の費用対効果が高い領域です。
ほんとに、一石二鳥どころか一石三鳥ですね。他にも観光庁の制度はありますか?
あとユニバーサルツーリズム促進事業(
詳細は/subsidy/102515)というのも観光庁が実施しています。高齢者や障害者が安心して旅行できる環境整備の支援で、バリアフリー改修、情報バリアフリー化、ユニバーサルデザイン対応が対象です。
外国人対応は「言語の壁」が最大の課題って言いますよね。翻訳タブレットとか、最近すごく進化してますし。
ストレスフリー分野の補助金でまさに翻訳タブレットが買えます。中小規模の宿泊施設でも自己負担100万円以下でインバウンド対応の設備が整えられるので、ぜひ活用してほしいです。インバウンド対応支援のバリアフリー分野の詳細は
/subsidy/1657、ストレスフリー分野は
/subsidy/1658をご覧ください。
補助金申請フロー【2026年版】
「サステナブルツーリズム」って言葉を最近よく聞きますが、補助金もあるんですか?
あります。東京都の島しょ地域(伊豆諸島・小笠原)向けですが、「
サステナブルトラベラーの獲得に向けた観光促進補助金」という制度があって、最大11億円(補助率1/3)が出ます(
詳細は/subsidy/299)。20室以上の新設宿泊施設が対象で、環境配慮型の宿泊施設整備を支援します。
11億円(笑)。島に宿泊施設を建てる企業向けですね。
そうですね(笑)。もう少し身近なところでは、EV充電設備の補助金があります。福井県のケースだと「電気自動車用充電インフラ整備促進事業補助金」で、急速充電設備に最大150万円、普通充電設備に最大15万円が出ます(
詳細は/subsidy/271)。宿泊施設や商業施設が不特定多数の利用者に開放する前提で設置する場合が対象です。
増えてます!EV充電設備があるホテルを選んで旅行するケースもあって、集客力につながってます。県によって制度が違うので、地元の商工会議所か都道府県の観光局に確認してみてください。
長崎市だと「脱炭素先行地域づくり事業費補助金」として、高効率空調機器やLED照明への改修費補助があります(
詳細は/subsidy/43)。東山手・南山手エリアのホテルや飲食店が対象で、「歴史文化×夜景観光×脱炭素」を組み合わせた面白い制度設計です。地域の観光ブランドと連動した補助金って、採択されやすい傾向もあるんですよ。
結局、どの補助金を選べばいいか整理してもらえますか?
| 補助金名 | 対象 | 上限額 | 補助率 | 主な活用例 |
|---|
| 観光省力化投資補助事業 | 宿泊施設 | 1,000万円 | 1/2 | 自動チェックイン機・清掃ロボット |
| 業務改善助成金 | 全業種 | 600万円 | 3/4〜4/5 | 厨房機器・POSレジ導入 |
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 全業種 | 350万円 | 2/3〜4/5 | PMS・タブレットオーダー |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者 | 250万円 | 2/3 | 広告宣伝・店舗改装 |
| インバウンド対応支援(BF) | 宿泊施設 | 500万円 | 1/2 | バリアフリー改修 |
| インバウンド対応支援(SF) | 宿泊施設 | 150万円 | 1/3 | 多言語対応・Wi-Fi |
| 中小企業新事業進出促進補助金 | 中小企業 | 2,500万円〜 | 1/2 | 業態転換・新規事業 |
| 事業再構築補助金 | 中小企業 | 5億円 | 1/2 | 大規模事業転換 |
| EV充電設備補助金(都道府県) | 各県施設 | 150万円 | 1/2 | EV充電スタンド設置 |
| 観光庁ユニバーサルツーリズム | 宿泊・交通 | — | — | バリアフリー・UD対応 |
これ見ると、業務改善助成金の補助率4/5って本当に高いですね。
そうなんです。最低賃金を引き上げる「義務」と、設備投資の「投資」を同時にこなすわけなので、一石二鳥感があります。特に人件費コストが課題の飲食業・宿泊業には相性が良い。
基本的には同一経費への重複申請は禁止ですが、別の設備・経費に対して別の補助金を申請するのはOKなケースがほとんどです。例えば「POSレジ導入でデジタル化・AI導入補助金を使って、配膳ロボットの導入で省力化投資補助金を使う」という組み合わせは問題ありません。
GビズIDプライムを取得する(申請の2〜4週間前に完了)
狙う補助金の公募要領を熟読し、自社の要件適合を確認
事業計画書(経営計画書)を作成する。商工会・商工会議所の無料支援を活用
審査結果を待つ(1〜3ヶ月)。採択通知が来てから設備を購入する
- 採択前に設備を購入すると補助対象外になる(必ず採択後に購入)
- 補助金は後払いが基本。一時的に全額を自己資金で立て替える必要がある
- 資金繰りが厳しい場合は、補助金と合わせて制度融資も検討すること
- 申請期限は厳守。1分でも過ぎると受け付けてもらえない
- 採択後も「実績報告」を期限内に出さないと補助金が受け取れない
「採択後に購入」って、意外と知らない人がいそうですよね。
これは本当によくある失敗です。「採択されるか不安だから先に設備を買っておこう」という気持ちはわかるんですけど、それをやると補助金対象外になって全額自己負担になります。絶対に採択通知が来てから動き始めてください。
そうなんです。補助金は基本「後払い」なので、まず全額を自分で立て替えて、実績報告後に補助金が入ってくる仕組みです。500万円の設備を入れるなら、500万円を一時的に用意しておく必要がある。資金繰りが厳しい場合は、日本政策金融公庫や信用保証協会の制度融資と組み合わせるのが現実的です。
補助金の種類によって難易度が全然違います。小規模事業者持続化補助金なら商工会が手伝ってくれるので比較的簡単。省力化投資補助金のカタログ型も手続きが簡略化されています。一方、事業再構築補助金や中小企業新事業進出補助金は事業計画書の質が採択に直結するので、補助金専門のコンサルタントや認定支援機関に依頼するのも一つの手です。
成功報酬型のコンサルが多いので、「採択されたら補助金額の10〜15%」というケースが多いです。500万円の補助金なら50〜75万円ですね。自分でやるのが難しければ十分合理的な選択です。ただしコンサルの質も玉石混交なので、実績と口コミは確認してください。
今日はたくさん教えていただきました。宿泊業・飲食業向けにこれだけの制度があるとは思いませんでした(笑)
そうですよね。人手不足、DX、インバウンド対応、脱炭素と、今の宿泊・飲食業が直面している課題に対して、国や自治体がかなりの支援を用意しています。「知らなかった」で損するのがいちばんもったいない。
今すぐできる3ステップを言いますね。まずGビズIDプライムの申請を今日する。次に地元の商工会・商工会議所に「補助金について相談したい」と連絡する。3番目に自社の課題(人手不足なのかDXなのかインバウンドなのか)を1つ決めて、その課題に合った補助金を1つに絞って集中する。補助金は「全部取ろう」と欲張らずに、まず1つ採択実績を作ることが大事です。
ありがとうございました!都道府県別の制度については、各都道府県のページにも情報がまとまっているので、ぜひ合わせてご覧ください。