漁業向け補助金の種類と特徴
室谷さん、漁業って補助金の話あんまり聞かないんですけど、実際どんな支援があるんですか?
いや、意外と手厚いんですよ!漁業は一次産業の中でも特殊で、国の補助金から都道府県独自の助成金まで多層的に重なってる。特にここ数年はALPS処理水の問題があって、水産物輸出向けの緊急支援が相次いでいて。
そうそう。ホタテをはじめとした輸出が激減したんで、農林水産省が大型の補助金を次々と打ち出してる状況ですね。ざっくり言うと漁業向けの補助金は大きく4つに分類できます。
| カテゴリ | 補助金の種類 | 補助上限 | 補助率 |
|---|
| 輸出支援・販路転換型 | ALPS処理水関連緊急支援 | 約109億円(執行団体向け) | 定額 |
| スマート漁業・フードテック型 | フードテックビジネス実証・実装事業 | 2,000万円 | 1/2以内 |
| 認証取得支援型 | 水産認証取得支援事業(東京都) | 審査費用の2/3以内 | 2/3以内 |
| 地域資源活用・農商工連携型 | 北海道中小企業新応援ファンド事業 | 150万円 | 1/2以内 |
わかります。まず「自分は漁師なのか、加工業者なのか、養殖業者なのか」で入り口が全然違う。それと国の制度と都道府県の制度は窓口が別なので、両方チェックしないといけないんです。
漁業者向け補助金の申請フロー
国の補助金からいきましょう。まず何が一番インパクト大きいですか?
やっぱりALPS処理水関連の支援ですね。令和7年度は「水産物の輸出先多角化緊急支援事業」として約20億円規模で実施されてます。ただこれ、個々の漁業者に直接お金が来るんじゃなくて、執行団体(事務局)になる組織が間接補助として支援するスキームなので注意が必要です。
そういうことです!だから一番大事なのはまず地元の漁協・漁業共済組合に相談すること。国の補助金の多くは漁協が取りまとめ窓口で、個人での申請可否や今年度の公募スケジュールも漁協経由で確認できる。
令和7年度版は農林水産省が実施していて、補助総額が約20億円。ホタテ・ホタテ貝柱、なまこ、水産加工品など輸出減が顕著な品目が対象で、新規需要開拓と輸出先転換の2本柱で支援します。執行団体を公募して、その団体が個別事業者に間接補助する仕組みです。
定額補助なので補助率という概念はなくて、執行団体経由で事業者に支援が届く。詳細は
こちらの補助金ページで確認できますよ。
あるんですよ!スマート養殖とかAI活用の漁獲管理、代替タンパク質の開発とかが対象で、上限2,000万円、補助率1/2以内です。令和7年度補正予算で実施されてて、令和8年4月7日以降に公募要領が公開されてます。
フードテックビジネス実証・実装事業事務局(メール
@mail.gnavi.co.jp、電話:0800-100-4510)ですね。平日10時から17時まで対応してます。詳細は
フードテックビジネス実証ページに載ってます。
まさに!スマート養殖の技術を持ってるベンチャーと漁業者が組んで申請するケースが実際にあります。ここは漁師単独よりも、技術系の会社と連携したほうが採択されやすいんですよ。
そうなんです!農林水産省が令和7年度に実施してる「食品ロス削減等緊急対策事業」も水産物が対象に入ってます。総額2億円で、未利用魚の活用とか水産物リサイクルの効率化に取り組む事業者を支援。
詳細はこちらに記載されています。
未利用魚って売れ残りとか、規格外の魚のことですか?
そうですね。サイズ外れや傷があって市場に出せない魚を、加工・6次産業化して価値を生み出す取り組みへの支援です。
農林水産省が令和7年度に実施している、日本の水産物・食品のアフリカ市場展開を支援する補助金です。上限4,000万円、補助率10/10(全額補助)という太っ腹な制度で、F/S調査や現地政府関係者の招へいにも使えます。
全額補助!それはすごい。漁師さんがアフリカに営業に行く費用も出るんですか?
技術者の現地派遣も対象です。ただし事業者単独より商社や業界団体と組んでの申請が現実的ですね。
詳細はこちらで確認できます。
これが大きいんですよ。令和5〜6年度に実施された「ALPS処理水関連の水産業特定国・地域依存分散のための緊急支援事業(地域の加工拠点整備支援事業)」は、加工拠点の新設・拡充に対応した大型補助金です。
定額補助と1/2以内補助の2種類があって、主に民間団体・企業のコンソーシアムが執行団体経由で活用するものです。令和5・6年度の実績があって、令和7〜8年度も類似制度の継続が見込まれてます。詳細は各年度の公募情報をチェックしてください。
はい、輸出が難しくなった分を国内で売るための「国内販路拡大等支援事業」もあります。漁業者団体や水産加工業者が対象で、国内外の展示会出展や販促活動を支援する制度です。各年度の公募情報を農林水産省のサイトでチェックしてみてください。
代表的なのが東京都の「水産認証取得支援事業」ですね。MSCやMEL V2といった水産認証(サステナブルな漁業を証明する国際認証)の取得費用を2/3以内で助成してもらえます。
MSCって「海のエコラベル」って呼ばれるやつですよね!
そうです!スーパーやレストランのバイヤーが認証付きの魚を好む傾向があって、取引単価が上がるケースも多い。東京都内の漁業者や水産物流・加工事業者が対象で、公益財団法人東京都農林水産振興財団が窓口です。詳細は
こちらで。
北海道中小企業新応援ファンドの「地域資源活用型事業化実現事業」です。北海道の海産物を使った新商品開発や販路開拓を支援する制度で、上限150万円、補助率1/2以内。農商工連携も対象なので、漁師さんと加工・飲食業者が組んで申請するのもアリです。詳細は
こちらに載ってます。
なるほど、地域によって全然違う補助金があるんですね。
ほんとそうで。宮城県・佐賀県・愛媛県など水産業が盛んな地域ほど独自の支援が充実してる印象です。漁業ポータルの一覧だと561件もの制度が掲載されているくらいで、自分の地域の水産振興課に問い合わせるのが一番確実ですよ。
- ALPS処理水対応・輸出先多角化緊急支援(約20億円規模・農林水産省)
- フードテックビジネス実証・実装事業(上限2,000万円・補助率1/2)
- 食品ロス削減等緊急対策事業(総額2億円・農林水産省)
- 水産認証(MSC/MEL)取得支援(補助率2/3・東京都)
- 北海道中小企業新応援ファンド地域資源活用型(上限150万円・補助率1/2)
これだけの種類があったら、何を軸に選べばいいか迷いますね。
シンプルに言うと「何をやりたいか」で選ぶのが正解です。輸出したいなら農水省の輸出支援系、設備投資したいなら加工拠点整備系、認証取得したいなら東京都の認証支援、新商品開発なら農商工連携系、という感じ。
原則できますよ!ただし同一経費への重複補助はNGなので、別々の経費に対してそれぞれ申請する形になります。複数の補助金を組み合わせて活用するのが賢い漁業者さんのやり方ですね(笑)。
- 補助金は後払い:先に自己負担して後から精算される仕組みのため、つなぎ融資や手持ち資金の確認が必須
- 対象経費の確認:人件費は補助対象外のケースが多い。設備費・外注費・原材料費が中心
- 採択後の報告義務:事業完了後に実績報告書の提出が求められる。書類不備があると入金が遅れる
- 申請窓口を間違えない:国の補助金はjGrantsから、都道府県の補助金は各自治体の農林水産担当課から申請する
後払いって知らないと怖いですね。事業を始めたのに補助金が入ってこなくて資金繰りに困るケースってあるんですか?
よくあるパターンです!特に設備を購入してから入金まで半年以上かかることもある。だから補助金頼みの事業計画は危険で、あくまで「自力でもできる事業に補助金を上乗せする」という発想が大事なんですよ。
なるほど、補助金はあくまで後押しツールってことですね。
まさに。あとは
水産庁の逆引き事典も使えます。「漁業」「設備投資」みたいなキーワードで検索すると関連補助金が一覧できるので、漏れなく調べるのに便利ですよ。
いろいろ教えてもらってありがとうございます!まずは漁協に相談してみます。