室谷さん、今日は山口県の「やまぐち産業イノベーション加速化補助金」という制度を教えてください。名前に「カタパルト」ってついてるのが気になって!
ええ、これ面白い制度でして。「カタパルト」って、航空母艦から戦闘機を一気に射出する装置のことじゃないですか。研究成果を事業化へ一気に加速させるっていうイメージで、山口県がそう名付けてるんです!
そうです。山口県 産業労働部 イノベーション推進課が実施してます。環境・エネルギー、医療、バイオという3つの成長分野に特化した研究開発支援制度で、補助上限が500万円、補助率が2/3以内という手厚い内容になってます。
500万円で補助率2/3か。研究開発系の補助金としてはかなり使いやすそうですね!
そうなんですよ。研究開発費の3分の2を県が負担してくれるわけですから、実質的な自己負担は3分の1で済む。ざっくり750万の研究開発投資のうち500万をカバーできる計算ですね。
はい、毎年度公募されてます。令和7年度の公募では環境・エネルギー、医療、バイオ関連分野で合計7件の応募があって、カタパルト枠だけで4件が採択されてますよ!
やまぐち産業イノベーション加速化補助金 カタパルト vs アドバンス 比較表
ありますよ!同じ「やまぐち産業イノベーション加速化補助金」には「アドバンス」という上位枠もあって、こちらは補助上限が1,500万円、事業期間が最長3年間という大型の研究開発向け枠です。
えっ、1,500万!カタパルトの3倍ですね。どう使い分けるんですか?
シンプルに言うと、カタパルトは「今すぐ研究開発を始めたい中小企業向け」のスピード重視版、アドバンスは「大学や大企業と連携して本格的な長期研究開発をやりたい」向けですね。
| 項目 | カタパルト | アドバンス |
|---|
| 補助上限額 | 500万円 | 1,500万円 |
| 補助率 | 2/3以内 | 2/3以内 |
| 事業期間 | 1年間 | 原則1年間(最長3年間) |
| 対象分野 | 環境・エネルギー、医療、バイオ | 同左 |
| 申請方式 | 2者以上の研究開発グループ | 同左 |
| 難易度 | 比較的取り組みやすい | 本格研究開発向け |
なるほど、まずカタパルトで実績を作ってからアドバンスに挑戦するとか、段階的な使い方もできそうですね。
まさに!その発想は正しくて、カタパルトで基礎技術を確立して、アドバンスで量産化技術を開発するという流れは審査でも評価されやすいです。
どんな会社が申請できるのか、詳しく教えてください!
まず大前提として、法人格が必須です。個人事業主はこの制度には参加できません。そして単独申請もできなくて、2者以上の「研究開発グループ」を組んで申請する形式です。
グループで申請するんですね。メンバーに制約はあるんですか?
一番重要なのは「グループの中に必ず山口県内の中小企業が入っていること」という条件です。ただ、これには柔軟な例外があって、計画期間中に県内中小企業の参画が確実に見込める場合は、公募時点では入ってなくても応募できるんですよ。
ただしその場合は申請書に「どんな企業が、いつから参画するのか」を明示する必要があります。あくまで例外措置なので、できれば最初からグループを完成させておいた方が安心ですね。
- 法人格: 登記済みの企業であること(個人事業主は不可)
- グループ構成: 2者以上の研究開発グループを編成
- 県内中小企業の参画: グループ内に山口県内の中小企業が1者以上
- 対象分野: 環境・エネルギー、医療、バイオのいずれかに該当
- 事業化計画: 研究成果を事業化する具体的な計画があること
- 重複補給禁止: 同一事業に他の補助金を重複受給していない
「県内企業」の定義って具体的にどうなってるんですか?山口県外に本社があっても関係ありますか?
「県内企業」には2つのパターンがあります。①山口県内に事業所(本社、工場、研究所等)を持つ企業、または②山口県内の貸研究室・インキュベーション施設で研究開発を実施している企業のどちらかでOKです。
じゃあ県外本社でも、山口に工場や研究所があれば対象になるわけですね!
そういうことです!それに、グループ全体が県内企業である必要はないですよ。県外の大学や大企業がリーダーになって、県内中小企業がメンバーとして参加するような構成も全然アリです。
これがかなり多くの業種に対応してまして。製造業はもちろん、情報通信業、建設業、電気・ガス・水道業、学術研究・専門技術サービス業、医療・福祉、農林業、漁業、鉱業、運輸業まで網羅されてます。
| 対象業種(主要) | 関連する研究開発例 |
|---|
| 製造業 | 新素材開発、バイオマスプラスチック製造 |
| 情報通信業 | AI医療診断、IoT省エネシステム |
| 学術研究・専門技術サービス | 産学連携の基礎研究 |
| 医療・福祉 | 医療機器の臨床応用研究 |
| 農業・林業 | バイオマス利活用技術 |
| 電気・ガス・水道業 | 再生可能エネルギー技術 |
研究開発に直接関係する経費はかなり多くの種類が対象になってます。人件費、設備費、材料費、外注費、旅費、その他経費(特許出願費用・施設賃借料など)ですね。
- 人件費: 研究員・技術者・研究補助員の人件費
- 設備費: 研究開発用機器、試作品製作装置、計測機器のリース費
- 材料費: 試作品原材料、実験用消耗品、試薬・薬品
- 外注費: 試験・分析の外部委託、設計・加工の外注、専門機関への技術指導委託
- 旅費: 研究打合せ・学会・展示会参加のための出張費
- その他: 特許出願費用、技術文献・データベース利用料、研究施設賃借料
外注費まで使えるんですね。試作品の製作を外部に頼んだりもできそう!
できます!試験・分析を専門機関に委託するのは、研究開発系の補助金では非常に有効な使い方ですよ。
- 事務所の家賃・光熱費など一般管理費
- 研究開発に直接関係しない汎用パソコン・ソフトウェアの購入費
- 飲食・接待にかかる費用
- グループメンバーの通常業務に係る人件費
- 補助事業完了後に発生する経費
- 他の補助金で既に支援を受けている経費
「通常業務に係る人件費はNG」っていうのは注意ですね。
そこはよく引っかかるポイントです。研究開発専任の担当者の人件費は対象になりますが、普段の業務と兼務している従業員の人件費を全額申請するのはダメです。研究開発に充てた時間・割合で按分する必要があります。
大きく5つのステップですね。まずグループ編成から始まって、審査・採択、そして事業開始という流れです。
カタパルト申請フロー 5ステップ
Jグランツは国が運営する補助金の電子申請システムです。GビズIDはその認証に使うID。まだ取得してない人は早めに申請しておいた方がいいですよ。GビズIDの発行には数日かかる場合があるので。
公募期間が2026年4月3日〜5月8日ってことは、かなりタイトな期間ですね!
そうなんです!約1か月という短い公募期間なので、グループ編成と計画策定は公募開始前から着手するのが絶対条件です。公募が始まってからグループを探し始めても間に合いません。
せっかく申請するんだから採択されたいですよね。審査でどんなことが見られるんですか?
いくつか重要なポイントがあります。まず「グループ編成の戦略性」ですね。
- グループの相互補完性: 素材メーカー×加工メーカー×大学研究室のように、バリューチェーン上の異なるポジションを組み合わせる
- 事業化シナリオの具体性: ターゲット市場規模、想定顧客、競合との差別化、事業化タイムラインを数字で示す
- 山口県産業政策との整合性: 県の次世代産業戦略との関連性を申請書に織り込む
- 技術の新規性・独自性: 既存技術の延長ではなく、新たな価値創出につながるテーマを選ぶ
「事業化シナリオの具体性」って、どれくらい具体的に書く必要があるんですか?
「3年後に売上1億円を目指す」だけじゃ全然足りないですね。「県内の○○分野の市場規模は××億円で、そのうちXX%のシェア獲得を狙う。具体的なターゲット顧客は〜〜で、競合の〜〜社と比較してここが優れている」という水準が求められます。
かなり本格的ですね!普段の事業計画書レベルが必要なんだ。
そうです。「カタパルト」という名前どおり、研究成果を事業化に一気に結びつけるシナリオが求められてる。技術的に優れているだけじゃダメで「市場で売れる」ことを示す必要があります。
山口県のイノベーション推進課のウェブサイトで、毎年度の採択事業一覧が公開されています。令和7年度の結果をみると、カタパルト枠は4件応募して4件全採択だったんですよ!
令和7年度はそうでした。アドバンスは3件中1件(採択率33%)と差がありましたが、カタパルト枠は要件さえ満たせばしっかり採択されやすい制度と言えますね。
申請にあたっては以下を必ず確認してください。
同一の研究開発事業について他の補助金と重複受給することは原則として認められません。また、申請書作成の前に山口県イノベーション推進課(電話 083-933-3150)への事前相談を強く推奨します。特に分野の該当性が不明な場合は、必ず事前相談を行ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | やまぐち産業イノベーション加速化補助金〔カタパルト〕 |
| 実施機関 | 山口県 産業労働部 イノベーション推進課 |
| 補助上限額 | 500万円(1グループあたり) |
| 補助率 | 2/3以内 |
| 事業期間 | 1年間 |
| 令和8年度公募期間 | 2026年4月3日〜2026年5月8日 |
| 対象分野 | 環境・エネルギー、医療、バイオ関連 |
| 申請資格 | 2者以上の研究開発グループ(県内中小企業含む) |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請) |
| 問い合わせ | イノベーション推進課次世代産業推進班 083-933-3150 |
いくつかパターンを紹介しますね。まず山口県は化学・石油製品製造業の集積地として有名で、周南コンビナートもありますよね。そういった製造業の会社がバイオ分野に展開するケースが多いですよ。
化学メーカーがバイオ?どういうつながりなんですか?
例えば、石油化学製品の代替として「バイオマスプラスチック」の製造プロセスを開発するとか。素材・化学の技術をバイオ分野に応用するわけです。研究費の750万円のうち500万円(補助率2/3)を補助金でカバーして、基礎技術を確立した事例があります。
医療機器の部品メーカーが山口大学医学部の研究室とグループを組んで、手術支援デバイスのプロトタイプ開発に使ったケースがあります。大学の臨床知見と自社の加工技術を融合させて、医療機器メーカーへのOEM提案まで結びつけた例ですね。
大学と組むことで、単独では無理だった開発ができるわけか!
まさにそれが「共同研究グループ型」の最大のメリットです。ITベンチャーが医療法人と組んでAI健康管理システムのアルゴリズムを開発したり、農業法人がバイオベンチャーと組んでメタン発酵技術を研究したりと、組み合わせの妙で新しい価値が生まれてるんです。
山口県にはそういう連携をつないでくれる機関はあるんですか?
はい!山口県産業技術センターや(公財)やまぐち産業振興財団がパートナー企業のマッチング支援をやってます。「こういう技術のパートナーを探したい」という相談を持ちかけると、つないでくれることがありますよ。
他の補助金と組み合わせたり、比較したりすることはできますか?
重要なポイントを押さえましょう。まず同一の研究開発事業に他の補助金を重複して使うことは原則NGです。ただし研究開発フェーズが異なれば組み合わせられます。
同一の研究開発事業について他の国・県の補助金との重複受給は原則として認められません。どの補助金を優先するかの判断は、山口県イノベーション推進課や補助金専門家に事前相談することをお勧めします。
比較表を見ると、カタパルトは「山口県内の中小企業が今すぐ研究開発を始めたい」という場合のファーストチョイスになりそうですね。
おっしゃる通りです!申請の難易度も比較的取り組みやすくて、令和7年度の採択実績からもわかる通り、しっかり要件を満たした申請は評価されやすい制度です。次のセクションでよくある質問をまとめますね。
読者の方から「これはどういうこと?」ってなりそうなポイントをQ&A形式でまとめてもらえますか?
もちろんです!実際にお問い合わせが多い内容をまとめますね。
まず「個人事業主は申請できますか?」という質問、多そう。
NG です。本補助金は個人での研究開発グループへの参画自体が禁止されています。法人格が必須なので、個人事業主の方はまず法人化を検討するか、小規模事業者持続化補助金など個人事業主向けの補助金をご検討ください。
「500万円は1グループあたり?それとも1企業あたり?」という疑問もありそうです。
1グループ(1申請)あたりです!グループ全体の研究開発費の2/3以内かつ500万円が上限。グループの構成員が個別に500万円ずつもらえるわけじゃないので、グループ内での経費配分を事前にしっかり協議しておく必要があります。
それは重要!勘違いしてる人多そう(笑)。あと「公募時点で県内中小企業がグループにいなくても応募できますか?」というのも。
条件付きで可能です。計画期間中の参画が確実に見込める場合に限って、公募時点での不在が認められます。ただし「どの企業がいつから参画するか」を申請書に明記することが必須。あくまで例外措置なので、確実な見込みがない状態での応募は採択されません。
「環境・エネルギー、医療、バイオ以外の分野でも申請できますか?」という質問もありますよね。
原則NGです。ただし3分野の解釈は比較的ゆとりがあって、例えばIoTを使った省エネシステムや、AIを使った医療画像解析なども対象になり得ます。迷ったら山口県イノベーション推進課に事前相談するのが一番確実です。
最後に、公募期間が終わってしまった人はどうすればいいですか?
令和8年度の公募期間は2026年4月3日〜5月8日です。この記事を読んでいる時点で締め切りが過ぎていた場合でも、次年度公募に備えて今から準備することをお勧めします!GビズIDの取得、研究開発グループのパートナー探し、そして事業化計画書のブラッシュアップ。この3つを今からやっておくと、来年度の公募が始まった瞬間にスタートダッシュできますよ。
山口県内で研究開発を考えている企業の方は、ぜひ
山口県の補助金一覧もチェックしてみてください!