室谷さん、最近ガソリンや灯油、LPガスの価格がなかなか下がりませんよね。岡山の中小企業とか農家さんって、こういう燃料コスト高騰に対してどんな補助金を使えるんですか?
そうなんですよ、燃料対策の補助金って実は国・都道府県・市町村の3層に分かれていて、それぞれ対象者も目的もバラバラなんです。ざっくり言うと「燃料を直接補助するもの」「燃料コストを下げる設備投資を補助するもの」「非化石燃料への転換を補助するもの」の3種類がある。
そう、一口に「燃料の補助金」って言っても全然違う制度が混在しているんです。だから「うちに使えるものがあるか?」って探すときに、どのカテゴリに自分が当てはまるかを先に考えた方がいい。
なるほど。岡山は農業も工業も盛んだから、それぞれ別の切り口で探す必要があるってことですか?
そうです!岡山は農業(施設園芸)・製造業・石油ガス販売業・運輸業それぞれに対応した補助金があります。農家さんなら灯油・重油の高騰対策、製造業なら省エネ設備導入、SS(ガソリンスタンド)オーナーなら地下タンク整備や災害対応設備、という感じで使える補助金が違う。まずは「自分の業種と燃料の使い方」を確認するところから始めましょう。
| カテゴリ | 対象者 | 主な補助内容 | 補助率の目安 |
|---|
| 燃料価格高騰対策(直接支援) | 施設園芸農業者 | 灯油・重油・LPガスの高騰分補助 | 定額支給 |
| 省エネ設備導入支援 | 中小企業者(製造業等) | 省エネ設備更新費用 | 1/2以内、上限500万円 |
| SS(ガソリンスタンド)強化 | 揮発油販売業者 | 地下タンク整備・災害対応設備 | 定額(10/10) |
| 天然ガス利用設備導入 | 避難所・重要インフラ・事業者 | コージェネ・燃料電池等 | 1/2または1/3、上限3.6億円 |
| EV・FCV等次世代車両 | 企業・個人 | クリーンエネルギー車購入 | 定額補助 |
| 社会重要インフラ燃料備蓄 | 病院・避難所・自治体 | 石油製品タンク設置 | 定額(10/10) |
これだけあるんですね。まず岡山県内で一番身近な、農業者向けの補助金から教えてください。
岡山市が令和8年度も実施している「施設園芸燃油費高騰対策支援金」が岡山では最も使われている制度のひとつです。ハウス栽培などの施設園芸農業者が対象で、重油・灯油・LPガスの高騰分を支援金として受け取れる。2026年1月には「対象に灯油とLPガスを追加」とアップデートされて、より多くの農家さんが使えるようになっています。
岡山市が実施しているものですが、資金源は国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用しているんです。だから他の市町村でも類似の支援金が出ていることがある。自分の市町村の農業担当課に「燃油費高騰の支援は何かありますか」と聞いてみると意外とヒットします。
岡山県 燃料対策補助金 事業者別活用フロー図
岡山県が令和8年度に始めた「岡山県中小企業省エネ設備更新支援補助金」が注目です。対象は岡山県内に事業所がある中小企業者で、省エネ設備の購入・設置費用の1/2以内、上限500万円(下限50万円)を補助します。
上限500万円!これはかなり大きいですね。申請期間はいつですか?
令和8年(2026年)5月1日から5月29日が申請受付期間で、電子申請です。問い合わせ先は岡山県中小企業団体中央会(TEL 086-237-8770)で、予算超過の場合は抽選になる。だから5月1日に申請した方が有利なんですよ。
抽選なんですか!じゃあ早めに動かないとですね。対象設備はどんなものですか?
工作機械、空調設備、フォークリフト、照明設備などの「既存設備の更新」が対象です。新規導入はダメで、あくまで今使っている非効率な設備を省エネタイプに替える費用を出してもらえる。燃料や電気の使用量が減る設備ならいろいろな種類が対象になりますね。
新規じゃなくて「更新」が条件ってのがポイントですね。
ガソリンスタンドを経営している方向けはどんな補助金がありますか?
国の制度ですが、SS事業者にとって重要な補助金がいくつかあります。まず「石油製品販売業構造改善対策事業費補助金」系の補助金群で、補助率が定額(10/10)、つまり全額補助というのが特徴です。
かなり珍しいです(笑)。地下タンクの撤去・設備効率化・危険物漏えい防止対策などが全額補助なんですよ。理由は「過疎地のガソリンスタンドは地域の生命線だから」です。岡山も過疎地がありますし、農村部のSSは地域住民の生活インフラでもある。だから国が特別に手厚くしている。
あります!
令和8年度版が今年度の最新版で、過疎地等の石油製品流通体制整備に約4.9億円の予算が措置されています。離島・過疎地のSSオーナーさんは経済産業省の資源エネルギー庁か、石油連盟・全国石油商業組合連合会に問い合わせるのが早道です。
全額補助で地下タンクの入れ替えができるとは!知らなかった。
そうです。岡山は南海トラフ地震のリスクもあるし、山間部では孤立集落の問題もある。だから「いざというとき燃料が確保できる体制を作る」という意味で、病院・社会福祉施設の管理者さんには絶対に知っておいてほしい補助金ですね。詳細は
令和8年度版の詳細ページで確認できます。
天然ガスを使っている工場や施設が、設備投資に使える補助金は何がありますか?
一台で電気と熱を同時に作る設備です(笑)。ガスで発電しながら、その排熱で温水も作れる。燃料コストを大幅に下げつつ、停電時も自立して動ける。医療施設・食品工場・老人ホームなどで特に有効な設備です。令和7年度版も
第三次公募まで出ていて、岡山でも採択実績があります。
毎年度・複数回公募されていることが多いです。一回申請して不採択でも、次の公募回で再挑戦できることが多いので、あきらめずに担当事務局に相談するのが大事ですよ。
令和7年度、岡山県でLPガス料金高騰対策支援事業の追加実施がありました。これは県内のLPガス販売事業者に登録して、需要家(ユーザー)がその事業者から直接恩恵を受ける仕組みです。岡山市・倉敷市・津山市など県内全域の事業者が対象になっていました。
家庭・事業者の両方が対象です。LPガスを使っているご家庭も、このタイプの支援で料金が直接下がっていた。令和7年度追加実施分という形で出ていましたが、令和8年度の継続可否は岡山県LPガス協会(
okayama-lpg.com)に問い合わせが確実です。
国の「石油ガス流通合理化対策事業費補助金」も見逃せないです。
令和7年度版では補助率10/10で、石油ガス地域防災訓練事業を支援しています。LPガス業者が地域の防災体制づくりに参加する費用を全額補助するものです。
岡山県 EV・FCV・次世代自動車 補助金 比較表
ガソリン車から電気自動車や燃料電池車に切り替えようと思っている事業者には何がありますか?
これが一番動きの速い分野で、国の
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金が令和7年度補正予算で
総額1,100億円規模で措置されています!電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)・プラグインハイブリッド(PHEV)が対象です。
EV普及の国策で、かなりの予算が確保されています。個人・法人どちらも使えて、民間の補助事業者(CEV補助金事務局)を通じて申請します。岡山でも自動車販売店に行くと「CEV補助金の手続きを代行します」と案内してくれるところが多いですよ。
フォークリフトの燃料電池化促進事業があります。環境省所管で、燃料電池フォークリフトと通常フォークリフトとの差額の1/2を補助するものです。岡山の食品工場・物流倉庫などで導入事例が増えていますよ。
そうですね(笑)。規模感が違います。岡山の水島コンビナートのような大規模工場向けです。ただ、同じ水島エリアでも中小の下請け企業が「GXサプライチェーン構築支援事業」で恩恵を受けられるケースもある。大企業の系列で部品供給している中小企業も対象になりうるので、取引先の大企業に「補助金の申請の流れに入れてもらえるか」を確認してみる価値があります。
大企業の傘下にいる中小企業もチャンスがあるんですね。
そうです。GXやエネルギー転換の流れで、サプライチェーン全体を補助対象にする制度が増えています。単独では使いにくい補助金でも、取引先と連携すれば入口が開けることがある。これが岡山の製造業の皆さんに伝えたいことですね。
| 補助金名 | 主な対象者 | 補助率・上限 | 担当窓口 |
|---|
| 岡山県中小企業省エネ設備更新支援補助金 | 県内中小企業 | 1/2以内 上限500万円 | 岡山県中小企業団体中央会 |
| 施設園芸燃油費高騰対策支援金(岡山市) | 施設園芸農業者 | 定額支給 | 岡山市農業委員会 |
| 燃料備蓄推進事業費補助金(令和8年度) | 病院・避難所・自治体 | 定額(10/10) 最大25.5億円 | 資源エネルギー庁 |
| SS構造改善補助金(令和8年度) | SS(ガソリンスタンド)事業者 | 定額(10/10) | 資源エネルギー庁/石油連盟 |
| 天然ガス利用設備導入支援補助金 | 工場・病院・施設 | 1/2または1/3 上限3.6億円 | 資源エネルギー庁 |
| CEV補助金 | 個人・法人 | 定額補助 | CEV補助金事務局 |
| 充電インフラ導入促進補助金 | 駐車場・商業施設等 | 定額補助 | 次世代自動車振興センター |
| プロセス転換支援事業 | 重工業大企業等 | 定額 上限25億円 | 経済産業省 |
これだけ多いと、自分に合うものを選ぶのが大変ですね。
選ぶポイントは3つです。①今すぐ現金が必要か(高騰対策の直接支援)②設備投資を考えているか(省エネ・EV転換)③大きな燃料転換・脱炭素の計画があるか(国の大型補助金)。この3つに分けて考えると整理しやすいです。
自分の業種・規模・燃料の使い方を確認する(農業・製造業・SS・運輸業など)
今年度予算が出ているか確認する(令和8年度は2026年4月〜2027年3月)
電子申請かどうか確認する(岡山の省エネ設備補助金はGビズIDが必要な場合も)
申請期間・予算上限を確認する(抽選になる制度は早期申請が有利)
補助金事務局か岡山県産業労働部経営支援課(直通 086-226-7353)に相談する
- 補助対象経費の定義をよく読まずに申請する(対象外の費用が含まれていると減額)
- 交付決定前に工事・購入を始めてしまう(補助対象外になる)
- GビズIDの取得が遅れて申請期限を逃す(発行まで2〜3週間かかる)
- 岡山県の省エネ補助金は既存設備の更新のみが条件(新規導入は対象外)
国の補助金申請で使う事業者向けの認証ID(ジェイグランツなどのアカウント)です。発行に2〜3週間かかるので、補助金を使いたいと思ったらすぐに取得手続きを始めるのが大事。申請期限の直前に慌てて申請しようとして、GビズIDがなくて間に合わなかったというケースをよく見ます。
そう。補助金って申請したら終わりではなく、その後に実績報告・精算払い申請もある。特に国の大型補助金は書類が多く、経理担当者を巻き込んで動かないと途中で手が回らなくなります。早めに社内の体制を作っておくことをおすすめします。
- 岡山県中小企業省エネ設備補助金: 岡山県中小企業団体中央会 TEL 086-237-8770(平日 9時〜17時)
- 農業者向け燃油支援(岡山市): 岡山市農業委員会 TEL 086-803-1563
- 国の燃料備蓄・SS補助金: 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部
- EV・CEV補助金: CEV補助金事務局(cev-pc.or.jp)
- 岡山県産業全般の相談: 岡山県産業労働部経営支援課 TEL 086-226-7353
今日はたくさん教えてもらいましたが、最後に岡山で燃料コストに悩んでいる経営者へ一言お願いします!
燃料コストの高止まりはしばらく続くと思うので、補助金で乗り切るという発想から補助金を活用して燃料コスト構造を変えるという発想に切り替えてほしいです。省エネ設備の更新でランニングコストを下げるのが長期的に一番賢い。
そうです。岡山には国の大型補助金を活用している事業者が増えてきています。一人で申請書類を抱え込まず、商工会・商工会議所、岡山県中小企業団体中央会に相談すれば伴走支援してもらえます。岡山の経営者の皆さん、ぜひ活用してみてください!