室谷さん、「省エネ型VOC排出削減設備導入促進事業」って名前だけ聞くと、かなり専門的な感じがするんですが、これってどんな補助金なんですか?
簡単に言うと、塗装・印刷・ドライクリーニング業の工場で使う「VOC対策設備」と「省エネ型換気設備」を導入するときに、費用の2/3、最大2,000万円まで東京都が出してくれる制度です!
2/3ってすごいですね! えっ、でもVOCって何ですか?
VOCは「揮発性有機化合物」のことです。塗料や印刷インク、洗浄溶剤に含まれていて、常温で蒸発して空気中に散らばる物質の総称ですね。トルエン、キシレン、酢酸エチルなんかが代表例です。
夏場に太陽の強い紫外線を浴びると、窒素酸化物と反応して「光化学オキシダント」を生成するんです。これが光化学スモッグの主犯格!目がしみたり喉が痛くなったりする、東京の夏の空気問題の一因なんですよ。
なるほど、それで東京都が補助金を出しているわけですね!
そうです。石油系原材料の価格高騰への対応と、脱炭素・大気環境改善を一石二鳥で実現しようという趣旨の事業です。令和4年度から令和9年度まで継続して実施される大型制度ですよ。
VOC対策設備 タイプ別比較
補助率2/3、上限2,000万円/台ということですが、これはかなり手厚いですよね?
業界的に見ても非常に高い補助率です! VOC対策設備って数百万円から数千万円するものが多いので、2/3出してもらえると実質負担が3分の1に抑えられる。投資回収期間が劇的に短くなりますよ。
たとえば3,000万円の設備を入れたら、2,000万円もらえる計算ですか?
そういうことです! 上限は「台あたり2,000万円」なので、3,000万円の設備なら補助対象経費の2/3 = 2,000万円が上限にぴったりはまる計算ですね。複数台申請する場合も1台ずつ上限が設定されます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助率 | 補助対象経費の2/3 |
| 補助上限 | 2,000万円/台 |
| 申請受付期間 | 2026年4月1日〜2027年3月31日(17時まで) |
| 事業規模 | 約2.3億円(令和8年度分) |
| 事業期間 | 令和4年度〜令和9年度 |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京都環境公社 |
事業規模が約2.3億円っていうことは、予算が尽きたら終わりなんですよね?
そうなんです。公募期間は通年(2026年4月〜2027年3月)ですが、「予算の限度額に達した時点で受付終了」という条件がついています。実際に令和7年度は「予算が残りわずか」という告知が2025年3月に出ていたので、早めの申請を強くお勧めします。
令和7年度(2025年度)は予算が底をつく寸前まで申請が集中しました。令和8年度も同様の状況が想定されます。設備導入の計画が固まったら、ためらわずに早期申請してください。
東京都内に事業所があって、以下の3業種でVOCを取り扱っている中小企業者等が対象です。
そうです。(ア)工場内塗装 = 工業塗装と自動車板金塗装に限定、(イ)印刷、(ウ)ドライクリーニング、この3つだけです。建築現場の塗装や一般的な清掃業は対象外なので注意が必要です。
| 業種 | 対象となる作業 | 注意点 |
|---|
| 工場内塗装 | 工業塗装(製品への塗装)、自動車板金塗装 | 建築塗装・建設現場の塗装は対象外 |
| 印刷業 | 印刷に供する材料を低VOC製品へ変更するために不可欠なもの | 生産性向上目的のオプション(ソフトウェア等)は対象外 |
| ドライクリーニング | 溶剤を使用する洗浄工程 | 水洗いのみのランドリーは対象外 |
「中小企業者等」という表現がありましたが、大企業はダメなんですか?
大企業は対象外です。中小企業基本法に基づく中小企業者のほか、障害者就労施設を有する社会福祉法人等も含まれます。製造業・印刷業なら資本金3億円以下または従業員300人以下、サービス業なら資本金5,000万円以下または従業員100人以下が目安です。
東京都内にVOCを取り扱う事業所があれば申請できます。本社が他都道府県でも、都内工場があればOKです。
以下を全て満たしていれば申請可能です。
- ① 東京都内に事業所を有する(都内での作業実績あり)
- ② 工場内塗装・印刷・ドライクリーニングのいずれかの作業工程でVOCを取扱っている
- ③ 中小企業者等に該当する(中小企業基本法の定義による)
- ④ 導入設備がVOC排出削減効果のある省エネ型設備である
- ⑤ 未使用品を購入・自社所有する(リース契約は対象外)
大きく分けて「1. VOC排出削減設備」と「2. VOC削減装置付空調・換気設備」の2種類です。
1はVOCを直接処理する設備、2は換気しながらVOCも削減するっていうことですか?
正確です! VOC処理装置(触媒燃焼式・活性炭吸着式など)、VOC回収装置、低VOC型塗装設備が「1」に相当し、VOCフィルター付きの省エネ換気システムや局所排気装置付きの省エネ空調が「2」になります。
| 設備カテゴリ | 主な設備例 |
|---|
| VOC対策設備費 | VOC処理装置(触媒燃焼式・活性炭吸着式)、VOC回収装置、低VOC型塗装設備 |
| VOC削減装置付空調・換気設備費 | VOCフィルター付換気システム、省エネ型空調設備(VOC削減機能付き)、局所排気装置 |
| 付帯工事費 | 設備設置工事費、配管・ダクト工事費、電気工事費 |
そうです。設計費、設備費、工事費、処分費(既存設備の一部廃棄)が補助対象経費です。ただし、リース料・消耗品・ランニングコスト・コンサルタント費用(設備費に含まれない場合)は対象外です。
「処分費」も入るのは助かりますね。古い設備を撤去する費用も出るということ?
基本的にはそうです。ただし既存設備の撤去・処分費は一部例外がある場合もありますので、申請前に公募要項で確認してください。
以下は補助の対象外です。申請計画に含めないよう注意してください。
- リース料: 設備は購入・自社所有が必須。リース契約は対象外
- 消耗品・ランニングコスト: 塗料・フィルター交換費など日常的な費用は対象外
- 建物・土地の取得費: 設備設置のための建物改修は一部対象になる場合あり(要確認)
- 生産性向上目的のオプション: 印刷機の給排紙トレイ・ソフトウェアなど便利系オプションは対象外
省エネ型VOC排出削減設備導入促進事業 申請の流れ
令和8年度からJグランツによる電子申請に切り替わりました。これが大きなポイントです。申請にはGビズIDが必要なので、まだ取得していない会社は今すぐ手続きを始めてください!
1設備の選定と見積り取得
導入したいVOC削減設備について複数のメーカー・販売店から見積りを取得します。VOC削減率・省エネ性能のカタログデータも準備してください。設備の仕様書も後の書類作成に必要です。
2申請書類の作成
補助金申請書、事業計画書、設備仕様書、見積書、VOC取扱い状況を示す書類(現在のVOC排出量と導入後の削減見込み)を作成します。現在のVOC排出量を定量的に示すことが採択のカギです。
3GビズIDの取得(未取得の場合)
Jグランツ申請にはGビズIDが必須です。GビズIDの取得はJグランツ申請の前に余裕をもって手続きを。審査に1〜2週間かかります。
4Jグランツで電子申請
Jグランツ(jgrants-portal.go.jp)にGビズIDでログインし、必要書類を添付して申請します。操作マニュアルは東京都環境公社の公式サイトからダウンロード可能です。
5審査・交付決定通知の受領
東京都中小企業振興公社による審査を経て、交付決定通知が届きます。交付決定前の設備発注・契約は補助対象外になるため絶対に避けてください。
6設備導入・実績報告と補助金振込
交付決定後に設備を発注・導入し、完了後に実績報告書と工事完了届出書を提出します。確認完了後に補助金が振り込まれます。
そうなんです。印鑑証明書や登記事項証明書を準備して申請してから審査完了まで1〜2週間かかります。「申請しようと思ったらGビズIDがなかった」という失敗をする会社が毎年あるので、今すぐGビズIDの取得状況を確認してください。
「VOC取扱い状況の記録」と「現在の排出量と削減見込みの定量的な記載」です。実際に自社でVOCがどれくらい排出されているかを数値で示す必要があります。排出量の測定データがあれば説得力が格段に上がります。
審査で評価されるポイントをちゃんと押さえれば、採択率は上げられます。3つの観点でお話しします。
ポイント1: VOC削減効果を定量的に示す
現在のVOC排出量(kg/年)と新設備導入後の削減見込みを具体的な数値で記載してください。VOC排出量の測定データがあれば添付しましょう。「削減率○%」という具体的な数値が審査での説得力を高めます。
ポイント2: 省エネ効果も合わせてアピール
VOC削減だけでなく、電気使用量・燃料使用量の削減見込みも記載しましょう。「環境規制対応とランニングコスト低減を同時実現」という観点で事業計画書を作ると評価が上がります。
ポイント3: 複数社から見積りを取り価格の妥当性を証明
最低2〜3社から見積りを取得して、設備価格が市場価格と整合していることを示してください。不当に高い見積りは減額査定の対象になります。
「交付決定前に発注してはいけない」というのはよくある失敗パターンですよね?
毎年必ずやらかす会社が出ます! 「工事のスケジュールが決まったから先に発注した」というケースで、全額対象外になった事例が実際にあります。設備のメーカーへの納期確認は交付決定前にしてもいいですが、正式な発注・契約は必ず交付決定通知を受け取ってからです。
なるほど。ではお金の流れとしては、一時的に自社で全額立て替えるんですか?
そうです。補助金は後払いですね。設備を入れて実績報告をしてから振り込まれます。設備費が数千万円規模になることもあるので、資金繰りについては事前に金融機関と相談しておくと安心です。東京都中小企業振興公社には融資制度もあるので、そちらも併用できます。
実際にこの補助金を使うと、どれくらいお得になるんでしょう?
ざっくりシミュレーションしてみましょう。たとえば印刷工場が2,700万円のVOC処理装置(触媒燃焼式)を入れるとします。
2,700万円、それだけだと資金負担が大きいですね。
そうですね。でも補助金を使うと、補助対象経費の2/3 = 1,800万円が東京都から出ます。実質負担は900万円です!
| ケース | 設備費 | 補助額 | 実質負担 |
|---|
| 補助なし | 2,700万円 | 0 | 2,700万円 |
| 補助あり(2/3) | 2,700万円 | 1,800万円 | 900万円 |
| 上限ケース(3,000万円以上の設備) | 3,000万円 | 2,000万円(上限) | 1,000万円 |
そうです! 省エネ型設備への更新なので、電気代・燃料費の削減も期待できます。仮に年間エネルギーコストが200万円削減できるなら、実質負担900万円を4〜5年で回収できる計算です。補助金なしなら15年近くかかるところが4〜5年で回収できるというのが、この補助金の最大のメリットです。
それは確かに大きい差ですね! 石油系原材料のコストも下がるんですか?
低VOC型塗料や溶剤に切り替えることで、使用量そのものが減ります。VOC含有量の少ない材料は1缶あたりの単価は高い場合もありますが、廃棄コストの削減や塗着効率の向上で総コストが下がるケースが多いですよ。
これが実は大きなメリットです。大気汚染防止法や東京都の条例で年々VOC規制が強化されていますが、省エネ型設備を入れておけば将来の規制強化にも対応しやすくなります。規制対応のための追加投資リスクを前もって下げられる、という意味でも早めの設備更新は合理的な判断です。
環境設備関連は国・都・区それぞれにありますね。主要なものと比べてみましょう。
| 補助金名 | 補助率 | 上限 | 対象 |
|---|
| 省エネ型VOC排出削減設備導入促進事業(東京都) | 2/3 | 2,000万円/台 | 塗装・印刷・ドライクリーニングの中小企業(東京都内) |
| 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(経済産業省) | 1/3〜1/2 | 1億〜15億円 | 省エネ設備全般(全国) |
| ものづくり補助金(中小機構) | 1/2〜2/3 | 750万〜4,500万円 | 設備投資全般 |
| 東京都NOx・PM対策機器導入補助(東京都) | 1/2〜3/4 | 50万〜200万円 | ディーゼル車のNOx対策機器 |
省エネ型VOC事業は「業種を絞る代わりに補助率が高い」感じですね。
まさにそれです! 対象が塗装・印刷・ドライクリーニングに絞られているぶん、該当する会社にとっては非常に有利な制度です。経済産業省の省エネ設備補助と対象経費を切り分けて両方を組み合わせる戦略も有効ですよ。
国の省エネ補助と組み合わせるって具体的にどういう意味ですか?
たとえば工場全体の省エネ改修をするとして、VOC関連の部分をこの東京都の補助で申請し、それ以外の設備(照明・コンプレッサー等)を経産省の省エネ補助でカバーする形です。同一経費への二重補助は禁止ですが、対象経費を明確に分けて管理すれば併用できます。
補助金は「実績報告後に後払い」なので、採択はスタートラインです。交付決定後の流れと注意点を確認しておきましょう。
まず設備の正式発注・契約を行います。次に設備を設置・稼働させて、完了後に「工事完了届出書」と添付書類を提出します。提出期限は交付決定書で指定された日付ですが、守れない場合は事前に東京都環境公社に連絡が必要です。
主に「VOC削減率の実績」と「省エネ効果の実績」です。設備導入前後のVOC排出量の比較データ、エネルギー消費量の変化、発注した設備の仕様書と受領書などを揃えます。申請時に記載した「削減見込み」と実績の差が大きい場合は補助額が減額されることもあるので、実現可能な数字を申請時に書くことが重要です。
導入後も東京都の調査に協力する必要があるんですよね?
補助対象要件の一つに「東京都が行う調査に協力できること」があります。設備のVOC削減効果・省エネ効果について、導入後のフォローアップ調査が入ることがあります。データを記録しておくとスムーズに対応できます。
採択後にやっておくべきことリスト
交付決定通知書を受け取ったら以下を確認・実行してください。
完了期限(交付決定書に記載)を確認し、逆算して工程を組む。工期が長い工事の場合は要注意です。
設備メーカーへ正式発注。納期が長い設備(海外製など)は特に余裕を持って。
設置工事の際は工程写真を撮影・保存。実績報告書の添付資料になります。
VOC排出量の測定データを定期的に記録。報告書作成に必要です。
変更が生じた場合は速やかに「助成事業計画変更申請書」を提出。勝手に変更すると補助が取り消される場合があります。
必ず事前に東京都環境公社に連絡して「助成事業計画変更申請書」を提出してください。黙って変更すると補助取消しのリスクがあります。設備の機種変更・数量変更・工期延長などは全て要連絡です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度 省エネ型VOC排出削減設備導入促進事業 |
| 実施主体 | 公益財団法人 東京都環境公社(東京都の委託) |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請(GビズIDが必要) |
| 申請受付期間 | 2026年4月1日〜2027年3月31日(17時まで、予算終了次第受付終了) |
| 補助率 | 補助対象経費の2/3 |
| 補助上限 | 2,000万円/台 |
| 事業規模 | 約2.3億円(令和8年度分) |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 問い合わせ先 | 技術支援部 省エネ型VOC排出削減設備導入促進事業 ヘルプデスク |
| 電話 | 03-3633-2282(平日9時〜12時、13時〜17時) |
| メール | kaizen-voc@tokyokankyo.jp |
| 公式サイト | 東京都環境公社 省エネ型VOC事業 |
| jGrants申請ページ | Jグランツ |
もちろんです! 問い合わせで多い質問を見ていきましょう。
残念ながら対象外です。「工場内塗装」に限定されていて、工業塗装(製品への塗装)と自動車板金塗装のみが対象です。建設現場での塗装工事や建物の外壁塗装は含まれません。
はい、なります! 既存のVOC取扱い設備をより省エネ型・低VOC型の設備に更新する場合も補助対象です。現在の設備のVOC排出量と新設備での削減見込みを比較して、導入効果を定量的に示してください。
令和8年度は対象外です。設備は購入して自社所有する形が条件です。資金調達の面では、東京都中小企業振興公社の融資制度と組み合わせることで実質的な負担を軽減できます。
できます。ただし補助上限は「台あたり2,000万円」です。複数台を一度に申請できるかどうか、1申請あたりの台数制限については最新の公募要項で確認してください。
公式には明記されていませんが、過去の実績では申請受理後1〜2ヶ月程度が目安です。審査中は追加書類の提出を求められることもあります。設備の納期スケジュールに余裕をもって申請を。
今日すぐできることは3つです。1つ目はGビズIDの取得状況を確認する、2つ目は
東京都環境公社の公式サイトから令和8年度の公募要項をダウンロードして読む、3つ目は導入候補の設備メーカーに問い合わせを入れる。この3つを今週中に動かすことが採択への第一歩です!
東京都内で塗装・印刷・ドライクリーニング業を営む中小企業にとって、この補助金は設備投資の負担を最大2/3削減できる非常に有利な制度です。予算が約2.3億円と限られているため早い者勝ちの側面があります。令和7年度は年度途中で「予算残りわずか」の状況になったことを踏まえると、設備更新を検討しているなら今すぐ動き出すことが重要です。
そうです。東京都では本事業のほかにも大気環境改善や省エネに関する補助制度が複数あります。ぜひあわせて確認してみてください。