山梨県DX補助金 主要制度一覧
室谷さん、うちの会社もそろそろDXに本腰入れなきゃって思ってるんですけど、なんか補助金が使えるって聞いて。山梨で使える制度って、実際どのくらいあるんですか?
実はかなりの数がありますよ。国の制度だけで十数件、山梨県や市町村の独自制度を入れると、関連する補助金・助成金の総数は38件以上に達します。ただ「DXの補助金」とひとくちに言っても、ものづくり系なのかITツール導入なのか、設備投資なのかで使える制度が全然違うので、最初に自社の課題を整理するのが先決ですね。
なるほど、種類で分かれてるんですね。大きく分けるとどんな枠組みがあるんですか?
大きく3つのカテゴリで考えるといいと思います。「ITツール・ソフトウェア導入」「設備・生産プロセスのDX」「脱炭素×DXの複合投資」——この3つです。カテゴリによって補助率も補助上限も全然違うので、どこから始めるかで申請する補助金が変わってきます。
そういう整理の仕方があるんですね! じゃあ具体的に、山梨でよく使われてる補助金って何ですか?
まず押さえてほしいのがものづくり補助金とIT導入補助金の2大国民的補助金です。この2つで多くのDX投資をカバーできます。それに加えて、省力化投資に特化した大型補助金や、山梨県独自のDXサポート体制も活用できる。それを全部組み合わせて考えるのが、山梨での正解ですよ。
まず国の補助金から教えてください。ものづくり補助金って、DXにも使えるんですか? 名前からして製造業向けっぽいな…という印象があって。
名前が誤解を生んでますよね(笑)。ものづくり補助金は製造業に限らず、サービス業や小売業も対象です。DXの文脈では、AIを使った品質検査システムの導入とか、IoTセンサーで生産工程をデータ化するとか、クラウドERPへの移行とかが対象になります。山梨だと宝飾加工業でCAD/CAMの高度化に使った事例とか、ワイナリーの醸造管理のデジタル化で採択された事例があります。
へえ、ワイナリーもですか。補助額はどのくらいになりますか?
22次公募だと補助上限が最大3,500万円(大幅賃上げ特例適用時)で、通常は従業員数によって750万〜2,500万円の範囲です。補助率は原則1/2、最低賃金引上げに取り組む事業者は2/3に引き上げられます。採択率は直近で30〜36%程度、3〜4社に1社が通る計算なので、しっかり計画を作れば十分狙える水準ですよ。
だからこそ事業計画の質が採否を分けます。「DXで何が変わるか」を定量的に書けるかどうかが勝負です。「売上が何%増える」「工数が何時間削減できる」みたいな数字を入れることが重要で、漠然と「デジタル化したい」だけだと落とされます。
ものづくり補助金の詳細はこちらから確認できます。
次にIT導入補助金についても教えてください。こちらはどういう制度なんでしょう?
IT導入補助金は、中小企業がITツールやソフトウェアを導入する費用を補助する制度です。最近「デジタル化・AI導入補助金」として再編されていて、AIツールや業務ソフトの月額SaaSも最大2年分が補助対象になります。補助率は1/2〜2/3で、補助上限はプランによって異なりますが、複数社でまとめて申請する「複数社連携型」なら最大3,200万円まで出ます。
え、複数社で連携するとそんなに大きくなるんですか?
そうなんです。例えばサプライチェーンを組んでいる山梨県内の企業が10社集まって、共通の受発注システムや在庫管理ツールを導入するようなケースがまさにこれに当たります。商工会議所や商工会がコーディネート役になってくれるケースも多いので、まずそこに相談するのが近道ですよ。
IT導入補助金の詳細も合わせてチェックしてください。
大型投資向けの補助金もあるって聞いたんですが、それはどんな制度ですか?
省力化・大規模成長投資補助金ですね。上限が最大50億円という国内最大級の補助金です(笑)。補助率は1/3以下で、地方の雇用を支える中堅・中小企業が人手不足対策として大規模な設備投資をするときの支援です。山梨県の食品加工業や精密部品メーカーが、自動化ラインやロボット設備を入れるときに活用できます。
もちろん補助上限が50億円というだけで、投資総額の1/3が補助なので実際の投資規模は150億円以上の大型案件向けです。中小企業には少し規模が大きすぎるかもしれないけど、中堅企業なら十分狙えますよ。令和7年度補正予算での5次公募が現在進行中です。
詳細はこちらで確認できます。
山梨県DX補助金 申請の流れ
国の制度が多くて、どれを選べばいいか迷います。一覧にしてもらえますか?
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 主な対象DX投資 | 採択率目安 |
|---|
| ものづくり補助金(22次) | 最大3,500万円 | 1/2〜2/3 | 設備・システム・AI導入 | 30〜36% |
| IT導入補助金(複数社連携) | 最大3,200万円 | 2/3 | ITツール・SaaS | 申請方式による |
| 省力化大規模成長投資 | 最大50億円 | 1/3以下 | 自動化・省力化設備 | 厳正審査 |
| DX型CO2削減対策 | 最大200万円 | 3/4 | DXで脱炭素 | 中小企業向け |
| 地域DX支援活動型 | 最大3,000万円 | 10/10 | 地域支援体制構築 | 機関向け |
DX型CO2削減ってどういう制度なんですか? DXと脱炭素が組み合わさってるんですね。
環境省のSHIFT事業の一環で、DXシステムを使ってCO2排出を減らす取り組みを支援する補助金です。補助率が3/4と高いのが特徴で、最大200万円まで出ます。例えばエネルギー使用量の見える化システムを導入してCO2削減計画を立てるとか、IoTで設備の稼働状況をモニタリングして無駄を省くといった取り組みが対象になります。山梨の製造業だと精密機器メーカーや食品工場がよく使っています。
DX型CO2削減の詳細もご覧ください。なおIT導入補助金2023の複数社連携型の
詳細も別途確認できますよ。
CO2削減とDXが組み合わさるとお得なんですね! 地域DX支援活動型というのは、企業が直接使える制度ですか?
これは少し特殊で、産業支援機関や金融機関、商工団体などが「コンソーシアム」を作って申請する制度なんです。補助率は10/10(全額補助)で最大3,000万円ですが、対象が個別企業ではなくて支援する側の機関。山梨県でも産業支援機構やよろず支援拠点がこういう体制構築の補助を受けて、企業へのDX支援をしている背景があります。
山梨県や市町村独自の補助金はどうですか? 県の「DX加速化支援事業」は今もやっていますか?
実は山梨県の中小企業等DX加速化支援事業は令和7年3月31日で一度終了していて、令和8年度の後継事業はまだ詳細が発表されていない状況です。ただ県としてDX支援を続ける方針は変わっていないので、情報が出次第チェックする価値はあります。
そうなんですね。じゃあ今使える山梨ならではの支援って何があるんですか?
いくつかあります。まず「やまなし産業支援機構(YISO)」の「ものづくり企業DX推進支援専門家派遣事業」。これはお金をもらうというより、DXの専門家が無料で会社に来てくれて、DX戦略の策定を一緒にやってくれる支援です。補助金の申請前にまず自社のDX課題を整理したい会社に最適ですよ。
あと「次世代技術活用支援事業」という助成事業もYISOが実施しています。AI・IoT・ロボットといった次世代技術を活用した新製品開発や事業化促進を支援する制度で、山梨県内の中小企業が対象です。ものづくり補助金と違って、まだ試作・開発段階の企業も対象になるのが特徴です。
そうです。開発段階ならYISOの助成、量産・導入フェーズになったらものづくり補助金かIT導入補助金、という流れで段階的に補助を活用するのがスマートですよ。それから山梨県は介護・福祉分野でも「テクノロジーを活用した業務効率化事業費補助金」というのがあって、介護ロボットやICT機器の導入を支援しています。
少子高齢化が進む山梨では介護人材不足が深刻なので、県が積極的に支援しています。介護事業所がICT機器を入れるときの費用を補助してもらえます。令和8年度も継続する方向で準備が進んでいます。
山梨ってワイン、宝飾、果樹農業など他県と違う産業がありますよね。それぞれのDXってどう考えればいいですか?
山梨の産業特性に合わせたDXの切り口を、業種別にざっと並べてみますね。
- ワイン・果樹農業: AIによる収穫時期予測、気象データ連動の品質管理、農業IoTセンサー → ものづくり補助金 デジタル枠
- 宝飾・貴石加工: CAD/CAMのAI連携、3Dプリンティング導入、受注管理のデジタル化 → ものづくり補助金 + IT導入補助金
- 観光・宿泊(富士山周辺): 予約管理AIシステム、多言語対応チャットボット、CRM導入 → IT導入補助金 AI枠
- 精密機器・電子部品: 生産ラインの自動化、AIによる検査システム、ERP導入 → ものづくり補助金 + 省力化大規模成長投資
- 介護・医療: 介護ロボット、ICT業務改善ツール → 県のテクノロジー活用補助金
業種によってこんなに違うんですね。ワイナリーがAIで収穫予測ってイメージしにくかったんですが、実際に事例はあるんですか?
山梨の勝沼エリアのワイナリーでも、気象データとブドウの糖度データを組み合わせてAIで収穫適期を予測する取り組みが始まっています。ざっくり言うと、これまで職人の経験と勘でやっていたことをデータで補えるようにする試みで、廃棄損失を年間数百万円単位で削減した事例もあります。IT導入補助金のAI枠で月額SaaSを2年分補助してもらえるので、初期投資を抑えながら始められますよ。
そういう使い方があるんですね! 宝飾はどうですか?
甲府市は宝飾・貴石加工の集積地として全国的に有名ですよね。オーダーメイドのアクセサリー受注が増えている一方で、設計から製造までのリードタイムが課題という事業者が多い。AI設計支援ツールや3DCADを導入することで、デザイン提案から試作品完成までの時間を劇的に短縮できます(笑)——実際に3週間から1週間に短縮した事例もあります。ものづくり補助金のデジタル枠で補助率2/3、上限1,250万円まで狙えます。
ものづくり補助金詳細ページでも最新の公募情報を確認できます。
一番よくある失敗が「GビズIDを事前に取っていない」ことです。ほとんどの補助金の電子申請にGビズIDが必要なのに、取得に2〜3週間かかる。申請締切直前に気づいて間に合わなかったというケースが毎年あります。
なのでDX投資を考えたらまずGビズIDを取得するのが鉄則です。法務局で登記されている代表者の方が申請すれば、中小企業であれば無料で取れます。次に大事なのが「加点項目の活用」です。ものづくり補助金だと「賃上げを明記している」「経営革新計画の承認を受けている」「パートナーシップ構築宣言をしている」といった要件を満たすと審査で有利になります。
あとDX系の補助金は「後払い」が基本です。お金を先に使って、事業が完了してから補助金が振り込まれる仕組みなので、初期の資金繰りを確保しておく必要があります。金融機関と連携して「補助金担保融資」みたいな形で資金手当てをしておくのが実務のコツですよ。
採択されても補助金が振り込まれるのは事業完了後なので、それまでの期間は自社資金か融資で回す必要があります。山梨県内の金融機関だと、補助金の採択通知を元に融資してくれるケースも多いので、メインバンクに相談してみてください。
- GビズID未取得のまま締切直前に気づく → 申請不能。必ず事前に取得
- 補助対象外経費を計上する → 審査で減点。対象経費の範囲を公募要領で必ず確認
- 採択後すぐに事業着手する → 交付決定前の着手は補助対象外になる
- 同一経費で複数補助金を申請する → 重複申請は禁止。経費が被らないよう計画
- 精算書類の準備が遅れる → 補助金受取が遅延。領収書等は取得時から保管
実際どこに相談すればいいですか? 山梨で補助金の相談先ってどこがいいですか?
まず一番使いやすいのが「山梨県よろず支援拠点」です。無料で何度でも相談でき、DX補助金の選び方から事業計画の書き方まで一緒に考えてくれます。やまなし産業支援機構内にあるので、補助金申請後のサポートにもつないでもらえます。
あとは商工会議所・商工会です。甲府商工会議所ならものづくり補助金やIT導入補助金の申請サポートをしていますし、電子申請のアカウント設定も手伝ってもらえます。さらに、山梨県内の主要金融機関(山梨中央銀行、山梨信用金庫など)は補助金に詳しい担当者を配置しているケースが多く、資金計画と合わせてアドバイスをもらえます。
- 山梨県よろず支援拠点: 無料・何度でも相談可。DX補助金の選び方から事業計画まで支援(やまなし産業支援機構内)
- 甲府商工会議所: ものづくり補助金・IT導入補助金の申請サポート、GビズID設定支援
- やまなし産業支援機構(YISO): 無料DX専門家派遣事業、次世代技術活用支援事業の相談窓口
- 山梨中央銀行・山梨信用金庫: 補助金採択通知を元にした資金調達・融資相談
GビズIDを取得する(2〜3週間かかるので早めに)
よろず支援拠点か商工会議所で自社に合った補助金を相談・特定
ここまで聞いて、かなり理解が深まりました。最後に山梨でDX補助金を使うならどう進めるか、まとめてもらえますか?
まとめると3点です。まず「自社がどのDXに投資したいか」を明確にすること。次に「国の大型補助金(ものづくり・IT導入)」と「山梨県・市町村の独自制度」の両方をチェックすること。そしてGビズIDの取得と相談窓口への早期訪問をセットで動かすことです。補助金は公募期間が決まっているので、「気づいたときがタイミング」ではなく「次の公募に向けて今から準備する」という意識が大事ですよ。山梨は産業の多様性があるだけに、業種に合ったDX投資を選べれば他県より有利に動ける場面も多いと思います。
室谷さん、ありがとうございました! 相談窓口に早めに行ってみます!