茨城県のDX補助金 主要制度比較
室谷さん、うちの会社も「DX」ってやらないとまずいかな、って社長が言い出して。でも正直、何から手をつければいいのかさっぱりで…。
ほんとに、「DX」って言葉ばかり先走って、何をすればいいか分からないってなりますよね。茨城の場合、まず自社が「何に困っているか」をはっきりさせることが出発点です。
受発注が紙でグチャグチャなのか、工場ラインが人手に頼りすぎているのか、社員がITスキルを持っていないのか、で使える補助金がまったく変わるんです。「DX補助金」という一つの制度があるわけじゃなくて、課題によって使う制度を選ぶ感じですね。
あ、そういうことか!一個でどうにかなるわけじゃないんですね。
そうなんですよ(笑)。茨城には製造業・物流倉庫業・農業法人まで幅広い業種があって、それぞれDXの課題が違います。製造ラインのIoT化をやりたい会社と、クラウド会計に切り替えたい小規模事業者では、使うべき補助金が全然違う。まず「何を導入するか」を決めてから補助金を探すのが最短ルートです。
なるほど、逆なんだ。補助金ありきで考えちゃいますよね普通。
そこが一番ハマりやすい落とし穴ですね。補助金は「あくまで投資の一部を返してくれるもの」で、自社にとって必要な投資かどうかの判断が先です。次のセクションで、茨城の事業者が実際に使っている主要制度を業種・目的別に整理しますね。
じゃあ、茨城で使える補助金ってどんな種類があるんですか?
大きく「全国共通制度」と「茨城県・市区町村の独自制度」の2層に分かれます。まずこの表で全体像をつかんでください。
| カテゴリ | 代表制度 | 補助上限 | 補助率 | 主な対象 |
|---|
| 全国・ITツール | デジタル化・AI導入補助金2026 | 450万円 | 最大3/4 | 全国中小企業 |
| 全国・設備+DX | 新事業進出・ものづくり補助金 | 最大9,000万円 | 1/2〜2/3 | 全国中小企業 |
| 全国・省力化 | 省力化投資補助金(カタログ型) | 最大1億円 | 1/2〜2/3 | 全国中小企業 |
| 全国・地域インフラ | 地域社会DX推進パッケージ | 上限なし | 1/2 | 地方公共団体・地域企業 |
| 全国・製造DX+GX | 5Gによる製造工場DX・GX推進 | 2億円 | 4/5 | 関東ものづくり中小企業 |
| 全国・モビリティ | モビリティDX無人自動運転支援 | 約23億円 | 定額 | 自動運転開発企業 |
| 茨城県独自 | デジタルスキル習得支援事業補助金 | 10万円 | 1/2 | 茨城県内中小企業 |
| 茨城県独自 | 公共交通DX・GX経営改善支援 | 2,500万円 | 1/2 | 鉄道・バス・タクシー事業者 |
| 水戸市 | 中小企業振興支援補助金(DXツール枠) | 100万円 | 1/2 | 水戸市内中小企業 |
種類が多いですね!全国制度と茨城独自制度、どっちを先に調べればいいですか?
補助額が大きいのは全国制度です。ただ採択競争も激しいので、茨城独自の制度も組み合わせるのがコツ。次から1つずつ詳しく見ていきましょう。
まず「デジタル化・AI導入補助金2026」というのが気になりました。IT導入補助金の新しい名前ですか?
そうです!令和7年度補正から名称が変わりました。中小企業のITツール・AI導入を支援する制度で、茨城の中小企業が一番よく使う補助金の一つですよ。
大きいのは2点。一つ目はAIツールが明確に対象になったこと。会計ソフトやクラウドERP、受発注システムだけじゃなく、AI搭載の業務支援ツールも補助の対象になりました。二つ目は枠の整理です。通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠など、申請目的に合わせた枠があって、自社の課題に合った枠を選ぶ形です。
通常枠だと最大150万円、補助率は50%前後ですね。インボイス対応が絡む場合はざっくり350万円まで補助率2/3〜3/4で使えます。茨城の食品加工業者や物流会社がクラウドの受発注システムを入れるときによく活用しています。
認定IT支援事業者(ベンダー)を通じての申請が必須です。まず「使いたいツールのベンダーが認定済みかどうか」を公式サイトで確認するのが最初のステップです。
デジタル化・AI導入補助金2026 チェックポイント
- 対象: 中小企業・小規模事業者(全国)
- 補助上限: 通常枠150万円〜インボイス枠350万円(複数者連携は3,000万円)
- 補助率: 50〜75%(枠・金額帯による)
- 必須: 認定IT支援事業者(ベンダー)経由の申請
- 茨城での活用例: クラウド受発注、AI搭載在庫管理、クラウド会計導入
- 詳細はデジタル化・AI導入補助金の公式ページで確認してください。
機械設備とシステムを一体で導入するケースに向いています。たとえばIoTセンサー付きのプレス機を入れて生産データをリアルタイム管理するとか、AIで品質検査を自動化するシステムを導入するとか。
つまりソフトだけじゃなくてハードも一緒に導入するとき?
まさに。ソフトウェアだけならIT導入補助金、設備と一体ならものづくり補助金、という使い分けが基本です。茨城だと日立製作所や東芝のサプライヤーとして部品を作っている中小メーカーが、親会社からのデジタル連携要求に応えるためにこの補助金を使うケースが多いですね。
事業計画書の審査があって採択競争が激しいので、書き方次第で合否が大きく変わります。茨城では「茨城県商工会議所連合会」や「よろず支援拠点いばらき」で書き方のサポートを受けられるので、ここに早めに相談するのがコツです。
ちなみに2026年度から名前が変わったって聞きましたが?
「新事業進出・ものづくり補助金」という名称になって、旧ものづくり補助金と旧新事業進出補助金が統合されています。補助上限も大きくなっている部分があるので、最新の公募情報を確認してください。
茨城の物流倉庫業ってかなり多いですよね。そういう会社向けの制度ってありますか?
ありますよ!省力化投資補助金(カタログ型)が使えます。AGV(無人搬送車)・自動仕分けシステム・WMS(倉庫管理システム)と連動するロボット導入が補助対象になります。
あらかじめ補助金事務局が承認した製品・システムのリスト(カタログ)から選ぶ方式なんです。「このロボット買えばOK」みたいな感じで手続きが比較的シンプルです。一般型の最大補助額はざっくり1億円(賃上げ達成時)、補助率は小規模事業者2/3・中小企業1/2です。
ただ選べる製品がカタログに限られるので、「この特定のシステムを入れたい」という場合は一般型の方がいいかもしれません。茨城の物流企業が使うケースでは、北関東自動車道・常磐道沿いの大型物流倉庫での自動仕分け導入が多いですね。
茨城県DXの補助金申請ステップ
茨城県オリジナルの補助金って、どんなのがありますか?
面白いのが「デジタルスキル習得支援事業補助金」ですね。従業員のデジタルスキルを上げるための研修費を補助してくれる制度で、茨城県がDX担当者の育成を直接支援しています。
そうなんです。補助上限は10万円と小さいですが、補助率は1/2なのでざっくり研修費の半分が返ってきます。AWS・Azureのクラウド資格取得、ITパスポート・基本情報技術者の取得、RPA・AIツール活用研修などが対象です。
研修を受け始める21日前までに申請が必要という点に注意してください。「研修が終わってから申請」は認められません。あと「いばらきDX推進宣言」を事前にしていることが条件です。これはオンラインで数分で登録できます。
県のDX推進ラボのサイトで「うちの会社もDXに取り組みます」と宣言する仕組みです。宣言することで県のサポートが受けやすくなる効果もあるので、まずこれをやっておくのがおすすめです。茨城県の商工労働部のページから手続きできます。
- 申請は研修開始の21日前までに必須(後から申請不可)
- 交付決定日以降に受講した研修のみ対象(決定前に受講したものは対象外)
- いばらきDX推進宣言の登録が申請要件
- 令和9年(2027年)2月28日までに受講完了が条件(公式: 「令和9年2月28日 までに受講(支払い含む)が完了するものが対象となります」)
交通系の事業者向けに特化した制度があります。「公共交通DX・GXによる経営改善支援事業」で、鉄道・バス・タクシー事業者がDXシステム導入で業務効率化する費用を補助します。
関東鉄道・鹿島臨海鉄道・ひたちなか海浜鉄道といった県内鉄道事業者が対象で、1社あたり上限2,500万円・補助率1/2。乗合バス事業者は上限1,500万円・補助率1/2、タクシーは1台あたり上限6万円・補助率1/2です。
電子決済システムやデジタル運行管理ツールの導入費が補助対象です。ドライバー不足が深刻な茨城の交通事業者にとって、DXで業務効率を上げるのは経営課題の一つなので、積極的に活用してほしい制度ですね。
あります。水戸市の「中小企業振興支援補助金」にデジタルツール導入枠があって、これが茨城の市区町村の中では使い勝手がいい制度の一つです。
補助上限100万円・補助率1/2で、労働力の省力化または生産性向上を目的としたデジタルツール導入が対象です。「導入費」が対象なので、ライセンス料など継続費用は対象外という点に注意が必要です。
審査が比較的シンプルで、水戸市内の事業者なら申請しやすいです。国の補助金と重複して使うことも条件次第で可能なので、まず水戸市に相談してみるのがおすすめ。ただ受付件数が決まっているので、早めの申請が大事ですね。詳細は
水戸市の公式ページをご覧ください。
先端的なDX補助金ってありますか?うちの会社は物流なんですけど、自動運転とかドローンに興味があって。
マジですか!それなら「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援補助金」は要チェックです。物流倉庫内の自動搬送や公道での無人配送ロボット開発が対象で、最大約23億円という規模の大型補助金です。
スタートアップ・中小企業は補助率2/3、大企業1/3ですね。茨城だとつくばエクスプレス沿線や常陸那珂港周辺が実証フィールドとして注目されていて、「茨城でやります」という計画は採択に有利に働く場合があります。詳細は
モビリティDX無人自動運転支援補助金のページをご覧ください。
北関東自動車道・常磐道が交わる物流拠点というのと、つくばの研究機関が近いというのが強みです。IITCや関東経済産業局で実証事業への参加可否を相談できるので、物流・自動運転に興味のある会社は早めにアクセスしてほしいですね。
企業単体じゃなくて、自治体と連携するとお得になる制度ってありますか?
あります!「地域社会DX推進パッケージ事業」は、地方公共団体と連携してデジタルインフラを整備する補助金で、補助率1/2と手厚い内容です。
無線ネットワーク(ローカル5G・Wi-Fiなど)とカメラ・センサーを組み合わせたシステムの整備が対象です。たとえば茨城の農業法人が市町村と連携してスマート農業向けのIoTネットワークを構築するとか、港湾施設でデジタル保安システムを入れるとか。
農業法人も使えるんですか。茨城って農業が盛んですもんね。
ものづくりや物流じゃなくて、建設業のDXって何か補助があるんですか?
ありますよ!国土交通省の「建築GX・DX推進事業」が建設業向けのDX補助金として機能しています。BIM(Building Information Modeling)というデジタル設計ツールの導入が主な対象です。
建物の設計図をデジタルで3D管理して、設計・施工・維持管理のデータを一元化するシステムです。茨城の建設会社が水戸市の公共工事や筑波の大型施設建設で使うケースが増えています。
補助率・上限額は応募内容によって変わりますが、LCA(ライフサイクルアセスメント)とBIM導入を組み合わせた建築プロジェクトが対象です。GX(脱炭素)とDX(デジタル化)を一体で進めるのが条件なので、CO2削減計画とセットで検討するといいですね。詳細は
建築GX・DX推進事業のページをご覧ください。
補助金の種類は分かったんですけど、どこに相談すればいいかが分からないんですよね。
茨城でよく使われる相談先は3つあります。使い分けを知っておくと最初の一歩が楽になります。
| 窓口 | 所在地 | 得意な相談 |
|---|
| よろず支援拠点いばらき(水戸本部) | 茨城県産業会館9F | DX課題の整理、補助金の組み合わせ提案、初歩的な相談 |
| よろず支援拠点いばらき(つくば事務所) | つくば市 | 研究開発系・IT・スタートアップ向け |
| IITC(茨城県産業技術イノベーションセンター) | 茨城県内 | 製造業・素材分野の技術相談、IoT実現可能性の検討 |
| 関東経済産業局 | さいたま市(管轄) | ものづくり補助金・IT導入補助金の公募情報・制度解釈確認 |
- よろず支援拠点いばらき(水戸本部・つくば事務所): 無料相談、DX課題の整理から補助金の組み合わせ提案まで対応。「何から始めればいい?」という段階から歓迎
- IITC(茨城県産業技術イノベーションセンター): 製造業のIoT化・技術的課題の整理に特化。ものづくり補助金申請の前に相談すると書類の質が上がる
- 関東経済産業局: 国の補助金(ものづくり・IT導入補助金等)の制度解釈・公募情報の確認に活用
最初に「何から始めればいいか分からない」という段階なら、どこに行けばいいですか?
まずよろず支援拠点いばらきです。無料で相談できて、「DXで何をすべきか整理したい」という段階からOKです。水戸本部とつくば事務所の2拠点体制なので、どちらか近い方に行ってください。
製造業で「IoT化を考えているけど技術的に実現できるかわからない」という段階で使うのが向いています。補助金申請書に書く「技術的課題」の整理にも協力してくれるので、ものづくり補助金を申請する前に相談しておくと書類の質が上がります。
よろず支援拠点いばらきに連絡し、課題を整理してもらう
自社に合った補助金の種類を決める(IT導入/ものづくり/茨城独自)
認定支援機関・ベンダーと組んで事業計画・申請書類を作成
GビズIDを事前に取得する(申請に必要、発行まで2〜3週間かかる)
採択発表後、交付決定を待ってから事業・設備導入を開始する
- 交付決定前に設備を発注・購入する(補助対象外になる)
- 認定ベンダーを通さずIT導入補助金を申請しようとする
- 研修開始後にデジタルスキル補助金を申請しようとする(21日前が締切)
- GビズID未取得のまま申請直前に焦る
これだけ制度があると、どれを選べばいいか迷いますよね。業種や規模で絞り込めますか?
| 状況 | 向いている補助金 |
|---|
| クラウドツール・AI導入がしたい(ソフト中心) | デジタル化・AI導入補助金2026 |
| 製造設備+システムを一体で導入したい | 新事業進出・ものづくり補助金 |
| 倉庫にロボット・AGVを入れて人手不足を解消したい | 省力化投資補助金(カタログ型) |
| 社員にDX研修を受けさせたい(茨城県内) | デジタルスキル習得支援事業補助金 |
| 自動運転・ドローン配送の開発をしたい | モビリティDX無人自動運転支援補助金 |
| 水戸市内でデジタルツールを導入したい | 水戸市中小企業振興支援補助金 |
| 自治体と連携してデジタルインフラ整備をしたい | 地域社会DX推進パッケージ |
| 鉄道・バス・タクシー事業者でシステム導入したい | 公共交通DX・GX経営改善支援 |
できます!たとえば「デジタルスキル習得補助金で社員を育成しながら、ものづくり補助金でIoT設備を入れる」という組み合わせは全然ありです。ただし同じ経費を二重に申請することはNGなので、それだけ注意してください。
なるほど。次は実際の申請でつまずかないようにしたいんですが、何かコツはありますか?
補助金申請って、難しそうで怖いんですよね。落ちるのも怖いし。
採択率を上げるために一番大事なのは「加点項目の活用」です。特にものづくり補助金は賃上げ計画や特定業種(連携・海外展開等)への加点があって、これを理解してから計画を書くと採択率がグッと上がります。
あと「GビズID」を申請前に取得しておくのは絶対に忘れないでください。ほぼすべての国の補助金申請に必要で、取得まで2〜3週間かかるので、申請を思い立ったら即手続きです。
よく「採択後に注意が必要」っていう話も聞くんですが。
これが盲点で、補助金のほとんどは後払いが基本なんです。いったん自己資金で全額支払ってから、実績報告を出して審査が通って初めてお金が戻ってくる。数百万円を立て替える資金繰りの計画を最初に立てておかないと、採択されたのに現金が足りなくてピンチになる会社があります。
日本政策金融公庫の「補助金つなぎ融資」を活用するのが実務的な解決策です。補助金採択実績を担保に融資を受けて、補助金が下りたら返済する形です。茨城の事業者なら公庫の水戸支店・土浦支店・日立支店に相談できます。よろず支援拠点いばらきでも紹介してもらえます。
今日の話をまとめると、まず「何を導入するか決める」→「窓口に相談する」→「GビズIDを取る」→「申請する」という流れですか?
ざっとその流れで正しいです。ただ一つ付け加えると、「DX」に取り組むこと自体が目的じゃなくて、「現場の課題を解決すること」が目的だということは常に意識してほしい。補助金はあくまで投資コストを下げるための手段です。
そうですよね。システム入れたけど誰も使ってない、ってなったら意味ないですし。
そうなんですよ(笑)。導入したITツールを社員が使いこなせる体制を作ることも含めて「DX」だと思うといいです。そこまで見据えた計画を作ると、採択されやすい事業計画になりますし、実際の効果も出やすい。
今日はありがとうございました!これで社長にも説明できそうです。
茨城でDXを考えているなら、まずよろず支援拠点いばらきへの一本の電話から始めてみてください。補助金の可能性を無料でざっくり整理してもらえますよ。頑張ってください!