室谷さん、今日は「特許調査費用助成事業」というのを教えてほしいんですけど、これって何ですか?
東京都の中小企業振興公社(TOKYO IP)がやってる知財支援制度ですね。簡単に言うと、他社の特許を調べる費用の半分を、最大100万円まで助成してくれる制度です。
特許を「出願する」費用じゃなくて、「調べる」費用なんですね!
そうそう。「自社の技術が他社の特許と被ってないか」「競合はどんな特許を持ってるか」そういう調査を専門の調査会社に頼む費用を助成してくれるんです。
なるほど!でも、なんでそんな費用を助成してくれるんですか?
特許調査って、実は中小企業にとってめちゃくちゃ大事なんですよ。調査しないで製品開発を進めてしまって、後から「他社の特許を侵害してた!」なんてことが発覚したら、製品の販売停止や多額の賠償金につながりかねない。東京都はそのリスクを未然に防いでほしいから支援してるわけです。
えっ、そんな怖いことが起きるんですか。それは確かに調べておいたほうがいいですね!
特許調査費用助成事業 助成内容まとめ
助成率は対象経費の1/2以内、助成限度額は100万円です。つまり、200万円分の特許調査を依頼したとすると、100万円が助成されて、自己負担は100万円で済む計算になります。
200万円の調査を100万円で!それはかなり助かりますね。
しかも1年6か月分の調査期間をカバーしてくれます。令和8年4月1日から令和9年9月30日までが助成対象期間なので、じっくり継続的な調査もできますよ。
随時受け付けてるんですが、最終受付期限は令和8年10月1日の17時までです。予算がなくなった時点で終了になるので、早めに動いたほうがいいですよ。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成率 | 対象経費の1/2以内 |
| 助成限度額 | 100万円 |
| 助成対象期間 | 令和8年4月1日〜令和9年9月30日(1年6か月) |
| 申請受付期間 | 随時(最終受付期限 令和8年10月1日 17時まで) |
| 申請制限 | 1年度1社1案件 |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター |
同じ会社が1年度内に複数の案件でこの助成金を使えないということです。だから、一番インパクトの大きい調査案件を選んで申請する、という戦略が大事になります!
なるほど、使うなら一番重要な案件に絞るべきなんですね。では、そもそもどんな会社が申請できるんですか?
まず一つ目が東京都内に主たる事業所を有していること。都内で事業を営む中小企業者(会社及び個人事業者)、中小企業団体、一般社団法人・一般財団法人が対象です。
東京都外に本社があっても、都内に事業所があればOKですか?
主たる事業所が都内にあればOKです。二つ目の条件が優れた技術・製品を保有していること。三つ目が明確な事業戦略を持っていることです。
「明確な事業戦略」ってちょっと抽象的じゃないですか?どう証明するんでしょう?
実はここが申請書で一番重要なポイントなんです。「念のため調べたい」ではなく、「この新製品の市場投入前に侵害リスクを排除する」「この技術の特許性を確認して出願戦略を決める」みたいに、特許調査の目的と事業目標を具体的に結びつけて説明できるかが鍵になります。
ただの情報収集じゃダメで、事業戦略に直結してることを示す必要があるんですね。
そうです。それと大事な点がもう一つ。申請前に必ずTOKYO IPで知財相談を受けている必要があります。これが申請要件になってるので、先に相談せずに申請しようとしても受け付けてもらえません。
申請日以前に、申請内容に関する知財相談をTOKYO IP(東京都知的財産総合センター)で受けていることが申請要件です。相談なしで申請しても受理されません。まず知財相談の予約から始めましょう。
話は変わって、具体的にどんな調査費用が対象になるんですか?
民間調査会社や特許事務所に委託する特許調査が対象ですね。大きく4種類あります。
まず「先行技術調査(特許性調査)」。これは自社技術の特許出願前に、同じような技術がすでに特許化されていないかを確認する調査です。出願しても拒絶されるリスクを事前に下げられます。
次が「クリアランス調査(侵害防止調査)」。新製品の製造・販売前に、他社の特許権を侵害していないかを確認する調査です。これをやらないで製品を出してしまうと、後で訴訟リスクが生まれます。
これが一番怖いパターンですよね。製品出してから「侵害してた!」ってなるの。
そうなんです!!それから「無効資料調査」。他社から特許侵害を主張された場合に、その特許の有効性を崩す先行技術を探す調査ですね。最後が「特許マップ調査」。特定の技術分野における特許動向を俯瞰的に把握して、研究開発の方向性を決めるのに使います。
加えて「継続的なウォッチング費用」や「特許出願戦略策定費用」も対象になります。かなり広い範囲をカバーしてますよ。
| 対象経費カテゴリ | 具体的な内容 |
|---|
| 特許調査委託費 | 先行技術調査・クリアランス調査・無効資料調査・特許マップ作成 |
| 弁理士・専門家費用 | 弁理士への調査依頼費用・技術専門家による分析費用 |
| データベース利用費 | 有料特許データベース利用費・海外特許データベース検索費用 |
| 開発戦略策定費用 | 特許調査結果を踏まえた開発戦略の策定費用 |
逆に、対象にならない費用はどんなものがありますか?
注意してほしいのが、特許の出願や登録にかかる費用は対象外なんです。出願料や審査請求料は別制度を使う必要があります。あとは自社社員が行う社内調査の人件費、消費税、他の助成金で支援を受けている経費も対象外です。
- 特許出願・登録に係る費用(出願料、審査請求料)
- 自社社員が行う社内調査の人件費
- 消費税及び地方消費税
- 他の助成金で支援を受けている経費
- 特許訴訟に係る弁護士費用
つまり外部の専門家に調査を委託する費用がメインの対象なんですね。では次は申請の手続きを教えてもらえますか?
特許調査費用助成事業 申請フロー
申請手続き、ちょっと特殊なポイントがあるので順番に説明しますね。
TOKYO IPに知財相談を予約・実施(申請の必須要件。電話またはウェブ予約)
GビズIDプライムアカウントを発行(jGrants利用に必要。発行に約2〜3週間かかる)
民間調査会社・特許事務所を選定し、調査内容と費用の見積を取得する
申請書類を作成(募集要項から書式をダウンロードし、調査目的・事業戦略との関連を記載)
jGrants「特許調査費用助成事業 交付申請フォーム」から電子申請
申請書類一式を簡易書留・レターパック等で郵送(持参・普通郵便・FAX・メール不可)
交付決定後、民間調査会社に正式委託して調査を実施する
電子申請と書類郵送、両方やらないといけないんですね!
そうなんです。これが落とし穴で、jGrantsでの電子申請と書類の郵送、両方を期限内に完了しないと申請が受理されません。どちらか片方だけでは不可。
GビズIDの取得に2〜3週間かかるのも要注意です。申請期限ギリギリで動き出すとGビズIDが間に合わない可能性があります。早めに動き出すのが鉄則ですね!
- GビズIDプライムアカウントを発行しているか(発行に2〜3週間)
- TOKYO IPで知財相談を受けているか(申請要件)
- 電子申請(jGrants)と書類郵送の両方を期限内に完了できるか
- 1年度内に同制度を既に利用していないか(1年度1社1案件)
せっかく申請するなら採択されたいですよね。審査で評価されるポイントを教えてください!
一番重要なのが「事業戦略と調査の関連性」をいかに具体的に説明できるかです。申請書で「なぜこの特許調査が必要なのか」を単なる説明ではなく、ビジネス上の必要性として明確に示すことが大事です。
例えば「この新製品Aを2026年10月に市場投入予定で、その前に競合他社の特許との抵触リスクを排除したい」「技術Bの特許性が確認できれば、2027年度に特許出願して競争優位を確立する計画がある」みたいに、時期・対象技術・活用方針を具体的に書くのが効果的です。
なるほど、数字や日程を入れて具体性を出すんですね!
二つ目のポイントが調査範囲の適切な設定です。「国内特許のみ」か「海外含む」か、技術分野の範囲をどこまで設定するかで費用が大きく変わります。100万円の上限を意識しながら、実際の事業ニーズに合った範囲を設定することが大切です。
広すぎても予算オーバーになりますし、狭すぎると重要な特許を見逃すリスクがありますよね。
まさに!そこはTOKYO IPの事前相談で専門家にアドバイスしてもらうのが一番確実です。三つ目のポイントが専門性の高い調査機関の選定。自社の技術分野に精通した調査会社を選ぶことで、調査の質が上がります。TOKYO IPから適切な調査機関の情報を提供してもらうこともできますよ。
- 事業戦略との関連性: 「なぜ今この調査が必要か」を時期・対象技術・活用方針を含めて具体的に説明する
- 適切な調査範囲: 100万円の上限枠を意識しながら、必要十分な調査範囲を設定する(TOKYO IP相談が有効)
- 調査機関の専門性: 自社技術分野に精通した調査会社を選び、調査品質を高める
ありますよ!!TOKYO IPが実施している知財系助成金と組み合わせると、特許調査→出願→侵害調査というサイクルを効率よくカバーできます。
まず、特許調査で自社技術の特許性が確認できたら、次は出願のサポートを使えます。
外国著作権登録費用助成事業は著作権の海外登録費用を助成してくれる制度です。
特許調査で「うちの技術、特許取れそう!」となったら次のステップで使えますね。
そして、調査の結果として競合他社の特許が海外でどこまで侵害に該当するか調べたい場合は、
外国侵害調査費用助成事業という制度があります。海外での侵害実態をさらに詳しく調査するための費用を助成してくれます。
これだけ揃えると、かなり本格的に知財戦略を展開できますね!でも同一年度に複数申請できるんですか?
同一案件で重複がなければ複数制度の活用は可能ですが、TOKYO IPに事前に確認するのが確実です。知財戦略全体を見据えて、どの制度をどの順番で使うかを相談してみてください。
どんな場面で使えるか、具体的なイメージが欲しいんですけど。
じゃあ業種ごとに典型的なシーンを紹介しますね。まず製造業の開発責任者の場合。新しいIoTセンサーを開発してるとして、競合他社がどんな特許を持ってるか把握できていない。そこでクリアランス調査を専門の特許調査会社に依頼して、製品リリース前に侵害リスクを徹底的に洗い出すわけです。
設計変更で回避できる場合は開発段階で対処できますし、回避が難しい場合はライセンス交渉という選択肢も出てきます。いずれにせよ、リリース後に発覚するよりはるかにコストが低いんですよ!!
確かに。IT系のスタートアップだったらどうですか?
スタートアップのCTOが独自のAIアルゴリズムを開発して、特許出願を検討してるとします。AI分野って今、特許出願が急増してるので、自社技術の新規性を客観的に評価できていないケースが多い。そこで先行技術調査を専門機関に依頼して、自社技術の特許性と出願戦略を検討するわけです。
出願してから拒絶されるより、事前に調べておいたほうがコスパいいですよね。
そうです!!特許庁への出願費用(審査請求まで含めると数十万円)を無駄にしないためにも、事前調査は重要です。あと化学・素材メーカーの知財担当の場合だと、海外展開に向けて競合の技術開発動向を把握したいというニーズがありますね。国内外の特許マップを調査会社に作成してもらって、競合が手薄な技術領域を特定し、研究開発の方向性を策定する、という使い方が典型的です。
特定の技術分野の特許情報を一覧化・可視化したものです。どの企業がどんな技術の特許を持っているか、出願件数の推移、空白領域(まだ特許が取られていない技術分野)はどこか、といった情報が一目でわかります。研究開発の道しるべになるんですよ。
特許情報は「競合の開発戦略が透けて見える窓」と言われるくらい情報量が豊富なんです。中小企業でもこういう調査ツールを活用して、大企業と戦える知財戦略を立てていくことが重要になってきてますね。
申請前に必須の知財相談、うまく活用するコツはありますか?
めちゃくちゃ重要な話なので詳しく解説しますね。TOKYO IPの知財相談は申請要件を満たすためだけじゃなく、申請書の質を上げるための絶好の機会なんです。
相談の場でできることがたくさんあります。まず自社が申請要件を満たしているかの確認。次に、どんな調査を依頼すればいいかのアドバイス。さらに、信頼できる調査機関の紹介も受けられます。そして申請書の「事業戦略との関連性」の書き方についても具体的なアドバイスがもらえます。
東京都知的財産総合センターは公益財団法人が運営してるので、無料で専門家(弁理士や知財の専門家)に相談できます。ここで相談してから申請書を書くかどうかで、採択率がかなり変わってくると思いますよ。
持っていくと相談が深まるものとして3つあります。自社の技術・製品の概要資料、特許調査したい具体的な技術テーマの整理メモ、そして事業計画や開発ロードマップがわかる資料です。漠然と「特許調査したい」ではなく、「この技術についてこういう目的でこの範囲を調べたい」と具体的に話せると、相談の質が上がります。
- 自社技術・製品の概要資料: 技術の特徴、競合との差別化ポイントがわかるもの
- 調査したい技術テーマのメモ: 何の特許を、何のために調べたいか
- 事業計画・開発ロードマップ: 特許調査結果をどう活かすかが説明できるもの
- 会社概要・登記簿謄本など: 中小企業要件の確認に使われる場合あり
準備をしっかりして相談に行くほど、有益な情報が得られるんですね。では申請書類の作成に進みますが、注意点はありますか?
申請書で絶対に押さえてほしいのが「調査結果の活用方針」を必ず書くことです。特許出願に向けた検討、設計変更の計画、海外展開への活用など、調査後のアクションプランを具体的に記載することで、「この調査が事業成長に直結する」という印象を審査員に与えられます。
気になる疑問をまとめて聞かせてください!まず、自社社員がJ-PlatPatで調べる費用も対象になりますか?
それは対象外です。外部の民間調査会社や特許事務所に委託する費用が対象であって、社内調査の人件費や自社で使うデータベース費用は対象外になります。
じゃあ、海外の特許を調べる費用は対象になりますか?
はい、海外特許の調査も対象です!!海外展開を視野に入れたクリアランス調査や先行技術調査は、事業戦略との関連性が明確であれば助成の対象になります。ただし100万円の上限内に収まるよう調査範囲を設定する必要があります。
IT系の会社でもソフトウェア特許の調査に使えますか?
もちろんです!AIアルゴリズム、ビジネスモデル特許、UI/UXに関する特許など、ソフトウェア技術に関する先行技術調査もしっかり対象になります。IT企業やスタートアップにも積極的に活用してほしい制度ですよ。
調査の結果、特許出願を断念することになった場合でも助成金は受け取れますか?
受け取れます!!特許調査は「出願の可否を判断するプロセス」自体が目的なので、「出願しない」という判断も立派な成果です。むしろ、出願しても拒絶リスクが高い技術に出願費用をかけずに済んだ、という意味でも調査の価値があったと言えます。
それは合理的な考え方ですね。最後に、申請書で一番重要なポイントをもう一度教えてください。
やっぱり「なぜ今この調査が必要なのか、結果をどう事業に活かすのか」を具体的に書くことです。事業計画と調査の必要性を結びつけた説得力ある説明が、採択を左右します。TOKYO IPの事前相談でこの点をしっかり固めてから申請書を書くのが一番の近道です!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度特許調査費用助成事業 |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター(TOKYO IP) |
| 対象 | 東京都内に主たる事業所を有する中小企業者等 |
| 助成率 | 対象経費の1/2以内 |
| 助成限度額 | 100万円 |
| 対象期間 | 令和8年4月1日〜令和9年9月30日 |
| 申請期限 | 令和8年10月1日 17時まで(随時受付) |
| 申請方法 | jGrantsでの電子申請+書類郵送(両方必須) |
| 所在地 | 東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階 |
| 電話 | TEL 03-3832-3656 |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社 特許調査費用助成事業 |
| jGrants | jGrants 申請フォーム |
東京都内の中小企業で技術開発をやってる会社なら、ぜひ使ってほしい制度ですね。
まず東京都内の方は
東京都の補助金一覧もチェックしてみてください。知財系だけでなく、開発費・設備投資・人材育成など多岐にわたる支援制度が見つかりますよ!
- 窓口: 公益財団法人 東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター(TOKYO IP)
- 所在地: 東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階
- 電話: 03-3832-3656
- 公式サイト: 特許調査費用助成事業
- jGrants: 交付申請フォーム