室谷さん、「外国意匠出願費用助成事業」って聞いたことありますか?東京都中小企業振興公社がやってる制度らしいんですけど。
ありますよ!(笑)東京都内の中小企業が海外で意匠権を取るときの費用を半額助成してくれる制度ですね。令和8年度版が現在公募中です。
えっ、半額!?それは大きいですね。意匠権って具体的にどんな権利ですか?
意匠権っていうのは、製品の「外観デザイン」を保護する知的財産権のことです。たとえば、家具のカタチや電化製品の形状、パッケージのデザインなんかが対象になります。日本では「意匠登録」と呼ばれていますが、海外でも同じ製品を売るときは各国でそれぞれ出願しないと保護されないんですよ。
そうか、日本で登録してても海外では効かないんですね。それは知らなかった!
そうなんです。アジアの新興国市場とかだと特に模倣品リスクが高くて、意匠権を取っておかないと自分のデザインをコピーされても手が打てないという状況になりがちです。この助成金は、そういう「コストが高くて踏み出せない」企業の背中を押してくれる制度なんですよ。
なるほど!では、もう少し具体的な内容を教えてもらえますか?補助額とか補助率とか。
東京都 知財4制度 比較表
まず基本的なスペックを整理しますと、助成率は費用の1/2以内(半額)、助成限度額は60万円です。つまり120万円かかる出願費用があれば、そのうち60万円を助成してもらえるということです。
ざっくり60万くらい出してくれるわけですね。海外の弁理士費用って高そうなので、かなり助かりそう!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成率 | 費用の1/2以内 |
| 助成限度額 | 60万円 |
| 助成対象期間 | 令和8年4月1日〜令和9年9月30日(1年6か月) |
| 申請制限 | 1年度につき1社1意匠まで |
助成対象期間が1年6か月と長めなのもポイントです。海外の意匠出願って審査に時間がかかるケースが多いんですよ。国によっては1年以上かかることもあって、その間の費用も助成対象に含まれるので余裕を持って手続きが進められます。
1年6か月も対象期間があるんですね!それなら安心ですね。制限は1年度1社1意匠ということは、複数の国に出すのも1回しか使えない?
そうです。1年度につき1社1意匠という制限があります。ただし、1つの意匠出願で複数国への出願費用をまとめて申請することは可能です。たとえば米国・EU・中国の3か国に同時出願する費用をまとめて1回の申請として出すことができます。
なるほど!ハーグ制度で複数国にまとめて出願するのもOKですか?
ハーグ制度——WIPOを通じて複数国に一括で意匠出願できる制度——も対象となる可能性が高いです。ただし具体的な適用については事前に東京都知的財産総合センターに確認することをおすすめします。
じゃあ実際に誰が使えるんですか?申請できる対象ってどんな企業ですか?
対象は東京都内に本店を有する中小企業者です。会社と個人事業者の両方が対象になります。中小企業団体や一般社団法人・財団法人も申請できます。
「本店を有する」というのが大事なんですね。支店が東京にあるだけじゃダメ?
そうです。本店が東京都内にあることが条件です。支店や営業所だけが都内にあるケースは対象外になるので注意してください。
これは重要なポイントですね!中小企業の定義ってどんな感じですか?
業種によって異なります。わかりやすく一覧にしますね。
| 業種 | 資本金の上限 | 従業員の上限 |
|---|
| 製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
ありがとうございます。資本金か従業員数のどちらかが基準を満たせばOKということですね。あと申請できる「意匠」ってどんなものが対象になりますか?
「創造性または審美性のある意匠を有する優れた商品」が条件です。製品の見た目・デザインに独自性があることが求められます。ざっくり言うと、「一目見てこれは他と違う!」と感じさせるようなデザインがある製品ですね。
それって審査があるということですよね。どんな点が評価されるんですか?
意匠の独自性・創造性がどれだけ高いか、そしてその意匠を海外でビジネスに活用する計画が具体的かどうかです。「海外に出展予定がある」「輸出の実績がある」など、海外展開の根拠を具体的に示せると審査で有利になりますね。次の対象経費のセクションで費用の内訳を詳しく見ていきましょう。
| 経費区分 | 具体的な内容 |
|---|
| 外国出願手数料 | 各国特許庁への意匠出願手数料、ハーグ制度の国際出願手数料 |
| 代理人費用 | 国内弁理士の出願代理費用、現地代理人(外国弁理士)の費用 |
| 翻訳料 | 出願書類の翻訳費用、意匠説明文の翻訳費用 |
| 先行意匠調査費用 | 先行意匠調査費用、出願先国の意匠制度調査費用 |
翻訳料も入るんですね!弁理士費用だけじゃなくて翻訳費用まで対象になるのはありがたいです。
海外出願の場合、翻訳料がかなり大きな割合を占めることが多いんですよ。英語はもちろん、中国語や韓国語、ドイツ語など現地語への翻訳が必要になりますから。それが助成対象に入っているのは非常に実用的です。
- 国内での意匠出願に係る費用
- 意匠のデザイン制作・試作に係る費用
- 出願に直接関係のないコンサルティング費用
- 交通費・通信費等の間接経費
- 助成対象期間(令和8年4月1日〜令和9年9月30日)外に発生した費用
- 既に他の公的助成を受けている同一経費
「試作費用」は含まれないんですね。意匠そのものの制作費は自己負担ということか。あくまでも出願にかかるコストだけが対象なんですね。
そうです。あくまでも「海外への出願手続きに要する費用」が対象です。出願する意匠自体はすでに持っていることが前提になります。経費の話が出たので、次は申請の具体的な流れを確認していきましょう。
外国意匠出願 申請フロー
申請はどうやって進めるんですか?jGrantsって書いてありましたが。
申請にはjGrantsでの電子申請と書類の郵送提出の両方が必要です。どちらか一方だけでは受理されないので注意してください。
2つの手続きが必要なんですね。順番を教えてもらえますか?
「持参・普通郵便・FAXは不可」というのは厳しいですね!記録が残る方法でないとダメなんですね。
そうです。書類に不備があると修正を求められることがあります。修正期限を過ぎると審査不通過になる可能性があるので、提出前に必ずコピーを取っておくことも大事です。
気をつけます!GビズIDって2〜3週間かかるんですね。それが一番の落とし穴になりそうです。
まさにそこが一番多いトラブルです。「申請期間になってから取ろうと思っていたら間に合わなかった」というケースが毎年出ます。今すぐGビズIDの取得手続きを始めることが第一ステップです。
採択されるためにはどんなことが大事ですか?審査のポイントを教えてください。
1: 意匠の「創造性・審美性」を具体的にアピールする
どのような点で独自性があるのか、市場での差別化要素は何かを具体的に説明できるように準備しましょう。デザイン賞の受賞歴、展示会での反響、メディア掲載実績などの客観的根拠があると説得力が増します。
2: 海外展開の具体的な計画を示す
「いつ、どの国に、どう売るか」が明確なほど高評価です。すでに輸出実績がある、海外展示会への出展が決まっている、現地の販売パートナーがいるなど、具体的な情報を添えましょう。
3: 戦略的な出願先の選定
全世界への出願は不要です。自社製品の主要輸出先・模倣品リスクの高い国を優先して選定し、60万円の助成上限を考慮した費用対効果の高い戦略を弁理士と設計してください。
なるほど!「意匠の独自性」と「海外展開計画」の両方が大事なんですね。
そうです。海外展開計画については、「検討中」より「具体的にこういう販路がある」という方が当然強いです。まだ具体的でない場合は、東京都知的財産総合センターで事前相談を受け付けているので、申請前に相談することをおすすめします。
事前相談もできるんですね!それは使った方がいい気がします。
ぜひ使ってください!知財センターは海外出願の専門家も在籍していて、弁理士の紹介なんかもしてくれます。無料ですし、申請前に相談するだけで書類の質が格段に上がりますよ(笑)
無料で相談できるなら絶対使いますね!ところで、どの国への出願が多いんですか?
業種によって異なりますが、製造業の場合は中国・米国・EU(欧州連合)が三大重点市場ですね。アジア市場への展開を考えているなら韓国・台湾・東南アジア各国も重要です。弁理士に相談しながら、自社のビジネス計画に合わせた出願先を決めるのが一番です。
改めて公募期間など基本情報をまとめていただけますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度外国意匠出願費用助成事業(第1回) |
| 実施機関 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター |
| 対象地域 | 東京都(本店所在地) |
| 助成率 | 1/2以内 |
| 助成限度額 | 60万円 |
| 第1回申請期間 | 令和8年4月22日(水)〜令和8年5月14日(木)17時まで |
| 第2回申請期間 | 令和8年9月2日(水)〜令和8年9月25日(金)17時まで |
| 助成対象期間 | 令和8年4月1日〜令和9年9月30日(1年6か月) |
| 申請方法 | jGrantsでの電子申請 + 書類郵送(両方必須) |
| 問い合わせ | 東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階 TEL 03-3832-3656 |
| 公式URL | 東京都知的財産総合センター |
ありがとうございます。第2回があるのが助かりますね。第1回を逃しても諦めなくていい!
そうです!ただし、第1回の申請期間は令和8年4月22日から5月14日と約3週間しかないので、今からGビズIDを取得しておいて、準備万端で臨むのが理想です。5月14日17時までというのが第1回の締め切りなので要注意です。
時間きっかりですね。電子申請システムは締め切り直前は混雑する可能性もありそうです。
そうですね。jGrantsは夜中でも申請できますが、書類の郵送は記録が残る方法でかつ期間内必着が条件です。余裕をもって2〜3日前には送付することを強くおすすめします。
この制度と似たようなものが他にもあると聞いたんですが?
はい、東京都中小企業振興公社は意匠以外の知財出願についても同様の助成制度を設けています。
おお!特許は上限が400万円と大きいですね。意匠・商標・実用新案は全部60万円か。
そうです。特許は技術の保護で審査も複雑なため、コストが高く上限も大きく設定されています。海外展開では「デザイン保護(意匠)」「ブランド保護(商標)」「技術保護(特許)」の3つをセットで考えるのが理想的な知財戦略です。
でも1年度1社1出願という制限があるので、全部は使えないですよね?
それぞれ独立した制度なので、意匠と商標は同じ年度に別々に申請できます。ただ、1つの制度につき1年度1出願の制限があります。複数の意匠を持っているなら年度を分けて順番に出願計画を立てましょう。
JETROの「中小企業等海外出願・侵害対策支援事業」との併用について
JETROも外国出願を支援する「中小企業等海外出願・侵害対策支援事業」という制度を実施しています。東京都の助成金とJETROの支援では、対象経費が重複する場合に併用できないケースがあります。出願先国を分けるなどの工夫は可能ですが、申請前に両制度の担当窓口に確認してください。
費用が重複しない形なら組み合わせ可能なんですね。弁理士にも相談しながら、どう組み合わせるか検討が必要そうです。
実際に申請しようとする人がよく疑問に思うことって何がありますか?
まず、「まだ日本での意匠登録を受けていないんですが申請できますか?」という質問はどうですか?
日本での意匠登録は必須条件ではないです。ただ、「創造性または審美性のある意匠を有する優れた商品」であることが求められるので、出願予定の意匠がどれだけ独自性を持つかは審査で確認されます。事前相談でその点を確認するのが安心です。
ほんとに?日本で登録してなくても使えるのか。それなら「海外の方が先に出す」という戦略もアリなんですね。
そうですね(笑)ただ日本での登録があった方が「意匠の独自性の証明」としては説得力が増します。まあ、状況次第ですね。
「個人事業主でも申請できますか?」というのはどうですか?
東京都内に本店を有する個人事業者も対象です。「会社及び個人事業者」と明記されていますので、フリーランスのデザイナーが自分のデザインを海外で保護したい場合にも活用できます。
それはありがたい!(笑)あと「書類に不備があったらどうなりますか?」というのは?
知財センターから修正や追加書類の依頼の連絡が来ます。ただし、知財センターが示す期限内に対応できなかった場合や回答がない場合は審査不通過になる可能性があります。提出前のチェックを徹底して、書類の控えは必ず取っておいてください。
締め切り後に修正を求められても焦りますね!申請のまとめとして、今日から何をすべきか教えてもらえますか?
- GビズIDプライム取得を今すぐ開始(発行まで2〜3週間かかる)
- 弁理士に相談(海外出願実績豊富な事務所を選ぶ)
- 出願先国の検討(自社の輸出先・模倣品リスクが高い国を優先)
- 費用見積もりの取得(翻訳料・代理人費用含め60万円の助成枠に収まるか確認)
- 東京都知的財産総合センターへの事前相談(無料・予約制)
ありがとうございます!GビズIDが一番の時間軸になるから、まずそれですね。
まさに(笑)第1回の申請期間まで時間が少ないので、今日GビズIDの申請ページを開くところから始めてください!
第1回の申請期間(令和8年4月22日〜5月14日)を逃した場合でも、第2回(令和8年9月2日〜9月25日)に申請できます。第2回を目指す場合も、GビズIDの取得と弁理士への相談は早めに済ませておくことで、準備に余裕が生まれます。次回公募に備えて、今のうちに海外展開計画の具体化と意匠の独自性の整理を進めておきましょう。
今日の話をまとめると、東京都内の中小企業が海外で意匠権を取るための費用を最大60万円・半額助成してくれる制度で、第1回が令和8年5月14日締め切り、第2回が令和8年9月25日締め切りということですね。
その通りです!デザインを競争力の源にしている製造業・雑貨メーカー・家電ベンチャー・家具・インテリア企業など、幅広い業種で活用できる制度です。海外展開を考えているなら、知財保護は「やるべきだけど後回しにしていた」では遅いんです。この助成金を使って踏み出してみてください。
公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1階
電話 03-3832-3656(平日9時00分〜17時00分)
メール ip-isyo[@]tokyo-kosha.or.jp
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ありがとうございました!東京都内の中小企業でデザインに自信のある方は、ぜひ活用してみてください。