室谷さん、今日は「岡崎ものづくり支援補助金(新製品共創事業)」を解説してもらいたいんですけど、名前の「共創」ってちょっと独特ですよね。
そうなんです、これが一番のポイントなんですよ。愛知県岡崎市の製造業者が、他の事業者と「共同で」新製品の試作品を開発する取組を支援する補助金です。補助上限は30万円、補助率は対象経費の1/2以内。岡崎商工会議所内にある岡崎ものづくり推進協議会が窓口になっています。
ざっくり言うと、試作品の原材料費の半額を出してもらえる制度です。60万円分の材料を使うなら、最大30万円が戻ってくるイメージ。小規模とはいえ、試作品の「材料費だけ」に使えるという設計が独特で、却って使いやすいんですよ。
「材料費だけ」という絞り込みが使いやすさにつながるんですか?
加工費とか人件費が入ってこない分、何が補助対象で何が対象外かが明確です。「原材料を買いました」という証拠があれば申請できる。余計な計算がいらないので、申請書の作成負担が軽いんです。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 岡崎ものづくり支援補助金(新製品共創事業) |
| 補助上限額 | 30万円 |
| 補助率 | 対象経費(試作品原材料費)の1/2以内 |
| 対象経費 | 試作品の原材料費用(送料・振込手数料は除く) |
| 申請期間 | 令和7年(2025年)4月1日〜令和8年(2026年)1月31日(予算がなくなり次第終了) |
| 対象地域 | 愛知県岡崎市(市内に本社機能または工場を6か月以上有すること) |
| 対象業種 | 製造業(日本標準産業分類 大分類E) |
| 窓口 | 岡崎ものづくり推進協議会事務局(岡崎商工会議所内) |
| 電話番号 | 0564-53-6191 |
| 公式サイト | 岡崎ものづくり推進協議会 |
予算がなくなり次第終了って書いてありますけど、急いで申請する必要がありますか?
ほんとに。この補助金は「先着制」なんですよ。予算の上限に達したらその時点で受付終了になります。1月31日が締切でも、それより早く終わる可能性がある。だから申請の意向がある方は早めに動くのが鉄則です。
「共創」って具体的にどういうことですか?普通の外注と何が違うんでしょう?
これが本当に重要なポイントで、補助金の名前にも入っている概念なんですが、互いの技術やノウハウを持ち寄る対等なパートナーシップのことです。一方が発注して他方が黙って加工する「外注」とは明確に区別されています。
判断のポイントは3つあって、「双方向の技術交流があるか」「開発の方向性を共同で決めているか」「互いに代替困難な技術・ノウハウを提供し合っているか」です。たとえば、自社が金属加工の技術を持ち込んで、共同開発先が特殊樹脂の成形技術を提供して、一緒に新しい複合素材部品を試作する——これが共創です。
自社が設計図面を渡して「これを加工してくれ」と頼むだけなら外注です。申請書に「共創」と書いても、実態が外注なら審査で落とされます。開発の企画段階から双方が参加していることが大事なんです。
外注(対象外): 自社が仕様を決めて他社に加工を一方的に委託する関係。図面を渡してパーツを作ってもらうだけ。
共創(対象): 互いの技術・ノウハウを持ち寄り、開発の方向性を共同で決めながら進める双方向の協働関係。
岡崎ものづくり支援補助金 新製品共創事業 メニュー比較
原材料費って、具体的に何が入って何が入らないんですか?
対象になるのは試作品に使う材料の購入費です。金属素材、樹脂・プラスチック原料、特殊合金、新素材の購入費がメインです。開発する製品の材料費そのものですね。
| 区分 | 対象経費の例 |
|---|
| 対象(試作品原材料費) | 金属素材の購入費、樹脂・プラスチック原料費、特殊合金・新素材の購入費、テストピース用材料費 |
| 対象外 | 送料・配送料、振込手数料、外注加工費、機械・設備費、人件費、旅費、消耗品費 |
マジで大事な点です。「原材料は買いました、でもその加工は別会社に頼みました」という場合、加工費は出ません。材料費だけです。つまり自社と共同開発先の設備・技術で加工することが前提の設計になっています。これが「共創」の実質的な理由でもあります。互いの加工技術を持ち寄る関係でないと、原材料費の補助だけでは成り立たないんです。
なるほど、対象経費の設計が「共創必須」という要件と連動しているんですね。
そうです。原材料費以外のコストは自社とパートナー企業で賄う前提です。だから、お互いに設備や技術を持っている製造業者同士の連携が、この補助金の理想的な活用パターンです。では次に、誰がこの補助金を使えるか見ていきましょう。
- 要件1・業種: 製造業(日本標準産業分類 大分類E)を営む法人または個人事業主
- 要件2・所在地: 岡崎市内に本社機能または工場を6か月以上引き続き有していること
- 要件3・納税: 岡崎市の市税を完納していること
製造業の「大分類E」って、具体的にどんな業種が含まれますか?
かなりの範囲をカバーしています。食品製造業、繊維工業、木材製品製造業、化学工業、プラスチック製品製造業、金属製品製造業、一般機械器具製造業、電子部品製造業、電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業——全部含まれます。岡崎市だと自動車関連サプライヤーが多いですが、食品加工から精密機器まで多くの業種が対象です。
使えます。法人格がなくても、製造業として開業届を出していれば申請資格があります。ただし、製造業以外の事業者——ITサービス業やコンサルティング業——は申請者にはなれません。あくまで「申請者」の話で、共同開発先としての参画は業種を問いません。
ということは、製造業者が窓口になって、デザイン会社やIT企業と共創することもできる?
そうです!共同開発先は製造業に限定されていないし、岡崎市外の事業者でもOKです。岡崎市の製造業者が主役になって、市外の専門企業と連携して新製品を試作する——これが制度の設計通りの使い方です。
岡崎ものづくり支援補助金 申請フロー
まず一番大事なのが事前相談です。公式にも「申請前に必ず事前確認を行ってください」と明記されています。申請の可否や内容について、岡崎ものづくり推進協議会事務局に確認してからでないと進めてはいけません。
共同開発先を選定し、連携体制を構築する(互いの役割分担・技術的寄与を整理)
原材料費の見積りを取得する(品目・数量・単価を明確に、可能なら相見積もり)
岡崎ものづくり推進協議会事務局へ事前相談(必須・申請前に可否確認)
申請書類を作成・提出(共創の実質性を具体的に記載)
岡崎商工会議所の受付時間(土日祝日を除く、午前10時から午後5時まで)に電話するのがベストです。電話番号は0564-53-6191です。まだ共同開発先が決まっていなくても、アイデアの段階で相談に行ける雰囲気があります。
岡崎ものづくり推進協議会事務局(岡崎商工会議所内)
電話: 0564-53-6191
受付時間: 土日祝日を除く 午前10時から午後5時まで
公式サイト: 岡崎ものづくり推進協議会
ちょっと前段階の話になりますが、共同開発先ってどうやって見つければいいんですか?
岡崎ものづくり推進協議会自体がビジネスマッチング支援も行っているので、「共同開発先を探している」という相談も受けてもらえます。岡崎市は自動車関連産業を中心に精密加工、金属加工、化学製品など多様な製造業が集積しているエリアで、異なる技術領域の企業同士のつながりが生まれやすい環境です。審査のポイントも次に見てみましょう。
ズバリ「これは本当に共創なのか」という点です。申請書で最も重視されるのは、共同開発が外注ではないことの証明です。
- ポイント1・共創の実質性: 各社がどの技術・知見を持ち寄るか、開発のどの段階で誰が何を担当するかを具体的に記述。共同開発に関する覚書や契約書があれば添付。
- ポイント2・技術的新規性と市場性: 試作品が「新製品・新技術の開発」または「既存製品の高付加価値化」であることを明確にし、技術的な改良点と市場ニーズを両方示す。
- ポイント3・原材料費の精度: 試作に必要な原材料を漏れなくリストアップし、仕入先からの見積書を根拠とした具体的な金額を記載。概算ではなく実際の見積もり。
「共創の実質性」って、どんな表現で書けばいいんでしょう?
たとえばこういう書き方が有効です。「自社はA技術、共同開発先はB技術を持ち寄り、月2回の技術打合せで開発の方向性を共同決定します。部品の設計はA社が担当し、素材加工はB社が担当します。どちらも他社に代替できない固有の技術を提供し合う関係です」——こういう具体的な役割分担の記述です。
逆に「共創のように見えて実は外注」と判断されやすいパターンはありますか?
ありますよ。「開発の方向性はすべて自社が決めており、共同開発先は指示に従って加工するのみ」という関係は典型的な外注です。書類上は「共創」と書いていても、実態がわかってしまいます。事前相談で「うちのケースは共創に当たりますか?」と率直に確認するのが一番確実です。
さっき「プラットフォーム活用事業」という別のメニューの名前が見えましたけど、他にもあるんですか?
そうなんです。岡崎ものづくり支援補助金には複数のメニューがあって、新製品共創事業はその一つです。全部で6種類あります。
| 事業名 | 補助上限 | 対象経費の特徴 |
|---|
| 新製品共創事業(本記事) | 30万円 | 他社との共同試作品の原材料費 |
| プラットフォーム活用事業 | 50万円 | ビジネスマッチングサービスの利用料 |
| 依頼試験事業 | 50万円 | 大学・試験機関への依頼試験費用 |
| 共同研究事業 | 50万円 | 大学・試験研究機関との共同研究費用 |
| 見本市等出展事業 | 30万円 | 国内外の見本市への出展費用 |
| 知的財産権取得事業 | 30万円 | 特許出願・審査請求費用 |
なるほど、試作品開発から知財取得まで、ものづくりのプロセス全体をカバーしているんですね。
まさに。試作品を開発したら次に知財を取る、そして販路開拓に向けて見本市に出展する——こうした一連のプロセスに対応したメニューが揃っています。
プラットフォーム活用事業や
共同研究事業と組み合わせて戦略的に使うのが賢い方法です。
同一年度内での複数メニューの申請可否については、事務局に確認が必要です。同一の試作品に対して複数の経費を二重計上することは認められませんが、異なるフェーズ・異なる経費であれば併用できる可能性があります。事前相談で確認するのが確実です。
30万円だと、大規模な試作には足りない場合もありますよね。他の補助金と組み合わせることはできますか?
できます。国のものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)と組み合わせる方法が代表的です。本補助金で試作品の原材料費を賄い、ものづくり補助金で本格的な設備投資や加工費を別途申請する——という補完的な使い方が考えられます。
同一の経費への重複申請は絶対に禁止です。原材料費をこちらで申請したら、同じ費目はものづくり補助金で請求できません。事業のフェーズや対象経費を明確に切り分けて申請することが必要です。愛知県の補助金(あいち中小企業応援ファンド等)との併用も対象経費が重複しなければ可能な場合があります。事前に各制度の事務局に確認してください。
申請を考えている方から多そうな疑問をいくつか聞かせてください。製造業でも個人事業主は申請できますか?
できます。法人格は必須ではありません。製造業として開業届を提出し、岡崎市内に工場や事務所を6か月以上有し、市税を完納していれば申請資格があります。確定申告書や開業届で製造業であることを証明できるようにしておきましょう。
共同開発先がまだ決まっていない段階でも事前相談に行っていいですか?
全然問題ありません(笑)。岡崎ものづくり推進協議会はビジネスマッチング支援も行っているので、「こんな技術を持つ企業と共同開発したい」という段階から相談してみてください。共同開発先の紹介・マッチングを支援してもらえる可能性があります。
ケースによりますね。総事業費60万円以内の原材料費であれば最大30万円の補助です。大規模な試作には確かに不足することがありますが、この補助金は「共同開発のきっかけ作り」として使う発想が有効です。より大規模な開発には国のものづくり補助金等と段階的に組み合わせるのが現実的です。
予算がなくなり次第終了とのことですが、残り予算はどうやって確認できますか?
事務局に直接問い合わせるのが確実です。0564-53-6191(岡崎商工会議所受付時間内)に電話して現在の受付状況を確認してください。公式サイトにも情報が掲載されることがあります。申請を考えているなら、早い段階で事前相談と並行して残予算確認をするのがベストです。
外注と共創の判断が難しいケースはどうすればいいですか?
迷ったら事前相談で「うちのケースは共創に当たりますか?」と率直に聞いてください。申請後に「これは外注だった」と判断されるより、事前に確認する方がずっといい。岡崎ものづくり推進協議会は地域の製造業者を支援するために存在しているので、相談に対して丁寧に応じてくれます。
岡崎市には他にも製造業向けの支援制度がありますか?
新製品共創事業が試作品の材料費という小さなステップを支援する制度なのに対して、工場建設の奨励金は数億〜数十億円規模の話になりますね。
用途がまったく違いますよね。新製品共創事業は「新しいパートナーと試作品を作るきっかけ」を支援する制度です。その試作品が量産化に向かったら、次は大型投資の奨励金を活用するというステップアップのイメージです。まず試作で可能性を確かめて、そこから量産・設備投資に進む——岡崎市にはそのルート全体をカバーする制度が揃っています。
本記事のまとめとして、この補助金が特に向いている事業者はどんな方ですか?
3タイプあります。1つ目は、岡崎市内で製造業を営んでいて、他社との連携で新製品を試作したいと考えているが初期費用がネックになっている中小製造業者。2つ目は、異業種の製造業者と技術を融合して新しい市場を開拓したい事業者。3つ目は、今の取引先から新素材・新技術を使った共同開発の提案があり、試作の原材料費を確保したい事業者です。いずれにせよ、「自社だけでは実現できない技術的挑戦を、パートナーとの共創で実現する」というビジョンがある製造業者にとって、使い勝手のいい制度です。
ありがとうございました!岡崎市の製造業者は、まず事務局への事前相談から始めてみてください。
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