室谷さん、「小規模事業者持続化補助金<創業型>」って最近よく耳にするんですけど、通常の持続化補助金とどう違うんですか?
いい質問ですね。一言で言うと、創業後1年以内の事業者だけが使える専用枠です。通常の持続化補助金は既存の事業者全般が対象ですが、創業型は「まだ実績がない創業期の事業者」を国が重点的に後押しするための制度なんです。
そんな専用枠があるんですね!補助の水準はどれくらいですか?
補助上限200万円、補助率2/3です。100万円の経費をかければ約67万円が国から出る計算ですね。さらにインボイス制度に対応する取り組みを含む場合は最大250万円まで上乗せされます。創業期にこれだけの支援を受けられるのは、かなり手厚い制度です。
第3回ということは、これまでも同じ補助金があったんですか?
そうです。第1回・第2回と実施されてきました。今回の第3回は2026年3月6日から受付が始まっていて、締切は2026年4月30日です。今がまさに申請のタイミングですね。
通常の持続化補助金と比べて、創業型ならではのポイントってどこですか?
大きく3点あります。まず審査が創業期向けに設計されていること。通常枠では過去の売上実績や顧客基盤が評価軸になりますが、創業型は「事業の将来性や成長可能性」が主な審査軸です。実績がないことがハンディになりません。
2点目が、「特定創業支援等事業」の受講が前提条件になっていること。産業競争力強化法に基づく認定を受けた自治体や商工会議所の創業スクール等を受講して、修了証を取得する必要があります。
そうなんです。ただこれ、デメリットだけじゃないですよ。受講することで経営・財務・販路・人材育成の基礎知識が身につきます。受けていること自体が「ちゃんと準備している事業者だ」という評価にもなります。修了まで通常1〜2ヶ月かかるので、今すぐ動き始めた方がいいです。
3点目は、販路開拓と業務効率化の両方がカバーできること。チラシ作成・ウェブサイト構築・展示会出展といった顧客獲得だけでなく、ITツール導入やPOSレジ導入など業務効率化への投資も対象です。創業初期に必要な「お客さんを獲る」「オペレーションを整える」という2つの課題を、1つの補助金で同時に解決できます。
創業型は審査が実績不問の設計なので、創業したてでも採択チャンスは十分ある。特定創業支援等事業の受講は手間に見えて、実は事業基盤を整えながら採択率を高める一石二鳥の要件。販路開拓と業務効率化を1本の補助金でカバーできる点も、資金が限られる創業期には大きな強みになる。
まず「小規模事業者」であることが前提です。業種によって従業員数の基準が違っていて、商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)なら常時使用する従業員が5人以下、製造業や宿泊・娯楽業なら20人以下です。
大丈夫です。会社(株式会社・合同会社等)も、個人事業主も、一定要件を満たす特定非営利活動法人も対象です。ただし医師・歯科医師・助産師・農業(系統出荷のみ)の方は対象外となっています。
「創業後1年以内」の起算はどうやって数えるんですか?
法人は設立登記日、個人事業主は税務署に開業届を提出した日が基準です。申請時点でこの日から1年を超えていると対象外になります。
じゃあ創業から1年が近い人は急がないといけないですね。
そうです。今回の締切は4月30日なので、2025年5月以降に創業した方はまだ間に合います。逆に2025年4月以前の創業だともう1年を超えてしまっている可能性があるので要注意です。
創業後1年以内の期限と、特定創業支援等事業の修了証の有無は申請の大前提。どちらか一方でも欠けると申請不可になる。創業日の確認と商工会議所への受講申込みは最優先で動くこと。
大きく10種類あります。まず機械装置等費。業務に直接使う機器や設備の購入費です。創業期に必要な専門器具、調理器具、業務用機器などが該当します。
そこ重要なポイントで、汎用的に使える普通のパソコン・スマートフォン・自動車は対象外です。補助事業に直接使うことが明確に説明できるものに限られます。
広報費とウェブサイト関連費として対象です。チラシ・パンフレット作成、看板制作、ホームページ制作・改修、SNS広告費なども含まれます。ただしウェブサイト関連費は補助金総額の1/4が上限となっているので注意が必要です。
展示会等出展費として対象です。展示会出展料・ブース装飾費・サンプル品制作費なども含まれます。新規顧客開拓の機会として有効活用できます。
委託・外注費として対象です。商品開発や加工、デザイン制作などを外部委託した場合の費用が含まれます。ただし補助金総額の1/2が上限です。そのほか旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費なども対象です。
人件費・家賃・水道光熱費などの一般管理費は対象外です。また補助事業と関係のない消耗品、交際費、税金、補助事業期間外に発生した費用も使えません。「事業に直接必要か」が判断基準で、迷ったら事前に事務局か商工会議所に確認するのが安全です。
特定創業支援等事業の受講
まず最寄りの商工会議所や認定市区町村の産業振興課に問い合わせて、特定創業支援等事業の受講申込みをする。修了まで1〜2ヶ月かかるので最優先で動くこと。
経営計画書・補助事業計画書の作成
自社の強み・市場分析・販路開拓の具体策をまとめた経営計画書と、補助金で何をやるかの補助事業計画書を作成する。商工会議所の経営指導員に相談しながら進めると精度が上がる。
商工会議所での確認・事業支援計画書の発行
作成した計画書を管轄の商工会議所に提出して審査を受け、「事業支援計画書」の発行を依頼する。内容の修正を求められることもあるので余裕を持って提出すること。
GビズIDプライムの取得
jGrantsでの電子申請にGビズIDプライムアカウントが必須。取得には通常2〜3週間かかるので、申請準備と並行して早めに申請する。
jGrantsで電子申請
必要書類(経営計画書・補助事業計画書・特定創業支援等事業の修了証明書・事業支援計画書等)をそろえて、電子申請システムjGrantsから申請する。
中小企業向けの公的な認証システムです。法人であれば登記事項証明書、個人事業主は印鑑証明書などを使って取得します。持続化補助金に限らず、さまざまな補助金の申請に必要になるので、創業したら早めに取っておくべきものです。取得には郵送手続きがあるため2〜3週間みておいてください。
主要なものは経営計画書(A4で2〜3ページ程度)、補助事業計画書(同2〜3ページ)、特定創業支援等事業の修了証明書、商工会議所発行の事業支援計画書の4点です。他に直近の確定申告書の写しや開業届の控えなども必要です。初めて申請する方は書類の準備に2〜3週間かかることが多いです。
まず事業計画の具体性です。「ホームページを作ります」ではなく「ターゲット顧客を○○に絞り、SEO対策付きのLPで月間○件の問い合わせ獲得を目指します」レベルで書けるかどうか。投資と成果の因果関係が明確かどうかが採択の鍵です。
重要です。なぜこの事業を始めたのか、地域や社会にどう貢献するのかを冒頭に入れることで事業の独自性が伝わります。審査員は多くの申請書を読むので、最初の数行で印象に残る書き方が効果的です。
月間新規顧客目標、売上増加率の目標値、補助事業期間終了後の事業継続計画まで盛り込めると審査評価が上がります。「根拠のある数字」を書くことが重要で、商工会議所の指導員と一緒に数字を詰めていくプロセスが採択率向上につながります。
非常に大事です。事業支援計画書を発行するのが商工会議所ですし、計画書の内容についても指導員からフィードバックをもらえます。複数回相談した経緯が見えると計画の信頼性が増すと言われています。「商工会議所に一度行って終わり」ではなく、計画のブラッシュアップに積極的に活用してください。
ターゲット顧客を絞り込んで具体的に書くことが最優先。漠然と「集客したい」ではなく「誰に・何を・どうやって届けるか」まで落とし込む。商工会議所の指導員を積極的に活用し、計画を何度も磨くことが採択に直結する。経費の妥当性として「なぜこの投資が必要か」を論理的に説明すること。
違います。これは精算払い方式といって、まず自己資金で経費を支払い、補助事業完了後に実績報告書を提出して確定検査を受けてから入金される仕組みです。
採択通知から補助金受領まで半年〜1年程度かかることが一般的です。自己資金や融資でつなぐ計画を事前に立てておくことが必要です。日本政策金融公庫の創業融資と組み合わせるケースが多いです。
あります。交付決定を受けた日以降に発生した経費のみが対象です。採択通知が来ても交付決定前に発注・購入したものは補助対象外になるので注意が必要です。交付決定通知を待ってから発注するのが鉄則です。
似たような補助金と比べると、どんな特徴がありますか?
まず
ものづくり補助金(21次締切)と比べてみましょう。ものづくり補助金は上限最大4,000万円と規模が大きい代わりに、製造業・サービス業向けで設備投資が主な用途です。創業型持続化補助金は上限200万円とコンパクトですが、
販促・IT導入など幅広い経費に使えて、小規模な事業者にとって使いやすいです。
過去に終了した第2回の持続化補助金創業型とは何が違うんですか?
基本的な制度設計は継承されています。補助上限200万円・補助率2/3という水準は変わっていません。インボイス特例(50万円上乗せ)は引き続き設定されています。第3回では申請をjGrantsで行う点も変わっていません。
できます。特定創業支援等事業の受講は持続化補助金の申請だけでなく、自治体の創業支援補助金の申請でも評価されることがあります。また日本政策金融公庫の新創業融資制度と組み合わせることで、補助金は投資経費の一部を補い、融資で運転資金を確保するという使い方が実績として多いです。
| 制度名 | 補助上限 | 補助率 | 対象 | 本補助金との関係 |
|---|
| ものづくり補助金 | 最大4,000万円 | 1/2〜2/3 | 製造業・サービス業全般 | 規模が大きく設備投資向け。成長後の活用先 |
| 小規模事業者持続化補助金<創業型>第2回 | 200万円 | 2/3 | 創業後1年以内 | 前回同制度。第3回が現在受付中 |
| 日本政策金融公庫 新創業融資 | 3,000万円(融資) | — | 創業者全般 | 融資で運転資金をカバー。補助金と相互補完 |
いくつか質問させてください。まず「特定創業支援等事業」って具体的にどこで受けられますか?
一番身近なのは最寄りの商工会議所です。各商工会議所が認定市区町村と連携して実施している創業スクールや個別相談プログラムが該当します。市区町村の産業振興課・経済課に問い合わせると、対象の創業支援プログラムの一覧を教えてもらえます。経営・財務・販路・人材育成の4分野を学べる内容であることが要件で、修了後に証明書が発行されます。
創業後1年以内というのは、申請日時点ですか?それとも事業終了時点ですか?
申請時点です。ただし審査に時間がかかるため、採択通知の時点で1年を超えてしまうケースもあります。申請締切日時点で1年以内であることが重要で、その後採択・交付決定で時間がかかっても問題ありません。心配な場合は事務局に確認してください。
GビズIDプライムをまだ持っていない場合、間に合いますか?
4月30日の締切に向けては今すぐ申請を始める必要があります。GビズIDの申請はGビズIDのウェブサイト(gbiz-id.go.jp)から行えます。法人は登記事項証明書、個人事業主は印鑑証明書が必要で、書類郵送後に2〜3週間程度かかります。今週中に手続きを始めれば間に合う可能性があるので、すぐ動いてください。
過去の一般型のデータでは採択率が40〜60%程度で推移しています。創業型は対象者が絞られているため、しっかりとした計画書を書けば採択は十分狙えます。商工会議所の指導を受けて計画を磨いた事業者は採択率が高い傾向があります。
あります。採択後5年間は事業効果を報告する義務があります。また補助を受けた経費についての帳簿・証拠書類を一定期間保存する必要があります。補助金は「もらったら終わり」ではなく、事業の成果を継続的に報告する義務があることを覚えておいてください。
インボイス特例の50万円上乗せはどうすれば受けられますか?
免税事業者がインボイス発行事業者に転換するための取り組みを補助事業に含める場合、50万円が上乗せされます。具体的には会計システムの導入費、受発注システムの改修費などが該当します。インボイス登録番号を取得した上で申請することが条件で、免税事業者から課税事業者への転換を検討している方には大きなプラスになります。
今日の話を総括すると、どういう人にこの補助金はおすすめですか?
創業後1年以内で特定創業支援等事業の修了証を持っている(か、これから取れる)小規模事業者です。特に「これから集客を強化したい」「ウェブ・SNS・チラシなどで販路を開きたい」「レジや業務ツールを整備したい」というニーズがある方に直接的にマッチします。補助率2/3は非常に高いので、投資を検討している方はぜひ今回の締切を目指して動いてほしいです。
ありがとうございました!まずは商工会議所に相談に行くことが第一歩ですね。
そうです。創業型はとにかく商工会議所との連携がすべての出発点です。まず最寄りの商工会議所に「特定創業支援等事業を受けたい」と連絡することが最初のアクションです。計画書の作成も一緒にサポートしてもらえるので、一人で抱え込まずに相談してください。