育児休業給付金の計算方法とシミュレーション 月給別の受給額
目次
「育児休業給付金、自分の場合はいくらになるの?」と気になっている方のために、計算方法とシミュレーション例をまとめました。公式の計算ツールを使う前の「だいたいの金額感」を掴むのに活用してください。
育児休業給付金の計算の仕組み
計算に使う数字は3つだけです。
- 休業開始時賃金日額(育休前6か月の月収 ÷ 180)
- 支給日数(通常は 30日)
- 給付率(育休開始から180日目まで 67%、181日目以降 50%)
計算式:育児休業給付金 = 賃金日額 × 支給日数 × 給付率
休業開始時賃金日額の計算
賃金日額 = 育休開始前の直近6か月間の賃金合計 ÷ 180
ポイント:
- ボーナスは含めない
- 残業代・通勤手当など毎月の賃金には含む
- 産前休業中は賃金が0になる月があり、その場合は当該月を除いた計算が行われる場合がある
例:月給30万円(残業なし・ボーナス別)の場合 → 30万円 × 6か月 ÷ 180 = 10,000円 (賃金日額)
給付率が変わるタイミング
育休開始から180日目が給付率の切り替えポイントです。
| 期間 | 給付率 |
|---|---|
| 育休開始〜180日目まで | 67% |
| 181日目〜育休終了まで | 50% |
ここでいう「180日」は、出生時育児休業(産後パパ育休)で取得した日数も通算します。
月給別シミュレーション(標準ケース)
申請は2か月に1回ですが、わかりやすく「月あたり」で計算しています。
月給20万円の場合
賃金日額:20万円 ÷ 30 ≒ 6,667円
| 期間 | 月額(30日分) |
|---|---|
| 育休開始〜6か月目まで(67%) | 6,667円 × 30 × 0.67 ≒ 134,000円 |
| 7か月目以降(50%) | 6,667円 × 30 × 0.50 ≒ 100,000円 |
月給30万円の場合
賃金日額:30万円 ÷ 30 = 10,000円
| 期間 | 月額(30日分) |
|---|---|
| 育休開始〜6か月目まで(67%) | 10,000円 × 30 × 0.67 = 201,000円 |
| 7か月目以降(50%) | 10,000円 × 30 × 0.50 = 150,000円 |
月給40万円の場合
賃金日額:40万円 ÷ 30 ≒ 13,333円
| 期間 | 月額(30日分) |
|---|---|
| 育休開始〜6か月目まで(67%) | 13,333円 × 30 × 0.67 ≒ 268,000円 |
| 7か月目以降(50%) | 13,333円 × 30 × 0.50 ≒ 200,000円 |
月給48万円超(上限適用)
賃金日額が16,110円(上限)を超える場合、上限額が適用されます。 賃金日額の上限:16,110円 (令和8年7月31日まで)
| 期間 | 月額上限(30日分) |
|---|---|
| 180日目まで(67%) | 16,110円 × 30 × 0.67 ≒ 323,613円 |
| 181日目以降(50%) | 16,110円 × 30 × 0.50 = 241,650円 |
出生後休業支援給付金を加えたシミュレーション
2025年4月から、条件を満たす場合に育児休業給付金に 13%が上乗せ されます。
条件: 子の出生後8週間以内に、夫婦ともに14日以上の育児休業を取得すること(最大28日分)
月給30万円 × 夫婦ともに育休取得の場合(最初の28日間)
賃金日額:10,000円
| 給付金 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金(67%) | 10,000円 × 28日 × 67% | 187,600円 |
| 出生後休業支援給付金(13%) | 10,000円 × 28日 × 13% | 36,400円 |
| 合計 | 224,000円(28日分) |
月に換算すると約240,000円となり、手取り月給(税引後・保険料控除後)に近い水準です。育休中は社会保険料が免除・所得税もゼロのため、実質手取り10割相当と言われます。
上限適用時の出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金の支給上限額(28日間):16,110円 × 28日 × 13% = 58,640円
11日未満の月がある場合の計算
育休期間中に「11日未満しか働いていない月」がある場合の計算方法についてよく質問があります。
これは育休中の「就業日数」ではなく、育休開始前の「賃金支払基礎日数」に関する話です。受給資格の確認で使われる指標であり、実際の支給額の計算には直接影響しません。
育休中の就業日数が10日以下であれば、その月の給付金は通常通り支給されます(就業日数に応じた減額はあります)。
育休前の残業が多い月は得をする?
育休前6か月の賃金が基準になるため、残業が多かった月が含まれると賃金日額が上がり、給付金額も増えます。
ただし、産前休業(産前6週間)は無給のことが多く、その期間は賃金がゼロになります。産前休業期間は「賃金支払基礎日数11日以上」の月から除外されて計算されるため、実際には産前休業開始前の賃金が基準になります。
計算ツールの活用
自分の正確な給付額は、ハローワーク(または厚生労働省の試算ツール)で確認するのが確実です。
参考ツール:
- 厚生労働省「育児休業中の給付金の試算ツール」(公式サイト https://www.mhlw.go.jp/ で提供)
- 各種民間サイトの計算ツール(公式ではないため参考程度に)
計算ツールで試算した金額は目安です。実際の支給額はハローワークが賃金台帳・出勤簿をもとに正式に算定します。
男性(パパ)の育休給付金シミュレーション
パパが産後パパ育休(出生時育休)を取得した場合も、計算式は同じです。
月給40万円のパパが28日間の育休を取った場合
賃金日額:40万円 ÷ 30 ≒ 13,333円
| 給付金 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 出生時育児休業給付金(67%) | 13,333円 × 28日 × 67% | 250,000円(概算) |
| 出生後休業支援給付金(13%) | 13,333円 × 28日 × 13% | 48,533円 |
| 合計 | 約298,000円(28日分) |
月給40万円でも、28日間でほぼ1か月分の手取りに近い金額が受け取れます。
残業代・各種手当は含まれる? 賃金日額の計算で注意すること
「月給」といっても、何が含まれるかで賃金日額が変わります。
含まれるもの
- 基本給
- 残業手当(時間外労働手当)
- 通勤手当
- 住宅手当
- 家族手当
- 役職手当
含まれないもの
- ボーナス(賞与)
- 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
つまり、毎月の固定給+毎月変動する手当・残業代が基準になります。ボーナスを多くもらっている方は「思ったより給付金が少ない」と感じることがあります。
産前休業の扱い
産前6週間(多胎は14週間)は法定の産前休業です。この期間は通常、給与が支払われません(会社によって異なります)。
育児休業給付金の算定で使う「育休開始前6か月」には産前休業期間も含まれますが、賃金が11日以上支払われていない月は除外されます。
そのため実際には、産前休業前の月の賃金が基準になることが多いです。
分割育休・複数回の育休での計算
2022年10月から、育休は2回に分割して取得できるようになりました。2回目の育休開始時にも給付金が支給されます。
2回目育休の賃金日額
2回目の育休は、2回目の育休開始前6か月の賃金で計算します(原則)。ただし、1回目の育休中は賃金が支払われていないため、2回目の賃金日額が変わる場合があります。
会社に育休中も一部給与が支給されていた場合などは、計算が複雑になります。詳細はハローワークに確認してください。
育休中の就業と減額計算
育休中に就業した場合(会社との合意の上で)、就業日数・時間に応じて支給額が変わります。
| 就業状況 | 給付額への影響 |
|---|---|
| 就業日数10日以下(または80時間以下) | 原則支給(就業分の賃金を差し引いた上で給付) |
| 就業日数10日超・就業時間80時間超 | 支給されない |
就業しながら給付金を受け取る場合、就業で得た賃金と給付金の合計が休業前賃金の80%を超えると、超過分だけ給付金が減額されます(80%超になると不支給)。
よくある計算の疑問
Q. 育休前に産休を取ったが、その前の月給で計算される?
A. 原則として育休開始前6か月の賃金が基準です。産前休業中は無給のため、その月は除外されて計算されます。事実上、産前休業前の賃金が反映されます。
Q. 月給が変動する(残業代が多い月・少ない月がある)場合は?
A. 育休開始前直近6か月分の賃金を合計して180で割るため、残業が多かった月も少なかった月も全て平均化されます。
Q. 育休前に昇給があった場合は給付額が増える?
A. 昇給後の賃金が育休前6か月の計算に含まれれば、その分賃金日額が上がり給付額も増えます。
まとめ
育児休業給付金の計算で押さえておくポイントです。
- 賃金日額 = 育休前6か月の賃金合計 ÷ 180(ボーナス除く)
- 給付率:最初の180日は67%、181日目以降は50%
- 賃金日額の上限:16,110円(令和8年7月31日まで)
- 出生後休業支援給付金(13%上乗せ)は最大28日分、夫婦ともに育休が条件
- 育休中は社会保険料免除・非課税なので、実質手取りは給付率以上になる
「給付率67%では生活が苦しいのでは」と心配される方も多いですが、社会保険料の免除と非課税という恩恵により、実質的な手取りは大幅に回復します。
申請方法の詳細は「育児休業給付金の申請方法と必要書類」、延長を検討している方は「育児休業給付金の延長 条件と手続き」をご参照ください。