長崎県の販路拡大・海外展開補助金 種類別比較
長崎県で海外展開を考えている経営者さん向けに、使える補助金について教えてもらえますか? 長崎って独自の強みとかあるんですか?
ありますよ! 長崎は歴史的に外国との交易が盛んだった土地で、今も東南アジアや中国との関係が深い企業が多いんですよね。 で、ベトナム・タイ・シンガポール・台湾の4か所に長崎県ビジネスサポートデスクがあるのも他県にはない強みです。
大きく分けると4つのカテゴリがあります。まず知的財産の保護(外国出願)、次に輸出・販路開拓、そして海外直接投資・FS調査、最後に国際標準化・認証取得ですね。
フィージビリティスタディ、要は「この国でこの事業が成り立つかを調査する費用」を補助してくれるやつです。 海外進出って最初の調査だけでも数百万かかることがありますから、そこを国が半額持ってくれるのはありがたいですね。
なるほど! 全部含めると何件くらいの補助金が対象になるんですか?
このページで紹介しているのは国の制度と長崎県独自の制度を合わせて158件。 競合サイトが紹介しているのはせいぜい5〜10件なので、かなり網羅的です(笑)。
すごい差ですね(笑)。 じゃあまず国の制度から教えてください。
はい、まず押さえてほしいのが5本柱です。下の表で整理しますね。
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 対象 |
|---|
| INPIT外国出願補助金 | 300万円 | 1/2 | 外国特許・意匠・商標出願 |
| INPIT外国出願補助金(中間手続補助) | 50万円 | 1/2 | 拒絶理由通知への応答 |
| 中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金 | 2000万円 | 1/2 | 輸出拡大事業 |
| グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金 | FS1億円・実証5億円 | 中小2/3 | 新興国展開・FS調査 |
| 国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費補助金 | 3000万円 | 2/3以内 | 国際標準化活動 |
グローバルサウス補助金は規模が大きいですね。 ASEAN、中東、アフリカ、中南米などの新興国市場に向けてインフラ事業などを展開する企業向けです。 中小企業なら補助率が2/3になるのでかなり手厚い。
長崎県って東南アジアに強いってさっき言ってましたよね? まさにこれが使えそう。
そうなんです! 長崎県はベトナム・タイ・シンガポール・台湾の4か所に「東南アジアビジネスサポートデスク」を設けているんですよ。 これは補助金とは別の支援ですが、商談先のリストアップや現地スタッフの同席サポートまでしてくれます。
え、そんな支援があるんですか? 知らなかったです。
あんまり知られてないんですよね(笑)。 あと中国向けには長崎県上海事務所が現地でビジネスをサポートしてくれます。 補助金と現地サポートデスクをセットで活用するのが賢い使い方ですよ。
長崎県 販路拡大・海外展開補助金 申請の流れ
個別の補助金をもう少し詳しく聞きたいんですが、まず外国出願系から教えてください。
INPIT外国出願補助金は、海外で特許・商標・意匠・実用新案を取りたい中小企業向けの国の補助金です。 補助率1/2・上限300万円で、令和8年度の第2回は受付終了していますが、毎年度複数回公募があります。
外国出願って翻訳費用が高いってイメージがあるんですが、どのくらいかかるものですか?
特許1件で、現地代理人費用や翻訳費用込みで100〜200万円かかることも普通にあります。 それを半額補助してくれるので、実質50〜100万円で済むわけです。 海外で模倣品対策をしたい企業とか、ブランドを守りたい長崎の伝統工芸品メーカーさんとかによく使われています。
農林水産省の輸出物流構築事業は農産品・食品の輸出物流を効率化するための補助金です。 長崎県は水産業が盛んなので、水産物の輸出をしている企業にはピタリとはまる制度ですね。
あります! 特に中国・香港・シンガポールなどアジア市場での需要が高い。 長崎の刺身用鮮魚やウニ・アワビなんかは高単価で売れますから。 輸出物流のコスト補助があれば採算が取りやすくなりますよ。
じゃあ新興国市場向けのグローバルサウス補助金も気になるんですけど、どんな企業が使えるんですか?
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、ASEAN・南西アジア・中東・アフリカ・中南米・太平洋島嶼国といったいわゆる新興国市場で事業展開を計画している企業向けです。 FSフェーズで最大1億円、小規模実証フェーズで最大5億円と規模が大きい。
中小企業でも使えます! しかも補助率が2/3なので、実質1.7億円の自己負担で5億円の事業ができる計算です。 ただし経産省の審査が相当厳しいので、しっかりした事業計画書が必要ですね。
「日本の強みを活かした現地課題の解決」という視点が重要です。 たとえば長崎の造船・造船関連技術をASEAN諸国のインフラ整備に活かすとか、医療機器を新興国の医療システム構築に活用するとか、単純な製品輸出ではなく「仕組みごと持っていく」提案が採択されやすいです。
そうです! 大型船舶関連の技術や部品メーカーが多いので、その強みをASEANの港湾整備とか海洋インフラに活かすというストーリーは刺さりやすいですよ。
先ほど話した東南アジアビジネスサポートデスクは大きいですね。 現地スタッフが商談先を紹介してくれたり、商談当日に同席してくれたりするので、言語の壁をかなり下げてくれます。
基本的には無料で活用できます。 問い合わせは長崎県産業労働部 経営支援課(TEL 095-895-2525)にすれば詳しく教えてもらえますよ。
中国市場向けは上海事務所があるって言ってましたね。
長崎県上海事務所は、中国での現地調査・商談先紹介・現地法令調査などを担ってくれます。 中国でのビジネスは規制や商習慣が独特なので、こういった公的窓口を使って正確な情報を得るのが大事です。
ものづくり補助金も販路拡大に使えると聞いたんですが?
国際標準化補助金って珍しいですね。どんな企業が使うんですか?
国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費補助金は、自社の技術や製品が海外の国際規格・標準に適合するための活動を補助してくれます。 上限3000万円・補助率2/3と手厚い。 ISOやIECへの規格提案、標準化活動への参加費用などが対象ですね。
造船・海洋技術、医療機器、IT関連が候補に上がりますね。 特に医療機器は海外でCEマーク(欧州)やFDA認証(米国)を取ることが輸出の前提になるので、そのための費用補助として活用しているケースがあります。
- GビズIDの事前取得が必須 - Jグランツで申請するためにGビズIDが必要。取得に2〜3週間かかるので、申請締切の1か月前には取得しておくこと
- 後払いの資金繰り対策 - ほぼすべての補助金は「後払い」。交付決定後に事業を実施し、完了後に精算して補助金が振り込まれる。先に資金を用意しておく必要がある
- 加点項目の活用 - 賃上げ表明・DX・GX関連の取り組みをしていると採択審査で加点される制度が多い。申請前に確認を
GビズIDは政府のオンライン申請サービスを利用するための共通IDです。 Jグランツ(補助金電子申請システム)での申請に必須です。 取得に郵便でのやり取りが発生するので、2〜3週間かかることがあります。 「そろそろ申請しようかな」と思ったタイミングで即取得に動くのが正解ですね。
後払いって結構きつくないですか? 海外展開の費用ってでかいですし。
そうなんですよ、これが意外と盲点なんです(笑)。 たとえばグローバルサウス補助金でFS調査を1億円やるとしたら、一時的に自社で1億円を用意して、事業完了後に補助金が振り込まれる流れになります。 資金繰りを金融機関と相談しておくか、ブリッジローンを活用するか、計画段階から準備が必要ですよ。
なるほど、採択されたからって安心できないんですね。
そうです! 採択 = お金がもらえる ではなく、採択 = 事業完了後に精算してもらえる の意味です。 ここを誤解していると資金ショートのリスクがあります。
補助金を選ぶ - 自社の展開先・事業内容に合った補助金を選定する(本ページの一覧か、長崎県産業労働部に相談)
GビズIDを取得 - GビズID取得ページから申請。2〜3週間かかるので早めに
事業計画を作成 - 採択審査では「どの市場に・何を・いつまでに・なぜ売れるか」が評価される。外部の専門家(中小企業診断士、認定支援機関)の活用も有効
Jグランツで申請 - Jグランツからオンライン申請。締切直前は混雑するので余裕を持って
採択後に事業実施 - 交付決定後に事業を開始。完了後に精算報告書を提出して補助金を受領
こんな流れですね。一番大事なのはステップ1と2、つまり補助金選びとGビズIDの事前準備です。
事業計画ってどのくらい詳しく書く必要がありますか?
補助金の規模によります。 INPIT外国出願補助金くらいなら比較的シンプルでいいですが、グローバルサウス補助金のような大型補助金は100ページ以上の事業計画書を書くこともあります(笑)。
大型補助金は競争倍率も高いですし、専門家のサポートを受けるのが現実的ですね。 長崎では中小企業診断士や商工会議所の専門家が相談に乗ってくれます。
- 本ページで紹介している補助金の中には、受付終了のものも含まれます(長崎県発明協会の外国出願補助金など)
- 最新の募集状況は各補助金の公式サイトか、長崎県産業労働部 経営支援課(TEL 095-895-2525)でご確認ください
- Jグランツの詳細ページで「申請受付中」を確認してから動くのが確実です
最後に室谷さんからひとことアドバイスをもらえますか?
長崎は地理的に東アジア・東南アジアに近く、歴史的な交易の文化がある土地です。 この強みを使わない手はないと思っていて、今こそ国の大型補助金や県の支援デスクを組み合わせて海外展開を加速するタイミングだと感じています。
まず長崎県産業労働部 経営支援課に電話してみてください(TEL 095-895-2525)。 自社の展開先や事業内容を話すと、使えそうな補助金や東南アジアビジネスサポートデスクの活用方法を教えてくれます。 補助金は締切があるので、思い立ったらすぐ動くのが鉄則ですよ。
ありがとうございました! 長崎の事業者さんに参考になる情報が満載でしたね。