室谷さん、うちの会社でも社員を育てたいんですけど、正直どこから手をつければいいか全然わからなくて。長崎県内だと人材育成に使える補助金・助成金ってどのくらいありますか?
かなり多いですよ! DBに登録されている制度だけで100件以上あって、国の制度と長崎県独自の制度、さらに各市の補助金と3層構造になってるんですよ。「人材育成」という切り口だけでも、研修費の直接助成、働き方改革とセットの助成金、AI・デジタル人材育成向けの補助金、外国人材支援、それから洋上風力といった長崎の地域産業に特化したものまであります。
まず大枠でいうと、「訓練・研修費の直接助成」「働き方改革・賃上げとセットの助成」「長崎独自の産業人材育成」の3グループに分けて考えるのが一番楽です。自社が今どの段階にいるかによって使う制度が変わってくる。
なるほど! まずは研修費の直接助成から教えてもらえますか?
ここで一番押さえておきたいのが人材開発支援助成金ですね。厚生労働省が所管する国の制度で、長崎の事業者さんでも全員使える。4つのコースに分かれていて、用途に応じて選べる仕組みになってます。
長崎県 人材育成補助金・助成金 比較図 2026年版
まず最もよく使われる「人材育成支援コース」は汎用型で、職務に関連する訓練を実施すると訓練費の45〜75%(中小企業)を助成してくれます。さらに訓練中に支払った賃金の一部も助成されるのが大きくて、「研修費だけでなく、その間の人件費も返ってくる」という形になっています。
知らない経営者さんが多いですよ(笑。次が「人への投資促進コース」で、DX人材育成やeラーニング、サブスクリプション型の訓練に特化したコースです。業務とは少し距離がある自己啓発的なリスキリングにも対応しているのが特徴で、訓練費の60〜75%が助成されます。
リスキリングって最近よく聞きますけど、助成金でも対応してるんですね。
はい。3つ目の「事業展開等リスキリング支援コース」は、新規事業への参入に合わせて社員に新分野の知識を習得させる訓練が対象です。令和4年度〜8年度の期間限定ですが、2026年度からは設備投資の加算も新設されました。4つ目の「教育訓練休暇等付与コース」は、社員が有給で研修に参加できる休暇制度を新設すると、制度整備費として最大30万円の定額助成が受けられます。
- 人材育成支援コース: 訓練費45〜75%助成(中小)+賃金助成。最も汎用的
- 人への投資促進コース: DX・デジタル、eラーニング対応。60〜75%助成
- 事業展開等リスキリング支援コース: 新規事業参入時の再教育向け。R8〜設備投資加算あり
- 教育訓練休暇等付与コース: 教育訓練休暇制度の新設を定額助成(最大30万円)
各コースの詳細は厚生労働省の人材開発支援助成金ページで最新情報をご確認ください。
4コースの使い分け方って、ざっくりどう考えればいいですか?
普通の研修・資格取得なら人材育成支援コース、ITやDX系ならへの投資促進コース、新事業参入なら事業展開等コース、という感じで選ぶといいです。迷ったらまずハローワークか社労士さんに相談してみてください。これで国の基本制度は押さえました。次は長崎ならではの制度に移りましょう。
2026年度の長崎はデジタル・AI系がかなり手厚くなってますよ。まず長崎県AI活用力向上支援事業費補助金。既にデジタル化に取り組んでいる県内中小企業が、AIを使える人材の育成やAIツールの導入に使える費用の3分の2(2/3)を補助してくれる制度です。
いくつかあって、まず長崎県内に主たる事業所があること、創業後1年以上の中小企業であること。それから「長崎県デジタル力向上支援事業費補助金」などの類似補助金をすでに活用した実績があること——これが重要な条件になっています。申請受付期限が令和8年5月29日(2026年5月29日)なので、既にデジタル力向上補助金を使っている方は今すぐ動く必要があります。
まずデジタル力向上補助金を使ってから、次にAI補助金という順番があるんですね。
そうなんです。補助対象経費は、AIを含む講座の受講料(税抜2万円以上・5時間以上の講座が必須)や関連資格の取得費用などです。補助下限が20万円なので、小さな案件だと対象外になる点は注意が必要。「まだデジタル力向上補助金を使ったことがない」という方は、先にそちらに申請することをお勧めします。
ステップを踏む必要があるんですね、なるほど(笑。他に長崎独自の制度はありますか?
あります。長崎県半導体サプライチェーン強化推進補助金(企業人材育成事業)も注目です。製造業や機械設計業を営む長崎の事業者が、半導体関連の高度人材育成のための研修に従業員を参加させると支援が受けられる制度で、令和9年2月26日まで受付中です。
そうです! 九州全体で「シリコンアイランド」の動きが活発で、長崎はそのサプライチェーンを担う企業が増えています。この補助金はまさにその流れを後押しする制度ですね。製造業の経営者さんには強くおすすめしたい制度です。
賃上げとセットで使える助成金って、具体的にどういう仕組みですか?
業務改善助成金が代表例です。事業場内最低賃金を30円以上引き上げて、生産性向上のための設備投資を行うと、最大600万円・補助率3/4〜9/10という手厚い助成が受けられます。POSレジ、受発注システム、デジタル機器など多様な設備投資に使えます。
そこが悩みどころなんですけど、どうせ賃上げするなら助成金とセットにした方が絶対お得ですよ。5人規模の会社で全員の賃金を30円引き上げて、機器に100万円投資したとして、その75〜90万円が返ってくる計算になります。人材育成と組み合わせると「人材育成費は人材開発支援助成金」「設備投資は業務改善助成金」と対象経費を分けて同時申請できます。
1,000万円は大きいですね! 建設業の方は特に注目ですね。
はい。長崎県内でも建設業の「2024年問題」対応で時間外労働の管理が課題になってる会社が多いので、特に刺さる制度だと思います。
人材育成補助金 申請の流れ
長崎って観光業も強いし、水産業もありますよね。そういう産業特化の人材育成補助金ってありますか?
あります。長崎市の海洋産業人材育成支援費補助金は、長崎市内の海洋関連企業が従業員のスキルアップ研修などを行う際に費用の一部を補助する制度です。長崎は海洋産業のポテンシャルが高い地域で、こういう市レベルの補助金もうまく使いたいですね。
市レベルも探すと面白いですね! 外国人スタッフの育成に使える補助金もありますか?
ちゃんとあります。長崎県の外国人材スキルアップ支援補助金は、長崎県内の事業者が雇用する外国人材に対して、日本語能力向上や業務関連の技能習得を支援する取り組みに補助が出る制度です。長崎は観光業・水産業・造船業など、外国人スタッフの活躍が多い業種が集まっているので、特にニーズが高い制度ですね。
造船業、ありますよね! 長崎ならではの補助金って感じがする。
そうなんです。日本の造船業が盛んな長崎では、技術の伝承という課題もあります。造船・機械・製造系の企業なら、先ほどの半導体サプライチェーン強化補助金と外国人材スキルアップ支援を組み合わせて人材育成計画を立てると、相当の支援を受けられます。
次は国の制度で最近注目されてるものを教えてください。
リスキリング関係でいうと、
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業費補助金があります。経済産業省の制度で、個人に対してキャリア相談・リスキリング・転職支援を一体的に提供できる民間事業者を支援する補助金です。事業者側が申請するもので、長崎の支援機関やITスクールなどが活用しています。補助率は1/2〜定額等です。
支援事業者側向けなんですね。長崎の企業が直接使うのとは違う?
はい、これは「長崎でリスキリングを提供したい事業者」が申請するイメージです。一方で、副業・兼業人材の「受け入れ側」として使えるのが
副業・兼業支援補助金です。社外の優秀な人材を副業として受け入れて社内知識を高める取組みに補助が出て、受入型なら副業人材1人あたり最大50万円の支援になります。
社外の知見を「社内留学」みたいな形で活用できるわけですね。
まさに。長崎みたいに都市規模が大きくない地域こそ、副業人材の受け入れで外部知識を効率よく取り込める。都市部の専門家を週1日リモートで関与してもらうとかも、この補助金の射程内です。
全部整理して、どれを選べばいいか一覧で見たいんですが。
じゃあ整理しましょう。自社の状況と対応する制度を並べます。
| 制度名 | 補助額・補助率 | 主な対象 | 特徴 |
|---|
| 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 訓練費45〜75%+賃金助成 | 全業種・全国 | 最も汎用的。訓練中賃金も助成 |
| 人材開発支援助成金(人への投資促進コース) | 訓練費60〜75% | 全業種・全国 | DX・デジタル人材、eラーニング対応 |
| 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリングコース) | 訓練費60〜75% | 全業種・全国 | 新規事業参入時の再教育向け |
| 業務改善助成金 | 最大600万円・補助率9/10 | 中小企業・全国 | 賃上げ30円以上が条件、設備投資も対象 |
| 働き方改革(労働時間短縮コース) | 最大730万円・補助率3/4 | 中小企業・全国 | 残業削減・年休促進・勤怠システム導入 |
| 働き方改革(業種別課題対応コース) | 最大1,000万円・補助率3/4 | 建設・運送・医療業 | 業種特有の課題対応 |
| 働き方改革(勤務間インターバルコース) | 最大600万円・補助率3/4 | 中小企業・全国 | 休息時間制度の整備支援 |
| 長崎県AI活用力向上支援補助金 | 補助率2/3(下限20万円) | 長崎県内中小企業 | デジタル力向上補助金活用実績が条件 |
| 長崎県半導体人材育成補助金 | 要問合せ | 長崎県内製造業・機械設計業 | 半導体関連研修費が対象 |
| 長崎県外国人材スキルアップ支援補助金 | 要確認 | 長崎県内事業者 | 外国人材の日本語・技能習得支援 |
| 長崎市海洋産業人材育成支援費補助金 | 要確認 | 長崎市内海洋関連企業 | 市独自の産業特化型支援 |
| 副業・兼業支援補助金 | 受入型:最大50万円/人 | 全国 | 外部人材の受入・社内育成支援 |
| リスキリング支援事業費補助金 | 補助率1/2〜定額等 | 支援事業者・全国 | キャリア相談〜転職を一体提供する事業者向け |
| 地域戦略人材確保等実証事業 | 最大1,300万円・補助率1/2〜2/3 | 全国・地域企業群 | 複数の地域企業を束ねた「地域の人事部」機能の構築 |
| 産業人材育成奨学金返済アシスト事業(長崎県) | 要確認 | 大学生・長崎県内就職者 | 奨学金返済を支援し、優秀人材の県内定着を促進 |
そうなんです。たとえば長崎の製造業なら「半導体人材育成補助金で研修費を補助しながら、業務改善助成金で賃上げ+設備投資」という二刀流も可能です。同一経費への重複受給は禁止ですが、対象経費を分ければ複数の制度を並行活用できます。
まずGビズIDを今すぐ取得すること。国の電子申請に必須のIDで、取得まで2〜3週間かかります。「補助金を使おう」と思ってから動き始めると、それだけで申請期限を逃すことがある。
次に人材開発支援助成金を使う場合は、訓練開始の1ヶ月前までに計画届を提出する必要があります。「先に研修に申し込んでから届け出ようとしたらもう遅かった」という失敗が一番多いパターンです。
GビズIDを今すぐ取得する(2〜3週間かかる。e-Govに必要)
使いたい補助金の公募要領を全部読む(対象外経費・消費税・他補助金との重複禁止に注意)
計画届を訓練開始の1ヶ月前までに提出(人材開発支援助成金の場合)
訓練の出席簿・領収書・訓練内容のエビデンスを必ず記録する
事業完了後2ヶ月以内に支給申請する(期限切れに注意)
人材開発支援助成金では、訓練を始める前に「こういう訓練をこういうスケジュールでやります」という計画書をハローワークに出す必要があるんですよ。これを先に出しておかないと、後からいくら申請しても受け付けてもらえません。
補助金は基本的に「先に費用を払ってから後で返ってくる」仕組みです。つなぎ資金が必要になるケースがあるので、資金繰りが厳しい状態では取り組みにくい。そこは事前に金融機関とも相談しておくといいですよ。
- 補助金は「後払い」が原則。先に費用を支出してから申請・受取となる
- 同一経費への他の補助金との重複受給は禁止(異なる経費なら複数制度の活用はOK)
- 計画届は訓練開始1ヶ月前までに提出(人材開発支援助成金)
- GビズID取得に2〜3週間かかる——今すぐ取得開始が吉
- 長崎県AI活用力向上補助金は申請受付が令和8年5月29日(2026年5月29日)まで
- ハローワーク長崎: 人材開発支援助成金・業務改善助成金・働き方改革推進支援助成金の相談受付
- 長崎産業振興財団: 長崎県内中小企業向け補助金申請サポート(AI活用力向上補助金・半導体人材育成補助金等)
- よろず支援拠点 長崎: 各種補助金の無料相談窓口(費用不要)
今日の話をまとめると、どういう順番で動けばいいですか?
長崎の事業者さんへのアドバイスはこうです。まず「国の制度(厚生労働省系の助成金)」と「長崎県独自の制度」を分けて確認して、自社が当てはまるものをリストアップする。次に、GビズIDを今すぐ取得しながら、社労士・長崎産業振興財団・各市のよろず支援拠点に相談する。申請スケジュールを組み立てるのが大切です。
長崎産業振興財団は長崎県内中小企業の補助金申請を手厚くサポートしてくれますし、ハローワーク長崎でも人材系助成金の相談に乗ってもらえます。書類のボリュームが多いので、初めて申請する場合は支援機関のサポートを使った方が確実ですよ。DBには長崎の補助金が100件以上登録されているので、
長崎県の補助金・助成金一覧から業種・目的別に絞り込んで探してみてください。
ありがとうございました。長崎の人材育成は思ったよりも支援が充実してるんですね!
国の制度と県独自の制度を組み合わせると、かなりの投資を後押ししてもらえます。AI・デジタル系はどんどん新設されているので、今年が動き時だと思います。