長崎県 設備投資・IT導入 主要補助金 比較表
室谷さん、うちの会社、そろそろ老朽化した機械を入れ替えたいんですけど、補助金って何を使えばいいんですかね。長崎って他の県と比べて使える補助金は多いですか?
結論から言うと、長崎は国の補助金+県独自制度が両方使えて、しかも造船・洋上風力という成長産業が集積してるので、企業の属性次第では採択されやすい制度が複数あるんですよ。
ほんとに? 長崎って地方のイメージがあって、補助金も少ないかなと思ってました。
意外ですよね(笑)。三菱重工があって、五島沖に洋上風力開発が進んでいて、水産加工や食品製造も盛んで。この産業の多様性が、補助金の選択肢の広さに直結してるんです。
一番大事なのは「投資する対象は何か」を先に決めることです。設備・機械ならものづくり補助金か省力化投資補助金、IT・デジタルツールならデジタル化・AI導入補助金2026か長崎県デジタル力向上補助金、大規模な業態転換なら事業再構築補助金という3つのルートで考えると整理しやすいです。
全然違います。ものづくり補助金は最大4,000万円、デジタル系は長崎県の独自制度だと100万円まで、事業再構築補助金は億単位も狙えます。投資規模によってどれを狙うか変わってくる。
- 機械設備・ロボット導入 → ものづくり補助金(上限4,000万円)/ 省力化投資補助金(上限200万円)
- ITツール・クラウド導入 → デジタル化・AI導入補助金2026(上限450万円)
- 長崎県独自デジタル支援 → 長崎県デジタル力向上補助金(上限100万円)/ AI活用力向上補助金(上限100万円)
- 大規模事業転換 → 事業再構築補助金(上限最大1.5億円〜)
- 造船・洋上風力系 → GXサプライチェーン構築支援事業等(大型補助あり)
まず製造業向けの定番、ものづくり補助金について教えてください。
ものづくり補助金は2026年時点でも活発に公募が続いていて、
第19次締切分が令和8年9月28日まで受付中、
第20次締切が12月28日、
第21次締切が令和9年3月23日と、複数の締め切りが設定されています。
そうなんです。だから「今回ダメでも次がある」という感覚で、余裕を持って動けます。ただし毎回内容が更新されるので、最新の公募要領を必ず確認してほしい。
上限は最大4,000万円、補助率は中小企業1/2・小規模企業2/3です。ただし革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善が要件なので、「ただの設備更新」では採択されない。「この設備投資でどう生産性が上がり、売上・付加価値が増えるか」を事業計画書で数値を使って示す必要があります。
締め切りによって変動しますが、ざっくり40〜50%くらいですね。2人に1人は落ちる。だから長崎県よろず支援拠点や長崎商工会議所で事業計画書のブラッシュアップをしてから申請するのが定石です。
3つあります。1つ目は賃上げ特例の活用です。事業場内最低賃金を引き上げる計画を盛り込むと、上限額の引き上げや審査加点につながります。2つ目は採択事例を読むこと。長崎県中小企業団体中央会でものづくり補助金の採択事例集が閲覧できるので、長崎の企業がどんな申請で採択されているか把握しておく。3つ目はGビズIDの事前取得です。申請システムの利用にGビズIDが必須で、発行まで2〜3週間かかるので早めに動いてください。
GビズID、名前は聞いたことありますけど後回しにしがちですよね(笑)。
あるあるです(笑)。申請直前に取りに行って間に合わない、というケースが実際かなり多い。
全国的にも知名度が高いのが「デジタル化・AI導入補助金2026」です。旧称がIT導入補助金で、令和8年3月30日から交付申請受付がスタートしています。会計ソフト、販売管理、生産管理、ECサイト構築ツール、勤怠管理システム、AIを活用したツール等が対象で、補助率1/2〜2/3、補助上限ざっくり450万円という規模感です。
使いやすそうですね。長崎の中小企業でも申請できますか?
もちろんです。全国の中小企業・小規模事業者が対象です。ただし大事なルールがあって、必ず国が認定した「IT導入支援事業者」が提供するITツールじゃないと補助対象にならない。自社でシステム自作や、認定外のツールを導入してもダメなんです。
あ、それは知らなかった。どうやって対応ツールを探せばいいんですか?
そうなんです。支援事業者が申請の多くを代行してくれるので、他の補助金より手続きが楽な面があります。ただその分、悪質な支援事業者も過去に問題になっていて、公式サイトでも不正防止を強く呼び掛けているので、信頼できる事業者かどうかは慎重に確認してください。
長崎県独自の補助金もあるって先ほど聞きましたが、詳しく教えてください。
2つあります。まず「長崎県デジタル力向上支援事業費補助金」で、令和8年度は令和8年5月29日まで申請受付中です。補助率2/3・上限100万円で、IT機器・デジタルツールの導入とデジタル人材育成を一括して支援する制度です。
ほんとに(笑)。書類の到着順に審査を進めるとのことなので、急いだ方がいいです。長崎県内に主たる事業所があって、創業後1年以上、中小企業・小規模事業者であれば申請できます。ただし令和5〜7年度に同補助金を受けた事業者は申請不可なので要注意。
そうです。ただそういう方向けに、もう1つの「長崎県AI活用力向上支援事業費補助金」があります。デジタル力向上補助金を過去に使った事業者が、次のステップとしてAIを活用できる人材育成やAIツール導入を行う場合に使える制度です。こちらも補助率2/3・上限100万円で設計されています。
段階的に使える設計になってるんですね。デジタル化してからAI活用、という流れか。
まさに。長崎県がDX推進の工程をステップアップで設計していて、デジタル力向上→AI活用と進めることで、毎回最大100万円の補助が受けられる仕組みになっています。
じゃあデジタル化・AI導入補助金2026と長崎県の独自補助を組み合わせることはできますか?
同一経費への重複は不可ですが、対象経費の種類が異なれば組み合わせは検討できます。デジタル化・AI導入補助金はソフトウェア・クラウド中心、長崎県の補助金はハードウェアや人材育成も対象というように役割が異なるので、導入内容を整理してうまく使い分けるのが実務のポイントです。
- 令和5〜7年度に交付を受けた事業者は申請不可
- 申請は郵送のみ(電子申請なし)
- 認定経営革新等支援機関またはITコーディネータのアドバイスが必要
- 補助金は事業完了後の後払い → 資金繰り計画を先に立てること
- 令和8年12月31日までに受講・導入・支払完了が条件
もっと大規模に事業を変えたい場合はどの補助金がいいですか?
それは事業再構築補助金ですね。新市場進出、業種転換、事業再編、国内回帰など、思い切った事業変革を支援する制度で、補助上限が
第十二回で最大5億円、
第十三回のGX進出類型で最大1.5億円という規模感です。
5億円! それは設備投資だけじゃなく、新規事業の立ち上げにも使えるんですか?
そうなんです。製造ラインの改修だけでなく、まったく新しい製品ラインを立ち上げる設備投資にも使えます。長崎で言えば、造船・海洋関連から洋上風力のメンテナンス業に転換するとか、水産加工業がECサイトとセントラルキッチンを整備して全国販路に出るとか、そういうケースで活用実績があります。
ざっくり30〜40%程度です。ものづくり補助金より少し厳しい競争率ですね。採択のキーポイントは「事業転換の必然性」を数字で語れるかどうか。「既存事業の売上がコロナ以降○%減少していて、このまま続けても持続困難」→「だからこの分野に転換して○年後に売上○億円を目指す」というストーリーの説得力が評価されます。
はい、ものづくり補助金と同様に長崎商工会議所と長崎県よろず支援拠点が相談窓口になっています。特にしっかり使いたいなら、認定支援機関(公認会計士・中小企業診断士等)と一緒に事業計画書を作るのが確実です。
長崎って造船・洋上風力・水産という独特の産業構造がありますよね。それに合った補助金活用ってありますか?
すごくいい視点です。まず造船・洋上風力関連で言うと、GXサプライチェーン構築支援事業があって、
洋上風力発電設備のバリューチェーン構築に関わる設備導入は大型補助の対象になり得ます。三菱重工や大規模造船所の下請け・部品メーカーが設備更新する際に使える枠組みです。
水産加工業は実はIT化が一番遅れている産業の一つで、補助金の恩恵を受けやすいんです。鮮魚の受発注管理システム、温度管理IoTセンサー、冷凍設備の更新にものづくり補助金が使えますし、デジタル化・AI導入補助金でECサイト構築や在庫管理ソフト導入も可能です。長崎は全国でも水産物が豊富な地域だから、加工・流通のDXで他産地との差別化が図れる。
長崎市内の企業と離島の企業では、補助金の使い方に違いはありますか?
離島の企業は物流コストが高い分、設備の集約化・効率化への需要が高いんですよね。省力化投資補助金のカタログ型は、ロボット・IoT機器・搬送設備等を比較的シンプルな手続きで補助対象にできるので、五島列島や壱岐・対馬の中小企業にも使いやすいと思います。
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 最適な用途 | 締切 |
|---|
| ものづくり補助金(19次) | 4,000万円 | 1/2〜2/3 | 製造設備・革新的サービス開発 | 令和8年9月28日 |
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 450万円 | 1/2〜2/3 | ITツール・クラウド・AI導入 | 随時 |
| 長崎県デジタル力向上補助金 | 100万円 | 2/3 | IT機器・デジタル人材育成 | 令和8年5月29日 |
| 長崎県AI活用力向上補助金 | 100万円 | 2/3 | AIツール・AI人材育成 | 令和8年中 |
| 事業再構築補助金(13回) | 1.5億円 | 1/2〜2/3 | 大規模業態転換・新規事業 | 令和8年10月29日 |
| 省力化投資補助金(カタログ型) | 200万円 | 1/2 | ロボット・IoT・搬送設備 | 随時 |
長崎県 設備投資・IT補助金 申請の流れ(5ステップ)
一番やってはいけないのが「補助金が採択されてから設備を発注する前に、補助金の交付決定通知が届く前に契約・発注してしまう」ことです。交付決定前に着手すると補助対象外になる。これで申請が無効になったケースを実際に何件も見てきました。
ほんとに気を付けてほしい。あと長崎県デジタル力向上補助金は後払い制度なので、先に自腹で経費を払って、事業完了後に補助金が振り込まれます。立替資金が必要なので、事前に資金繰りを考えておく必要があります。
長崎県では長崎県産業振興財団(LAPIA)が金融支援の相談窓口になっていて、補助金採択後の立替資金繰り融資を案内してくれる場合があります。また銀行のビジネスローンで対応するケースもあります。補助金を申請するときは必ず「後払いの場合の資金手当て」を考えてください。
GビズIDの話が先ほど出ましたが、他に事前準備しておくことはありますか?
ものづくり補助金はjGrantsというシステムで電子申請するので、GビズIDと一緒にjGrantsのアカウントも作っておくことです。それと事業計画書は一朝一夕では書けないので、よろず支援拠点や商工会議所に相談して、最低でも1〜2ヶ月前から準備を始めてほしい。
GビズID・jGrantsアカウントを取得(発行に2〜3週間)
事業計画書・申請書類を作成(認定支援機関のアドバイスを受ける)
まとめると、長崎の中小企業がまず動くべきことは何ですか?
今すぐできることは2つです。1つ目はGビズIDを取得すること。2つ目は長崎県よろず支援拠点(電話 095-846-5832)に相談の予約を入れること。どんな投資をしたいかを話せば、使える補助金を一緒に整理してくれます。補助金選びで一人で悩むより、専門家に早めに相談した方が確実に早く動けます。
- 長崎県よろず支援拠点 → 補助金全般・事業計画書の相談(無料)
- 長崎商工会議所 → IT導入補助金・ものづくり補助金・事業再構築補助金の最新情報
- 長崎県中小企業団体中央会 → ものづくり補助金の採択事例閲覧・申請サポート
- 長崎県産業振興財団(LAPIA) → 補助金採択後の資金繰り・経営支援相談