えっ、令和7年度補正で予算規模が約833億円って、これすごくないですか?
マジですごい金額ですよね!(笑)GXサプライチェーン構築支援事業は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、浮体式洋上風力発電設備の国内製造サプライチェーンを世界に先駆けて構築するための設備投資支援です。GX経済移行債を財源にしているので、単年度の補助金とはスケールが全然違う。
2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、政府が最大20兆円規模で発行する国債です。その財源を使って、浮体式洋上風力・ペロブスカイト太陽電池・水電解装置・燃料電池など、GXに不可欠な分野の国内製造基盤を一気に整備しようとしています。
日本の地形上の問題です。欧州で主流の「着床式」は海底に基礎を固定するんですが、日本周辺の海域は水深が急激に深くなるので、着床式を設置できる海域が限られている。水深50メートル以上の海域でも設置できる浮体式が、日本では主力技術になるわけです。政府は2040年までに洋上風力30〜45GWの導入を目標にしていて、その中核が浮体式なんです。
なるほど!じゃあ今後の市場規模って相当大きくなりそうですね。補助金の対象はどんな企業なんですか?
GXサプライチェーン補助金 補助率一覧
業種制限はほとんどなくて、製造業・建設業・電気ガス業・情報通信業まで、幅広い業種の法人が対象です。従業員数の制約もなし。ただ、要件がいくつかあって、日本国内に登記された法人で、国内に事業実施場所を持っていること、それから温室効果ガス排出削減の取組を実施することが求められています。
できます!中小企業の定義は、製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下です。で、重要なのが補助率の違いで、中小企業の方が有利な補助率が設定されています。
温室効果ガスの削減取組ってどんなことをすればいいんですか?
2025年度以前の排出実績については、Scope1(自社排出)・Scope2(他社供給の電力等の使用)に関する排出削減目標を2030年度について設定して、年次で報告・公表することが基本です。ただし、2022年度のCO2排出量が20万トン未満の企業や中小企業については、その他の温室効果ガス削減取組の提出で代えることができます。
小さい会社はハードルが下がるんですね。じゃあ補助額はどうなってるんですか?次のセクションで補助率を詳しく教えてください。
そうなんです。ざっくり言うと2段階あって、「原則」と「GX実現に向けた野心的な取組」で補助率が変わります。
| 企業区分 | 原則補助率 | GX野心的取組の場合 |
|---|
| 大企業 | 1/3以内 | 1/2以内 |
| 中小企業等 | 1/2以内 | 2/3以内 |
2つの要件を両方満たした場合に適用されます。まず、生産する製品の商用目的の生産設備が国内のいずれにも存在しないこと。つまり国内で誰も作っていない製品ですね。それから、当該製品の市場投入の時期・量・性能等において、諸外国との関係で国際競争力を十分に有すると認められること。浮体式洋上風力の多くのコンポーネントはまさにこれに該当する可能性が高いです。
補助上限額はなしです。これが他の補助金と決定的に違う点で、数十億・数百億円規模の大型設備投資でも、補助対象経費の実額に補助率を掛けた金額が支給されます。ただし、審査の結果、申請した補助率を下回る可能性もあるので注意が必要です。
上限なし!それは本当にビッグですね。共同申請の場合はどうなりますか?
共同申請の補助率は、申請企業の組み合わせで決まります。大企業同士・中小企業と大企業の組み合わせは大企業の補助率が適用されます。中小企業とリース会社の共同申請は中小企業の補助率が適用される特例があります。中小企業同士なら中小企業の補助率です。事業計画の組み方によって有利な申請ができるので、リース会社の活用も検討する価値がありますよ。
公募要領の表1に具体的な製品品目が列挙されています。浮体式洋上風力発電設備に必要なサプライチェーン全体が対象なんです。
| 製品品目 | 概要 |
|---|
| ブレード | 風車の回転する羽根(原材料・中間材も含む) |
| タワー | ナセル等を必要な高さに支えるもの |
| ナセル | 動力伝達軸、ブレーキ装置、発電機等とその外殻 |
| 軸受 | ブレードを支える軸受、ヨー制御装置の軸受 |
| 発電機 | 風車ロータの回転力を受けて電力を発生するもの |
| 増速機 | 主軸の回転速度を増速して動力伝達するもの |
| 制御装置 | 風車の運転を制限内に保つよう調整するもの |
| 電力変換装置 | 交直変換・電圧調整・遮断器等 |
| ハブ | 翼をロータ軸に固定するもの |
| 係留索・係留チェーン | 海底に繋ぎとめ位置を保持するロープ等 |
| アンカー | 係留索・チェーンを海底に繋ぎとめるもの |
| 浮体基礎 | タワーを支え、洋上で浮かぶもの |
そうです。ただし重要な注意点があって、各製品品目の完成品を対象とするという条件があります。例えば浮体基礎を構成する「一部材のみ」を生産する場合は対象外になります。また、各部材を含む「上位コンポーネント」を製造する事業も補助対象です。
なるほど、部品の部品だけを作っても対象外になる場合があるんですね。補助対象の経費は何ですか?
4種類あります。設計費・建物等取得費・設備費・システム整備費です。設備費が一番メインで、機械装置の購入・製造・改造費、それに附帯工事費が含まれます。補助対象外になる経費も明確で、土地取得費・外構工事費・環境アセスメント費用・消費税・飲食費などは対象外です。
設備を買うだけじゃなくて、工場の建物も対象なんですね。じゃあ申請の流れを教えてください。
GXサプライチェーン補助金 申請スケジュール
令和8年5月12日が締切ですよね。もう迫ってきてますね!
そうです、かなりタイトです。公募要領はVer.4.0(令和8年4月23日更新)まで改訂が入っていますから、必ず最新版を確認することが大事です。
この規模の補助金なので当然といえば当然ですね。しかも「企業の代表権を有する者」が必ず対面で出席しないといけません。書面審査を通過しなければ面接に呼ばれないので、まず書面で基本的要件を満たしていることを示すのが最初のハードルです。
採択されたら、どのくらいの製造能力が求められるんですか?
公募要領の表2に具体的な数字が示されています。2030年度(令和12年度)までに達成すべき年間製造能力の最低水準がこちらです。
| 製品品目 | 年間製造能力の最低水準 |
|---|
| ブレード | 100基分/年 |
| タワー | 30基分/年 |
| ナセル | 100基分/年 |
| 軸受 | 100基分/年 |
| 発電機 | 100基分/年 |
| 増速機 | 100基分/年 |
| 制御装置 | 100基分/年 |
| 電力変換装置 | 100基分/年 |
| ハブ | 100基分/年 |
| 係留索・係留チェーン | 30基分/年 |
| アンカー | 30基分/年 |
| 浮体基礎 | 20基分/年 |
浮体基礎は20基分/年でタワーは30基分/年か。これは既存の製造能力も合算した数字ですか?
そうです。既存の製造能力も含んだ、間接補助事業実施後の総製造能力で見ます。ですから全くゼロから始める場合は20〜100基分/年を新たに確保しなければなりませんが、すでに関連設備を持っている企業なら、差分の投資で目標に届くケースもあります。
こういった目標値と事業計画の整合性を審査で見られるんですね。次は採択のポイントを教えてください。
- 基本的事項の審査 — 事業目的との合致・適格性・経営層コミット(必須)・財務健全性(必須)
- 間接補助事業の実現性 — 製造設備の内容・規模・スケジュール(必須)・公正な移行への取組・リスク対応
- 産業競争力強化への貢献 — グリーン市場獲得戦略・需要家を巻き込む努力(必須)・野心的な目標・情報管理体制(必須)・経済波及効果(必須)
- 排出削減への貢献 — 国内CO2排出削減効果(必須)・GX製品社会実装への貢献(加点)
- 民間のみでは投資困難な事業 — 経済的基準(必須)・技術的基準(必須)・その他定性的基準(加点)
- 人材確保への取組 — 賃上げ等の取組(必須)・従業員の賃金引上げ計画の表明(加点)・WLB推進(加点)
必須項目が多い!落とし穴になりそうな審査ポイントはどこですか?
経営層のコミットメントは要チェックです。「経営者自身が深く関与することで、機動的・継続的に経営資源を投入するための組織体制が構築されているか」と「経営戦略の中核に位置づけられ、幅広いステークホルダーへの情報発信を予定しているか」の2点が問われます。社長が面接に出てくること自体が、このコミットの証明になります。
採択されやすい事業計画ってどんな特徴がありますか?
- 「誰も作っていない」を証明する — 補助率引き上げの条件でもあり、審査でも高評価。国内外の競合製造者の状況を調査・整理して、自社製品の国内唯一性を示す
- 需要家との連携計画を具体的に — 洋上風力開発事業者やEPCコントラクターとの契約見込み・MOU等があれば強力な証拠になる。需要見通しが不明確な投資計画は採択されにくい
- 造船所・鉄鋼工場の「転換」ストーリーを活用 — 既存インフラを浮体製造に転換するケースは、初期投資効率・雇用維持・地域経済への波及効果の観点で高く評価される
「民間のみでは投資困難」という審査基準も気になりますよね。
これは実は重要なポイントで、補助を前提としない場合にIRR(内部収益率)や投資回収期間が投資判断に至る水準に達しないことを示す必要があります。だから、補助なしでは採算が取れないほど大規模・先進的な投資計画であることが有利です。過度に「採算が取れる」と主張してしまうと、むしろ「補助金なくてもできるでしょ」と見なされるリスクがあります。
補助金の交付決定前に発注(発注先への内示も含む)・購入・契約を行った経費は、原則として補助対象外となります。「事前着手届出」(補助金ID:66650)を活用すれば例外的に交付決定前着手が認められますが、受理されなかった場合は一切補助対象外です。
はい、本件と同時期に「
事前着手届出(補助金ID:66650)」という別の公募が出ています。これは、採択決定前にどうしても事業に着手しなければならない場合の特例です。例えば、造船ドックの工事を特定の時期に始めなければならないなど、緊急性・必要性が高いケースで利用します。ただし事前着手が認められても、採択されなければ補助金は受け取れません。
補助対象外の経費で他に注意すべきものはありますか?
土地取得費・外構工事費・環境アセスメント費用・汎用事務機器(PCやプリンター)・既存設備の撤去費・予備品の購入費などが補助対象外です。また、消費税も補助対象外です。リース会社を使う場合は、手数料や保険料はリース料から除外して計算する必要があります。交付申請時には原則として全ての補助対象経費について3者見積が必要なので、事前に見積業者を選定しておくことをお勧めします。
同じGXサプライチェーン事業でも、他の製品を対象にした補助金もあるんですか?
あります!GXサプライチェーン構築支援事業は複数の事業区分で構成されています。本記事が対象とする事業Ⅰの浮体式洋上風力以外に、以下があります。
| 事業区分 | 対象製品 | 補助金ページ |
|---|
| 事業Ⅱ(ペロブスカイト太陽電池タンデム型) | ペロブスカイト太陽電池 | 補助金詳細 |
| 事業Ⅱ(ペロブスカイト太陽電池フィルム型) | ペロブスカイト太陽電池 | 補助金詳細 |
| 事業Ⅲ(洋上風力・令和7年度) | 浮体式洋上風力(令和7年度版) | 補助金詳細 |
令和7年度のGXサプライチェーン事業(事業Ⅲ)は、令和7年度本予算を財源にした先行の補助金です。今回の令和7年度補正は、補正予算(予算規模約833億円)を財源にした新たな公募です。重複申請の禁止規定があって、令和6年度第二回公募や令和7年度事業Ⅲで採択実績のある間接補助事業と同一と判断される場合は、本事業に応募できません。
同じ設備投資計画で二重に申請はできないんですね。最後にまとめの情報と基本情報テーブルを教えてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和7年度補正 GXサプライチェーン構築支援事業(事業Ⅰ:浮体式等洋上風力発電設備) |
| 実施機関 | GXSC補助金事務局(経済産業省) |
| 予算規模 | 約833億円(事業全体、令和11年度までの国庫債務負担含む) |
| 補助率(大企業) | 原則1/3以内、GX野心的取組の場合1/2以内 |
| 補助率(中小企業等) | 原則1/2以内、GX野心的取組の場合2/3以内 |
| 補助上限額 | なし |
| 公募開始 | 令和8年(2026年)3月27日 |
| 公募締切 | 令和8年(2026年)5月12日(火)正午 |
| 採択先公表 | 令和8年(2026年)6月下旬頃(予定) |
| 交付申請期限 | 令和8年(2026年)8月31日 |
| 事業完了期限 | 令和11年(2029年)12月31日 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請のみ) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 業種制限なし(法人) |
| 公式サイト | 2026.gxsc-hojo.jp |
| 問い合わせ | GXSC補助金事務局フォーム(平日対応) |
| Jグランツ | www.jgrants-portal.go.jp |
重複申請禁止!以下の事業で採択済みの場合は申請不可
- 令和6年度 GXサプライチェーン構築支援事業 第二回公募(製品: 浮体式等洋上風力発電設備)
- 令和7年度 GXサプライチェーン構築支援事業 事業Ⅲ(製品: 浮体式等洋上風力発電設備)
浮体式洋上風力の「部品」を製造する中小企業も対象になりますか?
なります!サプライチェーン全体の構築を目的としているので、浮体構造物本体だけでなく、係留部品・電気部品・鋼材加工等の部品・素材メーカーも対象です。ただし「各製品品目の完成品を製造すること」が条件なので、完成品を構成する一部材のみを生産するケースは対象外になります。中小企業を含む幅広い製造業の参入が期待されています。
補助上限額は「なし」です!大企業は原則1/3以内(GX野心的取組なら1/2以内)、中小企業等は原則1/2以内(同2/3以内)です。数百億円規模の設備投資でも、補助対象経費の実額に補助率を掛けた額がそのまま支給されます。ただし審査結果によって申請補助率を下回る可能性があります。
造船所を浮体式洋上風力の製造拠点に転換する計画は対象ですか?
非常に歓迎されるケースです!浮体式洋上風力の浮体構造物は大型鋼構造物で、造船所の技術・設備・人材との親和性が極めて高い。既存造船所の転換・活用による製造拠点構築は、本事業の趣旨に合致する典型的なケースですし、審査でも「既存産業基盤の活用」として評価されます。
本公募は「応募申請」で、補助金の交付を受けるための正式な申請手続きです。「
事前着手届出(補助金ID:66650)」は、採択決定前に事業に着手する必要がある場合の特例届出です。緊急性・必要性が高いと事務局に認められた場合、届出に記載の「事前着手開始日として認める日」以降に発生した経費が補助対象になります。
GXSC補助金事務局の
Googleフォームで受け付けています。平日対応です。大型投資案件なので、事業計画の方向性や要件適合性について早めに相談することが採択率向上につながります。公募要領も定期的に更新(現在Ver.4.0)されているので、
GXSC公式サイトで最新版を確認してください。
たくさん教えていただいてありがとうございます!これは造船業・鉄鋼業・機械メーカーにとって本当に大きなチャンスですね。
そうですね。浮体式洋上風力は2030年代に市場が急拡大する見込みで、今まさに製造基盤を確立できるかどうかが国際競争力を左右します。日本の造船・鉄鋼・機械加工の技術を持つ企業にとって、事業転換や新規参入の絶好の機会です。公募締切は令和8年5月12日正午と迫っていますので、
JグランツでのGビズID取得から始めてください!
浮体式洋上風力の製造拠点として注目度が高い地域の補助金情報もご参照ください。