室谷さん、宮崎で中小企業をやってる知人から「補助金って何から始めればいいかわからない」って相談されたんですけど、宮崎って独特の産業構造がありますよね?
そうなんですよ。宮崎って農業・畜産・食品加工・観光が主力で、いわゆる「製造業」の経営者が少ない分、補助金情報がその人たちに届きにくい構造があるんですよね。
えっ、宮崎の農業法人とか食品加工業者でも、ものづくり補助金を使えるんですか?
使えるケースが多いですよ!製造プロセスが伴う設備投資ならほぼ対象になります。宮崎マンゴーの1次加工から2次加工への転換、観光施設のDX化、食品工場の省エネ設備導入、宮崎牛の直販EC立ち上げのためのシステム投資……みんな実際の採択事例があります。
じゃあ「自分が製造業かどうか迷う」っていう人もいそうですね。
そこが一番の問題なんです。「うちは農業だから関係ない」って思い込んで申請すらしない事業者さんが宮崎は多い。宮崎商工会議所の経営指導員に相談すれば、申請可否を一緒に判断してもらえますから、迷ったら行ってみてほしいです。
なるほど!宮崎での補助金探しはどこを起点にするのが早いんですか?
3ラインを同時に当たるのが定石です。宮崎県商工政策課が「中小企業のための支援事業案内」を毎年更新していて、業種・規模・用途別に使える補助が整理されています。2025年版は2025年9月に更新されていて、事業承継、販路開拓、人材育成、融資制度まで網羅されています。
宮崎商工会議所と宮崎市産業振興課ですね。商工会議所は持続化補助金など国の補助金の窓口でもあって、申請書類の作成サポートが受けられます。宮崎市の企業支援制度集は補助金だけじゃなく融資・信用保証料補助も含まれているので、資金調達全体の設計に使えます。
宮崎県の中小企業向け補助金 全体マップ
じゃあ実際に宮崎の中小企業が使える補助金って、どんなものがあるんですか?
大きく「国の制度」と「宮崎県・宮崎市の独自制度」の2層で考えると整理しやすいです。国の補助金は全国の中小企業が対象で、宮崎の中小企業も普通に申請できます。
一番ベースになるのはものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)ですね。補助上限は最大4,000万円、補助率は1/2もしくは2/3です。
4,000万!かなり大きいですね。宮崎の食品加工業とかでも使えますか?
バリバリ使えます。現在は第19次(締切2026年9月28日)、第20次(締切2026年12月28日)、第21次(締切2027年3月23日)と3つの公募が同時進行しているので、準備が間に合いやすいタイミングです。
ものづくり補助金(21次)の詳細はこちらでも確認できます。
そうなんですよ(笑)。次に事業再構築補助金。こちらはもっと大型で、第13回公募では成長分野進出枠が最大7,000万円、GX進出類型は最大1億5,000万円まで出ます。
1億5,000万!それはすごいですね。宮崎で事業再構築補助金を使うとしたらどんな場面ですか?
宮崎で多いのは、農業・畜産から加工・直販への転換、観光業からインバウンド向け体験型サービスへの転換、食品加工から機能性食品・健康食品ブランドへの参入あたりですね。「今の事業と全然違う分野に挑戦する」のが要件なので、宮崎の産業構造的にチャンスが多いです。
事業再構築補助金(第13回)の詳細はこちら。
なるほど。ほかにも代表的な国の補助金はありますか?
賃上げと設備投資を同時にやるなら業務改善助成金(厚生労働省)が使いやすいですよ。事業場内の最低賃金を30円以上引き上げて、設備投資やIT導入を行った場合に費用の3/4〜4/5が助成されます。上限は最大600万円。
中小企業の賃上げを国が本気で後押しする制度なので、補助率が高いんです。「給料上げてあげたいけど設備もほしい」という経営者には一石二鳥の使い方ができます。
業務改善助成金の詳細はこちら。
宮崎って農業や食品が多いから、そっち系の補助金もありますか?
ありますよ!
フードテックビジネス実証・実装事業(農林水産省)は補助上限2,000万円、補助率1/2以内で、代替タンパク質・スマート養殖・AI活用食品開発など先端的な食関連技術の事業化を支援します。宮崎の強みである農業・水産・畜産を活かした新商品開発に直接使える補助金で、2026年5月8日が締切です。
詳細はこちら。
宮崎の食品産業にドンピシャな補助金ですね(笑)。宮崎には観光業も多いですよね。そっち向けの補助金はありますか?
ユニバーサルツーリズム促進事業(観光庁)は、宿泊施設のバリアフリー改修、交通事業者のユニバーサルデザイン対応、観光施設の情報バリアフリー化を支援する国の補助金で、2026年5月15日が締切です。宮崎の日南海岸、高千穂峡、えびの高原などのリゾート施設を運営する事業者に使える補助金ですね。
詳細はこちら。
宮崎県中小企業支援の申請フロー
宮崎県独自の補助金って、国の補助金と比べてどんな違いがあるんですか?
国の補助金は全国競争なので採択率が40〜60%程度になりやすい。県独自の補助金は競合相手が宮崎県内だけに限られるので、場合によっては採択率が高くなります。
そうなんです。宮崎県の支援事業案内2025では、事業承継・引継ぎ支援、地域資源高付加価値化ビジネス総合支援事業、みやざきLFP強化支援事業、環境イノベーション支援事業、脱炭素化技術研究開発支援事業など多様なメニューが載っています。特に「農林水産物を活用した商品開発」に特化したセクションが充実しているのが宮崎らしい特色です。
宮崎県が設置した食品開発・試験施設で、宮崎の中小企業が食品の機能性分析や安全性試験を使えます。補助金を使って設備開発した新商品の品質評価に活用する事業者が多いです。おいしさ・リサーチラボも同様の施設で、専門家に食品の風味分析を依頼できます。
補助金と組み合わせて使えるんですね。宮崎市独自の支援もあるんですか?
あります。宮崎市は毎年「企業支援制度集」を更新していて、補助金・融資・信用保証料補助・税優遇が網羅されています。市内に事業所を持つ中小企業向けの低利融資は特に手厚いです。
国の補助金と県の補助金と市の補助金を組み合わせることってできるんですか?
できますよ!ものづくり補助金で設備投資して、業務改善助成金で賃上げして、さらに市の低利融資で資金繰りを補うという三段重ね的な使い方をする事業者さんは実際にいます。ただ、同じ設備投資に複数の補助金を重ねることは原則できないので、用途を分けて申請するのがコツです。
重複できないケースがあるんですね。それは気をつけないといけない。
ここを知らずにダブルで申請して後で指摘されるケースが実際あるんです。申請前に商工会議所の経営指導員に確認するのが一番確実です。
- 同一の設備・経費には原則として複数の補助金を重複申請できない
- 国の補助金と県の補助金でも対象経費が同じなら重複不可
- 「申請」は問題ないが「受給」が重複するとペナルティの対象になる
- 疑問があれば各補助金の事務局・商工会議所に事前確認を
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 対象 | 現在の状態 |
|---|
| ものづくり補助金(19次) | 4,000万円 | 1/2〜2/3 | 設備投資・革新的サービス開発 | 公募中(2026年9月28日締切) |
| ものづくり補助金(20次) | 3,500万円 | 1/2〜2/3 | 設備投資・革新的サービス開発 | 公募中(2026年12月28日締切) |
| ものづくり補助金(21次) | 4,000万円 | 1/2〜2/3 | 設備投資・革新的サービス開発 | 公募中(2027年3月23日締切) |
| 事業再構築補助金(第13回成長分野) | 7,000万円 | 規模による | 新分野・業態転換 | 交付申請受付中 |
| 事業再構築補助金(第13回GX類型) | 1億5,000万円 | 規模による | GX分野への事業転換 | 交付申請受付中 |
| 業務改善助成金(令和7年度) | 600万円 | 3/4〜4/5 | 賃上げ+設備投資 | 終了(令和8年度分は2026年秋以降) |
| フードテックビジネス実証事業 | 2,000万円 | 1/2 | 食関連技術の事業化 | 公募中(2026年5月8日締切) |
| ユニバーサルツーリズム促進事業 | 要問合せ | 要問合せ | バリアフリー観光施設整備 | 公募中(2026年5月15日締切) |
| INPIT外国出願補助金(令和8年度) | 50万円 | 1/2 | 海外特許・商標出願 | 公募中(2026年12月14日締切) |
| 事業承継・M&A補助金(14次) | 2,000万円 | 規模による | 事業承継・M&A | 次回公募準備中 |
宮崎の農業系・食品加工系・観光系で、それぞれ「ここを狙え」みたいなポイントはありますか?
業種によって全然違うので整理しましょうか。農業・農産品加工なら、フードテック実証事業は宮崎の農業者に相性が良くて、1次加工から機能性食品への転換、スマート農業の実装に使いやすいです。
宮崎マンゴーをブランド化してGI取得した農家とかも補助金を使うんですか?
使います。外貨を稼ぐ食品開発・取引拡大推進事業(県の補助)は輸出向け食品ブランドの開発支援で、宮崎マンゴーの海外EC展開を検討している農業法人に複数の相談が来ていると聞いています。INPIT外国出願補助金で商標の海外出願を保護する組み合わせも有効ですね。
観光は2026年のトレンドがユニバーサルツーリズムとインバウンド対応なんです。ユニバーサルツーリズム促進事業は補助金を使ってバリアフリー設備を整えつつ、国内シニア市場と訪日外国人の両方を取りに行ける。宮崎の日南カナダイナコーストや高千穂峡で外国人観光客が増えているので、タイミングとしては今が一番おいしい時期だと思います。
ほんとうですか!インバウンドで宮崎が注目されてるんですね。
宮崎空港の国際線が戻ってきているので、アジア圏からの観光客への対応を今から整備している宿泊施設や体験施設は多いですよ。事業再構築補助金のGX進出類型を使って施設のEV充電設備整備と脱炭素の訴求を同時にやる宿泊施設も出てきています。
製造業の人はどうですか?宮崎って製造業は少ないイメージですけど。
宮崎は製造業の集積は少ないけど、宮崎県北部を中心に半導体・電子部品メーカーが進出してきているんです。みやざき半導体関連産業人材育成コンソーシアムが動いていて、半導体サプライチェーンに参入しようとしている中小製造業者には国の成長投資補助金や地域の人材育成補助金を組み合わせるのが鍵になってきています。
実際に申請するとき、何から手をつければいいですか?
まず絶対にやっておいてほしいのがGビズIDの取得です。ものづくり補助金も事業再構築補助金も、原則GビズIDが必要になっているので、申請締切の1ヶ月前には取得完了しておいてほしいです。
法人・個人事業主が各種行政申請をオンラインでできるID認証システムです。印鑑証明書と印鑑が必要で、郵送のやりとりがあるので取得に2〜3週間かかることがあります。「補助金を申請しよう!」と思い立ってからGビズIDを申請しても締切に間に合わないケースが毎回出るんですよ(笑)。
宮崎の事業者さんで多いのが、公募要領を読んで「自分には申請できる」と思ったのに、GビズIDがなくて間に合わなかったパターンなんです。
- 法人番号または個人事業主番号の確認
- 印鑑証明書の取得(発行後3ヶ月以内のもの)
- GビズIDプライム申請(gBizID公式サイトから)
- 審査・発行まで目安2〜3週間(余裕を持って1ヶ月前に着手)
- 宮崎商工会議所でもGビズID取得の相談ができる
ものづくり補助金は「事業計画書」の作り込みが採択を左右します。単に「設備を買いたい」では通りません。「この設備投資によって生産性がどう向上するか」「賃上げにどうつながるか」を数字で示す必要があります。宮崎商工会議所には経営指導員が常駐していて無料で相談できるので、最低でも2回は相談に行くことをおすすめします。
最初の相談で「こういう投資を考えている」と話して、指導員からフィードバックをもらって事業計画書のドラフトを作る。それを持って2回目の相談に行って赤入れをしてもらう。この2ステップが採択率を大きく上げます。ざっくり採択率で言うと、指導員相談ありで2〜3割程度採択率が変わるとも言われています。
宮崎商工会議所または県よろず支援拠点に相談(初回)
申請したい補助金の公募要領を最初から読む(抜粋NG)
事業計画書のドラフトを作成し、指導員に再相談(2回目)
採択後は交付決定が下りるまで原則発注・契約しない(先行発注は補助対象外)
宮崎って事業承継が課題だって聞いたことがあるんですが、補助金はありますか?
宮崎県は中小企業の経営者の高齢化と後継者不在が深刻で、事業承継・M&A補助金(経済産業省)が重要な選択肢になっています。14次公募は上限2,000万円で、専門家(M&Aアドバイザー等)への費用が対象です。
事業再構築補助金の廃業・再チャレンジ類型では、既存事業を整理しながら新事業に参入するケースで廃業費も一部補助対象になります。「後継者がいないから廃業するしかない」と諦める前に、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターに無料相談するのが先決です。
宮崎市の中心部にあって、M&A支援も含めて無料相談ができます。仮に後継者が見つかった場合でも、その後の設備刷新にものづくり補助金を使うという流れができることもある。
| 窓口名 | 対応内容 | URL・連絡先 |
|---|
| 宮崎商工会議所 | 持続化補助金相談・経営指導 | miyazaki-cci.or.jp/miyazaki |
| 宮崎県商工政策課 | 支援事業案内、県独自補助金 | pref.miyazaki.lg.jp |
| 宮崎県よろず支援拠点 | 何でも無料経営相談 | 宮崎市中心部 |
| 宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター | 事業承継・M&A無料相談 | miyazaki-hikitsugi.go.jp |
| 宮崎県中小企業活性化協議会 | 経営改善・再生支援 | miyazaki-kyogikai.go.jp |
| ひなたイノベーションハブ | 新技術・新事業の創出支援 | mepo.or.jp |
宮崎って意外とサポート体制が充実しているんですね!
そうなんですよ。「田舎だから情報が入ってこない」はもう言い訳にならない時代で、よろず支援拠点は完全無料で何でも相談できるので、補助金の起点としてとにかく活用してほしいです。
宮崎の強みは農業・食品・観光の地域資源が豊富なことと、県・商工会議所・市が中小企業支援に本気であることです。ものづくり補助金は宮崎全体でも毎回100件以上の採択実績がある。「どうせ都市部の企業が有利」と思わずに、宮崎ならではの事業計画書を書いて挑戦してほしいと思います。
- まずGビズIDの取得申請を開始する
- 宮崎商工会議所に「補助金の相談をしたい」と電話またはメールで予約する
- 宮崎県商工政策課の支援事業案内2025(PDF)をダウンロードして自社の課題に合うカテゴリを探す
- 「事業承継が課題」なら宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターに先に連絡する