佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

室谷さん、業務改善助成金って最近よく名前を聞くんですけど、一言で言うとどんな制度ですか?
室谷

室谷

代表取締役

シンプルに言うと、「従業員の賃金を上げたら、そのための設備投資を国が補助してくれる」制度です。最低賃金を30円以上引き上げることを条件に、生産性向上のための機械導入やITシステム投資にかかった費用を最大600万円まで助成してもらえます。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

あ、「賃上げしたら補助金が出る」ってことですか。珍しい仕組みですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。普通の補助金は「設備を買えば補助します」という設計ですが、この制度は「賃金を上げること」が先にある。最低賃金引上げと生産性向上をセットで実現させたいという厚生労働省の意図が込められた制度です。助成率も3/4から4/5と非常に高いので、中小企業にとっては賃上げの後押しとして使いやすいです。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

令和7年度版なんですね。ステータスが「受付終了」になってましたが、来年度も続くんですか?
室谷

室谷

代表取締役

業務改善助成金は毎年継続して実施されている制度です。令和7年度の公募は受付終了していますが、例年春〜夏頃に翌年度分の受付が始まります。最低賃金の引上げは国の重要政策なので、当面は継続される見通しです。来年度に向けた準備は今から始めておく価値があります。

4つのコースと助成上限額

佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

「コース」があると聞きました。違いは何ですか?
室谷

室谷

代表取締役

賃金をいくら引き上げるかによって、30円・45円・60円・90円の4コースに分かれています。引上げ額が大きいほど、もらえる助成金の上限額も高くなります。さらに、引き上げる対象者の人数によっても上限が変わります。表で整理しますね。
コース対象人数30人未満事業者その他事業者
30円コース1人60万円30万円
30円コース2〜3人90万円50万円
30円コース4〜6人100万円70万円
30円コース7〜9人120万円100万円
30円コース10人以上130万円120万円
45円コース1人80万円45万円
45円コース2〜3人110万円70万円
45円コース4〜6人140万円100万円
45円コース7〜9人160万円150万円
45円コース10人以上180万円180万円
60円コース1人110万円60万円
60円コース2〜3人160万円90万円
60円コース4〜6人190万円150万円
60円コース7〜9人230万円230万円
60円コース10人以上300万円300万円
90円コース1人170万円90万円
90円コース2〜3人240万円150万円
90円コース4〜6人290万円270万円
90円コース7〜9人450万円450万円
90円コース10人以上600万円600万円
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

90円コースで10人以上なら600万円!それはかなり大きいですね。
室谷

室谷

代表取締役

最大値は600万円です。ただ、これは「90円引き上げて10人以上が対象になる」という条件が必要です。実務的には30円〜45円コースで2〜5人程度を対象にするケースが最多です。それでも100万円前後の助成が見込めます。小規模な飲食店や介護事業所でも十分使える制度です。

コース選択のポイント

「30円コースで多人数」と「60円コースで少人数」では助成額が同程度になるケースがあります。自社の賃金体系と照らし合わせて、無理なく実現できる引上げ幅とコストを試算してから申請コースを選びましょう。

助成率はいつ4/5になるか

佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

助成率が「3/4〜4/5」とあるんですが、どっちになるかはどうやって決まるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

決め手は自社の「事業場内最低賃金」が1,000円以上かどうかです。事業場内最低賃金とは、事業所で実際に払っている最も低い時給のことです。それが1,000円未満なら助成率4/5(80%)、1,000円以上なら3/4(75%)になります。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

つまり、低賃金の事業者ほど手厚く支援される仕組みなんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。それと、もう一つ4/5になるケースがあります。物価高騰等要件といって、直近3か月の任意の1か月の利益率が前年同期比で3ポイント以上低下している場合も対象になります。昨今のエネルギー高・原材料高で利益が圧迫されている事業者も、高い助成率で申請できる可能性があります。

「事業場内最低賃金」と「地域別最低賃金」は別物

申請要件として「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内」であることが必要です。すでに地域の最低賃金を大幅に超えた賃金を払っている事業者は、制度の対象外になります。自社の実態を確認してから準備を進めてください。

何に使えるか、対象経費の全体像

佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

助成金はどんな経費に使えますか?
室谷

室谷

代表取締役

大前提として「生産性向上に資する」ものである必要があります。業務を効率化したり、品質を上げたりする投資が対象です。代表的なものを挙げると、機械装置・工具の購入、POSシステムや在庫管理ソフトなどのIT投資、国家資格者によるコンサルティング、従業員への教育訓練などが含まれます。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

車とかパソコンはどうですか?
室谷

室谷

代表取締役

通常は対象外です。ただ、特例事業者に該当する場合は範囲が広がります。事業場内最低賃金が1,000円未満の事業者か、物価高騰等要件に該当する事業者であれば、定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車、貨物自動車、パソコン・スマートフォン・タブレットなども対象経費に加わります。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

介護の事業所が送迎車を買い替えるケースとか、ピッタリですね。
室谷

室谷

代表取締役

まさにそうです。厚労省の活用事例集にも、介護施設がリフト付き特殊車両を導入して身体的負担を減らした事例、飲食店がPOSレジを入れて在庫管理を効率化した事例などが掲載されています。「賃上げしたから生産性向上投資をする」というストーリーが明確であることが審査のポイントです。

よく通る経費の具体例

「POSレジシステム導入による在庫管理の省力化」「業務フロー見直しを目的としたコンサルティング」「顧客管理システムの導入」「洗浄・調理機器の入れ替えによる調理時間短縮」といった、業務効率化との因果が明確な経費が通りやすいです。

申請の流れ

佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

実際の申請はどう進めるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

5つのステップで進みます。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

「交付決定前に契約してはいけない」は要注意ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そこを誤る方が非常に多いです。申請書を出した時点でもう設備発注してしまうケース。「申請 ≠ 交付決定」であることを必ず覚えておいてください。交付決定通知書が手元に届いてから動き出すのが鉄則です。

不支給になりやすいケース

佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

申請したのに受け取れないパターンはありますか?
室谷

室谷

代表取締役

主に3パターンです。一つ目は書類の不備。添付書類の漏れや記載ミスは厚労省が公式に注意喚起しているほど多発しています。二つ目は交付決定前の先行発注・契約。これは問答無用で対象外です。三つ目は解雇や賃金引き下げなど不交付事由に該当するケース。助成金申請中に別の従業員を解雇したりすると受け取れなくなります。
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

三つ目はちょっと気をつけないといけませんね。
室谷

室谷

代表取締役

特に中小企業では、人員整理と設備投資が同時期に走ることがあります。業務改善助成金の申請期間中は、人事面でのネガティブアクションを避けるか、申請タイミングを慎重にずらす必要があります。不安な点は都道府県労働局か、専用コールセンター(0120-366-440)に事前に相談するのがベストです。

似た制度との比較

佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」と何が違うんですか?
室谷

室谷

代表取締役

整理すると大きく3点違います。
補助金名所管賃上げ要件補助率補助上限主な対象経費
業務改善助成金厚生労働省必須(事業場内最低賃金30円以上)3/4〜4/5600万円設備・IT・コンサル
IT導入補助金経済産業省任意(賃上げで加点)1/2〜3/4450万円ITツール・ソフトウェア
ものづくり補助金経済産業省必須(給与支給総額+1.5%等)1/2〜2/3750〜1000万円機械・システム開発
キャリアアップ助成金厚生労働省なし(処遇改善が条件)定額80万円/人人材育成・処遇改善
佐藤

佐藤

補助金エージェント編集長

業務改善助成金だけ「補助率が高くて賃上げ必須」という独特の立ち位置なんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。「賃上げを既に検討している、あるいは最低賃金が低めの事業所」にとっては最もコスパの高い補助金の一つです。賃上げは経営者にとってリスクなので、それを後押しするための高い補助率になっています。IT導入補助金と違い、ITに限らず機械設備やコンサルティングも対象になるのも使いやすさの一因です。

よくある質問