山梨県中小企業向け補助金比較
室谷さん、うちの会社もそろそろ設備投資をしたいんですけど、補助金って実際どのくらいあるんですか?
山梨県内の中小企業が使える補助金・助成金って、国の制度と山梨県独自の制度を合わせると100件近くあるんですよ。知らずにいるのは本当にもったいない。
そうなんです。だから「どれが自分に合うか」を整理することが大事で。大きく分けると、設備投資・省力化向け、賃上げ支援向け、販路開拓・海外展開向け、事業承継向け、あとは山梨県独自の研究開発向けの5カテゴリになります。
カテゴリが5つあるってことは、会社の状況によって狙うべき補助金が変わってくるってことですよね。
まさに。今一番製造業の方に相談が多いのは、省力化投資補助金とものづくり補助金の組み合わせですね。人手不足に悩んでいる会社に刺さる制度が今年度はとくに充実しています。
| カテゴリ | 代表的な補助金 | 補助上限 | 補助率 |
|---|
| 設備投資・省力化 | ものづくり補助金(21次) | 4,000万円 | 1/2〜2/3 |
| 大規模設備投資 | 省力化等大規模成長投資補助金 | 50億円 | 1/3 |
| 賃上げ・生産性向上 | 業務改善助成金(令和7年度) | 600万円 | 3/4〜4/5 |
| 事業転換・新分野 | 事業再構築補助金(13次) | 1.5億円 | 要確認 |
| 海外展開・知財 | INPIT外国出願補助金(令和8年度) | 300万円 | 1/2 |
| 事業承継・M&A | 事業承継・M&A補助金(14次) | 1,000万円 | 2/3以内 |
| 山梨県独自(研究開発) | 新製品・新技術研究開発助成 | 100万円 | 2/3以内 |
| 山梨県独自(市場開拓) | 戦略的市場開拓支援事業(令和8年度) | 100万円 | 2/3以内 |
これだけ並ぶと、どこから手をつけていいかますます迷いそう(笑
それはあります(笑。でもコツがあって、まず「今年何に投資したいか」を決めてから補助金を探す順番が正解です。補助金ありきで事業計画を立てると、事業の方向性がブレるんですよね。
まず国の補助金から教えてもらえますか?規模が大きそうで気になります。
国の制度は採択件数も多いし、山梨県内からも毎年たくさんの会社が採択されていますよ。まず一番有名なのがものづくり補助金ですね。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり補助金って、製造業しか使えないイメージがあるんですが?
実はそれ、誤解が多いんです。ものづくり補助金は製造業だけじゃなくて、小売業でも飲食業でもサービス業でも使えます。「革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善のための設備投資」という定義が前提なので、業種は問わないんですよ。
え、そうなんですか!それは知らなかった。具体的にはどんな投資に使えるんですか?
工作機械の導入、省エネ設備の更新、ITシステムの構築、試作品の開発費用など、ざっくり「新しい取り組みのための設備投資」なら対象になります。補助上限は最大4,000万円、補助率は1/2か2/3です。
4,000万円!それは大きいですね。採択率はどのくらいですか?
直近の公募では採択率がざっくり40〜50%程度です。申請件数が多い制度なので、事業計画書の質が採否を分けます。認定経営革新等支援機関(認定支援機関)のチェックが必須なので、早めに商工会議所か中小企業診断士に相談するのが鉄則ですよ。詳しい申請要件は
ものづくり補助金のページをご確認ください。
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
さっき50億円の補助金があるって言ってましたけど、それってどんな制度ですか?
省力化等の大規模成長投資補助金ですね。これは中小企業向けとしては国内最大級の制度で、工場の新設・増設や大型設備の導入に使えます。補助上限50億円、補助率1/3以下。人手不足解消に向けた自動化ラインの構築とかに使っている会社が多いです。
実は中堅企業も対象に入っているんです。従業員数が2,000人未満の会社まで対象なので、山梨県内でも規模感のある製造業だと狙えるケースがあります。第5次公募が動いているので、投資規模が大きい会社はチェックしてみてください。詳細は
省力化等大規模成長投資補助金から確認できます。
業務改善助成金
賃上げしたいけど負担が重い、という声もよく聞くんですが、何か支援はありますか?
業務改善助成金はそこにピタリとはまります。事業場内で一番低い賃金を30円以上引き上げて、生産性向上の設備投資をすると、その費用の3/4〜4/5が助成される制度です。上限600万円で、助成率が業務系補助金の中でもかなり高い。
3/4〜4/5って、ほぼ全額出るってことですよね!
そうなんです(笑。たとえばPOSシステムを入れて業務効率化する、清掃業者がロボット掃除機を導入するとか、設備投資の内容が比較的柔軟に認められるのも人気の理由です。山梨県内の小規模な飲食店や小売業でも活用事例が多い制度ですよ。詳しくは
業務改善助成金のページをどうぞ。
事業再構築補助金
コロナ禍で話題になった事業再構築補助金は、まだ使えるんですか?
第13回の公募が動いています。新型コロナで打撃を受けた会社の新分野進出や業態転換を支援する制度で、補助上限は最大1.5億円です。ただ採択の審査は結構厳しくなっていて、単なる設備投資じゃなくて「事業の転換・再構築」という観点が求められます。
たとえば製造業から医療機器部品の新分野に参入するとか、飲食店がデリバリー専門の事業者へ転換するとか。GX(グリーントランスフォーメーション)進出類型もあって、脱炭素関連の事業転換にも使えます。山梨県内でも水素・燃料電池関連の産業が注目されているので、その方向性で申請する会社もありますね。詳細は
事業再構築補助金で確認できます。
賃上げに向けた省力化投資支援事業補助金
ありますよ。省力化投資支援事業補助金はカタログから選んだ省力化製品を導入する際に使える制度で、補助上限300万円、補助率1/2以内です。ものづくり補助金と違って事業計画書の負担が軽いのが特徴で、初めて補助金申請する会社にも向いています。
そうなんです。国の補助金は件数も多いので、自社にぴったりの制度を見つけるのが最初の関門ですよ。詳しくは
省力化投資支援事業補助金をご覧ください。
中小企業成長加速化補助金
100億円企業を目指す中小企業向けの補助金があると聞いたんですが?
中小企業成長加速化補助金ですね。補助上限5億円、補助率1/2以内というかなり大型の制度です。「100億宣言」をポータルに公表することが前提条件なので、高い成長目標を持つ会社向けです。第2次公募が動いていますよ。詳細は
中小企業成長加速化補助金から。
やっぱり山梨県ならではの補助金もあるんですよね?国の制度だけじゃないということで。
そう、ここが差別化ポイントです。山梨県や「やまなし産業支援機構(YISO)」が独自に運営している補助金・助成金があって、競争率が国の補助金より低いケースも多い。
戦略的市場開拓支援事業(やまなし産業支援機構)
山梨県が設立した公益財団法人で、県内中小企業の産業振興をミッションにしています。補助金の交付から専門家派遣まで、かなり幅広い支援をしているんですよ。
その中でも戦略的市場開拓支援事業はどんな制度ですか?
山梨県内に本社がある中小企業が、海外販路開拓や新事業展開、DX推進に取り組む費用を助成する制度です。補助上限100万円、補助率2/3以内で、令和8年度は2026年4月15日から5月29日までが応募期間でした。海外ECサイトの構築費、特許・商標の出願費用、市場調査費用なども対象になります。
100万円でも助かりますよね、特に中小企業にとっては。
採択件数は限られていますが、書類審査のみなのでプレゼン対策が不要です。要件さえ合えばコスパ高い制度ですよ。問い合わせはやまなし産業支援機構(TEL 055-243-1888)まで。
新製品・新技術研究開発助成事業
研究開発費用を助成してもらえる制度もあるんですか?
やまなし産業支援機構の新製品・新技術研究開発助成事業です。地域産業の技術高度化に繋がる新製品・新技術の研究開発に対して、最大100万円、補助率2/3以内で助成されます。採択件数が1件程度なので競争は激しいですが、ものづくり系の企業には知っておいてほしい制度です。
そうですね(笑。ただ、採択されると「やまなし産業支援機構の採択事業者」という実績にもなるので、次のステップへの信頼獲得にも繋がります。
次世代技術活用支援事業
AIやIoTを使いたい会社向けの補助金って、県内にありますか?
やまなし産業支援機構の次世代技術活用支援事業がそれに当たります。AI、IoT、ロボット、3Dプリンティング、ドローン、ブロックチェーンなど10種類の次世代技術を活用した事業に対して、上限200万円、補助率2/3以内で助成されます。
200万円で次世代技術の導入支援か。DXを進めたい会社にはいいですね。
採択件数は2件程度で、プレゼン審査もあります。ただ競合する国の補助金(IT導入補助金等)と違い、山梨県産業に特化した観点で評価されるので、地域密着型の取り組みをアピールできる会社には向いています。
山梨県・海外出願支援事業補助金(INPIT連携)
特許や商標を海外で取りたい場合はどうするんですか?
2段階で使える制度があります。まず山梨県の「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」で、上限300万円、補助率1/2。山梨県内に本社がある中小企業が外国で特許・実用新案・意匠・商標を出願する際の費用を半額助成してくれます。
別々の制度ですが、組み合わせはできないケースが多いので要確認です。INPITの外国出願補助金は上限300万円・補助率1/2で、令和8年度は第1回・第2回の公募が行われています。山梨県版は第2次公募の実績もあります。まずINPIT支援窓口(やまなし産業支援機構内)に相談するのがスムーズです。
INPIT外国出願補助金(令和8年度第2回)の詳細はこちらでご確認ください。
事業承継の悩みを抱えている経営者も多いと思うんですが、そっちの支援はどうですか?
山梨県は事業承継支援も充実しています。まず国の「事業承継・M&A補助金(14次公募)」は複数の枠があって、後継者不在の問題から専門家活用まで複数の枠でカバーしています。
事業承継促進枠は補助上限1,000万円、補助率2/3(小規模企業者)か1/2で、承継後の設備投資や販路開拓に使えます。親族内承継でも第三者承継でも対象になるので、多くの会社に当てはまります。PMI推進枠はM&A後の統合コスト、専門家活用枠はFA費用やM&A仲介費用に使えますよ。詳細は
事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)と
事業承継促進枠をご確認ください。
廃業を検討している会社向けの支援もあると聞きましたが?
廃業・再チャレンジ枠があります。M&Aで事業譲渡を試みたけど成約しなかった会社が廃業後に新事業に再チャレンジする際の費用を、最大300万円・補助率2/3で助成します。一度廃業してもそこで終わりじゃないという、とても前向きな制度ですよ。詳細は
廃業・再チャレンジ枠から。
山梨県中小企業補助金申請フロー
補助金って申請が大変そうで、どこから始めればいいかわからないんですが、山梨県内で相談できるところはありますか?
山梨県内には複数の相談窓口があって、無料で使えるところがほとんどです。まずはここから当たってみてください。
- やまなし産業支援機構(YISO) TEL 055-243-1888/甲府市(補助金全般・専門家派遣)
- 山梨県よろず支援拠点(YISO内) - 経営全般の無料相談・補助金申請サポート
- 山梨県商工会連合会 TEL 055-235-2115/商工会地区の小規模事業者向け
- 甲府商工会議所 TEL 055-233-2241/甲府市内の事業者向け
- 山梨県事業承継・引継ぎ支援センター(YISO内) - 後継者問題・M&A支援
最初にどこに行けばいいかというと、やっぱりよろず支援拠点ですかね?
そうですね。何を補助金で解決したいかがまだぼんやりしている段階なら、よろず支援拠点が一番相談しやすいです。事業の課題を整理した上で「この補助金が使えるかも」という話になります。ある程度方向性が決まっているなら、各補助金の事務局や認定支援機関(商工会議所・商工会・認定中小企業診断士)に直接相談する流れがスムーズです。
国が認定した専門家のことで、主に税理士、公認会計士、中小企業診断士、商工会議所・商工会などです。ものづくり補助金や事業再構築補助金は、認定支援機関の確認が必須なので、早めに関係を作っておくと後が楽ですよ。
補助金申請の全体ステップ
自社の課題・投資計画を整理する(何に使うか、いくら必要か)
補助金を探す(このページ、jGrantsポータル、YISO、商工会議所で情報収集)
GビズIDを取得する(国の補助金の電子申請に必要。事前に取っておく)
認定支援機関や専門家に相談し、事業計画書を作成する
公募期間内に電子申請(jGrantsポータル or 各補助金の申請システム)
交付決定後に事業を実施する(※交付決定前の着手は補助対象外)
補助金は原則「後払い(精算払い)」です。先に自己資金で設備を購入し、事業完了後に実績報告をして初めて補助金が振り込まれます。資金ショートを防ぐため、融資や自己資金との組み合わせを金融機関に相談しておきましょう。山梨県では政策公庫・商工中金のほか、山梨中央銀行など地元金融機関との連携相談も充実しています。
今日いろんな補助金を教えてもらいましたが、最終的に何から動くべきですか?
一番のアドバイスは「GビズIDを今すぐ取っておくこと」です(笑。国の補助金はほぼ全部jGrantsで電子申請が必要で、GビズIDの取得に1〜2週間かかります。補助金の公募が出てから焦っても間に合わない。
あとは、補助金を一個で終わりにしないことです。ものづくり補助金を使って設備投資した翌年に業務改善助成金で賃上げ支援を受けて、その次に次世代技術活用で更なるDX投資を…という感じで、複数の補助金を組み合わせて使うのが賢い会社のやり方ですよ。
そうです。山梨県内の中小企業で補助金を積極活用している会社は、5年間で3〜4種類の補助金を取っているケースも珍しくない。やまなし産業支援機構のよろず支援拠点は何度でも無料相談できるので、まずそこに行ってみてください。
ありがとうございました!山梨の中小企業にとって補助金って本当に使える制度がたくさんあるんですね。