室谷さん、2026年度、中小企業の賃上げや処遇改善に使える補助金って、結局どれがおすすめなんですか?たくさんあって迷います。
そうですね。一言で「賃上げ補助金」と言っても、制度のタイプが全然違います。大きく分けると、設備投資とセットで賃上げを求めるタイプと、直接的に賃上げ費用を補助してくれるタイプがあります。ただ、後者でよく聞く「業務改善助成金」は、現在この記事では詳細を扱っていませんので、あくまで設備投資連動型や地域独自の補助金を中心に解説しますね。
なるほど。ではまず、設備投資とセットで賃上げを後押ししてくれる制度から教えてください。
具体的には、どのくらい賃上げしないといけないんですか?
必須ではありませんが、例えば「事業終了後3年間で給与総額を年率平均+2%以上増加させる」といった目標を掲げると、補助上限が引き上げられるケースがあります。ただし、この要件は公募要領で毎回確認する必要があります。単なる設備更新だけではなく、生産プロセスの改善や新サービス開発を計画し、その成果を従業員に還元する姿勢が評価されるんです。
なるほど。でも、うちみたいな小さな会社が4,000万円も投資するのはなかなか…。
もちろん、全員が4,000万円を使う必要はありません。
19次締切や
20次締切も同様に実施されており、それぞれ上限は異なりますが、もっと少額からでも活用できます。例えば、19次締切は上限4,000万円ですが、賃上げ要件に取り組む場合は500万円の加算も可能です。小規模事業者なら補助率2/3ですから、実質的な負担はさらに軽くなります。
そうなんです。例えば、
神奈川県の中小企業生産性向上促進事業費補助金は、物価高騰や人手不足に対応する設備投資を支援します。締切は2026年8月31日で、一般枠なら上限500万円、補助率は小規模事業者で2/3、中小企業者で1/2です。この補助金も、事業計画に賃上げや雇用維持の要素を組み込むことで、採択可能性が高まります。
地元密着型という感じですね。他にはどんな特徴がありますか?
はい。神奈川県の制度は、グループ化支援枠(上限4,000万円)や創業者成長支援枠(上限300万円)もあり、事業者の規模に応じて選べます。また、機械装置だけでなく、ITサービス導入費や施設工事費も対象になるので、業務効率化と賃上げを同時に目指すのに最適です。
処遇改善というと、給料だけじゃなくて働く環境も大事ですよね。
その通りです。
佐賀市職場の熱中症対策支援補助金は、まさに職場環境改善で人材定着を図る制度です。近年の猛暑で熱中症リスクが高まっていますが、スポットクーラーや空調服などの購入費の半額(補助率2分の1以内)を補助してくれます。従業員1人以上の事業所なら上限20万円、従業員がいない個人事業主でも上限10万円です。
そうです。しかも、この補助金の目的には「物価高騰や賃上げの影響を受ける中小企業者の職場環境改善・人材定着・事業継続」と明記されています。つまり、暑さ対策で従業員の満足度を上げ、離職を防ぐことが、間接的な賃上げ効果につながるという考え方です。
室谷さん、さっき「業務改善助成金」の詳細は扱わないと言いましたが、それに関連する制度はあるんですか?
あります。
橿原市業務改善支援補助金は、国の業務改善助成金の上乗せ補助として設計されています。つまり、まず国に業務改善助成金を申請し、交付決定を受けた後、その残額(国が補助しきれなかった部分)を橿原市が上限10万円まで補助してくれるんです。
国の助成金と併用できるんですね。でも、国と県と市で制度が違うと、どこに相談すればいいか分かりません。
ところで、過去に「働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)」というのがあったそうですが、今は使えないんですか?
現時点で募集中のものはありません。しかし、参考までに言うと、
令和3年度の団体推進コースでは、事業主団体が傘下企業の時間外労働削減や賃上げを推進した場合に、最大1,000万円(定額)が助成されました。中小企業単独ではなく、業界団体単位で取り組むことで、より大きな効果を生む設計でした。もし今後同様の制度が復活したら、組合や協同組合と連携するのが有効でしょう。
最後に、中小企業がこれらを選ぶ時のポイントを教えてください。
- 投資規模と賃上げ対象人数:ものづくり補助金は大規模投資向け、佐賀市補助金は小規模でもOK。まずは自社の予算と従業員数を整理してください。
- 賃上げの計画性:設備投資とセットで賃上げ目標を掲げられるなら、ものづくり補助金や神奈川県補助金が有利です。逆に、すぐにでも給与を上げたいなら、業務改善助成金系の制度(橿原市の上乗せなど)を検討しましょう。
- 地域密着型の有無:お住まいの市区町村に独自の補助金がないか、必ず役所の窓口で確認してください。佐賀市や橿原市のように、意外なところに使える制度があります。
なるほど、まずは自社をよく知ることが大事なんですね。今日はありがとうございました!
どういたしまして。ぜひ、最適な補助金を活用して、従業員の皆さんが働きやすい職場づくりを進めてください。